【怒髪天】『リズム&ビ-トニク’21 & ヤングデイズソング』『痛快!ビッグハート維新’21』全曲レビュー

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アルバムレビュー

1984年に結成し、1991年に上京してデビューした怒髪天は、活動30年の年となった。自ら”東京三十年生”と呼んで、12月8日に3タイトル同時リリースを行った。

そのうち『リズム&ビ-トニク’21 & ヤングデイズソング』『痛快!ビッグハート維新’21』の2枚は廃盤となっていた活動休止前・インディーズ時代のアルバムの復刻となった。

さらに、ただの復刻ではなく、全て新録音源での発売である。リメイクは、当時と変わってしまうのではないかと思った人も、心配ご無用。

当時のアレンジの骨格を保ったまま、今の怒髪天にアップデートされた、素晴らしい新録だった。

そんな復刻音源の発売を記念し、今回の記事は、アルバム2枚の内容を紹介しながら、全曲のレビューを行う

またオリジナル音源を所持していた楽曲については、オリジナルからの変化も書いている。

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『リズム&ビ-トニク’21 & ヤングデイズソング』

『リズム&ビ-トニク’21 & ヤングデイズソング』は、2部構成とも言えるアルバムである。

前半は2004年にインディーズでリリースされた『リズム&ビ-トニク』であり、インディーズ作品の中で唯一廃盤になっていた

後半『ヤングデイズソング』は活動休止前の楽曲のうち、レア曲を中心に選ばれた。シングル曲やコンピレーション盤の楽曲、さらには未収録曲も含まれている。

なおリリース前にはオリジナル音源なのか、新録なのか定かではなかったが、全て新録音源である。一部近年に再録された楽曲は、その時の音源が収録されている。

異なる時代の楽曲が並ぶアルバムではあるが、それほど違和感はない。サウンドが統一されている点が大きいのと、やはり怒髪天の音楽はそれほど昔から変わっていないと言うことだろう。

サウンドとしては、かなりシャキッとした輪郭のはっきりした音になっている。そのためか、全体に爽快感があり、昔の曲のやや暗い歌詞のテイストを感じさせない。

年を重ねた現在の怒髪天の方が、溌剌としている様子が音からも感じられる点は興味深い。

各曲レビューについて、筆者は『リズム&ビ-トニク』は持っているため、オリジナル音源との比較も行う。”ヤングデイズソング”パートは、全てオリジナル音源は持っていなかった。

なお新録ではあるが、オリジナルと大きなアレンジの変更は行われていない。レア盤の復刻というニュアンスもあるため、オリジナルに忠実なアレンジは大変有り難い。

ボーカル増子氏のインタビューでも、再録はアレンジせずに収録したと述べている。

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俺様バカ一代・改(2021 Mix)

「俺様バカ一代・改」は、2007年のベストアルバム『D-stance “FREIHEIT YEARS 1999-2004”』に新録として収録されたバージョンである。

今回はさらにそのバージョンのリミックス音源である。

「俺様バカ一代・改」はオリジナルと大きな違いはないが、少しタイトな演奏で前のめりな印象。収録時間に大きな違いがないので、テンポ変化はなさそうだが、スピード感がある。

また後半の三々七拍子となる部分には、メンバーの掛け声が挿入されている。オリジナルよりお祭り感が増したアレンジとなっていた。

さらにこのリミックスでは、全体の音がクリアになった。特にドラムとギターの音の輪郭がはっきりとした印象である。

オオカミに捧ぐ

1曲目のテンションを受け継ぎながら、三枚目な世界観からややシリアスなトーンに移り変わる。怒髪天の中でも、”カッコいい”タイプの楽曲と言えるだろう。

この曲に関しては、かなりオリジナルに忠実だ。自在に動き回るベースラインと、交差するように様々なフレーズが飛び出すギターの掛け合いは、オリジナルから構築されたものだ。

サウンド的には、オリジナルより広がりのある印象。1点違うところは、オリジナルはフェードアウトだが、今回はエンディングがついている。

ライブで演奏される際の終わり方であり、この新録が完全版とも言えるかもしれない。

夕焼け町3丁目

怒髪天が標榜する“リズム&演歌”らしい楽曲。ミドルテンポの歌謡曲風味のメロディに、歌詞は演歌的な世界である。

この曲についても、何もアレンジは加えられていない。増子氏のボーカルについては、当時ザラついた雰囲気から、より情感のこもったものにレベルアップしていると感じられる。

先に紹介したインタビューでも書かれていた通り、年々ボーカルの個性が前に出ているようだ。ただダミ声でも、優しげな雰囲気になってきているように思える。

明日への扉(問答無用セレクション”金賞”より)

この曲に関しては、かつて再録されたバージョンがそのまま使用されている。2014年にリリースされたベストアルバム『問答無用セレクション“金賞”』にて再録された。

ライブでも大いに盛り上がる楽曲であり、カッティングギターの裏では動き回るベースが印象的である。『リズム&ビートニク』はベース清水氏が引っ張っていく作品とも言われている。

アレンジの大筋はオリジナルと同じだが、よりライブに近いアレンジになっている。サビの終わりで叫ぶ「1、2、3、ゴー!」の掛け声が、イントロなどにも挿入されている。

またアウトロ部分も、よりライブで演奏されるような終わり方になっている。

他の曲に比べると、ややライブ感のある演奏ではあるが、勢いのある曲だけにそれほど並べて聴いても気にはならない。

また来いよ

仲間の死を歌ったと思われる、ヘビーな歌詞のバラード曲である。思い返せば、この当時に増子氏が書いていたブログは、暗い内容が多く、この曲の歌詞に近いものがあった。

この曲も見事な再現度であり、こうしたパーソナルな内容の曲で、オリジナルの雰囲気を崩さずに歌うのはかなり大変だったのではないかと思う。

表現力の増した現在の歌唱と、オリジナルのヒリヒリしたような歌唱、いずれも甲乙つけがたい。

細かい部分も忠実の再現されており、アウトロのドラムのみになるパートも、一拍多く終わる部分もしっかり演奏されている。

青嵐 -アオアラシ-

ミニアルバムのラストを飾るこの曲は、爽快感のあるロックナンバー。青葉の頃に吹く強い風を指す“青嵐”と言うタイトルは、熱くも爽やかなイメージを感じさせる

ボーカルの印象がオリジナルと新録でいささか異なる。オリジナルではあまりダミ声で歌っていないため、増子氏の声が若く聞こえる。

そして歌い方も、曲の中であまり一貫していない感じもあった。再録では曲の緩急に合わせて、歌い方の流れもしっかり意識されている

昔には昔の良さが、再録では修正されてアップデートされた良さがやはりある。

ショートホープ(短かった希望)

1993年にリリースされたコンピレーション盤『COME INTO THE WORLD』に収録されていた3曲のうちの1つである。

長らくタイトルのみしか知らなかった曲だったが、この記事の最後に紹介するライブ映像『怒髪天presents ”響都ノ宴”10周年記念『夢十夜』』で初めて聴くことができた。

本作に収録されているバージョンは、そのライブで演奏されたものとほぼ同じだ。ややルーズなブルーステイストの楽曲であり、煙草をモチーフにした歌詞である。

曲調は、20代の頃に演奏するには渋すぎるものであり、オリジナルは聴いていないが、このグルーヴ感はきっと今の怒髪天でこそ出せるものではなかろうか。

世間知らずにささやかな拍手を

この曲も『COME INTO THE WORLD』に収録された曲であり、印象的なリフで始まり、ポップなメロディが耳に残る楽曲である。

後で紹介する『痛快!ビッグハート維新』でもベースラインはリズミカルなものが多くなっているが、この曲の楽しげなベースラインもオリジナルを活かしたものなのか気になるところ。

活動休止前の曲ではあるが、再開直後(「情熱のストレート」の頃)の楽曲と雰囲気が似ている気がする。歌詞も今の怒髪天に近づきつつある

溜息も白くなる季節に…

1994年に札幌でのライブのためにリリースされたシングル盤のタイトル曲である。

この曲はYouTubeに非公式にアップされたものを聴いたことがあり、あまりに良い曲で筆者は長年再販を切望していた楽曲である。

望郷の念について歌われたこの曲は、怒髪天のジャンルである“リズム&演歌”を代表するような渋い曲調である。近年の「そのともしびをてがかりに」などに通じるメロディだと思っている。

非公式に聴いたオリジナル音源と、変わらないキー・アレンジだった。細かい違いでは、イントロのカウントがないこと、またアウトロの3連符がよりわかりやすいドラムアレンジに変わっていた点だろうか。

この名曲が完全再現されたことは大変嬉しい。

あかね色のトランク

シングル『溜息も白くなる季節に…』のカップリング曲であり、”響都ノ宴”のライブでも披露されなかったため、本作では唯一聴いたことがない楽曲だった。

アコースティックギターから始まる静かな楽曲である。テーマ的には「溜息も白くなる季節に…」と連動するものであり、望郷の念や懐かしい思い出について歌われている。

ワルツのリズムであり、怒髪天の中でも珍しい心温まる曲である。後半の約2分間は演奏のみとなり、テンポを上げながら、エンディングに進んでいく展開も珍しい。

COME BACK HOME

活動休止前の楽曲の中で、最後まで未発表のまま残っていた曲だと言う。ただライブでは演奏していたそうである。

英語のタイトルに、ブルーステイストの渋い曲調。おそらく休止前の中でもより古い楽曲なのではないかと推測される。

雰囲気は1991年のデビューミニアルバム『怒髪天』の頃に近い。

まだ怒髪天のバンドとしての独自性を確立する前の楽曲と言う印象もある。今の怒髪天が演奏することで、ようやく楽曲に追いついたのかもしれない。

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『痛快!ビッグハート維新’21』

『痛快!ビッグハート維新’21』は、1995年にリリースされたフルアルバム『痛快!ビッグハート維新’95』のリメイク作品であり、全曲が新録となっている

活動休止前の最後の作品であり、長らく廃盤となっていた。なお2008年10月20日からiTunes限定で配信されていたが、iTunesでの配信サービス終了に伴い、また入手できない状況になっていた。

(筆者はiTunesにて音源を購入していたため、オリジナル音源を持っている)

アルバムの内容としては、”リズム&演歌”を謳い始めた頃であり、現在の怒髪天に通じる世界観も垣間見える。ただそれ以前のブルース色も依然強く、迷いも見られる作品となっている

そんな迷いはサウンドからも感じられ、バンド以外の楽器や効果音などが多く用いられていた。またややコミカルなアレンジも随所に見られ、気になってしまう点があった。

新録ではそうした”おふざけ”要素は排し、基本はバンドサウンドでのアレンジになっている。が、オリジナルの再現のため、重要な箇所では同じくブラスなどのアレンジが活かされている。

またオリジナルあまり音が良くない状態で低音が弱かった。今回の新録では音像としては大きくグレードアップしている。

さらにアルバムの中でもキーが不安定で、極端に低いものもあった。そのため、オリジナルよりキーを上げている曲も多く、全曲レビューではキー変更についても紹介する。

江戸をKILL II(問答無用セレクション”金賞”より)

  • キー変更:A→B

オリジナル「江戸をKILL」から、リメイクの際にタイトルが「江戸をKILL II」に変更された。2014年のベストアルバム『問答無用セレクション”金賞”』に収録された音源と同じである。

今の怒髪天に通じる、日本的な世界観とストレートなロックであり、だからこそ早い段階で新録が行われたのかもしれない。

タイトルに”II”がついているが、歌詞や基本アレンジに変更はない。ただキーの変更と、イントロの三味線や刀の効果音などが入っていた部分が、すべてなくなっている。

当時はコミカルなアレンジになっていたが、この曲の路線が怒髪天の基本になっていった点は、大変興味深い。

マテリアのリズム

  • キー変更:F#→A

タイトルは、「物質や社会が根源的なもので、感情や精神が派生的なもの」だとする”マテリアリズム(唯物論)”をもじったものだろうか。

歌詞の内容は、目に見えるものだけで価値が決まる世の中へのアンチテーゼであり、現在の怒髪天に通じる。曲調はやや能天気な調子で、オリジナルは増子氏の歌もヒョロヒョロであった。

キーが1音半も上がっており、今回の再録で最もキーが上がった曲だ。

またオリジナルでは2番の「お前に言いてえんだよ」の最後が早回しでキーの上がった声になっていたが、今回はなくなっていた。何とも不思議な曲であると常々思っている。

ソウル東京

本作の中でも、最もソウル・ファンク色が強い楽曲である。現在の怒髪天もファンクっぽいギターカッティングは見られるが、ここまで本格的な楽曲も珍しい。

歌詞は都会の男と女がテーマであり、これもあまり現在の怒髪天とは異なるカラーである。

キー変更やアレンジ変更もほぼ行われていない。オリジナルはあまりベースが聞こえなかったが、ソウルフルなベースラインがとてもカッコいい。

見事にオリジナルが再現されているが、グルーヴ感がアップデートされて、かなり演奏が楽しめる曲になっている。

左の人

タイトルの由来は、バンドの中の誰かについて歌ったと、昔どこかで読んだが失念してしまった。曲調は初期から続くブルース色の強いもので、歌詞は働きたくない、という怒髪天らしい内容。

こうしたアコースティックギターを使ったブルースは、2005年『ニッポニア・ニッポン』収録の「幸福の配分」や、2014年の『男呼盛”紅”』収録の「ちょいと一杯のブルース」に受け継がれている。

ややキーは低めながら、後半に転調を繰り返すためか、変更はされていない。オリジナルにかなり忠実だが、今の怒髪天の曲と言われても違和感はない

お前を抱きしめたら

  • キー変更:A→B

怒髪天にはとても珍しい、ストレートなラブソングである

オリジナルからキーが1音上げられており、演奏もどことなく明るさを増しているように感じられる。なお中間にはサックスのソロが挟まれていたが、スライドギターのソロに置き換わっている。

終盤にもサックスが登場するため、同様にスライドギターが加えられている。

この頃の曲は、Aメロ→Bメロを繰り返すパターンが多く、展開からもブルースを感じられる。

うたごえはいまも…

いわゆるバラード曲であるが、単純なラブソングと言うよりは、生きづらさを歌ったような内容となっている。

アレンジはほとんど同じであるために、増子氏の歌の表現力の向上がとてもわかりやすい。オリジナルはピッチも怪しいところが多いが、大幅に改善された歌唱となっている。

アウトロの約1分間はハードロックのような展開となっており、演奏面での緩急のつけ方も、やはりオリジナルよりも格段にレベルアップしている。

風の中のメモリー

数少ないギターの上原子氏がリードボーカルをとる楽曲。筆者はかなり上位に入るくらいに好きな曲である。

怒髪天の中ではかなり珍しく、キュンと切ない楽曲である。住み慣れた街と恋人と別れて、旅立つ若者の心情を歌った歌詞と、抜群に良いメロディラインが素晴らしい。

この曲も驚くほどにオリジナルを再現している。まさかここまでオリジナルに忠実な再録音源を聴けることに感無量である。

物凄く細かいところで、2番の「めぐりめぐる」の節回しがオリジナルと異なるのは、1番の「明日の朝」と合っていないために変えたのかもしれない。

夕立ちと二人

突然降り出した夕立が2人の約束を流していく、というラブソング。ビート的にはレゲエを基調としており、この時期から様々な音楽ジャンルを取り込もうとしている試行錯誤が見られる。

フライハイト時代にあってもおかしくない曲であり、少し前の怒髪天がやっていても違和感はない気がする。

この曲もキー変更はないが、若干テンポを上げているのではないかと思う。

救いの丘

初期の怒髪天らしく、憂歌団などのブルースバンドへの憧れを強く感じる曲である。歌詞は、生きにくさを歌ったもので、今の怒髪天に通じるが若々しい内容となっている。

アレンジに関して大きく変わっているのは、バッキングにアコースティックギターが加えられている点である。頭拍のリズムをアコギで鳴らすことで、リズムの響きが全然違って聞こえてくる。

この曲はリメイクで1番生まれ変わった印象のある曲かもしれない。

新宿公園から宇宙

  • キー変更:A→B

当時のライブでは、後半に演奏されていたと言う、推し曲の1つ。歌詞は自由も個性もなくなってしまうような社会への反発を歌ったものになっている。

ポップなメロディで一緒に歌いたくなるような楽曲。詞の言葉数が多いのが、怒髪天には珍しい。

キーは1音上がっているが、おおよそのアレンジは変更がない。サビのところで単音のギターが新たに加えられている点が変化である。

星になったア・イ・ツ

  • キー変更:G→A

アルバム終盤で弾けた曲をやるのは、昔から変わっていないようである。歌詞の世界観も、コミカルで男臭い内容は今と変わらないものだ。

ただ現在の怒髪天ほど、骨太のサウンドでないために、やや軽い曲に聞こえてそれほど好きではなかった。また最後の「星となれ」をなかなか言わない、というアレンジも、収録ではやめてほしかった。

その点、再録ではその欠点が全て直されている。ブラスアレンジはそのままに、バンドの厚みが増して、いい具合に今の怒髪天の楽曲になっている。

明日の唄(歌乃誉”白”より)

2014年にリリースされたミニアルバム『歌乃誉”白”』に収録されたのと同じ音源である。

まさに”リズム”&演歌”な楽曲であり、怒髪天の渋さを凝縮したような名曲である。が、歌の迫力やバンドの演奏力が追いついていない印象があり、オリジナルはそれほど好きではなかった。

この曲も見事にオリジナルを活かしつつ、今の怒髪天の曲に生まれ変わっている。特に増子氏のボーカルは断然今のバージョンの方が迫力があり、楽曲にバンドが追いついた形だ。

アレンジの違いとしては、バッキングがアコースティックギターを用いていたのを、全てエレキで演奏されている。

活動休止前の楽曲が聴けるその他の作品まとめ

今回の復刻・新録アルバム2枚では、怒髪天が活動休止前の楽曲に焦点が当たった。そこで、この2枚以外に活動休止前の楽曲が聴ける主だった作品をまとめておこう。

怒髪天presents ”響都ノ宴”10周年記念『夢十夜』

”響都ノ宴”の名前で京都のライブハウス磔磔にて続けているライブシリーズの10周年企画で、3つの時期それぞれに限定した楽曲で構成されたライブが行われた。

そのうち1つ目に、「EARLY DOHATSUTEN YEARS 1984-1996」という活動休止前の楽曲のみで構成されたライブが収録されている。

今回の2枚に収録された楽曲も多数披露されているほか、残念ながら復刻にならなかった1991年のオムニバス盤『Junkie Jungle』に収録の「YOUNG DAYS」「Shot My Heart」も収録された。

他のライブもフライハイト時代、テイチク初期と怒髪天の歴史を知ることができる興味深い作品である。

男呼盛"紅"

満員御礼となった2014年の日本武道館公演の後、30周年イヤーを記念しためでたい”紅白”の名前を冠した2つのミニアルバムをリリース。その1枚が『男呼盛"紅"』である。

日本武道館でも披露された活動休止前の名曲「友として」が再録されている。

この音源を入手すれば、1993年のオムニバス盤『COME INTO THE WORLD』に収録された3曲をコンプリートできる。

怒髪天

1991年に怒髪天が日本クラウンからリリースしたメジャーデビューミニアルバムである。2007年にオリジナル音源のリマスタリングで復刻されている。

現在も入手できる活動休止前のオリジナル音源のため貴重である。「流れる雲のように」など、現在のライブでも時々披露される楽曲を収録している。

なお、ここまで紹介した作品以外にも活動休止前の楽曲が入手できるアルバム等は、以下の記事で詳しく解説している。興味のある方は是非お読みいただきたい。

その他の怒髪天の活動休止前の楽曲まとめ、現在入手できる音源情報はこちら

まとめ

今回の再録については、怒髪天のスタンスが非常に素晴らしいものだった。それは先に紹介した増子氏のインタビューの発言にすべてが表れているので、少し引用したい。

自分の好きなバンドが再録したものって、良かった試しがほぼない(笑)。変にアレンジしちゃったりさ。気持ちはわかるんだけどね。でも我々は原曲に近いアレンジでなるべくいじらないようにして。いい音ではあるけど、当時っぽい音で、変にゴージャスになりすぎない。昔の曲をきちんとやっている、というくらいにとどめてはいる。

Real Sound:怒髪天 増子直純が考える、ロックバンドとしての命題 過去作再録&セルフカバーの意義

再録については、筆者も完全に同意するスタンスである。オリジナルをずっと聴いていた曲は、変にアレンジが加わっていると、結局新録を聴かなくなってしまう。

その点、アレンジの骨格をほとんど変えなかった怒髪天は、今回の作品も過去の音源の純粋なグレードアップバージョンとして聴くことができる。

本当は当時に表現したかったものを掘り起こすような作業であり、原型を壊さないように、洗練させる作業は大変だったことだろうと思った。

また過去の音源との隔たりによって、どれほどグレードアップが実感できるかは、当然異なってくる。『痛快!ビッグハート維新’21』の方が『リズム&ビ-トニク’21』より変化は実感しやすい。

今回収録された楽曲を初めて聴く人もいるかもしれない。活動休止前の作品は、やや現在の怒髪天とは異なる音楽性ではあるが、今につながる部分もある。

何と言っても過去にも良い曲はたくさんあり、怒髪天が好きな人であれば、今回の2作品もきっと楽しめる内容になっている。

2022年のツアーでは、今回の2作品を披露する場面もあるようだ。昔を思い出して、増子氏は長髪にしようとしているようで、気合も十分である。

ライブでも過去の楽曲を聴けるのが楽しみだ。

怒髪天の歴史と、おすすめのアルバムを紹介した記事はこちら

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