気になるバンドを聴いてみようと思った時に、必ずと言っていいほど「何から聴けば良いのか?」問題が出てくる。
そこで初めて聴く人向けに、最初に聴くのにおすすめのアルバムを紹介するシリーズ記事を書いている。
第1回:eastern youth、第2回はクレイジーケンバンドを取り上げた。
第3回は怒髪天を取り上げる。
※前回:【初心者向け】”はじめてのアルバム” – 第2回:クレイジーケンバンド
怒髪天について
最初に怒髪天がどんなバンドなのか紹介しよう。
怒髪天は、1984年に北海道で結成されたロックバンドで、メンバーは以下の4人。
- 増子 直純(ますこ なおずみ):ボーカル
- 上原子 友康(かみはらこ ともやす):ギター
- 清水 泰次(しみず やすつぐ):ベース
- 坂詰 克彦(さかづめ かつひこ):ドラム
もともとはボーカルの増子氏によるハードコアパンクバンドであったが、1986年に現メンバーとなってからは、ロックを基調にブルースや演歌の影響も感じさせるようになった。
現在はJAPANESE R&E(リズム&演歌)という独自のジャンルを称している。作詞は増子氏、作曲は上原子氏が担当することがほとんどである、
簡単に怒髪天の歴史を紹介する。
1991年日本クラウンよりミニアルバム『怒髪天』でデビュー。バンド名の題字は北島三郎氏によるものであった。
活動初期の音楽性は、憂歌団に影響を受けていたとされ、ブルーステイストの強い渋いロックだった。既にイカ天などのバンドブームの去った後に東京で活動を開始したため、売り上げは芳しくなかった。
1995年にフルアルバム『痛快!ビッグハート維新’95』をリリースし、1996年に活動休止している。
休止中は音楽に関わっていたメンバーもいれば、全く違う仕事をしていたメンバーもいる。
ボーカルの増子氏はリングアナや穴あき包丁の実演販売を行い、それまでなかった社会との接点を持ったことが、後の音楽性に大きく影響を与えたと語っている。
1999年、ベースの清水氏の呼びかけにより、活動再開する。当時は働いているメンバーもいたため、活動も限定的に行うつもりだったが、音源を制作し始めると、どんどん活動は展開していった。
インディーズで活動を行い、シングル1枚、ミニアルバム3枚、フルアルバム2枚をリリースしている。
2001年リリースのミニアルバム『マン・イズ・ヘヴィ』に収録されている「酒燃料爆進曲」は、ライブの定番曲となり、2007年にはシングル化されている。
そして、2004年にテイチクエンタテインメントのレーベル、インペリアルレコードより再メジャーデビューした。
00年代半ば頃までは、まだ知る人ぞ知るバンドであったが、2009年に結成25周年を迎えた頃より、メディアから注目されるようになる。
桃屋の『辛そうで辛くない少し辛いラー油』のTV CMに抜擢されるも、商品が売れすぎてCM自粛になるという伝説を残す。
この頃から楽曲がよりシンプルで、前向きなものとなっている。
2009年にリリースされたシングル曲「オトナノススメ」は、「DON’T TRUST OVER 30」を信じてきた増子氏が、40代を過ぎてみると、大人は楽しいと歌う人気の楽曲だ。
その後も精力的にリリース・ライブ活動を行い、2014年には”史上最遅記録”の日本武道館公演『ほんと、どうもね。』を行い、満員御礼の大成功を収める。
2016年にはメンバーが50代に突入することを記念し、全50本+1本のツアー「ジャパニーズ中年隊 ~YOU、50プラス1本やっちゃいなよ~」を敢行。
その後は、全都道府県をめぐるツアー「怒髪天、おかげさまで30周年。47都道府県勝手にお礼参りツアー “いやぁ、なんも、おかえしだって。” 」を行っている。
2019年には2009年に発表した「オトナノススメ」10周年を記念し、ドラマー6名、ベーシスト6名、ギタリスト13名、ヴォーカリスト&コーラスをあわせて総勢220名が参加したトリビュート企画『オトナノススメ~35th 愛されSP~』が公開された。
2020年にも即出しデモ音源アルバム『明日に向かって漕げ!』や怒髪天の楽曲の英詞セルフカバー配信シングル「THE JAPANESE R&E」など、ユニークな作品をリリースしている。
2021年は上京して30年になり、”東京三十年生”の企画として、廃盤作品の再録や提供楽曲のセルフカバーなどを収録した3タイトルを同時にリリースした。
🎊2021年12月8日(水)3タイトル同時発売🎊
— 怒髪天 (@dohatsuten_crew) October 20, 2021
新曲、入手困難な廃盤作品、未発表曲、今まで楽曲提供した作品のセルフトリビュートを含む全30曲。
さらに、テイチク通販限定で、3タイトル+αを詰め込んだスペシャルボックスも発売!
詳細は「怒髪天 東京三十年生」特設ページへhttps://t.co/GVz7p5xy6I pic.twitter.com/gxDEX6PAya
”はじめて”のベストアルバム
それでは初めて聴くのにおすすめのアルバム紹介に移ろう。まずは、ベスト盤から聴きたい人向けに、はじめて聴くベスト盤の紹介だ。
怒髪天は企画アルバムを除くと、以下の4枚のベストアルバムがリリースされている。
- 『D-stance “FREIHEIT YEARS 1999-2004”』(2007年)
- 『D-N°18 LIVE MASTERPIECE』(2011年)
- 『D-N°18 LIFE MASTERPIECE』(2011年、配信限定)
- 『問答無用セレクション“金賞”』(2014年)
この中で最初に手に取るのであれば、最新の『問答無用セレクション“金賞”』である。30周年を記念してリリースされ、3枚組と枚数は多いが、歴代の代表曲とレア音源が詰まっている。
代表曲では、たとえば「蒼き旅烏」「北風に吠えろ!」「酒燃料爆進曲」「オトナノススメ」「歩きつづけるかぎり」など、ライブの定番を網羅している。
また「サムライブルー」「NO MUSIC, NO LIFE.」「東京衝撃」などアルバム未収録の楽曲もあり、その他レア音源も充実しているので、後から順に深く知っていくこともできるだろう。
もしもう1枚手を伸ばすのであれば、『D-stance “FREIHEIT YEARS 1999-2004”』もかなりおすすめだ。
後でも詳述するが、インディーズ時代の怒髪天の楽曲は様々に音楽的な実験が試みられている点も面白く、選曲もとても良いため、ベストアルバムとしての完成度も高い。
なお、オムニバス盤のレア曲も収録されている点も注目である。
”はじめて”のオリジナルアルバム
怒髪天のオリジナルアルバムは、ミニアルバム等も含めると約20枚ある。その中から1枚だけを選び出すことは大変難しい。
そこで、怒髪天の歴史の中で4つに分けた上で、4つの時代からアルバムを選出しようと思う。
怒髪天の歴史について、以下の4つの時代に分けてみた。
- 活動休止前(1991年~1996年)
- フライハイト期(1999年~2004年)
- テイチク前期(2004年~2009年)
- テイチク後期(2010年~現在)
この4つの時代から、今回は3枚のアルバムを選んだ。4つの時代の紹介も加えているので、聴いてみたい時期の作品から手に取っていただければと思う。
活動休止前(1991年~1996年)
怒髪天の活動初期であるが、今回はこの時期からは選出していない。
活動休止前の怒髪天は、ブルースに影響を受けており、ロックテイストの強い現在の楽曲とはややイメージが異なる。少し脱力感のある、渋い楽曲が多くなっている。
歌われているテーマについては、既に後の怒髪天を思わせる部分もある。筆者個人はとても好きな時期であるが、はじめて聴く際にはあえてここから入る必要もないかと思う。
フライハイト期(1999年~2004年)
インディーズ時代であり、近年のライブでも頻繁に演奏される重要な曲をたくさん生み出した時期である。
この時期の怒髪天は、休止前よりロックテイストを強め、メンバーの年齢も30代半ばと、かなり楽曲のテンションが高い点が特徴だ。様々な音楽的な試みをしている点も面白い。
歌詞については、近年に比べればダイレクトな怒りや悲しみを表現したものが多くなっている。
この時期の作品は力作揃いで、1枚だけを選出するのは大変難しい。あえて1枚選ぶとすれば、2003年の『TYPE-D』をおすすめしたい。
この作品は楽曲のバランスがとても良い。「北風に吠えろ!」「雑草挽歌」などシンプルな楽曲や、シリアスな「ゆきてかへらず」「夢と現」、休止前を思わせる「無職透明」などバラエティ豊かだ。
そして、この時期特有に見られる孤独感や寂寥感が漂っており、後の開き直った怒髪天と比較して聴くのも面白いだろう。
1枚のアルバムの中で怒髪天の魅力を詰め込むことに成功している作品であり、最初に聴いておけば、他の作品にも入りやすくなるだろう。
テイチク前期(2004年~2009年)
メジャーに移行し、ブレイクをし始める2009年までをテイチク前期としてみた。フライハイト期のテイストは受け継ぎつつも、徐々に変化も見せている時期である。
フライハイト期は、”怒髪天らしく”あろうと硬派な楽曲にこだわっていた部分があった。しかし、少しずつその縛りを解消し、自由な発想で作られた楽曲が増えてきた時期だと言える。
この時期で1枚挙げるなら、2006年の『トーキョー・ロンリー・サムライマン』をおすすめする。一言で言うなら、「これまで」と「これから」を橋渡しする重要なアルバムだ。
その一方で、皆で一緒に歌えるような「ビール・オア・ダイ」「喰うために働いて 生きるために唄え!」など、前向きな要素が強くなっている点も特徴だ。
タイトルが示すように、これまでの怒髪天が歌ってきた日本人らしい感覚や男らしさなどをあえて前面に出している。JAPANESE R&Eを最も体現したアルバムとも言えよう。
自ら”らしさ”を守ってきたバンドが、少しずつ外に向かって開いていく過程を感じられる。近年の怒髪天を聴く上でも、ぜひ通っておきたい名盤である。
テイチク後期(2010年~2020年現在)
各方面からの注目を集め始めた時期から現在に至るまでをテイチク後期とした。楽曲提供も増え、怒髪天の楽曲もよりバリエーション豊かなものになっていった。
また増子氏の作る詞も、よりシンプルで力強いメッセージが含まれるようになっている点も特徴だ。
そんな中で特におすすめの作品が、2012年の『Tabbey Road』である。
キーボードやホーンセクションとの共演、”怒髪天&THE JOE-NETS”でのツアーを行うなど、これまでを総括しつつも、新たな試みを行っていた時期だった。
本作が作られる前には、ライブの定番曲を集めた『D-N°18 LIVE MASTERPIECE』のリリースもあった。
否が応にもハードルの上がった状況で、渾身の一作となり、大変充実したアルバムとなった。
好評だった桃屋のCMで使われた「押忍讃歌」「もっと…」「ナンバーワン・カレー」、パワフルでありながら泣ける代表曲「歩きつづけるかぎり」、スケール感のある「雪割り桜」などが収録されている。
ファンが増えてきた中で、名刺代わりとなるような1枚として出来上がった。そして40代半ばを超え、完全に開き直って作られた”おっさん”のロックを聴くことができる。
まとめ
怒髪天のはじめて聴くベストアルバム、オリジナルアルバムについて紹介してきた。
ベストアルバムは、
- 『問答無用セレクション“金賞”』
- 『D-stance “FREIHEIT YEARS 1999-2004”』
オリジナルアルバムは、
- 『TYPE-D』
- 『トーキョー・ロンリー・サムライマン』
- 『Tabbey Road』
がおすすめである。案の定、たくさん紹介してしまったが、気になる作品を選んでもらえればと思う。
怒髪天の楽曲は、僕たちにパワーをくれる。しかし、安易な応援歌を歌っているバンドではない。
怒髪天は決して「頑張れ」と無責任に言わないのだ。作詞をする増子氏自身も、他人から「頑張れ」などと言われたくないと語っている。
自分を奮い立たせるものは、自分しかいない。そう考える増子氏は、自分を肯定し、励ますような歌を作っている。
そして2011年の東日本大震災の復興支援のために作られた「ニッポン ラブ ファイターズ」でも、「俺がやるんだ!」と高らかに歌っている。
生きていくことに誠実なメッセージを込めているからこそ、幅広い層から支持を受けているのだと思う。
今回の記事が怒髪天の音楽を知るきっかけになってくれればと思っている。
※次回:【初心者向け】”はじめてのアルバム” – 第4回:奥村愛子
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コメント
憲法改正を急ぐ理由を知って下さい
管理人様、お邪魔致します。
改憲の議論が進まぬ中、中国が連日 日本の領海侵犯を強化し、尖閣奪取を狙っている現状を、中国に侵略されたチベットや、今の香港等の姿と重ねて多くの皆様に今どうか知って頂きたく思い、恐れながら書き込ませて頂きました。
戦後日本を弱体化させる為、アメリカが作成した日本国憲法施行後、韓国が竹島を不法占拠し、その際日本の漁船を機関銃で襲撃し、多くの船員が死傷しました。
北朝鮮は国民を拉致し、日本全土を射程に入れるミサイルを数百発配備しており、尖閣には連日中国艦艇が侵犯する現状でも、憲法の縛りで日本は国を守る為の手出しが何一つ出来ません。
現在まで自衛隊と米軍の前に、中国や北朝鮮の侵攻は抑えられて来ましたが、米軍がいつまでも守ってくれる保証は無く、
時の政権により米軍が撤退してしまえば、攻撃されても憲法により敵基地攻撃能力が無い自衛隊のみでは、
日本はチベットと同じ道を辿りかねません。
9条の様に非武装中立を宣言しても、平和的で軍事力の低かったチベットウイグルを武力で侵略虐殺し、現在進行形で覇権拡大を行い「日本の領海を力で取る」と明言している中国や
核ミサイルで日本を狙う北朝鮮、内部工作を行う韓国が沖縄尖閣等から侵略の触手を進めているからこそ、GHQの画策により戦う手足をもがれた現憲法を改正し、
自立した戦力と抑止力を持たなければ国民の命と領土は守れないという事を
中韓側に立ち国民を煽動する野党やメディアの姿と共に 一人でも多くの方に知って頂きたいと切に思い貼らせて頂きます。
https://pachitou.com
長文、大変申し訳ありません。