2021年5月~6月 よく聴いたおすすめアルバム5選(星野みちる, Goldmund, Gangway, NakamuraEmi, 前川清)

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よく聴いたアルバムの中から、”おすすめアルバム”を選んで記事にしている。

先月(4月~5月)のよく聴いた5枚についての記事

筆者にとって、”よく聴くアルバム”とは、心地好いアルバムである。静かでもうるさくても、サウンド、アルバム全体の流れが心地好いものを好んで聴いている。

星野みちる, Goldmund, Gangway, NakamuraEmi, 前川清の5組を取り上げた。

今月新たに聴いたアルバムとしては、最初の3枚である。残りの2枚は以前から聴いていたものだが、改めて紹介したい良盤ばかりである。

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星野みちる – 黄道十二宮 (2017)

1枚目の”おすすめアルバム”は、まずジャケットで惹かれてしまったアルバム。手に取った瞬間にシティポップやAORの香りを感じた。

歌っているのは、シンガーソングライターの星野みちるである。元AKB48メンバーで、2007年に卒業後はソロで活動しており、自身で作詞・作曲も行っているようだ。

ジャケットの通り、AORやシティポップ路線で活動をしており、本作も良いメロディと心地よいサウンドを聴かせてくれる。

なお2020年11月15日の配信ライブをもって活動を休止しているとのこと。

本作の魅力の1つは、実力がある作曲陣による良質な楽曲であろう。1曲目の「Unstable Girl」は杉真理氏が作曲を行っており、ゴキゲンながらキラキラしたポップスに仕上がっている。

筆者がアルバムの中で好きな曲は「週一ロマンス」である。佐藤清喜氏による作曲であり、90年代的なポップスになっているように感じた。

MVになっているラストに配置された「流れ星ランデブー」は、ビッグバンドによるゴージャスなサウンド。サウンド的にも幅広いアルバムになっており、聴き飽きない作りになっている。

本作はアルバムを通じての、トータル感もとても良いと思った。タイトルの『黄道十二宮』も黄道上にある星座を指す言葉であったりするので、緩やかなコンセプト感もある。

筆者のように、前後の作品を知らずとも楽しめる作品となっている。他の作品も気になっているところだ。

彼女”直筆”の全曲解説があるため、各曲のコメントは以下から見てみると面白かった。

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Goldmund – Sometimes (2015)

先月紹介したHeliosのKeith Kenniffが活動している別名義のグループが、Goldmundである。

Heliosはいわゆる”アンビエント”であるとすれば、Goldmundは”ポスト・クラシカル”に分類されるようだ。

ポスト・クラシカルとは、クラシック的な生楽器の要素とエレクトロニカの融合とされており、ポストロックの雰囲気も纏った音楽と言われている。

何のことやら、という人は論より証拠である。このアルバムを聴けば、その良さがきっとわかるだろう。

アルバムタイトル曲の「Sometimes」である。穏やかな旋律が続いていく中で、アンビエント的な奥行きも感じられる心地よさだ。

坂本龍一氏が参加している「A Word I Give」も静けさの中で響くピアノが物悲しく美しい。坂本氏が非常に高く評価しているようで、確かに通じるものがありそうだ。

Heliosでは生音よりは電子音の印象が強いが、Goldmundではやはりピアノやギターなどの生音の印象が強い。

しかしKeith Kenniffが描く世界観は、通じるものがある。穏やかな時間・空間を作り出す、という点においては、いずれのユニットも重視しているように思う。

特に雨の時期には、家の中でじっくりと聴きたいアルバム。あるいは夜長にひっそりと聴くのにもおすすめのアルバムである。

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Gangway – The Twist (1984)

こちらも何気なしに手に取ってみたアルバムだ。ポストパンク後のネオ・アコースティック・ムーブメントを代表する作品、と聴くだけでワクワクするような作品である。

Gangwayと言うバンドは、1982年から活動し、当初はいわゆる”ネオ・アコ”のサウンド。後期はシンセポップに移行し、1998年まで活動していた。

2017年より活動を再開し、2019年には新作もリリースしているから興味深い。

今回紹介するのは、まさにポストパンクやニューウェイヴの雰囲気をまとった、ネオ・アコサウンドのアルバム。全般を通じて、透き通るような物悲しく美しいサウンドに惹かれる。

1曲目「Yellow」では、さっそく美しいアコースティックギターのカッティングを聴くことができる。マイナーで始まり、Maj7のコードに移るところがたまらなく好きである。

Violence, Easter And Christmas」はニューウェイヴ的な要素も含みつつ、疾走感と物悲しさが両立した名曲。The Smithsにも通じるようなサウンドであると感じた。

全体にリバーブのかかった透き通るようで、そして浮遊感のあるサウンドが魅力だ。梅雨時期にはどうしてもこういったしっとり聴けるアルバムに惹かれる。

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NakamuraEmi – NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.6 (2019)

このブログでも取り上げたことがあるNakamuraEmiさんの2019年のアルバム。改めて手に取って聴く機会が増えていた。

筆者は名曲「YAMABIKO」で好きになり、2018年の『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』を好んで聴いていた。

”女性”をテーマにした楽曲が多いが、「Vol.5」では楽曲のテーマが幅広く、障害や死などについても果敢に取り上げた作品となっていた。

それだけ刺激的な作品だっただけに、最初は「Vol.6」は少し物足りないように感じていたものだ。しかし聴き込むごとに味わいが出てくる、いわゆる”スルメ”のアルバムだった。

2曲目に収録された「雨のように泣いてやれ」。前作との違いが分かりやすい楽曲で、ロックよりもソウルっぽいテイストである。

どうしても「YAMABIKO」の勢いのあるラップの印象が強いかもしれないが、NakamuraEmiの音楽的に優れた側面を味わうことができる楽曲だと思う。

最後に配置された「相棒」も、力の抜けた心地よいサウンドの楽曲である。同じコード進行が繰り返されるタイプの楽曲であり、ずっと聴いていたくなるような曲だ。

本作は前作に比べると、ゆったりと時が流れていくような余裕を感じさせる作品になっている。攻撃モードのNakamuraEmiが好きな人は前作が、よりじっくり聴きたい人は本作がおすすめだ。

生身の人を感じさせる歌詞とボーカルが特徴の彼女、そんな人間的な魅力が詰まったアルバムと言える。

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ベストアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST2』について書いた記事

前川清 – 永久保存盤 前川清 特選集 (2016)

あまりベストアルバムを取り上げることは少ないが、選曲が抜群に良いベスト盤は取り上げたい。今回の前川清氏のベスト盤もその1枚である。

前川清氏と言えば、1968年に「内山田洋とクール・ファイブ」のリードボーカルであり、「長崎は今日も雨だった」「東京砂漠」などのヒット曲がある。

1987年にクールファイブを脱退後は、本格的にソロ歌手活動を開始。「花の時・愛の時」や福山雅治氏による「ひまわり」などの楽曲を歌っている。

本作はそんなヒット曲を集めた、演歌ではよくあるベストである。しかしタイトルに「永久保存盤」などと書いてあり、非常に気になって手にしてみた。

そして名前に違わず、内容と曲の流れも抜群に良い。曲順は古い順に並べただけなのだが、クールファイブ時代とソロ時代の楽曲のバランスがとても良いように感じた。

筆者としては最後に「前川清&クール・ファイブ」名義である「悲しい街さ~TOKYO~」「恋唄-2007-」の2曲が入っているところがポイントが高いと思った。

前者は都志見隆氏による新曲、そして「恋唄」はクールファイブの1972年のリメイク。いずれも演歌調ではない、前川氏らしい歌謡曲を聴くことができる。

演歌から歌謡曲、ポップスと幅広い楽曲を、圧倒的な歌唱力で表現する前川氏。まさにベストオブベストな選曲のアルバムで、ぜひ手元に置いておきたい1枚である。

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