↓ 前回の【2008年~2009年】人間椅子日記その5(人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤~未来浪漫派)
『人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤』の発売から、少しずつだが動員が増え始めた頃だ。
初のライブアルバム『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!』のリリース、そして東日本大震災を経て発売された16thアルバム『此岸礼讃』と、リリースも続いている。
ライブに関しては、人間椅子のライブの定番曲が固まっていった時期でもあった。
・2010年の出来事と感じていたこと
2010年の年始は公式ブログに、新年のご挨拶が掲載されている。
20周年は今まで以上に精力的な活動を行い、その勢いのまま2010年に突入している。
2010年はライブツアー2本、初のライブアルバム『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!』のリリースが中心的な活動であった。
・ツアー『春のにほひは涅槃のかをり』(不参加)
個人的な話からすると、人間椅子のコピーバンドを熱心にやっていた時期だった。
大学の新入生勧誘を行うためのライブでも、人間椅子のコピーバンドを行った。
その時には「胎内巡り」を演奏したり、「Smoke On The Water」の日本公演の完コピをする人間椅子(テレビ番組「人間椅子倶楽部」にて披露)の真似をしたり、マニアックなことをしていた。
4月に入り、僕は大学3年生になっていた。
そしてちょうど授業のオリエンテーション・飲み会の日と、人間椅子のライブが重なってしまった。
この日はクラスの仲間や教授との初顔合わせの日であり、泣く泣くライブに行くのを断念した。
この時のツアーは、『春のにほひは涅槃のかをり』という名前だった。
次のアルバム『此岸礼讃』にこのツアータイトルの曲名が収録されることになった。
公式ブログには以下のようなコメントがある。
春はひとつの匂いを持っています。それは、遠く彼岸から漂ってくる涅槃の薫りです。今春、春の薫りとともに人間椅子が東名阪を回ります。
ファイナルの東京ではずいぶんとレアな楽曲もやっている。
(セットリストはこちらを参照)
「甲状腺上のマリア」はもう二度と聞けないのではないかと思われ、惜しいことをした。
・夏のワンマン『疾風怒濤』ツアー
幸いに軽症だったため、通院治療で済んだ。しかし半年間は欠かさず服薬し、副作用のため飲酒厳禁の生活となった。
飲みたい盛りの大学生には厳しい期間だった。一方で、誘われるままに飲んだり、無理なスケジュールで動いていた時期でもあったため、体調管理を考えるようになった。
ライブに行くことは問題なかったので、夏のワンマンツアーには行こうと思った。
日程は以下の4本だった。
確かライブが行われる前には、ライブレコーディングであることは告知されていなかった。
初日の千葉LOOKのMCで告知されたようである。
ライブ録音は東名阪の3か所で行い、最終日の東京はDVD撮影が行われた。
この時は、コピーバンドを組んでいた先輩2人と、人間椅子のライブ初参加のサークルの先輩1人の計4人で東京公演を見に行くことになった。
この頃は動員が増えてきたように思う。若い男性ファン(自分たちもそうだが)が、周りにも多かったと記憶している。
ライブの内容としては、一見さんにもわかりやすいものだった。セットリストも、ベスト盤発売ライブの流れを引き継いで、レア曲はほとんど入っていない。
人間椅子のライブは、これまで結構レアな曲を詰め込んでいることが多かったが、その結果演奏が安定しないという問題が起こっていた。
新規ファンも増えてきた中で、安定して良い演奏を見せることに集中し、定番曲を間違いなく届けることが重要になってきたということだろう。
ライブを観ていて、他に気になったことは、和嶋さんが急に老けてきたな、ということ。コラムにもあったように、アル中寸前の時期があり、演奏も少し不安定な時が出てくるようになった気がした。
そして鈴木さんは調子が良くなさそうだな、ということ。今回のライブに限らず、この時期の鈴木さんは動くのがつらそうな様子だった。
そんなメンバーの加齢を感じつつも、渋谷公演は全体的には充実したライブだったと思う。30代の頃のキレッキレの演奏とは異なるものの、年を重ねた味わいが出て、良い状態に向かいつつあった。
また1つ、人間椅子が階段を上がったようなライブだった。
なお、BEEASTにて渋谷公演のライブレポがアップされている。
no. | タイトル |
---|---|
SE | 鉄格子黙示録オープニング |
1. | 鉄格子黙示録 |
2. | 羅生門 |
3. | りんごの泪 |
MC | |
4. | 塔の中の男 |
5. | 賽の河原 |
MC | |
6. | 品川心中 |
MC | |
7. | 水没都市 |
8. | 陰獣 |
MC | |
9. | 深淵 |
10. | 死神の饗宴 |
MC | |
11. | 冥土喫茶 |
12. | 相剋の家 |
MC | |
13. | 赤と黒 |
14. | 地獄 |
15. | 天国に結ぶ恋 |
16. | 針の山 |
En.1 | |
17. | 人面瘡 |
18. | 道程 |
19. | 地獄風景 |
En.2 | |
20. | どっとはらい |
※ライブ参加後の感想についての当ブログ記事
・BEEASTコラム、ライブ情報など
少しずつではあるが、Web媒体での情報やライブ告知が増えてきた。
2009年から開始された和嶋さんによるWebコラム「浪漫派宣言」も更新が続いていた。個人的には、2010年7月10日の「第六回 機材紹介」が印象に残っている。
この回では、和嶋さんのギターの音色について、ギター・弦・アンプ・エフェクターなどについて、事細かく書かれている。
人間椅子のコピーバンドでギター・ボーカルをしていた者としては、少しでも和嶋さんのサウンドに近づけたいと感じていた。
この記事は大いに参考になり、アンプのセッティングはこの通りに、そしてわざわざ生産終了しているBOSSのPSM-5を中古で買って、ループするように設定したりしてみた。
8/21には音楽フェス「夏の魔物」への初参加があった。今でこそ常連となっているが、2010年が初だったようだ。この頃は、人間椅子の地元青森県でのライブが立て続けに行われていた。
10/16には 「疾風怒濤 ~ みちのく篇」として、六戸町文化ホールでのライブもあった。こちらはチケット代がなんと1000円。
それでいていつもより曲数が多いライブだったようで、うらやましい内容である。
(セトリはこちら)
フェスへの参加など、少しずつではあるものの外に向かって開かれ始めた時期であった。
・「第七回 人間椅子倶楽部の集い 2010」@高円寺ShowBoat
恒例となったFC限定ライブが、11月7日(日) に開催された。昨年に比べると、集いも動員が増えていたようだ。
タイミング的には、ライブアルバム『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!』の発売が告知された直後の開催だった。
この時は、開演前にプロジェクタが用意され、「疾風怒濤」ツアーの東京公演の映像のダイジェスト版が先行上映された。ライブ映像を事前に見ると、本番のライブへの興奮度が高まる。
2010年の集いも、なかなかレアな曲が演奏されている。序盤から「憂鬱時代」「埋葬蟲の唄」など、なかなか聴く機会のない楽曲が演奏された。
この年はメンバーの個人コーナーが行われた年だった。カバー曲コーナーが短い年と、2010年のようにかなり長い年とが交互に来るのが、定番となっていた。
最初は鈴木さんの杉並郵便局の仲間で結成された「ゆうメイツ」によるカバー演奏。この年はThin Lizzyのカバーであった。ギターはスタッフとしておなじみの川端さん・中野さんが担当している。
続いてノブさんのコーナーは、ピアノとバイオリンによる演奏で、ノブさんが人間椅子の楽曲を歌うという変わった編成での演奏だった。
最後は和嶋さんで、どんどんステージ上の人が減って1人弾き語り、と話しておられた。「赤と黒」を和嶋さんボーカルで弾き語り、というレアな演奏も聴くことができた。
抽選会を挟み、後半はレア曲と定番曲を織り交ぜた構成。
ノブさんボーカルによる「野球野郎」が大変レアで、川端さんが出てきて一緒に「ワンストライク!」と歌っていた(レコーディングも確か参加されていたはず。)
アンコールは怒涛のローチューニングコーナーでヘビーに締めるのも集いらしい。
この年は「疾風怒濤」ツアーが定番曲で固めたライブだっただけに、集いでレア曲がたくさん聞けるのが嬉しかった記憶がある。
no. | タイトル |
---|---|
1. | 猟奇が街にやって来る |
2. | 憂鬱時代 |
MC | |
3. | 埋葬蟲の唄 |
4. | ヤマさん |
●鈴木研一 | |
5. | Jailbreak |
6. | Cowboy Song |
7. | The Boys Are Back In Town |
●ナカジマノブ | |
8. | 秋の夜長のミステリー |
9. | Beth(KISS) |
10. | 孤立無援の思想 |
●和嶋慎治 | |
11. | 赤と黒 |
12. | 暗い日曜日 |
<抽選会> | |
13. | 野球野郎 |
MC | |
14. | 戦慄する木霊 |
15. | 幽霊列車 |
16. | 針の山 |
En.1 | |
17. | 痴人の愛 |
18. | 悪魔の手毬歌 |
En.2 | |
19. | どっとはらい |
※当ブログの日記
・ライブCD+DVD『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!』発売
真夏の暑い時期のツアーから5か月弱が経った、12月1日(水) 人間椅子初のライブアルバムが発売となった
。
正直なところ、期待は半分くらいだった。と言うのも、以前このブログでも書いたことがあるが、ライブアルバムがそもそも好きではないのだ。
ロックバンドのライブ盤は、肯定派の人からはライブの躍動感がスタジオ音源よりも良いという意見がある。僕はその粗さが気になって、何回も繰り返して聴こうと言う気持ちになりにくい。
人間椅子初のライブ盤は、ある意味ライブベスト盤的な内容だった。選曲としては、納得の内容だった。
ライブ音源については、やはり僕はそこまで繰り返し聴いてはいない。
1つにはライブのレコーディング環境もあったのかもしれない。後に発売されるライブ盤の2nd『威風堂々』では、その点が改善されて音質がずいぶん改善されていた。
このアルバムは、ライブの音そのままが切り取られている。好きな人には良いのかもしれないが、個人的には音質良くまとまっている方が好みだなと感じていた。
しかし今になって聴くと、当時の懐かしいライブが蘇る。スタジオ音源とは異なるアレンジがあり、今はやらなくなったアレンジもあるため、時が経ってから記録としての楽しみ方はあるかもしれない。
一方で、ライブDVDは当時とても嬉しかった。それまでライブ映像が少なく、またフルライブに近く収録したものがなかったので、それだけで貴重だった。
なお、後日のコラム「浪漫派宣言」の「第九回 自由な精神で」にて、このライブ盤に収録されていないMC集が希望者全員にプレゼントされる企画があった。
当然僕も申し込んで、今も手元に残っている。人間椅子のライブMCはなかなかDVD等に収録されることがないので貴重である。
なお大阪公演の「品川心中」前のMCでは、海外公演(ヨーロッパを挙げている)への夢を語っており、日本語で品川心中の曲紹介をやることを宣言している。
今、それが実現した中でこのMCを聴くのも感慨深い。
※2020年EUツアーでの「品川心中」の落語部分の様子
・『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!』発売記念インストアイベントへの参加
ライブアルバム『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!』の発売を記念し、インストアイベントが以下の2つの日程で行われた。
・12月12日(日)タワーレコード渋谷店 ※ミニライブ
・12月19日(日)ディスクユニオン新宿ヘヴィメタル館 ※4ショット撮影会&直筆サイン色紙プレゼント
僕は後者の撮影会・サイン色紙プレゼント会に参加した。今はミニライブに参加することが多いが、この時期はサイン会によく通っていた。
今までは私物サインがOKだったのが、参加人数も増えてきたためか、サイン色紙を手渡すのみとなった。少し味気なくもあるが、参加人数が増えてきたことは喜ばしかった。
その時に撮影した写真である。
どことなく鈴木さんはお疲れの様子(他のお二方も少しお疲れ?)だった。
それだけ参加した人数が多かったということだろう。
この時サークルのライブが終わった後に駆けつけており、和嶋さんに驚かれたようだった。
年末には以下の記事がアップされた。
イカ天のこと、みうらさんとのコラボレーション、みうらさんから見た人間椅子のことなど、なかなか面白い内容だ。
この記事を読むと、まだ人間椅子が知る人ぞ知るバンド、という状況だったことがわかる。
・当時感じていたこと
デビュー20年を迎えて、初のライブアルバムが発売されたことは感慨深いものだった。ハードロックバンドとして、ライブ盤が出ることの意味も大きいように思う。
この頃は人間椅子のライブの選曲の方針が変わってきた時期だ。既に書いた通り、レア曲満載のライブから、人間椅子として定番の楽曲を押さえた選曲に変わってきた。
「針の山」が本編最後に配置されることが増えたのもこの時期で、今まではあまり定番の曲がなかった状況だった。
ベスト盤、そしてライブ盤の発売を機に、人間椅子にとって重要な曲をピックアップし、ライブでの反応を確認しているようでもあった。
昔からファンをやっていると、もっとレアな曲を聴きたいと思う気持ちが強くなってしまい、この時期はライブの選曲にかなり不満を持っていたような気がする。
今考えれば、この時期に定番曲をしっかり押さえたことは非常に重要だったと思うが、リアルタイムでは物足りなさを感じていたように記憶している。
・2011年の出来事と感じていたこと
年始は公式ブログに、人間椅子倶楽部の年賀状と同じ画像がアップされた。
謹賀新年
2011年は東日本大震災を経て、アルバム『此岸礼讃』が発売された。アルバム発売ツアーは本数も多く、満員御礼の会場も出始めた。
ブレイク直前の、階段を駆け上がっていく途中の1年であったように思う。
個人的なことでは、無事に結核からは回復し、現在も再発はしていない。そして大学4年生となり、卒業論文を執筆しなければならない年であった。
・東日本大震災とニューアルバム発売決定など
2011年前半の最も大きなニュースは、東日本大震災であろう。
僕は震災の日、ちょうど免許合宿のために山形に到着したところだった。幸いにも被害は少なく、教習を受講することもできた。
人間椅子のメンバーお2人も青森県出身であり、心を痛めたことと思う。奇しくも、3月11日はベースの鈴木さんの誕生日だった。
なお、公式ブログに安否確認のメッセージが掲載された。
また高円寺ShowBoatに出演しているアーティストからのメッセージが掲載され、和嶋氏からも寄せられている。
6月に新作『此岸礼讃』の発売とツアーの告知が行われている。
また公式ブログには、レコーディング風景の写真が投稿された。人間椅子にとっては、Webでの発信がまだ少ない時期だったため、貴重な写真である。
・16thアルバム『此岸礼讃』発売
8月3日に16thアルバム『此岸礼讃』が発売となった。2009年の前作『未来浪漫派』より約2年ぶりの新作となる。
「此岸」とは”この世”を指し、”あの世”を言う「彼岸」と対比的な言葉だ。つまりタイトルが意味するところは、この世は素晴らしいものだと肯定しようということである。
徳間ジャパンのページにて、和嶋さんのコメントも寄せられている。
東日本大震災の影響もあり、新しい現実を受け入れ、改めてミュージシャンとして表現活動を行っていこうという意気込みを感じることができる。
和嶋さんの楽曲はバリエーションに富んでおり、楽曲数も多くなった。
今まで以上にヘビーな「沸騰する宇宙」や、壮大な「春の匂いは涅槃の薫り」など、新たな試みが盛り込まれている。
鈴木さんは和嶋さんとのバランスを取るかのように、「泣げば山がらもっこ来る」など、シンプルなハードロックが多くなっている。
この作品で、いよいよ”和嶋・鈴木”のアルバム内でのバランスがはっきり変化した。
これまでは鈴木さんがアルバムの勘所となる楽曲を作ってきた歴史があった。その間の和嶋さんは、私生活を含めて、迷いの中にあった時期と重なっている。
そしてここに来て和嶋さんが復活し、一方で鈴木さんはやや体調が芳しくないようにも見られ、バランスが変わってきた。
人間椅子はこのようにフロントマン2人のバランス、そしてある種の助け合いによって成り立ってきたことを改めて思わされたのだった。
話をアルバムの楽曲に戻せば、今回和嶋さんがローチューニング用ギターのピックアップを新調しており、とても良い音になっている。
代表曲の1つとなった「今昔聖」でもその轟音を聴くことができる。
鈴木さんはこの作品から、”地獄シリーズ”と銘打った楽曲を作り始め、変拍子のスラッシュメタルの「地獄のロックバンド」が収録された。
本作ではノブさんは単独ボーカルの楽曲はなく、3人がボーカルをとる「阿呆陀羅経」で中心的なボーカルを担っている。
なおタワーレコード全店及びオンラインでの購入者特典として、特製オリジナルCD音源が付いた。「此岸礼讃への道 THE WAY OF THE SHIGANRAISAN」と題したデモ音源だ。
収録曲は以下の通りだ。( )内は筆者によるメモ。
1.光へワッショイ(※バンドデモ途中まで、歌詞なし、テンポ調整中)
2.あゝ東海よ今いずこ(※バンドデモ中間部付近、歌詞なし)
3.阿呆陀羅経(※バンドデモ冒頭・中間部、歌詞なし)
4.胡蝶蘭(※ギターのみ、メインアルペジオほぼ完成)
5.ギラギラした世界(※バンドデモ後半、サビのハモりが逆転)
6.今昔聖(※ギターのみ、メインリフ制作過程)
バンドのデモ音源もあれば、鳥のさえずる野外での和嶋さんのギターの生音による作曲過程の音源もあり、大変興味深い。
細かい点で言えば、5.「ギラギラした世界」の初期バージョンはサビのハモりが逆になっている。
6.では次回作に収録された「此岸御詠歌」のメインリフから膨らませて、「今昔聖」ができている点も面白い。使われなかったリフなども録音に残されている。
※『此岸礼讃』を初めて聴いた時の当ブログの日記
・レコ発ツアー「此岸礼讃」・インストアライブ
アルバム発売を記念し、ツアーが組まれている。7月に仙台が追加され、全7か所8公演となった。
日程は以下の通りである。公式には、大阪・東京(2日目)・仙台がソールドアウトと発表があった。
・8/12 名古屋 ell.FITS.ALL
・8/13 大阪 阿倍野 ROCK TOWN:ソールドアウト
・8/15 博多 ドラムBe-1
・8/19 東京 渋谷 Shibuya 0-WEST「此岸の日」
・8/20 東京 渋谷 Shibuya 0-WEST「彼岸の日」:ソールドアウト
・8/26 北海道 札幌 BESSIE HALL
・8/28 青森 クォーター
・8/29 仙台 enn 3rd:ソールドアウト
この時期は東京が2日間になることが多く、どちらに行くかいつも迷うところだった。2日間で選曲を変えることも多く、2日目がマニアックになる傾向があった。
この時はインストアも行っていないので、初日の8/19に行くことにした。地元から母が上京しており、母と見に行ったライブだった。
選曲に関しては、2日間でセットリストはなんと全て違う曲だった。予想した通り、やや2日目の方が渋めの選曲のようだ。
この時のライブは結構印象に残っている。
新譜発売時のライブは、リリースのないライブよりは動員が多くなる傾向にある。それにしても、この時はずいぶんと増えたなという印象だ。
2日目がソールドアウトになり、初日は平日だったため、売り切れはしなかったがかなり多くの人が詰めかけているようだった。
オープニングSEは初めて聴く人間椅子の曲。このツアーで初めて「此岸御詠歌」が発表されたのだ。
ライブが始まる興奮を高めてくれる名曲であり、次回作の『萬燈籠』に新録された。実はこのツアーで流れたバージョンのみ、アルバム収録バージョンとは異なるのだ。
ライブの選曲は新譜の中から推し曲が多く、そして旧曲も絶妙に良い曲を押さえている。
ややレア曲は「審判の日」、そして本編最後の「人面瘡」「恐怖!!ふじつぼ人間」「幸福のねじ」が鬼気迫る演奏だったのを思い出す。
ダブルアンコール時、ワウペダルのチェックをしている様子で、「まさか?」と思ったら「陰獣」がラスト。あまりないパターンの終わり方は、非常に印象に残っている。
会場全体の熱気が、これまでよりも高まっており、「人間椅子売れてきたのでは?」と思う瞬間だった。
しかし本人たちもなぜ動員が伸びているのかわからない、とMCでもよく語っていた。あまりにわからないので、ライブ終了後にアンケートを取っていたこともあった。
今振り返ればあれこれ分析もできるかもしれないが、当時は何が変わった訳でもなく、ただお客さんが増え続けていた、という認識だったのである。
no. | タイトル |
---|---|
SE | 此岸御詠歌 |
1. | 沸騰する宇宙 |
2. | あゝ東海よ今いずこ |
MC | |
3. | 春の匂いは涅槃の薫り |
4. | りんごの泪 |
5. | 泣げば山がらもっこ来る |
6. | 品川心中 |
MC | |
7. | 審判の日 |
MC | |
8. | 今昔聖 |
9. | 死神の饗宴 |
10. | 痴人の愛 |
MC | |
11. | ロックンロール特急 |
MC | |
12. | 地獄のロックバンド |
MC | |
13. | 人面瘡 |
14. | 恐怖!!ふじつぼ人間 |
15. | 幸福のねじ |
En.1 | |
16. | 悪魔と接吻 |
17. | 地獄 |
En.2 | |
18. | 陰獣 |
※当ブログの当時の日記
ツアーが終わり、9月にはナタリーにて、「此岸礼讃」発売を記念して和嶋氏の長めのインタビュー記事が公開された。
インタビュアーは吉田豪氏であり、キャリアを追って深く掘り下げたインタビューとしてはかなり先駆けの貴重なものだ。
都内では恒例のインストアイベントも行われた。インストアイベントがツアーの後に来るという異例の日程だった。
僕はタワーレコードの無料ライブに参加している。
あまり記憶に残っていはいないが、ツアーで聴けなかった曲がいくつか聴けたのが良かった。
no. | タイトル |
---|---|
SE | 此岸御詠歌 |
1. | ギラギラした世界 |
2. | 悪魔と接吻 |
MC | |
3. | 光へワッショイ |
4. | 地底への逃亡 |
MC | |
5. | 胡蝶蘭 |
MC | |
6. | 今昔聖 |
7. | あゝ東海よ今いずこ |
8. | 沸騰する宇宙 |
En. | |
9. | 阿呆陀羅経 |
※インストアライブのセットリストはこちらを参考にした
※インストアライブ参加時の当ブログの日記
・「第八回 人間椅子倶楽部の集い 2011」@高円寺ShowBoat
僕自身は4回目の参加となる、人間椅子倶楽部の集いが11/3に高円寺ShowBoatで行われた。次の項で書く冬のツアーが告知されている中での、人間椅子倶楽部の集いだった。
今回の開演前は、夏のツアーで僕が見た「此岸の日」の模様を、『此岸礼讃』の楽曲のみに編集したバージョンで放映していた。今年もライブ前に人間椅子の映像が見られるのは嬉しい。
この年は、僕が人間椅子のライブを観た最初の頃の2001~2003年辺りを思い起こさせるような楽曲が多かった。
「終わらない演奏会」「自然児」「菊人形の呪い」「東洋の魔女」など、懐かしい曲が多かった。
今年も個人コーナーが続く年となった。鈴木さんはおなじみ”ゆうメイツ”で、Venomのカバー。
当時はまだVenomをよく知らず、ライブが終わってからチェックしてハマった。Venomはこの時の”ゆうメイツ”きっかけだった。
ノブさんはヤマダススムさん(スタッフも現在はされている)と、ニコラス・ケイさんによるノブ欽トリオ。世代でないためここは若干ついて行けなかった。
和嶋さんはムーンライダーズの武川さん(通称「くじらさん」)とのユニット”くじら日和”。
かぐや姫の「神田川」は武川さんがバイオリンをレコーディングで弾いていたそうで、「神田川」も披露された。
後半はノブさんのレア曲「無慈悲なる青春」や、早くもレア曲入りしてしまった「愚者の楽園」などが演奏され、アンコールラストは「エキサイト」で盛り上がって終了。
動員はかなり増えて、全員に配る手拭いが不足してしまったほど。だんだん高円寺ShowBoatでは手狭になり始めた頃だ。
しかしこの年は個人コーナーが長く感じられた。転換にも時間がかかり、人間椅子の音楽ジャンルから離れすぎると、やや流れが途切れてしまうように思われた。
結果的に、後には個人コーナーをやらなくなったが、やはり集いでは人間椅子のレア曲を聴きたいのがファンの願いだろう。演奏する方は準備が相当に大変なようではあるが。
※当時の日記でも、個人コーナーについては不満を漏らしている。
no. | タイトル |
---|---|
1. | 太陽の没落 |
2. | 終わらない演奏会 |
3. | 名探偵登場 |
4. | 自然児 |
●鈴木研一(ゆうメイツ) | |
5. | Welcome To Hell |
6. | Witching Hour |
7. | Black Metal |
●ナカジマノブ(ノブ欽トリオ) | |
8. | ハイスクールララバイ |
9. | 僕笑っちゃいます |
10. | Romanticが止まらない |
●和嶋慎治(くじら日和) | |
11. | 甲状腺上のマリア |
12. | 神田川 |
13. | 胡蝶蘭 |
14. | 悪魔と接吻 |
– | |
15. | 東洋の魔女 |
16. | 菊人形の呪い |
17. | 無慈悲なる青春 |
18. | 愚者の楽園 |
19. | 棺桶ロック |
20. | 阿呆陀羅経 |
En. | |
<抽選会> | |
21. | 愛の法則 |
22. | エキサイト |
・「冬来たりなば春遠からじ ~人間椅子ワンマンツアー 2011年師走~」
年内最後のツアーが行われた。
ツアーの日程は以下の通りだった。
アルバム発売などではないため、選曲が楽しみだった。そして人間椅子倶楽部の集いの後のライブでは、集いで手応えのあった曲を演奏することがあった。
蓋を開けてみると、東京公演では集いのレア曲は演奏されていない。東京以外では「終わらない演奏会」「名探偵登場」などが演奏されていたようだ。
しかしこのツアーはしばらく演奏されなかった、かつての定番曲が掘り起こされた選曲だった。
久しぶりに演奏された北朝鮮の様子を歌ったとされる「鬼」、鬼気迫るパフォーマンスの「踊る一寸法師」などは、ハイライトの1つだった。
また「ギラギラした世界」では、最後のギターソロに入る前に、Led Zeppelinの「Heartbreaker」のギターソロを演奏。
そして「サバス・スラッシュ・サバス」からBlack Sabbathの「Into the Void」など、ハードロックカバーも楽しめるライブとなった。
このライブで最も印象に残っているのは、ダブルアンコールラストの「相剋の家」だった。
和嶋さんによるMCも印象的で、冬のシーズンが作られた幸せのようで嫌いだと述べていた。1人で孤独な人は誰かを恨むことなく、自由を楽しんでくださいと語りかけていた。
震災の影響で世の中は暗いムードもあったが、上り調子だった人間椅子。1年の最後のライブにあえて、この「相剋の家」を持ってきた重みを感じずにはいられなかった。
2年後、まさかBlack Sabbathと同じ舞台の1曲目に「相剋の家」を演奏するとは、この時は思いもよらなかった。
no. | タイトル |
---|---|
SE | 此岸御詠歌 |
1. | 阿呆陀羅経 |
2. | 鬼 |
MC | |
3. | 春の匂いは涅槃の薫り |
4. | 泣げば山がらもっこ来る |
MC | |
5. | 品川心中 |
6. | ギラギラした世界 |
MC | |
7. | 今昔聖 |
8. | 踊る一寸法師 |
MC | |
9. | サバス・スラッシュ・サバス(~Into the void) |
10. | 見知らぬ世界 |
MC | |
11. | 人間失格 |
MC | |
12. | 猿の船団 |
13. | 青い衝動 |
14. | 悪魔と接吻 |
15. | 針の山 |
En.1 | |
16. | 人面瘡 |
17. | 恐怖!! ふじつぼ人間 |
En.2 | |
18. | 相剋の家 |
※BEEASTにて、東京公演のライブレポートが掲載されている。
・当時感じていたこと
『此岸礼讃』のリリースで、また新たなファンを獲得した年だったと思う。夏のツアーは大いに盛り上がり、集いもいつになく大入りとなった。
2011年はライブの内容がとても良かった印象がある。選曲もバリエーション豊かになったこともあるが、2010年よりむしろライブの調子が上がっているようにも思われた。
アルバム『此岸礼讃』は、これまでの人間椅子からまた新たな段階に入った作品だ。前作の『未来浪漫派』が明るい作風で、『此岸礼讃』はヘビーでいて前向きなテイストを確立したように思う。
しかし当時の僕はそれを100%受け入れていたのでもなかった気がする。自分自身も病気になったりして、悩みを抱えていた時期だった。
徐々に人間椅子は”不健康”な曲を歌わなくなり、瑞々しくなっていくようだった。僕自身の精神性がそこまで追いついておらず、不健康さが目立つ90年代後半~00年代前半の曲を好んでいた。
バンドの成長とリスナーの成長は必ずしも一致しないため、僕自身文句も言いつつ音源を聴いたり、ライブに行ったりしていたような記憶がある。
・まとめと次回に向けて
人間椅子の飛躍の始まりと、ライブの充実が見られた2010~2011年だった。観客の動員が増え、少しずつ活動が増えてきたのがおわかりいただけただろう。
その勢いは次の2012~2013年に加速していくことになる。
次回のタイトルは、【2012年~2013年】人間椅子日記その7(萬燈籠)である。
特に2013年のオズフェス出演が一大事件だった。
感動のオズフェスを迎えた次回に続く。
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