【アルバムレビュー】人間椅子 – 新青年(2019) アルバムの曲順と近年の作品の中での位置づけに注目して

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ハードロックバンド人間椅子は、バンド生活30周年を記念して2019年12月13日に中野サンプラザでライブ公演を行い、その模様が映画化され、9月25日(金)より公開されることとなった。

1989年のデビュー以来、一貫した音楽性で活動を続けてきたが、近年大きく人気を伸ばしており、今年2月には初の海外公演が行われた

そんな人間椅子による、30周年を記念して制作されたアルバムが『新青年』である。

今回はアルバム『新青年』のレビューを行った。『新青年』は近年の作品の流れを振り返ると、非常に重要な意味を持つ作品であることがわかった。

この記事では、アルバムの楽曲のみならず、近年のアルバムの中での位置づけを考察し、評価してみたいと思う。

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人間椅子について

『新青年』を発売するまでの、近年の人間椅子の歴史を簡単に振り返りたいと思う。

近年の再ブレイク

人間椅子はテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国」に出演し、1989年にデビュー。バンドブームが過ぎると売り上げは減少し、メンバーチェンジを経ながら、細々と活動が続いていた。

転機となったのは、2013年にオジーオズボーンが主催する「OZZFEST JAPAN 2013」への出演だった。

人間椅子が敬愛するBlack Sabbathと同じ日に出演することとなったが、当時の人間椅子の知名度からすれば異例の大抜擢であり、ファンは大いに沸いた。

ギターの和嶋氏も「再デビューのようだった」と語るように、初めて人間椅子を見る人も多く、人間椅子が注目されるきっかけとなった。

フェスへの出演で自らのアイデンティティを再確認した人間椅子は、2013年に『萬燈籠』をリリース。ヘビーな楽曲のみでアルバムを作ると意気込んで作られ、売り上げも伸ばした。

2015年にはバンド生活25年を記念したツアー「現世は夢~バンド生活二十五年~」のファイナルを渋谷公会堂にて開催し、満員御礼となる。

これまでになかった大型フェスや対バンイベントへの相次ぐ出演、ドラマの劇伴(JKは雪女)、2度目のオズフェストへの出演など、活動頻度が増し、幅も広げていった

またSNS動画配信も頻繁に更新されるようになり、配信番組「帰ってきた人間椅子倶楽部」やInstagramでのユルい投稿は、激しいライブと対照的でファンから愛されている。

2017年には通算20枚目を記念したアルバム『異次元からの咆哮』をリリース。オリコンチャート18位を記録し、青森県弘前市のねぷた祭りの絵師三浦呑龍氏によるねぷた絵がジャケットに使用された。

2018年には三島由紀夫が原作のドラマでは、初のドラマ主題歌「命売ります」を書きおろした。

※近年の人間椅子の再ブレイクにはいくつかの要因があり、以下の記事にまとめている。

「無情のスキャット」がバズる・初の海外進出

21thアルバム『新青年』のリリースに先立ち、リード曲「無情のスキャット」が2019年5月14日にYouTubeに投稿された。

6月には再生回数100万回を突破し、国内以上に海外からの大きな反響が寄せられ、英語字幕がつけられた。

海外からのコメントも数多く、以下のようなコメントが寄せられた。

  • 人生が変わった。ロックは死んだんじゃない。日本に引っ越したんだ。
  • 素晴らしすぎる!ロックンロールに年は関係ない!
  • こんなにかっこいい日本のおじさんは初めて見た。

2020年9月11日現在では、再生回数は670万回を超えており、いまだに伸び続けている。

「無情のスキャット」は人間椅子らしいヘビーで土着的なリズムと、仏教的な世界観の歌詞がマッチした名曲である。

「シャバダバディア」のスキャット部分は、海外の人にとっても一緒に歌いやすいなど、様々な要因によって”バズる”こととなった。

※当ブログで「無情のスキャット」について分析を行った記事

こうした海外からの評価を受けて、2020年2月には初の海外公演をヨーロッパで行った。海外公演への道のりについては、以下の記事にまとめられている。

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アルバム『新青年』の基本情報

  • 発売日:2019年6月5日
  • 発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • メンバー:和嶋慎治 – ギター、ボーカル、鈴木研一 – ベース、ボーカル、ナカジマノブ – ドラムス、ボーカル
no. タイトル作詞作曲時間
1新青年まえがき和嶋慎治和嶋慎治3:57
2鏡地獄和嶋慎治和嶋慎治6:20
3瀆神和嶋慎治鈴木研一5:14
4屋根裏の散歩者和嶋慎治和嶋慎治5:55
5巌窟王和嶋慎治鈴木研一4:56
6いろはにほへと和嶋慎治和嶋慎治3:59
7宇宙のディスクロージャー和嶋慎治鈴木研一4:16
8あなたの知らない世界和嶋慎治和嶋慎治5:27
9地獄小僧和嶋慎治ナカジマノブ3:46
10地獄の申し子鈴木研一鈴木研一4:20
11月のアペニン山和嶋慎治和嶋慎治4:24
12暗夜行路和嶋慎治鈴木研一4:22
13無情のスキャット和嶋慎治和嶋慎治8:40
14地獄のご馳走(ボーナストラック)鈴木研一鈴木研一4:21
合計時間70:05
  • デビュー30周年を記念して制作されたアルバム。オリコンチャートで初登場14位
  • アルバムタイトルは、1920年代の雑誌「新青年」から。人間椅子の原点である江戸川乱歩や夢野久作らが名を連ね、30周年に再スタートを切るような響きもあるため選ばれた。
  • 初回限定盤にはレコーディング映像・インタビュー収録のDVD『「新青年」への軌跡』付き。
  • CDのみボーナストラックとして「地獄のご馳走」を収録。

アルバムレビュー

アルバム『新青年』の内容について掘り下げて評価していく。評価の仕方として、1.アルバムの曲順、2.近年の作品の中での位置づけ、の2点から考察を試みた。

個々の楽曲の評価よりは、アルバム全体としての評価を中心に述べたいと思う。

最後に「総評・まとめ」として、全体的な評価をまとめている。

アルバムの曲順について – 楽曲をパートに分割

まずは『新青年』のアルバムの曲順や個々の楽曲の特徴について評価する。

今回は、アルバムを細かいパートに分けて評価を行ってみた。パートに分けることで、本作の流れや構造が明確になってくる。

1.新青年まえがき

1曲目の「新青年まえがき」は、単独で1つのパートと考えた。録音されたのは終盤であり、アルバムに何かが足りないと感じた和嶋氏が新たに加えた導入曲である。

まるで”イカ天”で演奏された「陰獣」のようなワウを用いたリフは原点回帰を思わせる。また短いながらも展開が多く、決して守りに入らない今の人間椅子の姿勢を示しているようでもある。

『新青年』のタイトルが示す世界観を端的に示した導入曲となっている。

2.鏡地獄


3.瀆神

導入曲を経た最初の2曲「鏡地獄」「瀆神」を次のパートとした。

この2曲は、名刺代わりの人間椅子らしいパートである。人間椅子の王道である、ヘビーでありながらキャッチーな2曲を最初に配置している。

いずれも斬新さよりは、これまでの人間椅子を踏襲している楽曲となっている。このように名刺代わりの楽曲を冒頭に配置する手法は、『萬燈籠』以降でずっと一貫しているように思われる。

人間椅子らしいことと同時に、和嶋・鈴木両氏のカラーが出ている楽曲となっている。

「鏡地獄」はヘビー過ぎず、適度にキャッチーさも持ったハードロックに仕上がっている。トリッキーなギターのアルペジオなど、いかにも和嶋氏らしい展開や演奏が詰め込まれている。

一方の「瀆神」は人間椅子が敬愛するBlack Sabbath直系のリフ・展開の楽曲だ。鈴木氏の特徴的なボーカルが活きる、ダークな歌詞も人間椅子ワールド全開である。

4.屋根裏の散歩者
5.巌窟王

続く「屋根裏の散歩者」「巌窟王」の2曲は、和嶋・鈴木両氏の持つ世界観をより打ち出したパートである。前の2曲から、さらに2人の個性が色濃く出た2曲と言うことになる。

「屋根裏の散歩者」は、「暗い日曜日」「幽霊列車」など30代の和嶋氏の迷いを感じさせるような楽曲だ。近年久しくなかった、和嶋氏の救いのないダークかつヘビーな楽曲が復活している。

今の和嶋氏の心境では作らないと思われるが、30周年を総括する意味で、『新青年』というタイトルの下ではしっくりくる楽曲である。

「巌窟王」は「踊る一寸法師」に通じるような鈴木氏の狂気が垣間見える楽曲。お経のようなメロディから、畳みかけるようなBメロ、どっしりしたサビへの流れには新しさも感じられる。

Black Sabbathの要素は「瀆神」にも通じるが、「瀆神」がよりキャッチーなサバスなら、「巌窟王」はより不気味なサバスをイメージさせるものだ。

なお前作『異次元からの咆哮』でも「超自然現象」「月夜の鬼踊り」において、同様に両氏の個性を掘り下げる流れがあった。今作も前作の流れを踏襲していると言えよう。

6.いろはにほへと

「いろはにほへと」は、ここまでの重厚なムードを変えるパートである。ダウンチューニングによるヘビーな演奏は流れを引き継ぎつつ、コミカルな楽曲でひと息つける楽曲だ。

歌詞としては恋愛を取り上げつつ、「いろは歌」を間に挟むなど”和”のテイストを感じさせる和嶋氏らしい楽曲である。

「ずっきーん」「どっきーん」の掛け声がコミカルで、「のれそれ(『三悪道中膝栗毛』収録)」などにも共通する持ち味を発揮している。

7.宇宙のディスクロージャー
8.あなたの知らない世界

続く「宇宙のディスクロージャー」「あなたの知らない世界」は音楽性を広げながらオカルト・陰謀論などのメッセージ性が強いパートである。

楽曲としてはHawkwind風味の宇宙シリーズ「宇宙のディスクロージャー」、80年代ハードロック風「あなたの知らない世界」と、サバス的なヘビーなハードロックに止まらない音楽性を見せる。

アルバム『新青年』の中では、このパートが伝える歌詞がとても重要である。

「宇宙のディスクロージャー」ではUFOによる宇宙の情報開示について書かれている。

宇宙に存在する地球以外の生命などに触れているが、人類の歴史には現代科学では明かされていない、隠された秘密があるのではないかと歌っている。

続く「あなたの知らない世界」は、恐怖・心霊体験に関するテレビ番組からタイトルを取っているが、歌詞の内容としては前向きなものである。

悪事がはびこるとしても、自分の心を見つめることで、光り輝く世界が開けると言う、仏教の思想を説いていると考えられる。

和嶋氏の今伝えたいメッセージが凝縮されているのがこの2曲であるだろう。2019年のアルバム発売ツアーでも、この2曲がライブの最初に演奏されたことに象徴されるように感じている。

9.地獄小僧
10.
地獄の申し子

続く2曲は地獄シリーズであり、ライブで盛り上がる楽曲パートとなっている。メッセージ性の強い曲が続いたため、勢い重視のパートへと流れが変わっていく。

「地獄小僧」はナカジマ氏の作曲によるもの。他2人にはないコードワークも見られ、楽曲としても面白い。ライブでも盛り上がる様子が想像しやすいような、楽しい楽曲である。

「地獄の申し子」は鈴木氏による作詞の楽曲。地獄シリーズの楽曲だが、人間椅子の3人全員がボーカルを取っており、人間椅子のメンバー紹介楽曲と言う裏テーマもあるかもしれない。

「もっと○○」の部分の歌詞は、各メンバーにふさわしい言葉が当てられているなど、遊び心も見られる。アルバム内で硬軟自在に行き交う作風は、さすが長年の賜物と感じる。

11.月のアペニン山

アルバムラストに向かって、もう一度流れを変えるアコースティックパートである。ハードロックのアルバムでは静かな曲が1曲入ることが多く、初期の人間椅子ではよく見られた

ダブルネックの12弦ギターで演奏される楽曲である。ベースラインはBlack Sabbathの「Planet Caravan」に似たアレンジで、アコースティックながらも怪しげな雰囲気が漂う。

唐突にエレキによる演奏が入り、ダークなラストパートへと引き継いでいる。

12.暗夜行路
13.無情のスキャット

人間椅子らしくヘビーに締める楽曲パートである。しかし鈴木、和嶋の流れでともにダウンチューニングのヘビーな楽曲で締めるアルバムは、実はこれが初である。

「暗夜行路」は小説のタイトルを借りつつ、Budgie風の渋いハードロックであり、人間椅子的には王道の楽曲だ。短い楽曲ながらも、しっかり中間部で展開する点も人間椅子らしい。

作詞は和嶋氏ながら、鈴木氏による人生ソングも定番である。古くは「三十歳」「不惑の路」があり、前作でも「痴人のモノローグ」など、渋めのハードロックで一貫している。

ラストを飾るのが「無情のスキャット」であり、本作の締めくくりに相応しい傑作だ。この曲単体の魅力はもちろんながら、アルバムのラストに配置されることで魅力が増す楽曲である。

8分超えの楽曲ながら、ラストに配置されてもそこまで重さは感じない。キャッチーな面が際立って聞こえてくるのは、前曲「暗夜行路」の渋みと対比され、若々しく聞こえるからではないかと思う。

00年代前半頃まで和嶋氏不調の中、人間椅子を支えた鈴木氏の重み近年の和嶋氏の覚醒ぶりを2曲の流れで感じ取ることができる。

14.地獄のご馳走(ボーナストラック)

「無情のスキャット」の後に少しのブランク部分を経て「地獄のご馳走」が始まる。ライブで言えば、アンコールの位置づけとでも言おうか。

鈴木氏の作詞・作曲による速いテンポの楽曲であり、いつものアルバムでは収録されることが多いタイプの楽曲である。

最初は曲としてまとまらなかったものの、改良されてボーナストラックとして収録されたらしい。このような形での収録も人間椅子としては初めてのことである。

アルバムの本筋とは別の楽曲だが、「無情のスキャット」の後に配置されることで、人間椅子がまだまだ続いていくことを感じさせる。

アルバムの曲順・パート分けから見える本作のポイント

以上のパート分けによる分析から、次のようなポイントがあると考えた。

  1. 30年の集大成的なあらゆる要素を満遍なく並べている
  2. 斬新さは随所に、人間椅子らしさで挟み込む

1.について、これまでの人間椅子の楽曲にあった要素をアップデートした楽曲が多数収録されていた。人間椅子の30年の歴史を思い起こさせるアルバムとなっている。

昔からのファンであれば、あの時代・この時代の数々の名曲が頭をよぎる作品になっているのではなかろうか。

一方で今までと似た作品にならないように、楽曲の配置など、随所に工夫が施されている。

楽曲の配置に関する2.では、個々の楽曲の中に斬新な要素を入れながら、人間椅子らしいヘビーな楽曲で前後を挟み込む曲順となっていた。

特に「宇宙のディスクロージャー」からの後半部分に新しさを感じさせる楽曲が多かったが、前後にどっしりした楽曲を配置することで、全体的には重厚な味わいの作品となった。

さらには導入曲・ボーナストラックを収録したことも、守りには入らない人間椅子の今の姿勢を感じ取れるだろう。

近年の人間椅子の作品の流れを振り返る

続いて『新青年』を過去の作品との比較でもレビューしていきたい。そのために近年の人間椅子の作品の流れを振り返っておこう。

今回取り上げた『新青年』への流れの始まりは、2013年の17th『萬燈籠』だ。”人間椅子らしさ”を改めて見つめ直したヘビーな作品となっており、それ以前の作品にあった実験的な要素は少なくなった。

続く2014年の18th『無頼豊饒』は、楽曲的には『萬燈籠』の作風を踏襲しながらも、歌詞やメッセージ性において前作を上回る充実度を見せている。

『無頼豊饒』は”精神的な自由さ”をテーマに、「生まれ出づる魂」「悉有仏性」「隷従の叫び」など、前作よりも抽象的なテーマを掘り下げた歌詞が特徴となっている。

『萬燈籠』が”変化の作品”、『無頼豊饒』が”掘り下げる作品”という流れが見られるだろう。

続く2016年の19th『怪談 そして死とエロス』は、『萬燈籠』『無頼豊饒』の流れを”総括する作品”として、バランスの良い作品となった。

『怪談 そして死とエロス』は人間椅子が得意とする怪談やホラーをコンセプトにした分かりやすさが魅力だ。

また『無頼豊饒』で広げた歌詞の世界観は、「恐怖の大王」「黄泉がえりの街」などから感じられるものの、重苦しくならないようにハードロックに昇華している。

以上のように、”変化”、”掘り下げ”、”総括”の流れとなっていると考えた。『怪談 そして死とエロス』において『萬燈籠』からの流れの完成形の1つを見たと言って良いだろう。

続く2017年の20th『異次元からの咆哮』はどんな作品だったか?『萬燈籠』から続いていたヘビー路線から、音楽的に掘り下げる作品となっていたように思う。

以前にはハードロックだけにとらわれない、幅広いロックの楽曲をアルバムに収録していたが、『萬燈籠』以降は極力ヘビーでないものは意識的に避けていたようだ。

『異次元からの咆哮』では「もののけフィーバー」「宇宙のシンフォニー」など、楽曲の幅を再びた広げる方向性を示している。

人間椅子として伝えたいものを込めつつ、バリエーション豊かなアルバムを目指している作品だった。”総括“の次には、また”掘り下げ”の段階がやって来ていたと言えるだろう。

『新青年』の近年の作品における位置づけ

では21th『新青年』はどんな位置づけのアルバムなのか?

内容の充実度や30周年であることも加わって、やはり『怪談 そして死とエロス』以来再び”総括”のアルバムであると筆者は考えている。

前作『異次元からの咆哮』よりは、ジャンル的な自由度は下がっているようにも思うが、ハード・ヘビーのみで押し切るのとは異なる緩急が付いたアルバムとなっている。

そして『萬燈籠』での”再デビュー”の総括であるとともに、やはり30周年として1st『人間失格』からの歴史の総括でもあるようにも思える。

既に紹介したように、過去の楽曲の中で人間椅子にとって重要なエッセンスを取り入れつつ、今の人間椅子の解釈で捉え直すような作品となっている。

加えて「無情のスキャット」という楽曲は、和嶋氏にとって不調の時代をくぐり抜け、覚醒して盛り返したこの10年ほどの集大成でもあるだろう。

自身が音楽を通して伝えたいことや、やりたい音楽を徹底的に突き詰めた成果が、こうして国内外多くの人からの注目を浴びることになった。

人間椅子の音楽的な総括であるとともに、人間椅子と言うバンドの総括も行ったアルバムであったように思う。

総評・まとめ

今回の記事は、人間椅子の2019年の21thアルバム『新青年』について、様々な角度からレビューを行った。30周年を記念した作品ということで、メンバーそれぞれに気合の入っていた様子がうかがえる。

アルバムの個々の楽曲には、過去曲のエッセンスを込めながら、新たな作品としてしっかり構築されている力作と言えるだろう。

人間椅子らしいどっしりした楽曲を中心に据え、随所には流れを変える楽曲を配置して、聴き飽きさせない流れも作られていた。

さらに近年の作品の中では、再デビューとも言われる『萬燈籠』以降の総決算的な位置づけとしても捉えられる。加えて1989年のデビューからの総括も込めた作品と言える。

ただし過去の寄せ集めになっている訳ではなく、現在の人間椅子が詰まった作品と言えるだろう。その証拠に、「無情のスキャット」で多くのファンを獲得している。

今の人間椅子が、過去の歩みをしっかりと踏まえて、現在進行形で進化していることをこの作品から感じた。デビュー30年を超えてなお、最前線で活動していることに感服してしまう。

長く人間椅子を応援してきた人、今作で初めて人間椅子を聴く人いずれにとっても、今の上昇中の人間椅子を感じられることが素晴らしい。

今年の終わりには新作の制作が予定されている。次の作品がどんな変化を遂げるのか、改めて『新青年』を聴いて楽しみに待ちたい。

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