2021年1月~2月 よく聴いたおすすめアルバム5選(syrup16g, Cabaret Voltaire, 中山美穂, Caterina Barbieri, 児島未散)

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音楽
画像出典:Amazon

早くも2月も終わろうとしている。皆さんはどんな音楽を聴いているだろうか。

筆者がこの1~2か月でよく聴いたアルバムを、日記的に書き残すような記事を書き続けている。

今回は歌モノと実験音楽的な物の、ある意味両極のアルバムが並んでいる

先月(12月~1月)のよく聴いた5枚についての記事

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syrup16g – delaidback (2017)

syrup16gは1996年に結成された日本の3ピースロックバンドである。2008年に一度解散するも、2014年に活動を再開して現在に至っている。

”病んでいるような音楽”というと色々と語弊はあるが、ネガティブな世界観に根強いファンは多い。音楽的にはニューウェイブやポストパンクなどを感じさせる。

筆者は熱心なファンではないが、いくつか好きな曲があり、「Sonic Disorder」は特に好きな曲だ。

Reborn」も名曲だなと思う。

今回取り上げたのは、再結成後に発売された未発表曲を集めた2017年のフルアルバムだ。未発表曲集と聴くと、”イマイチな曲の寄せ集めでマニア向け”というイメージがあるが、本作は全く違う。

楽曲としてはギター・ボーカルの五十嵐隆氏がソロで行ったライブ「生還」で披露されたもの、「犬が吠える」名義で作られたもの、Syrup16gとしての未発表曲などで構成されている。

各楽曲の細かい情報は筆者は知らないものの、シンプルにアルバムとして聴いて、良い曲が並んでいると言う印象だ

もともとSyrup16gの楽曲の中でも歌メロが美しいものを好んでいたので、本作は歌モノが多数収録されているので、非常に好みである。

また解散前のアルバムにあるような”息苦しさ”のような雰囲気がなく、風通しの良い音がとても多い。五十嵐氏のボーカルも少し枯れた声となり、全体的に力が抜けた良い演奏となっている。

バンド自体に何か変化があったのだろうか。もともと多作だと言う五十嵐氏だが、バンドとしてアレンジし、1曲としてしっかり仕上げるという作業がとても大切になる。

今回の作品では、バンドとしての一体感が感じられた。またしばらく活動は表立っていないようだが、どんな作品がリリースされるのか注目したい。

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Cabaret Voltaire – Shadow of Fear (2020)

Cabaret Voltaireは実験音楽やダンスミュージックを行うグループである。1973年にイギリスで結成され、1994年に活動停止していたが、26年ぶりに発表されたのが本作である。

筆者は全く知らなかったグループだが、初期は実験音楽インダストリアル・ミュージックと呼ばれるジャンルのグループだったようだ。

1983年にリリースされた『The Crackdown』以降はダンスビートとの融合により、路線変更しているようだが、実験的な要素はこの時代も感じられる。

以上のようなこれまでの歴史は後から知って、実はなんとなくジャケットの雰囲気で手に取ってみたのが本作『Shadow of Fear』であった。

2曲目の「The Power (Of Their Knowledge)」は単調なビートの繰り返しの中で、音が切り貼りされている。様々な音が現れては消えていくような騒がしさがあって面白い。

7曲目の「Vasto」では、よりダンスミュージック的なビートがある。しかしポップな要素はなく、機械的に織り込まれた音が連なっていく楽曲は、全体的に一貫している。

2曲を聴いただけでも、一貫した音楽性を感じ取ることができる。そして全くポップな要素を感じさせない、ドライで機械的なサウンドがかえって心地よさを感じられる。

あまりこのジャンルの音楽は聴いていなかったが、あまりに先鋭的過ぎる音楽は少し苦手意識がある。ただ本作は実験的要素とアンビエント的な心地よさが絶妙に良いバランスに感じた。

限りなくメロディアスな要素は排した作品ではあるが、音に沈み込むような環境音楽的な心地よさは感じられる。その点において、快感が得られる作品であり、何度も聴きたくなる作品なのだ。

中山美穂 – CATCH THE NITE (1988)

趣向を変えて、一気にポップな作品である。中山美穂の1988年に発売されたアルバムで、プロデュースは角松敏生によるものである。

筆者は角松敏生氏の音楽をよく聴いており、その中で全面プロデュース作品であるこのアルバムに行きついた。そんな角松氏のサウンド面の注目して、このアルバムをよく聴いている。

中山美穂氏が杏里のアルバム『Bi・Ki・Ni』を愛聴しており、その制作に関わっている角松氏に楽曲提供を依頼したことに始まっているようだ。

1987年に角松氏の作詞・作曲・編曲によるシングル「CATCH ME」がオリコンチャート1位を獲得し、角松氏が全面的にプロデュースする本作へとつながった。

本作は1988年2月22日のオリコンアルバムランキングで1位を獲得し、2位には角松氏自身の『BEFORE THE DAYLIGHT』がランクインするという快挙を成し遂げている。

本作の見どころは、まずプロデュース的にも絶頂期と言って良い角松氏のアレンジ、アルバムの構成力である。ポップでありながら、先進的なアレンジは今聴いても隙がなくカッコいい。

AORに影響を受けた音楽から活動をスタートし、より新しいものをいち早く取り入れた。この”隙のなさ”こそが角松氏の特徴とも言える。

良い音を追求してきた角松氏だけに、本作もぜひリマスター盤で聴いてほしいと思う。

ここまで角松氏の話ばかりだが、中山美穂氏の歌唱も見逃せないところ。決して抜群に上手い訳ではないが、角松氏のメロディを見事に歌っている。

角松氏の作るメロディは簡単ではないため、歌うのも容易いことではない。クールな歌唱だが、歌いきるには苦労もあったことだろうと推測される。

当時の最先端の音を詰め込んだ名作である。角松ファンはもちろん、ダンスミュージックが好きな人にもお勧めしたい作品だ。

Caterina Barbieri – Ecstatic Computation (2019)

続いては、気鋭の電子音楽家のCaterina Barbieriのアルバムである。この作品もジャケットを見て何となく良さそう、と思って手に取ったので、情報はすべて後付けだ。

Caterina Barbieriベルリンを活動拠点とするイタリア出身の電子音楽家/サウンドアーティストとのこと。ドローンと呼ばれる、変化のない音が継続するようなジャンルを得意としているようだ。

そして「ミニマリズム、減算合成、インド伝統音楽」などとの関連があり、サウンド的には徹底してミニマルなものとなっている。

本作『Ecstatic Computation』は、かつてのアルバムよりわかりやすい内容になっていると言う。確かに聴いてみると、決して取っつきにくい内容ではなく、心地よい音が流れてくる。

「Fantas」は10分超えの長尺であるが、少しずつ変化していく音の流れに身を任せると、快感が押し寄せて来ることだろう。

また「Arrows of Time」はバロック音楽のような古典的な音色を取り入れている。Cocteau TwinsやDead Can Danceなどを彷彿させる。

筆者の中ではアンビエントドローンが一時期マイブームとなっていた。中でもミニマルなもの、それでいて神々しさのある作品を好んでいたところである。

そういった好みの人にとっては、ぜひおすすめしたい作品だ。単調な繰り返しの中で、少しずつ音が変化していくような作品であり、得も言われぬ快感の作品だ。

児島未散 – ジプシー (1991)

最後に紹介するのは、児島未散のヒット作「ジプシー」を含むアルバムである。この作品は最近初めて聴いたのではなく、前から聴き続けてきた作品である。

児島未散は1985年にシングル「セプテンバー物語」をリリースして歌手デビュー。シングル14枚、アルバム8枚をリリースし、1995年を最後に歌手活動は休止していた。

2016年よりSNSを立ち上げ、現在は再び歌手活動を行い、新曲も披露している。

児島未散氏の音楽は、1980年代はシティポップ的なサウンドであった。1985年の名盤1stアルバム『BEST FRIEND』は、夏を感じさせる爽やかなアルバムだ。

制作陣も松本隆、林哲司、松原正樹など、まさにそう言った路線に強いメンバーによって構成されている。児島氏のボーカルも、爽やかで可愛らしいような印象を受ける。

しかし本作『ジプシー』はその路線とはまた異なる児島未散氏の魅力を引き出した作品だ。表題曲「ジプシー」からアルバムは始まるが、大人らしく、そして儚げなボーカルを押し出している。

そして作曲はほとんど馬飼野康二氏が担当しており、「ジプシー」以外にも「ミスティ」や「季節の終りに」など艶やかで儚げなボーカルが印象的な楽曲が多くなっている。

その他の楽曲も、しっとりと大人になった児島氏の魅力が詰まっている。この作品は「ジプシー」のヒットにもあるように、児島氏の潜在的な魅力に焦点を当てた点で優れた作品だと感じた。

違った視点で言えば、80年代から90年代にかけての女性歌手の音楽性の移り変わりも見て取れる。80年代の女性歌手やアイドルは少なからず、AORやシティポップ的要素を持つものが多かった。

90年代に入ると、徐々にAORブームは過ぎ、しっとりとしたポップス路線が流行している。弾けるようなサウンドから、穏やかな歌モノへ、という流れは児島氏にも顕著に見られる。

そんな流れもありつつ、児島氏が持っていた儚げなムードを見事に引き出し、独特の魅力を持つ作品となった。今なお色あせない名作である。

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