【アルバムレビュー】気付いたらつい聴いてしまう中毒性の高いアルバムの特徴とは?

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アルバムレビュー
画像出典:Amazon

当ブログ「自部屋の音楽」では、アルバムと言う単位にこだわった聴き方について考察を行っている。アルバムを称する際には、”名盤”とか”スルメアルバム”など色んな言い回しが存在する。

いわゆる一般的に評価の高い”名盤”とは別に、気付くとつい聴いてしまう中毒性の高いアルバムがあると、筆者は常々思っている。

それが必ずしも一般的な評価の高さと結び付かない場合もあるし、誰しもが同じように中毒性にハマるか、というとそうでもなさそうな、そんなアルバムたちである。

今回は筆者にとって、気付いたらつい聴いてしまう中毒性の高いアルバムを5枚選んでみた。そして何かそこに共通する要素はあるのか、最後に考察することにした。

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気付いたらつい聴いてしまう中毒性の高いアルバム5枚を選んでみた

アルバムの中には、色んな形での「好きなアルバム」があるのだが、今回は気付くと聴いてしまう、中毒性の高い作品だと思うものを選んでみた。

筆者自身の体験として、聴いている音楽がそれほど多くなかった頃には、あまり考えたことのなかったテーマである。なぜなら、聴いているのが基本的に「好きなアルバム」だからだ。

良いか悪いか、物凄い数のアルバムを聴くようになると、最初は良いかなと思っていても次第に聴かなくなるアルバムというのも出てくる。

(再生ソフトのトラック数で40,000曲を超えているので、3,000枚以上は入っているのだろう)

そうなってくると、色んなレベルの「好きなアルバム」が出てくる。今回取り上げたのは、それだけ聴いたとしても、再び戻りたくなるアルバム、”やめられない味”のアルバムたちなのだ。

紹介順は洋楽、邦楽の並びで、アルファベット順である。

David Sylvian – Gone to Earth(1986)

JAPANの後にソロアーティストとして活動している、David Sylvianの3枚目のアルバムである。アートロック、アンビエントなどで括られるジャンルの作品である。

アルバムは2枚組90分の大作、1枚目がボーカル曲で2枚目がインストゥルメンタル曲のみで構成されている。

名盤と言われる1st『Brilliant Trees』のアートロック色、最初はカセットのみでリリースされたアンビエントの2nd『Alchemy: An Index of Possibilities』の両方の要素を楽しめる作品だ。

90分もある大作なので、全部聴き終わらないこともあるのだが、どちらか1枚だけ、という聴き方も楽しめる作品である。

一般的には次の4th『Secrets of the Beehive』が作品としてのまとまりかあら名作と言われるが、3rdまでのサウンドの雰囲気とは少し変わり始めている感じがする。

JAPANが音楽的に変貌して行きついた1つの到達点という印象もある。とにかく明るいところがなく、全体に内省的でいて耽美的なところが、とにかく惹かれるアルバムである。

筆者はまだ聴き始めて年数が経ってはいないのだが、何度も繰り返し聴いている。どんなに元気な時も、元気がなくても、ここに戻ってきてしまう不思議な魅力のあるアルバムなのだ。

そして1枚目のラスト「Silver Moon」、2枚目のラスト「Upon This Earth」がとにかく美しい。

Pet Shop Boys – Behaviour(1990)

ダンスポップユニットとしてベテランのPet Shop Boysの通算4枚目のアルバムである。彼らの音楽と言えば、ダンスポップの明るさと、イギリスらしい湿り気のあるメロディが特徴だ。

初期2枚がいかにも彼ららしいダンスポップであるのに対し、本作はダンサブルな要素は後退し、哀愁が漂うメロディ、リバーブの深くかかった内省的なサウンドが前面に出ている。

筆者にとってはこれが最も惹かれる要素であり、Pet Shop Boysの中で最も美しい作品で、聴いていても疲れる要素が全くないため、いかなる時でも聴きたくなるのだ。

割と陽気な曲で始まることの多い彼らの作品の中でも、「Being Boring」は長めの前奏からゆったりと始まり、囁くようなボーカルが優しく包み込んでくれるようである。

中間にはビート感のある曲もありつつ、無理に踊らせるような派手な曲はない。そしてラストの「Jealousy」の超美メロで締めくくられる、とにかく静かで美しいアルバムなのだ。

たとえば疲れて帰ってきた時、激しいサウンドの音楽は聴きたくない時など、寄り添ってくれるように聴けるアルバムゆえ、もうずっと病みつきなのである。

【初心者向け】”はじめてのアルバム” – 第17回:Pet Shop Boys

Venom – Black Metal(1982)

あらゆるエクストリームメタルの元祖とまで言われる、B級メタルバンドVenomの名盤と言われる2ndアルバムである。

悪魔的な世界観を知的に描くのではなく、”ポンコツメタル”と言われる決して上手くはない演奏と質の悪い音、そして不気味過ぎるクロノスの絶叫で表現する、唯一無二過ぎるバンドだ。

そのスタイルが独特過ぎて、後続バンドには絶大な影響を与えながら、自身はバンドとして成功することなく、分解してしまったバンドなのである。

しかし1stと2ndはとにかく名盤であり、筆者は2nd『Black Metal』がたまらなく好きなのだ。

冒頭から何の音か分からない雑音から始まり、地の底からやってくるような「Black Metal」が最高である。スラッシュメタルだがドラムがポコポコと可愛らしい音なのも、たまらない。

あまり知的ではないと書いたのだが、本作は勢いだけで作られている訳ではなく、速い曲とダークな曲、ロックンロールな曲が絶妙なバランスで配置されている。

序盤は抑えめにダークな曲、中盤に明るめのロックンロール、後半にエクストリームな曲を入れつつ、ラストの「Don’t Burn the Witch」がめちゃくちゃカッコいい。

おまけで次回作の「At War with Satan」もちょっとだけ入っているが、続けて3rdを、というよりも、もう1回最初から『Black Metal』を聴きたくなるようなアルバムである。

Venom自体がクセになるバンドだが、その中でも最もクセになるアルバムが本作なのだ。

【初心者向け】”はじめてのアルバム” – 第11回:Venom 最強のB級メタルバンドの歴史的名盤は?

岩田さゆり – 風と空と(2005)

TBS系ドラマ『3年B組金八先生』で飯島弥生役でデビューした岩田さゆり氏のデビューミニアルバムである。

2000年代の当時、タレントや女優でデビューした女性が、歌手活動を並行するというのが流行っていたように思われ、これもその流れの1つだったのかもしれない。

いわゆるビーイング系であり、サウンドや曲調がまさにその時代のものである。スタイリッシュな雰囲気のロック・ポップスと言う感じで、非常に粒ぞろいの楽曲が並んでいる。

そして決して上手いとは言えない歌唱ながら、妙にクセになるのが岩田氏の声と歌である。純粋であり、どこか不安げな歌唱も含め、なぜか何度も聴いてしまうアルバムなのだ。

シングル曲では「空飛ぶあの白い雲のように」「空色の猫」辺りが取り上げられるが、個人的には2曲目の「碧」が名曲だと思っている。

なお岩田氏は現在は芸能界を引退して、一般企業に就職しているようである。

人間椅子 – 無限の住人(1996)

当ブログでは最も多く取り上げている、日本のハードロックバンド人間椅子の6th『無限の住人』を最後に取り上げたい。

沙村広明氏の漫画『無限の住人』のイメージアルバム、という特殊な位置づけの作品であるが、純然たる人間椅子のオリジナルアルバムであるというところがまた独特だ。

つまり人間椅子が『人間失格』のタイトルを借りつつ、作品の内容を歌ったアルバムでないのと全く同様、タイトルと世界観のごく一部を借りただけ、ということである。

一方で江戸時代という点は守ろうとしたのか、現代的なテーマがない点や和風の曲が多いところが面白い。そしてあえてコンセプトから外れようと、すれすれのラインを楽しんでいる感もある。

最も外れている楽曲と言えば、江戸時代にも宇宙はあった、という理屈で収録された「宇宙遊泳」だろう。

それでいて人間椅子のヘヴィ・ダークさがありつつ、ポップなメロディも聴ける、何でも揃っているアルバムと言う感じだ。だからこそ何度でも聴き返したくなる作品なのだ。

【アルバムレビュー】人間椅子 – 無限の住人(1996) 初のイメージアルバム、そして人間椅子の音楽性を広げた名盤

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まとめ

今回は筆者が気付いたらつい聴いてしまう中毒性の高いアルバムを5枚選んで紹介した。

それぞれジャンルも全く異なるし、好きな部分も違うのだが、何か惹かれてしまうところがある、という点で共通しているアルバムたちである。

あえて共通点を見出してみようと思い、以下の3点を挙げてみることにした。

  1. コンパクトに聴けること
  2. 聴いていて疲れるポイントがないこと(疲れる曲がない・流れが良い)
  3. 自分の中で惹かれる何かがあること(妙に惹かれる曲・声など)

1.と2.は、どちらかと言うと筆者の中での”名盤”の条件であるとも言える。

冗長なアルバムはあまり好きではなく、最初から最後まで流れるように聴けるアルバムが繰り返し聴きたくなるものだ。

なおDavid Sylvianの『Gone to Earth』はかなり長いものの、2つのアルバムをセットにしたもの、という感覚で聴いている。

そして聴いている途中で飽きるポイントがないことも大切である。やはり全体的にコンセプトや楽曲の方向性がまとまっている方が、聴きやすいアルバムだと思っている。

なおこの2つの条件は、以前書いた「捨て曲のないアルバム」という概念と重なるものだ。

”捨て曲のないアルバム”とはどんなアルバムのことなのか? – ”捨て曲”あるあると名盤紹介

その上で、さらに惹きつける何か、というのが3.に該当するものである。

それはおそらく客観的に評価がさらに難しい部分であり、筆者にとって波長が合うと言うのか、相性が良い歌声やサウンドだからこそ惹かれてしまうのである。

そのため、中毒性の高いアルバムを探して見つかるものではないと思っている。その作品を手に取って、5年、10年と経つうちに、「そう言えばずっと聴いているな」という作品なのだ。

そんな中毒性の高い作品に出会えると幸せなのではないか、と思っている。

「名盤」とは結局どんなアルバムを言うのか? – エレファントカシマシのアルバムを事例として

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