人間椅子全曲トリビア辞典vol.7(19th『怪談 そして死とエロス』~21st『新青年』)

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人間椅子
画像出典:Amazon

前回:人間椅子全曲トリビア辞典vol.6(16th『此岸礼讃』~18th『無頼豊饒』)

この記事では、人間椅子の楽曲にまつわるトリビアを紹介する。
トリビアとは、「くだらないこと、瑣末なこと、雑学的な事柄や知識、豆知識」を指す。

そんな豆知識を全曲について集めようと言うのが、この記事の主旨だ。
以下の内容を中心に書こうと考えている。

  • 楽曲のタイトルのもとになった小説等は何か?
  • 歌のフレーズの元ネタ
  • スタジオ音源とライブ演奏時の違い
  • 楽曲にまつわるエピソード(初披露の方法、制作時のエピソード)

第7回は、19th『怪談 そして死とエロス』~21st『新青年』までだ。

※この記事は読者参加型にできればと思い、こんなトリビアを知っていると言う方は、コメント欄にぜひお寄せください。

あまりに主観的な内容でなければ、書き加えさせてもらい、内容の充実を図ろうと思います。

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19th『怪談 そして死とエロス』

  • 発売日:2016年2月3日、2021年11月24日(UHQCD再発)
  • 発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • メンバー:和嶋慎治 – ギター・ボーカル、鈴木研一 – ベース・ボーカル、ナカジマノブ – ドラムス・ボーカル
no. タイトル作詞作曲時間
1恐怖の大王和嶋慎治和嶋慎治6:34
2芳一受難和嶋慎治鈴木研一4:55
3菊花の数え唄和嶋慎治和嶋慎治3:21
4狼の黄昏和嶋慎治鈴木研一3:35
5眠り男和嶋慎治和嶋慎治5:17
6黄泉がえりの街和嶋慎治鈴木研一4:26
7雪女和嶋慎治和嶋慎治4:46
8三途の川和嶋慎治鈴木研一6:09
9泥の雨和嶋慎治和嶋慎治4:54
10超能力があったなら和嶋慎治ナカジマノブ4:06
11地獄の球宴鈴木研一鈴木研一2:55
12マダム・エドワルダ和嶋慎治和嶋慎治7:49
合計時間58:47
  • アルバムのコンセプトとして、「命の大切さを伝えたい」と言う思いがあるとのこと。
  • アルバムタイトルは「怪談」のみでは伝わりにくいと思い、副題として「死とエロス」がついている。アルバムタイトルに副題が設けられたのは本作のみである。
  • 初回限定盤と通常盤のジャケットは一見すると同じだが、初回限定盤には心霊写真を意識して、メンバーが霊のように映り込んでいる。
  • 初回限定盤には、2015年7月24日に渋谷TSUTAYA O-EASTで行われた『屋根裏の散歩者〜「現世は夢」ライブDVD発売記念ツアー〜』公演から5曲のライブ映像が収録されている。
  • 帯惹句は「人はそこから生まれ、そこに帰って行く。終わりでもなく始まりでもない永遠の場所へ。」
  • アルバムの制作期間が年末年始と重なってしまったため、バンド生活の中で最も苦しいレコーディングだったとのこと。
  • 前々作『萬燈籠』、前作『無頼豊饒』ではバッキングがギターのフロントピックアップの楽曲がなかったが、久しぶりに「黄泉がえりの街」「泥の雨」で使用された。

恐怖の大王

  • もともとのタイトルは「悪の帝国」で、悪の限りをつくし「老人や女子どもから搾取する」というダークサイド側からの陰謀の内容だったそうだ。歌入れまで始めたものの、これはまずいと思って歌詞を書き直したとのこと。
  • 「恐怖の大王」とは艮(うしとら)の金神のことで、世直しのために現れる存在。
  • 映画『スターウォーズ』シリーズのダースベイダーにインスパイアされたもの。そのため冒頭のリフは、「インペリアルマーチ(ダースベイダーのテーマ)」に似ている。
  • MV撮影では何度も撮り直しとなり、機嫌の悪くなった鈴木氏はベースを勢いよく振ったところ、ストラップを付ける金具が破損したとのこと。

芳一受難

  • タイトルは、阿弥陀寺を舞台とした怪談「耳なし芳一」から。小泉八雲の小節『怪談』で広く知られる。
  • Wikipediaの「耳なし芳一」のページには、”「耳なし芳一」からアイディアをとっている作品”として紹介されている。
  • 中間部・アウトロで読まれるお経は、「般若心経」の一部。この世は実体のない「空」であることを述べている。
  • アウトロのドラムが激しくなるパートでは、鈴木氏がライブで叫ぶパフォーマンスが定着している。

菊花の数え唄

  • 上田秋成の『雨月物語』から「菊花の約」をモチーフに作られた楽曲。小泉八雲の「守られた約束」も同様のストーリーだと言う。
  • 数え歌の形式になっており、数字の部分はライブで観客が合唱することが多い。
  • 2015年に放映されたテレビドラマ「JKは雪女」の劇伴の中で、この曲のメインリフを用いた楽曲が使用されていた。既存の人間椅子のリフを少し変更したものが多かったので、当初は「針の山」のパロディかと思われていた。

狼の黄昏

  • 「失われたもの」がテーマの楽曲と言うことで、二ホンオオカミが題材となった。
  • 鈴木氏が「ワオーン」と吠える部分があるが、なかなかうまくいかずに何度も録り直しになったとのこと。
  • オオカミの叫びは、Ozzy Osbourneの「Bark at the Moon」にインスパイアされたもの。
  • 筋肉少女帯人間椅子の「地獄のアロハ」のために作ったリフがここで採用されているとのこと。
  • 2019年の「第十五回 人間椅子倶楽部」にて演奏されている。

眠り男

  • 「眠り男」のイメージは、1920年公開のドイツのサイレント映画『カリガリ博士』に登場する、夢遊病患者・チェザーレである。
  • 歌詞には「ヘビ女」など、「見世物小屋」の様子が登場する。日常では見られない珍獣や光景などを見せる場所だった。
  • イントロで登場するギターをゆっくりスクラッチする効果音は、棺がギィッと開けられる音を再現したもの。

黄泉がえりの街

  • 曲のイメージとしては、ゾンビ映画のように死人がさまよう光景だったと言う。アメリカのドラマ「ウォーキング・デッド」をイメージしたとも言われる。
  • 歌詞の冒頭には、仏教における「末法思想」が登場する。釈迦の入滅後、人も世も最悪となり正法がまったく行われない時代のことを「末法」と言う。
  • 鈴木氏は「集いの曲(=レア曲)」に入るだろうと予想していたが、リリースツアー後もワンマンライブで時々披露されている。

雪女

  • 小泉八雲の『怪談』の中で紹介された雪女の伝説にヒントを得ている。
  • 2015年に劇伴を担当したドラマが「JKは雪女」だったが、それとの関連性は特に言及されていない。
  • 中間部の不思議な音階のアルペジオは、雪が舞う様子をイメージしたもの。
  • 曲が未完成のままリズム録りに入って、スタジオで完成した楽曲。そうしたギリギリにできた楽曲がよくリードトラックになるのだと言う。
  • Aメロの節回しは、2004年の12thアルバム『三悪道中膝栗毛』収録の「与太郎正伝」のAメロとよく似ている。

三途の川

  • Black Sabbathの9thアルバム『Heaven and Hell』収録の「Heaven and Hell」のリフをイメージして作られた。
  • 中間部のギターソロは1分40秒ほどある。
  • レコーディング時に、鈴木氏が歌入れしている最中に、プレイバック用のラジカセがひとりでにカタカタ鳴り始めたというエピソードがある。

泥の雨

  • アニメ「ニンジャスレイヤー」第20話のエンディングテーマのために書き下ろされた。『ニンジャスレイヤー フロムコンピレイシヨン「殺」』にフルバージョンが収録された。
  • 和嶋氏が自身のバイクについた泥が拭いても次の日もついていた様子からタイトルが作られたと言う。
  • リズムキープの難しい曲であり、「降りつみ~」の部分はライブでは和嶋氏がギターのネックを振り上げて息を合わせているようである。

超能力があったなら

  • 歌詞に登場するESPは超能力(Extra-sensory perception)のこと、PSIはESPとPK(サイコキネシス)をまとめた呼称。
  • ライブでのイントロのギターは、和嶋氏が腕を振り回して演奏される。これはThe Whoのピート・タウンゼントがよく行う「ウィンドミル(=風車)奏法」と言う。
  • ライブではギターソロの始まりのところで、和嶋氏がくるくると回る動作が見られる。

地獄の球宴

  • ここで歌われる地獄は、八大地獄のうち「等活地獄」と呼ばれる。獄卒や鬼に体を切り刻まれても風が吹いて元通りに戻って同じ責め苦を味わう。人間界の時間にして1兆6653億1250万年続くと言う。
  • ギターソロの始まりの部分は、「かっとばせ~◯◯」の節回しになっている。
  • 和嶋氏はコーラスで「生首」と言う単語を16回も発する。
  • 「ぐるんぐるん」などの擬態語の部分では、和嶋氏は演奏を止めて腕を回す動作をライブでは行う。
  • 地獄シリーズでもあり、野球シリーズでもある。野球を題材にした曲は、2003年の11th『修羅囃子』以来のこと。

マダム・エドワルダ

  • タイトルは、フランスの作家ジョルジュ・バタイユが1941年に発表した小説「マダム・エドワルダ」から。死とエロスをテーマに執筆活動を行っていた。
  • 女性特有の寂しさを男性の目線から描いた歌詞だと言う。
  • アルバム発売時のツアーでは、購入したレスポールで演奏された。
  • 中間のアルペジオを弾きながら演奏するのが難しいようで、「第十四回 人間椅子倶楽部の集い2018」で演奏された際には、簡略化してコードで演奏されていた。
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20th『異次元からの咆哮』

  • 発売日:2017年10月4日、2021年11月24日(UHQCD再発)
  • 発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • メンバー:和嶋慎治 – ギター・ボーカル、鈴木研一 – ベース・ボーカル、ナカジマノブ – ドラムス・ボーカル
no. タイトル作詞作曲時間
1虚無の声和嶋慎治和嶋慎治5:52
2風神和嶋慎治鈴木研一3:18
3超自然現象和嶋慎治和嶋慎治3:39
4月夜の鬼踊り和嶋慎治鈴木研一4:51
5もののけフィーバー和嶋慎治和嶋慎治3:06
6宇宙のシンフォニー和嶋慎治鈴木研一5:11
7太陽がいっぱい和嶋慎治和嶋慎治5:20
8痴人のモノローグ和嶋慎治鈴木研一3:52
9悪魔祈祷書和嶋慎治和嶋慎治6:09
10悪夢の添乗員和嶋慎治和嶋慎治5:35
11地獄のヘビーライダー鈴木研一鈴木研一3:01
12異端者の悲しみ和嶋慎治和嶋慎治7:00
合計時間56:54
  • オリジナルアルバムとして20枚目を記念したアルバム。ただベスト盤などを含む20枚目として、2011年の16thアルバム『此岸礼讃』も記念盤とされていた。
  • アルバムジャケットは、青森県弘前市の「弘前ねぷた祭り」で50年以上ねぷた絵を描いてきた三浦呑龍氏によるねぷた絵である。鈴木氏は高校時代からのファンで、ファンクラブ会報などでも紹介していた。2017年に運行したもので表紙は「三国志 許褚と馬超」、バックカバーは「地獄太夫」。ジャケットに使用する際には、直接会いに行って話をしたと言う。
  • 初回限定盤には、2017年に行われた「ライブ盤リリース記念ワンマンツアー『威風堂々』」の3月25日の赤坂BLITZ公演から7曲のライブ映像が収録された。
  • 「ライブ盤リリース記念ワンマンツアー『威風堂々』」の3月25日の赤坂BLITZ公演では、和嶋氏が「恐ろしいアルバムを作ります」と宣言して制作された作品。
  • 和嶋氏によれば「芸術的なアルバムを作りたい」という意識で作られたとのこと。
  • 本作では初めて本物のテルミンを使用している。これまでテルミン風の音をギターで出していたことはあったが、本物が使用されたのは本作が初。
  • 帯惹句は「世界の悲惨さを、理不尽さを、滑稽さを、異次元が笑っている。ー人間椅子 20枚目のオリジナルアルバムー」

虚無の声

  • MVではプロジェクションマッピングが用いられ、その場で撮影された映像も組み合わせたライブVJ的な演出で制作された。
  • プロジェクションマッピングを使用するため、白を基調とした装いになっている。和嶋氏はメインのSGとサソリ型の「冥王~Pluto」、そして白いSGも使用されている。
  • 歌詞には般若心経の一部が読まれる。
  • 前作の「雪女」に続き、レコーディングのリズム録りの段階で完成していなかった曲だったと言う。

風神

  • 2006年の13thアルバム『瘋痴狂』には「雷神」と言う曲がある。ただし「雷神」はノーマルチューニング、「風神」はダウンチューニングと異なるため、並べてライブで披露されることはない。
  • 初披露は、2017年9月8日の「第十三回 人間椅子倶楽部の集い 2017」でアルバム発売前だった。
  • 会心のリフだったが作り直そうと思って、一晩かけて作られた楽曲だと言う。

超自然現象

  • 「来る 来る ミラクル」は、篠原ともえの1996年の楽曲「クルクルミラクル」にも登場するフレーズであるが、知らずに同じ言葉が出てきたとのこと。
  • Black Sabbathが「Black Sabbath」などで用いる、不気味なコード(音楽に潜む悪魔などとも言われる)を極端に多用して作られている。キーがEであれば、B♭の音が多用されている。
  • ライブでは「パワー」の掛け声に合わせて、観客が両手を挙げるしぐさが定着している。

月夜の鬼踊り

  • サビの「赤鬼は~」の部分のリズムは、ねぷた祭りの中でねぷたが運行中に詰まって止まった時の「休み」の囃子である。列が詰まらないと聴けないので、ややレアな囃子だそうだ。
  • ちなみに行進の囃子は1st『人間失格』の「あやかしの鼓」、戻りは17th『萬燈籠』の「ねぷたのもんどりこ」で使用されている。本作で「行進・戻り・休み」の三部作が完成した。

もののけフィーバー

  • 随所にハーモニカが使用されている。ホーンセクション的なサウンドをイメージしたもの。
  • サビの「おばけフィーバー」の部分では、半音ずつ下がる音がハーモニカで入っている。これは1台のハーモニカでは吹けないため、わざわざ3台のハーモニカを購入したと言う。配信番組「帰ってきた人間椅子倶楽部」では、和嶋氏が両手で2台、鈴木氏が1台を持ち、サビの部分を披露する場面があった。
  • ギターソロ明けには、口笛が入っている。これは口笛を吹くともののけが寄ってくるという言い伝えによるものだそうだ。

宇宙のシンフォニー

  • 鈴木氏による”宇宙シリーズ”の楽曲。2011年の『此岸礼讃』収録の「地底への逃亡」が一応”宇宙シリーズ”の楽曲であり、6年ぶりの新作となった。
  • テルミンに加えて、エレクトリック・シタールが用いられるなど、使用楽器が多い。
  • Aメロ部分の不思議なギターのエフェクトは、フェイザーの波を小さくすることで宇宙的なサウンドになっている。
  • 中間部のソロでは、Led Zeppelinのジミー・ペイジを意識して、弓を使ってギターを弾くパフォーマンスがライブでは行われた。

太陽がいっぱい

  • タイトルはパトリシア・ハイスミスの小説『The Talented Mr. Ripley(才人リプリー君)』(日本語版の題名は『太陽がいっぱい』)からか?(またそれを原作とした映画から?)
  • 曲調はRainbowを意識したもの。いわゆる様式美のメタルが苦手な和嶋氏であるが、クラシカルなギターソロが弾きたかったとのこと。しかし2009年の『未来浪漫派』の「赤と黒」でもRitchie Blackmoreを彷彿させるギターが登場するなど、意外とDeep PurpleやRainbowを意識した曲がある。

痴人のモノローグ

  • 本作のレコーディング時に、つい買ってしまったというプレシジョンベースで演奏されている。なお和嶋氏から「パンチがない」と言われ、ライブ時にはピックアップを交換しており、元のベースの音が聞けるのは音源のみである。
  • コラム「ナザレス通信」によれば、リリース後のツアーも終わった後で、Judas Priestの1978年の4thアルバム『Stained Class』収録の「Saints In Hell」のイントロ・リフに酷似していることに気づき、コラム内で謝罪。以後、ライブでは封印することを宣言した。

悪魔祈祷書

  • タイトルは夢野久作の1936年の短編小説「悪魔祈祷書」から。
  • 人間椅子のダウンチューニング(ドロップD♭)の曲のほとんどは、D♭(6弦の開放弦)をルートとする。しかしまれにE♭をルートにした和嶋氏の曲がいくつかあり、そのうちの1つ。他には「東京ボンデージ」「いろはにほへと」などがある。

悪夢の添乗員

  • 作詞・作曲が和嶋氏で、ボーカルがナカジマ氏という組み合わせは、2009年の『未来浪漫派』に収録の「赤と黒」以来である。
  • イントロのリフは、Deep Purpleの「Black Night」からインスパイアされたもの。
  • 怒髪天のボーカル増子直純氏が、対バンでこの曲を聴いて、歌詞のセンスに脱帽するとともに、最も好きな曲に挙げている

地獄のヘビーライダー

【人間椅子連載】ナザレス通信Vol.24「普通二輪免許(AT限定)」 | BARKS
1月7日の「ハードロック喫茶ナザレス」を終え、ひと月位ひまだったので、自動車教習所に行くことにしました。普通二輪免許(A...
  • 鈴木氏が普通二輪免許(AT限定)の試験に、一度不合格となるも、合格した記念に作られたバイクの楽曲であり、かつ“地獄シリーズ”の楽曲である。
  • バイク音を入れるために、和嶋氏の実際のバイク音を録音してみたものの、イメージしていた音(ハーレーのような豪快な音)にならず、中間部に使用された。イントロは、オクターバーとファズをかけたギターをスライドバーで弾いている。
  • Bメロではナカジマ氏が「オイ!」と叫ぶところがあるが、少し声がひっくり返った歌い方を鈴木氏がこだわり、何度も録り直したと言う。
  • ライブでは、バイクのハンドル部分が置かれて、鈴木氏がバイクをふかす真似をしながら始まることが多い。
  • 「恩讐の彼方~人間椅子2018年晩夏のワンマンツアー」の東京公演では、イントロでナカジマ氏が大きな旗を振ったこともある。なお中間部でも旗が振られたが、その際にはスタッフの川端氏が旗を持った。

異端者の悲しみ

  • タイトルは谷崎潤一郎の1917年の中編小説「異端者の悲しみ」から。
  • 2013年の『萬燈籠』以降、マイナーキーにこだわって楽曲を制作していたが、その縛りをやめて中間部にはメジャーキーの展開が入れられた。
  • 『異次元からの咆哮 ~リリース記念ワンマンツアー~』 ツアーファイナルである11/19の東京Zepp DiverCity(TOKYO)公演では、プロジェクションマッピングが使用され、この曲に加え「虚無の声」「芳一受難」などで用いられた。プロジェクションマッピングが用いられたライブは、2022年現在このライブのみである。

21st『新青年』

  • 発売日:2019年6月5日
  • 発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • メンバー:和嶋慎治 – ギター、ボーカル、鈴木研一 – ベース、ボーカル、ナカジマノブ – ドラムス、ボーカル
no. タイトル作詞作曲時間
1新青年まえがき和嶋慎治和嶋慎治3:57
2鏡地獄和嶋慎治和嶋慎治6:20
3瀆神和嶋慎治鈴木研一5:14
4屋根裏の散歩者和嶋慎治和嶋慎治5:55
5巌窟王和嶋慎治鈴木研一4:56
6いろはにほへと和嶋慎治和嶋慎治3:59
7宇宙のディスクロージャー和嶋慎治鈴木研一4:16
8あなたの知らない世界和嶋慎治和嶋慎治5:27
9地獄小僧和嶋慎治ナカジマノブ3:46
10地獄の申し子鈴木研一鈴木研一4:20
11月のアペニン山和嶋慎治和嶋慎治4:24
12暗夜行路和嶋慎治鈴木研一4:22
13無情のスキャット和嶋慎治和嶋慎治8:40
14地獄のご馳走(ボーナストラック)鈴木研一鈴木研一4:21
合計時間70:05
  • デビュー30周年を記念して制作されたアルバム。オリコンチャートで初登場14位で、人間椅子史上最高順位。
  • アルバムタイトルは、1920年代の雑誌「新青年」から。人間椅子の原点である江戸川乱歩や夢野久作らが名を連ね、30周年に再スタートを切るような響きもあるため選ばれた。
  • アルバムタイトルが文学作品で、かつ単一の楽曲になっていないものは、2007年の14th『真夏の夜の夢』以来2作目。
  • アルバムジャケットは合成ではなく、特殊なレンズを用いて連続で撮影されたもの。なお初回限定盤と通常盤のジャケットは同じだが、ケース内の写真などが異なる。
  • 帯惹句は「青春の立像には、恍惚と不安と希望が宿っている。永遠なる青春への旅、新青年。-人間椅子30周年記念盤ー」
  • 初回限定盤にはレコーディング映像・インタビュー収録のDVD『「新青年」への軌跡』付き。レコーディング風景が公式に明かされるのは本作が初めて。
  • CDのみボーナストラックとして「地獄のご馳走」を収録。全14曲入りの作品は、人間椅子史上最多の収録曲数である。
  • 前作『異次元からの咆哮』に続き、本作も制作前のツアーで和嶋氏は「30周年だから凄いアルバムを作ります」と宣言し、鈴木氏は心配したと言うエピソードがある。
  • 中間部でシャッフルになる曲が多いのが特徴である。たとえば「鏡地獄」「瀆神」「巌窟王」「あなたの知らない世界」など。

『新青年』のレビュー記事はこちら

新青年まえがき

  • レコーディングが始まる前の時期に、もう1曲必要なのではないかと和嶋氏が思い、リズム録りが終わった後に追加でレコーディングされた楽曲。
  • 初期衝動を大切にしたい、という思いから、人間椅子がデビューのきっかけとなった代表曲「陰獣」のようにワウペダルを使ったリフを作った。また短い曲ながら展開が多く、頭のリフに戻らないのも初期をイメージしたもの。
  • TOSHA-B氏による公認非公式MVがYouTubeに公開された。TOSHA-B氏による公認非公式MVは、その後2020年に「ねぷたのもんどりこ」も公開されている。
  • 「三十周年記念オリジナルアルバム『新青年』リリースワンマンツアー」ではSEで用いられ、生演奏は披露されなかった。しかし配信ライブ「帰ってきた人間椅子倶楽部~配信ライブ編~」において演奏された。SE用に作ったため演奏しながら歌うのが難しいとのこと。

鏡地獄

  • タイトルは江戸川乱歩の1926年の短編小説「鏡地獄」から。球体の鏡に入る恐怖を描いた作品は、曲だけでなくアルバムジャケットにおいても活かされている。
  • ヤング・ギター2019年7月号において、『新青年』のギターについて和嶋氏による解説があり、YouTube動画においては「鏡地獄」のコード進行からアルペジオへの分解について詳しく解説がある。
  • 『新青年』初回限定盤の特典映像のインタビューによれば、「鏡地獄」のギターソロの出来に自ら泣いたと和嶋氏は語っている。
  • Aメロ部分ではベースにファズワウがかかっている。鈴木氏は和嶋氏に買わされたとのことだが、同じくファズワウを用いた楽曲ということで、「三十周年記念オリジナルアルバム『新青年』リリースワンマンツアー」では2nd『桜の森の満開の下』から「盗人讃歌」が久しぶりに披露された。

瀆神

  • 瀆神(とくしん)とは、神の神聖を傷つけること。テーマとしては悪の神々について歌われている
  • 当時ガラケーを使用していた鈴木氏は、和嶋氏から歌詞が送られてきた際に、「瀆」の文字が変換されず、タイトルが「神」だと思い、困惑したと言う。あまり用いられない漢字のため、Web上の記事でも漢字の誤りが散見される。
  • 中間部分はBlack Sabbathの1970年の2ndアルバム『Paranoid』収録の「Fairies Wear Boots」に似ていると公言している。

屋根裏の散歩者

  • タイトルは江戸川乱歩の1925年の短編小説「屋根裏の散歩者」から。なお2015年に『屋根裏の散歩者~「現世は夢」ライブDVD発売記念ツアー~』で、ツアータイトルに用いられた。
  • 「鏡地獄」とともにギターソロは会心の出来であると和嶋氏が自ら語っている。

巌窟王

  • タイトルはアレクサンドル=デュマの長編小説「巌窟王」から。和嶋氏は全7巻もある岩波文庫を購入したが読破できず、1冊で読める児童書を読んで歌詞を書いたとのこと。
  • 鈴木氏が子どもの頃に近所のお寺から聞こえてきたお経が耳に残って作られたという。そのため当初は僧侶の歌詞にしようと作られたが、中間部の曲調と合わずに断念した。
  • 歌詞には仏教用語が登場するが、「念彼観音」とは観音様を念じることを「念彼観音力」ということから来ている。

いろはにほへと

  • タイトルは10世紀~11世紀に作られた、作者不明の「いろは歌」から。仮名を重複させずに47文字で作られ、歌詞の中にも登場している。
  • 歌詞には書かれていないが、コーラスで「どっきん」「ずっきん」と歌われる。なお小泉今日子の1984年の「渚のはいから人魚」のパクリと思われないよう、「ズキンドキン」の順番を逆にしている。

宇宙のディスクロージャー

  • ディスクロージャーとは情報開示のことであり、UFOや宇宙人、また地球の隠された歴史などに関する情報開示がある、という楽曲。
  • 「爬虫類人」とは、レプティリアンなどと呼ばれ、異星人が擬態し地球に住むとされる。陰謀論では、世界の支配者はレプティリアンであり、人類の奴隷化を計画しているとされる。
  • 「秘密基地」は、実際に軍事上の目的以外に、噂される巨大な地下基地があると言う噂がある。東京の地下にも巨大な地下基地があるいう噂もある。
  • 鈴木氏は何度も和嶋氏にダメ出しされながら、作り直して完成した曲だと言う。

あなたの知らない世界

  • タイトルは、1970年代にテレビで放映された「怪奇特集!!あなたの知らない世界」から。視聴者の体験した心霊現象を再現ドラマなどで紹介するものだった。
  • 歌詞の内容は、心霊現象など怪奇的なものではなく、自分の心が進む方向に光り輝く世界が開けると言う、仏教の思想である。

地獄小僧

  • タイトルは漫画家である日野日出志の「地獄小僧」から。事故死した中学生円間大雄が、地獄から化け物として蘇り、人間を惨殺していくホラー漫画である。
  • ナカジマ氏がこれまでギターだけで作っていた音源が、アプリのGarageBandを使用して初めて作られた楽曲である。
  • 一度作ったリフを白紙に戻してから、中間部ように作ったと言うリフがメインに採用されたと言う。
  • 八寒地獄」という寒さの地獄についてラストで歌われる。頞哳吒(あたた)地獄は第3の地獄で、寒さで「あたた」という悲鳴を生じる。臛臛婆(かかば)地獄は第4で舌がもつれて動かず「ははば」としか言えない。虎虎婆(ここば)地獄は第5で口が開かず「ふふば」という声しか出ない。

地獄の申し子

  • 鈴木氏による”地獄シリーズ”の楽曲である。近年は鈴木氏以外も掛け声で参加することが多かったが、この曲ではメンバー3人とも歌詞が割りあたっているのは初のこと。
  • 「もっと◯◯」の部分はメンバーがそれぞれ歌っているが、メンバーの個性に何となく対応しており、実はメンバー紹介ソング的な意味合いもある。

月のアペニン山

  • タイトルは深沢七郎の短編小説「月のアペニン山」から。小説は怪奇的なストーリーであるが、歌詞は怪奇的なカラーは薄い。
  • ダブルネックのギターを新たに購入した和嶋氏は、12弦ギターの美しい音色を使いたいと思って制作された楽曲。アウトロで唐突にバンドサウンドになるのも、ダブルネックギター故の展開。
  • Aメロ部分のベースラインはBlack Sabbathの「Planet Caravan」を意識している。パーカッションを使っているのも、この曲の影響と思われる。
  • 鈴木氏は30年活動して初めてベースを指弾きしている

暗夜行路

  • タイトルは志賀直哉の長編小説「暗夜行路」から。
  • シリーズ化はされていないが、鈴木氏の”人生シリーズ”とも言うべき楽曲。「不惑の路」「青年は荒野を目指す」などに通じる世界観の楽曲である。
  • 鈴木氏は本作の中で、ベースが良い音で録音できた楽曲であると述べている。

無情のスキャット

  • レコーディングの始まる前日に完成した楽曲。アルバム発売に先行してYouTubeに公開され、「ルサンチマン的感情が昇華していく様を描いた」と紹介されていた。
  • サビがスキャットになったのは、青春の憂鬱を表現するために、つらい時には言葉が出ないことからスキャットが採用された。
  • イントロのアルペジオは、Gonlinの「Suspiria」にインスパイアされたもの。
  • メインリフでは、グリスを使ってスライドアップする弾き方をしている。この弾き方はBlack Sabbathの4thアルバム『Vol.4』収録の「Supernaut」に影響を受けている。
  • YouTubeで公開されたMVの中で最も再生回数が多く、1080万回を超えている(2022年2月時点)。なお2019年6月に100万回、2021年10月に1000万回を超えた
  • これまでMVが制作された楽曲で最長だったのが「品川心中」だったが、「無情のスキャット」が最長記録を更新した。
  • MVが海外から高評価で、ファンによるリアクション動画が多数アップされた。そのため人間椅子のメンバーが自ら解説するリアクション動画も制作された。
  • MVの撮影場所は茨城県水戸市の「七ツ洞公園」である。ドローンも用いて撮影された。なおロケ地の魅力を伝える七ツ洞公園の「ロケ地カード」が制作され、人間椅子の「無情のスキャット」もそのカードに書かれている。

地獄のご馳走

  • 人間椅子史上ボーナストラックと言う形で楽曲が収録されるのは初めてのこと。ボーナストラックのため歌詞カードに歌詞は掲載されていない。
  • もともと鈴木氏が作っていた曲が弾きにくかったため、アレンジを変えたら和嶋氏に「良くない」と言われてしまったとのこと。作り直して、ボーナストラックと言う形で収録された。
  • 地獄シリーズ”の楽曲だが、”食い放題”と言っているのは、地獄にいる虫が人間を食べ放題と言う意味なのだと言う。虫をイメージした曲のため、ギターリフも虫が動くような細かな動きになっている。
  • 和嶋氏・ナカジマ氏のコーラスはほぼ1発録りで行われており、ピッチが合っていないがそのまま採用されている。

据え置き型の音楽再生機器に迷っている人におすすめ!

Bose Wave SoundTouch music system IV

これ1台でインターネットサービス、自身で保存した音楽、CD、AM/FMラジオを聴くことができる。コンパクトながら深みがあり、迫力あるサウンドが魅力。

自宅のWi-FiネットワークやBluetooth®デバイスにも対応。スマートフォンアプリをリモコンとして使用することも可能。

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