【初心者向け】”はじめてのアルバム” – 第7回:人間椅子 絶対おすすめの名盤と全アルバムレビューも

スポンサーリンク

気になるバンドを聴いてみようと思った時に、必ずと言っていいほど「何から聴けば良いのか?」問題が出てくる。

そこで初めて聴く人向けに、最初に聴くのにおすすめのアルバムを紹介するシリーズ記事を書いている。

これまで既に6回記事を書いており、最近3回は以下のようなミュージシャンを取り上げている。

第6回:南佳孝

第5回:聖飢魔Ⅱ

第4回:奥村愛子

今回は当ブログでも多く取り上げる、人間椅子のアルバムについてだ。

正直なところ、アルバムを絞るのが難しいくらい名盤揃いである。そこで厳選したおすすめアルバムを紹介し、その上で全アルバムレビューも行った。

初めて聴く人、そして何枚か聴いた人、さらに全作聴いている人にも楽しめる内容になっていると思う。

スポンサーリンク

人間椅子について

まずは人間椅子がどのようなバンドなのか、簡単に紹介しよう。

人間椅子は、文学的な日本語歌詞をブリティッシュハードロックに乗せて歌う3ピースバンドだ。

1987年に青森県弘前市出身の和嶋慎治(ギター・ボーカル)と鈴木研一(ベース・ボーカル)によって結成された。

Black Sabbathなど70年代のハードロックに影響を受け、江戸川乱歩などおどろおどろしい文学作品にも関心があった和嶋氏の怪奇的な歌詞が組み合わさった、独特の音楽性だ。

出身地での津軽弁や津軽三味線奏法を取り入れた楽曲「りんごの泪」は、人間椅子の真骨頂とも言えるだろう。

人間椅子は、1989年にテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国」に出演し、「陰獣」を披露。鈴木氏のねずみ男の格好が話題になったが、審査員の間では演奏技術や世界観が高く評価された。

1stアルバム『人間失格』でメジャーデビューするも、バンドブームが去るとともに、売り上げが減少。メジャー契約が切れた後、90年代後半から長く低迷期が続いてしまう

またドラマーの交代が多かったが、2004年に現ドラマーのナカジマノブが加入。彼の明るいキャラクターはバンドにとって新鮮で、バンド自体も少しずつ活性化していく。

2009年のデビュー20年を記念したベスト盤『人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤』発売頃から、少しずつライブの動員も増加傾向になっていく。

そして2013年には敬愛するBlack Sabbathも出演する”OZZFEST JAPSN 2013”に出演。バンド”再デビュー”となったこのイベントを機に、さらに活動の幅を広げている。

2019年にYouTubeに投稿された「無情のスキャット」が国内外で多く視聴され、再生回数は920万回を超えている。(2021年7月時点)

海外からの注目も集まり、ついに2020年2月には初めての海外公演をイギリス・ドイツで行うことができた。2021年8月4日には22枚目となるアルバム『苦楽』の発売が決定している。

さらに詳しく人間椅子の歴史を知りたい方は、以下の記事にまとめている。

スポンサーリンク

”はじめて”のベストアルバムは?

ここから初めて人間椅子を聴く人におすすめのアルバムを紹介していこう。まずはベストアルバムから入りたい人向けに、おすすめのベストアルバムを紹介する。

人間椅子もキャリアが長く、ベストアルバムだけで5枚リリースされている。最初に手に取るのにおすすめなのは、2019年発売の最新ベスト盤『人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤』である。

2枚組で全25曲収録でボリューム満点だ。話題になった「無情のスキャット」も収録されており、初期から最近の楽曲まで、ライブでの定番曲・人気曲が網羅されている。

また、時系列ではなくアルバムとして楽しめる流れになっている点も特徴だ。時代の異なる曲を並べて聴くことで、人間椅子の音楽性がいかにブレないかがわかるだろう。

また、過去のアルバムを持っている人も、「愛のニルヴァーナ」「悪夢の序章」という書き下ろし曲も収録されている。

人間椅子の歴史をコンパクトに楽しむのには、最適のベスト盤と言えるだろう。

なおその他のベスト盤については、後の全アルバムレビューで触れたい。

”はじめて”のオリジナルアルバムは?

続いて、初めて手に取るのにおすすめの人間椅子のオリジナルアルバムである。正直なところ、どれを手にとっても楽しめる、というのが答えである。

人間椅子の音楽性には、大きな変化がなく、そして常にクオリティの高い楽曲が収録されている。そのため、あとは好みに合うかどうか、で決まってくるようにも思える。

その中で、筆者があえて選ぶとしたら、という厳選に厳選を重ねた3枚を選ぶこととした。選んだ基準は以下の2点である。

  • アルバムトータルの聴きやすさ:全体を通して聴きやすく、アルバムとしてのまとまりが素晴らしい作品を選んだ。
  • 各時代を象徴する名盤:どうしても時代によって多少の変化はある。各時代を象徴し、かつ優れた作品を選んだ。

ここの楽曲と言うより、アルバムとして楽しめる作品から選んでいる、ということだ。この3枚を起点に、好みの作品を見つけていただければと思う。

1st『人間失格』(1990)

1枚目はデビューアルバム『人間失格』である。この作品を挙げない人はいないのではないか、という、まさしく名盤であろう。

ドラマーは上館徳芳氏である。初期人間椅子の独特な不気味さを支えた、どっしり安定感のあるドラムが特徴だ。

このアルバムの特徴は、とにかく代表曲がてんこ盛りであることだろう。

ライブで今も頻繁に演奏される「りんごの泪」「賽の河原」「天国に結ぶ恋」など、人間椅子にとって欠かせない曲ばかりだ。

一聴すれば、音楽性がデビュー盤から全く変わらないことが分かる。そしてハードな曲から、プログレッシブなもの、静かな曲まで、アルバムとしてのバランスも良い。

しかし昔のハードロックのような音の悪さを再現した点は失敗している。かつてはその1点だけで、アルバムの評価がやや下がっていた。

しかし2016年に発売されたUHQCDでの再発売では、格段に音が良くなっている。ぜひ手に取る場合は、再発盤をCDで聴いていただきたい。

※さらに掘り下げてレビューも書いている。ぜひ以下の記事をぜひお読みいただきたい。

9th『怪人二十面相』(2000)

2枚目に選んだのは、2000年にリリースされた9枚目のアルバム『怪人二十面相』である。江戸川乱歩の小説からタイトルを取った、”原点回帰”とも言えるアルバムだ。

ドラマーは後藤マスヒロ氏である。テクニカルかつパワフルなドラムで、人間椅子の音楽性・芸術性をさらに高めた功績者であり、いまだにマスヒロ期の人間椅子ファンも多い。

後藤氏在籍時のアルバムはどれも名盤で、1枚に絞るのが難しい。今回はバランスの良さ、そしてわかりやすさとして、この『怪人二十面相』を選んだ。

ジャケットでは鈴木氏が怪人二十面相、和嶋氏が明智小五郎、後藤氏が小林少年に扮し、「怪人二十面相」のMVではコスプレもしている。

楽曲の中でも「怪人二十面相」「亜麻色のスカーフ」「名探偵登場」と、それぞれの役が組み込まれている。緩やかなコンセプトアルバムになっている点も面白い。

楽曲としては、鈴木氏の作曲がとにかく冴え渡っている。名曲として人気の高い「芋虫」が収録されている。

一方の和嶋氏は鈴木氏とは異なるタイプの楽曲でアルバムに彩りを添えている。「刑務所はいっぱい」や「大団円」など、展開が作り込まれた楽曲も特徴だ。

そして3人の息が最も合っている頃で、演奏はタイトでヘビーだ。楽曲、演奏、アルバムトータルの内容を見ても、人間椅子トップクラスの名盤だと筆者は思っている。

19th『怪談 そして死とエロス』(2016)

3枚目におすすめしたいのは、近年の作品から2016年の19枚目『怪談 そして死とエロス』だ。

ナカジマ氏加入後の作品に関して、2013年のOZZFEST JAPAN 2013出演後は、より方向性が明確になって良作が続いている印象である。

中でも『怪談 そして死とエロス』は、アグレッシブさと芸術性のバランスが絶妙なアルバムだ。「恐怖の大王」「芳一受難」など、近年の勢いある楽曲も充実。

一方で「泥の雨」「黄泉がえりの街」などのヘビーさ、「マダム・エドワルダ」で見せるメロディアスな展開など、楽曲のバリエーションが豊かである。

ライブで盛り上がれる曲だけでなく、じっくりと聴けるような奥深い楽曲も収録されている。”怪談”をテーマに、人間椅子らしい怪奇趣味の世界観を存分に味わうことができる名盤だ。

ナカジマ氏加入後は、ナカジマ氏のバックグラウンドがあまりに人間椅子と違った。そのため数作は模索の時期が続いたが、徐々に新たな人間椅子の形を作ることに成功した。

本作はその中でも、アルバムの充実度として最高峰と思われる作品だと思う。

人間椅子全アルバムレビュー

初めて聴く人向けにおすすめ盤を3枚紹介した。しかし、人間椅子のアルバムは名作だらけである。

そこでさらに次のアルバムに手を伸ばす際の参考に、全アルバムの紹介も行ってしまおうと思う。

ごく簡単なレビューとはなるが、アルバムの特徴とおすすめ度を3段階で示した

★が3つあれば非常におすすめだが、★1つの場合も決して駄作と言う意味ではない。作品数が多いので、アルバムを手に取る指標の1つになればというだけだ。

このレビューで人間椅子の作品にさらに触れる機会になればと思う。

0th『人間椅子』(1989)

  • 発売日:1989年11月10日
  • おすすめ度:★☆☆

通称”0th”、メジャーデビュー前にインディーズでリリースされた7曲入りミニアルバム。かつては未収録の「陰獣」「猟奇が街にやって来る」「神経症I LOVE YOU」のために入手必須盤だった。

が、現在はベスト盤に再録やオリジナルが収録されることとなり、あえて入手の必要はなくなった。その他の楽曲は、オリジナルアルバムとは異なるテイクである。

1st『人間失格』(1990)

  • 発売日:1990年7月21日、1998年7月23日(廉価盤再発)、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★★

人間椅子の代表曲がごっそり詰め込まれた名盤中の名盤。デビュー盤からその世界観は既に確立されていることがわかる。

全体にはおどろおどろしい曲が多め。音の悪さが難点だが、2016年の再発売で大幅に改善している。

2nd『桜の森の満開の下』(1991)

  • 発売日:1991年3月13日、1998年7月23日(廉価盤再発)、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★☆

前作よりもアッパーで分かりやすい楽曲が増えた2ndアルバム。曲間が短いことで、スピーディーにアルバムが展開していく爽快感のある作品だ。

それでも叙情的な名曲「夜叉ヶ池」やダウンチューニングを導入した「太陽黒点」など、ヘビーに聞かせる曲も。鈴木氏がボーカルをとることが多い印象である。

アッパーな曲を聴きたい人におすすめしたいアルバムだ。

3rd『黄金の夜明け』(1992)

  • 発売日:1992年6月21日、1998年7月23日(廉価盤再発)、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★★

人間椅子のアルバムでNo.1に挙げる人も多い名盤。これまでになく長尺の曲にチャレンジし、プログレッシブロックのアプローチが多用されている作品だ。

日本文学だけでなく海外の文化作品なども果敢に取り入れている。大作の「黄金の夜明け」「水没都市」「狂気山脈」などは、楽曲としての人気も高く、クオリティも非常に高い。

初めて聴く作品と言うよりは、人間椅子に慣れてきた頃に聴きたい重要作だ。

4th『羅生門』(1993)

  • 発売日:1993年10月21日、1998年7月23日(廉価盤再発)、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★☆

収録曲数は9曲と少なく、前作に比べてキャッチーでコンパクトな曲が多くなった印象。「もっと光を!」や「青森ロック大臣」などは、シンプルでわかりやすいロックである。

サポートとして後藤マスヒロ氏が参加し、「埋葬蟲の唄」などの展開の多さはマスヒロ氏ならでは。ラストを飾る「羅生門」のどっしりとして和風な楽曲に人間椅子の一貫性を見ることができる。

わかりやすい曲が多めで、入門編にもおすすめの1枚だ。

1stベスト『ペテン師と空気男〜人間椅子傑作選〜』(1994)

  • 発売日:1994年9月21日
  • おすすめ度:★☆☆

4thまでの楽曲からのベスト盤。やや選曲はマニアックであり、代表曲ながら漏れている曲も見受けられる。

シングルのみ収録の「大予言」、インスト曲「走れメロス」が収録されているのは本作のみ。現在は廃盤であるが、この2曲が聴きたい人は入手をおすすめする。

5th『踊る一寸法師』(1995)

  • 発売日:1995年12月10日
  • おすすめ度:★★★

インディーズに活動を移して制作されたアルバム。楽曲のバリエーションが広がり、歌詞の世界観も日常に関連した内容も含まれるなど変化が見られる。

「暗い日曜日」「踊る一寸法師」は和嶋氏・鈴木氏の個性がいかんなく発揮され、「どだればち」での土着的なサウンドやスラッシュメタル曲「ダイナマイト」など、名曲が多い。

現在は廃盤だが、配信が行われている。全体のクオリティも非常に高く、人気の高い名盤。

6th『無限の住人』(1996)

  • 発売日:1996年9月20日、2008年9月17日(再発)、2020年8月19日(リマスター再発)
  • おすすめ度:★★★

漫画「無限の住人」のイメージアルバムであるが、しっかりと人間椅子のオリジナル作品だ。漫画の世界観に合わせ、江戸時代をイメージさせる楽曲が多くなっている。

鈴木氏らしい怪奇趣味の「晒し首」「地獄」、和嶋氏はヘビーな「莫迦酔狂ひ」「黒猫」など、両者の個性が非常に良い形でまとまっている作品だ。

個性的な楽曲も多いが、筆者は個人的にNo.1に挙げたい名盤。

7th『頽廃芸術展』(1998)

  • 発売日:1998年2月21日、2003年1月22日(廉価盤再発)
  • おすすめ度:★★☆

和嶋・鈴木両氏の地元青森県のライブハウスMag-Net・亀ハウスで録音されたアルバム。ミックスまでメンバーが仕上げた作品で、やや他の作品と音像が異なっている。

あまりベスト盤で取り上げられないアルバムだが、収録された楽曲は力作ぞろい。「菊人形の呪い」「ダンウィッチの怪」のようなヘビーさから、「銀河鉄道777」など軽いタッチまで様々だ。

楽曲のバリエーションでは随一のアルバムである。ハード・ヘビーな楽曲だけでなくプログレ、ナンセンスソングと、広げ過ぎか?とも思えるほどだ。

8th『二十世紀葬送曲』(1999)

  • 発売日:1999年3月25日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★☆

メジャー復帰の第1作目、CDデビュー10周年を記念した作品。全体にドゥームとも言えるヘビーなサウンドが特徴的な作品である。

前作のような軽いタッチの曲は少なく、シリアスな「幽霊列車」「暁の断頭台」やドゥームな「少女地獄」「黒い太陽」など、怪奇かつ重苦しい雰囲気の作風だ。

人間椅子に慣れた頃に聴くと味わい深い作品かもしれない。

9th『怪人二十面相』(2000)

  • 発売日:2000年6月21日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★★

小説「人間椅子」の作者でもある江戸川乱歩の「怪人二十面相」からタイトルを取った原点回帰作。怪奇的な世界観で、アルバム全体を緩やかにコンセプトでまとめている。

「怪人二十面相」「芋虫」など鈴木氏の楽曲が光るものが多い。和嶋氏はヘビーな曲は控えめに「名探偵登場」「楽しい夏休み」など軽めの楽曲でバランスを取っている。

難解さもあまりなく、それでいて人間椅子らしいおすすめ盤だ。

10th『見知らぬ世界』(2001)

  • 発売日:2001年9月21日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★☆

和嶋氏の前向きな楽曲が発売当時は賛否両論だったアルバム。和嶋氏の本作でのヘビーな楽曲はタイトル曲「見知らぬ世界」のみである。

ただ和嶋氏の楽曲は新鮮なパワーに溢れ、映画『いとみち』の挿入歌「エデンの少女」など魅力ある曲が多い。

鈴木氏の楽曲は好調で「死神の饗宴」「人喰い戦車」など名曲を生み出している。筆者としてはイチオシのアルバムだが、王道のアルバムを聴いた後に聴くのが良いかもしれない。

2ndベスト『押絵と旅する男~人間椅子傑作選第2集~』(2002)

  • 発売日:2002年8月21日
  • おすすめ度:★☆☆

5th『踊る一寸法師』~10th『見知らぬ世界』の楽曲から時系列に並べたベスト。新曲や未収録曲は入っていないが、「どだればち」の標準語訳が掲載されている点が新しい。

全編リマスターが施されているが、無理に入手する必要は今となってはないだろう。

11th『修羅囃子』(2003)

  • 発売日:2003年1月22日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★☆☆

後藤マスヒロ在籍最後のアルバムとなった。前作の思い切った作風の変化に比べると、やや中途半端になってしまった感が否めない作品である。

鈴木氏が「東洋の魔女」「鬼」などハードな曲を作り奮闘している。和嶋氏の楽曲が少ないが、ラストに配置された「相剋の家」は、難解な歌詞とダークなサウンドで人気が高い。

アルバム全体としては長さを感じさせず、聴きやすさはあるだろう。

12th『三悪道中膝栗毛』(2004)

  • 発売日:2004年9月29日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★☆

ドラマーにナカジマノブが加入した第1作、CDデビュー15周年記念作。人間椅子らしい楽曲が詰め込まれた作品となっている。

本作では和嶋氏もヘビーな楽曲が増え、鈴木氏とのバランスも前作より良くなった。ただナカジマ氏加入から日が浅かったためか、個々の楽曲の作り込みにおいてはやや物足りなさもある。

まだナカジマ氏の個性は影を潜めており、これまでの人間椅子の流れにある作品となっている。

13th『瘋痴狂』(2006)

  • 発売日:2006年2月22日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★☆☆

ナカジマ氏のカラーが前面に出たのか、サウンドに明るさを感じさせるアルバム。和を感じさせる曲は多いが、怪奇的なカラーはなりを潜めている。

そしてナカジマ氏のボーカルが3曲ある点も特徴だ。和嶋氏は「品川心中」「幻色の孤島」など実験的な作風が目立っている。

ダークな人間椅子ではなく、ハードで明るめの楽曲が新鮮なアルバムだ。

14th『真夏の夜の夢』(2007)

  • 発売日:2007年8月8日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★☆

夢や幻想に関する曲が多数収録されたアルバム。前作に比べると、人間椅子らしいダークな雰囲気が戻った作品となっている。

これまで強かった鈴木氏のカラーはやや薄まり、和嶋氏のプログレ風「どっとはらい」や実験的な「世界に花束を」など存在感を増している。

ナカジマ氏の「猿の船団」も人間椅子に馴染んできた様子が窺え、新生人間椅子のサウンドが固まりつつある作品と言えそうだ。

3rdベスト『人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤』(2009)

  • 発売日:2009年1月21日
  • おすすめ度:★★☆

CDデビューして20周年を記念して制作されたベストアルバム。初の2枚組ベストで、活動の時系列に沿って楽曲が配置されている。

本作にのみ収録されているのは、「猟奇が街にやって来る」「鉄格子黙示録」の新録だ。「鉄格子黙示録」は『人間失格』ではカットされた後半部分も収録されているので必聴。

新曲「狂ひ咲き」はこれまでの人間椅子を総括する内容。これら3曲のためにも入手したいところだ。

15th『未来浪漫派』(2009)

  • 発売日:2009年11月4日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★☆

これまで不調だった和嶋氏が復活した作品。作詞・作曲いずれにおいても、和嶋氏のカラーが強く、サウンドにも前向きな明るい印象を感じさせる。

和嶋氏の楽曲では、「塔の中の男」「深淵」など大作が聴き応え十分で、「ヤマさん」など味わい深い楽曲も興味深いところだ。

一方で鈴木氏はやや不調であるが、「冥土喫茶」は会心の出来であろう。近年の人間椅子に向かい始めた転換期の作品である。

1stライブ『疾風怒濤〜人間椅子ライブ!ライブ!!』(2010)

  • 発売日:2010年12月1日
  • おすすめ度:★★☆

人間椅子としては初めてのライブアルバム。ライブの定番曲と言える楽曲が、ずらりと並んだベスト盤的な内容となっている。

ただし録音状況はそれほど良いとは言えないように感じられた。多少粗くてもライブの熱気を感じたい人にはおすすめである。

付属のライブDVDは当時のライブの雰囲気を残したもので、貴重な作品だ。

16th『此岸礼讃』(2011)

  • 発売日:2011年8月3日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★☆

今まで以上にそぎ落とされ、シンプルな印象のアルバム。和嶋氏の歌詞も、より分かりやすさを追求し、平易な表現が増えた印象がある。

実験的な試みも行われており、ハード一辺倒ではない「春の匂いは涅槃の薫り」「胡蝶蘭」などもある。鈴木氏は「ギラギラした世界」「泣げば山がらもっこ来る」など非常にシンプルになった。

ヘビーであってもかつてのどんよりしたムードはない。前向きなパワーで、怪奇かつヘビーなサウンドを鳴らす、という現在の人間椅子のサウンドの原型がここにある。

17th『萬燈籠』(2013)

  • 発売日:2013年8月7日
  • おすすめ度:★★★

OZZFEST JAPAN 2013への出演を経てレコーディングされたアルバム。これまでにないほど、ハードでメタルっぽいサウンドに仕上がっている。

実験的な楽曲よりも王道のハードロックで固め、和嶋氏も「黒百合日記」「新調きゅらきゅきゅ節」などヘビーかつ直球の楽曲が多い。

鈴木氏も調子を取り戻し始め、「地獄変」「ねぷたのもんどりこ」と個性をいかんなく発揮している。現在の人間椅子の流れを決定的にした記念碑的なアルバムである。

18th『無頼豊饒』(2014)

  • 発売日:2014年6月25日
  • おすすめ度:★★☆

前作から1年足らずで制作された、当時の勢いを感じさせる作品。曲調は前作の延長線上にあるが、和嶋氏の描く歌詞の世界観がより前面に出たアルバムだ。

「なまはげ」のようなストレートな楽曲もあれば、「迷信」「悉有仏性」はよりメッセージ性が強い。鈴木氏の楽曲でも「生まれ出づる魂」「がらんどうの地球」など、和嶋氏の歌詞の印象が強め。

仏教的な歌詞の世界観をじっくり味わいたいアルバムだ。

4thベスト『現世は夢 〜25周年記念ベストアルバム〜』(2014)

  • 発売日:2014年12月3日
  • おすすめ度:★★☆

前回のベストから5年と言う短いスパンで発売された。2枚組で、ちょうど作風の変化を感じる時期で区切れており、人間椅子の変化が分かりやすい

未収録だった「陰獣」「神経症I LOVE YOU」が0thバージョンのまま収録された。また書き下ろし新曲が4曲も収録され、「宇宙からの色」以外は本作のみ収録である。

これら未収録曲のためにも、入手したくなるベスト盤であろう。

19th『怪談 そして死とエロス』(2016)

  • 発売日:2016年2月3日
  • おすすめ度:★★★

アルバムタイトルがわかりやすくテーマを示した作品で、”怪談”を軸にした人間椅子らしい作品となっている。

17th『萬燈籠』以降のハード路線を引き継ぎつつ、過去の人間椅子が持っていた芸術性を加えたような、絶妙なバランスの名作である。

ライブでも人気の「芳一受難」「雪女」「地獄の球宴」など個々の楽曲も素晴らしい。

2ndライブ『威風堂々〜人間椅子ライブ!!』(2017)

  • 発売日:2017年2月1日
  • おすすめ度:★★★

2枚目となるライブ盤は、2016年に行われた3つのツアーから厳選したライブ音源で構成されている。また音質も格段に向上しており、選曲もややマニアックな曲も増えているのが特徴だ。

ライブ盤であれば前作よりもこちらをおすすめしたい。また初回限定盤に収録されたライブのセットリストは、近年のライブの中でも屈指の良さであると思っている。

20th『異次元からの咆哮』(2017)

  • 発売日:2017年2月1日
  • おすすめ度:★★☆

20枚目のオリジナルアルバムは、三浦呑龍氏によるねぷた絵をジャケットにしている。前作がコンセプトの強い作品だった反動からか、楽曲はバリエーション豊かになっている

和嶋氏の「もののけフィーバー」や鈴木氏の「宇宙のシンフォニー」などハード一辺倒ではない楽曲も。「月夜の鬼踊り」「異端者の悲しみ」などは人間椅子らしいヘビーさが光る。

これまでのアプローチから、また変化していこうと言う姿勢も読み取れる作品である。

21th『新青年』(2019)

  • 発売日:2019年6月5日
  • おすすめ度:★★★

「無情のスキャット」のMVが話題になる中での、30周年を記念したアルバム。文学作品からタイトルを借りる手法もふんだんに用いられ、前作より人間椅子らしさを感じる作品。

「瀆神」「巌窟王」など鈴木氏らしいヘビーさ、和嶋氏は「いろはにほへと」「月のアペニン山」などでやや変化球の楽曲もあって飽きさせない作りになっている。

前作『異次元からの咆哮』で楽曲のバリエーションを広げ、それをさらに深めた作品だと思う。近年の人間椅子の充実ぶりを感じさせる名盤だ。

5thベスト『人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤』(2019)

  • 発売日:2019年12月11日
  • おすすめ度:★★★

30周年を記念したベスト盤。現時点では最もバランス良く、過去の代表的な楽曲をまとめたベストアルバムと言えるだろう。

曲順は初めて時系列ではなく、聴きやすさを重視した並び。1枚目はノリの良い曲、2枚目がヘビーな曲になっているようにも思われる。

あまりベスト盤に入らなかった「芋虫」が入るなど選曲も面白い。また書き下ろしの「愛のニルヴァーナ」「悪夢の序章」も収録されており、ぜひ入手したいベスト盤だ。

22th『苦楽』(2021)

  • 発売日:2021年8月4日
  • おすすめ度:★★★

コロナ禍でライブができない状況が続いたが、そんな現代の状況を鋭く切り取った内容となっている。じっくりと制作を行ったためか、各楽曲の充実度が近年では随一である。

和嶋氏は不気味ながらポップな「人間ロボット」、趣味全開の「疾れGT」などいつも以上に幅広い。鈴木氏の楽曲が今回は多く、「宇宙海賊」「恍惚の蟷螂」など個性が際立つ。

そして和嶋氏の「杜子春」「夜明け前」が最初と最後にどっしりと雰囲気を締めてくれる。和嶋・鈴木氏のバランスが絶妙な作品で、ライブでも楽しいがじっくり聴くにもおすすめのアルバム

まとめ

今回は人間椅子の初心者向けのアルバムとともに、今後さらに広げて聴くための全アルバムレビューも行った。

改めて初めて聴く人におすすめのアルバム(ベスト1枚・オリジナル3枚)は以下の通りである。

ベスト『人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤』(2019)

1st『人間失格』(1990)

9th『怪人二十面相』(2000)

19th『怪談 そして死とエロス』(2016)

そして全アルバムを振り返ってみると、それぞれの作品に良さがあることが分かる。作風に微妙な変化や違いがあるため、ぜひ好きなアルバムを見つけてみてほしい。

※人間椅子のアルバムの発売状況、入手方法をまとめた記事はこちら

据え置き型の音楽再生機器に迷っている人におすすめ!

Bose Wave SoundTouch music system IV

これ1台でインターネットサービス、自身で保存した音楽、CD、AM/FMラジオを聴くことができる。コンパクトながら深みがあり、迫力あるサウンドが魅力。

自宅のWi-FiネットワークやBluetooth®デバイスにも対応。スマートフォンアプリをリモコンとして使用することも可能。

コメント

タイトルとURLをコピーしました