【2016年】人間椅子日記その9(怪談 そして死とエロス) – 再ブレイク期から安定期へ

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前回の【2014年~2015年】人間椅子日記その8(無頼豊饒)

僕が人間椅子のファンになった2000年頃から、当時のことを振り返ろうという記事の9本目である。今回は2016年についてだ。

※これまで2年ごとに更新していたが、情報量が多くなってきたので、今回から1年に変更した。

2度にわたるOZZFEST JAPAN、渋谷公会堂公演での満員御礼など、一回り大きくなった人間椅子である。対バンやイベント出演も含め、ライブ活動が非常に活発だった時期である。

2016年と言えば、何といっても1年の間に3回も全国ツアーが行われており、まさに”売れっ子”状態の忙しさであった

思い出されることがたくさんありすぎて忘れかけていることも含め、過去の記録をたどりつつ、人間椅子の2016年を振り返りたい。

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2016年の出来事と感じていたこと

2016年は19thアルバム『怪談 そして死とエロス』のリリースから始まり、非常に好評だったこの作品のツアーは、追加公演まで行われた。

年間3本の全国ツアーに対バンやイベントも多数あり、筆者が参加したライブもかなり多い年だった。

筆者としても『怪談 そして死とエロス』は気に入っている作品である。そしてライブも少しずつ過去のレア曲を交えた内容となり、セットリストも楽しいものになってきたのがこの頃だ。

19thアルバム『怪談 そして死とエロス』発売

  • 発売日:2016年2月3日、2021年11月24日(UHQCD再発)
  • 発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • メンバー:和嶋慎治 – ギター・ボーカル、鈴木研一 – ベース・ボーカル、ナカジマノブ – ドラムス・ボーカル
no. タイトル作詞作曲時間
1恐怖の大王和嶋慎治和嶋慎治6:34
2芳一受難和嶋慎治鈴木研一4:55
3菊花の数え唄和嶋慎治和嶋慎治3:21
4狼の黄昏和嶋慎治鈴木研一3:35
5眠り男和嶋慎治和嶋慎治5:17
6黄泉がえりの街和嶋慎治鈴木研一4:26
7雪女和嶋慎治和嶋慎治4:46
8三途の川和嶋慎治鈴木研一6:09
9泥の雨和嶋慎治和嶋慎治4:54
10超能力があったなら和嶋慎治ナカジマノブ4:06
11地獄の球宴鈴木研一鈴木研一2:55
12マダム・エドワルダ和嶋慎治和嶋慎治7:49
合計時間58:47

2016年の人間椅子の幕開けは、19thアルバム『怪談 そして死とエロス』のリリースからだった。

レコーディングは、なんと年末年始をはさんで行われたと言うことで、その作業工程はなかなか大変だったということが後に語られていたのを思い出す。

前作は2014年の『無頼豊饒』であり、タイトルやコンセプトがやや難解だった反動か、人間椅子がずっと描いてきた日本的な怖さを改めて中心テーマに据えた作品だと言う。

しかしそれではコンセプトに乏しいというので、初めて副題が設けられた。”死とエロス”というどこか怪しげな副題だが、裏を返せば命の大切さを述べたいと言うことらしい。

当時を思い出すことと言えば、最初に解禁された楽曲は「恐怖の大王」であった。これは前作の「なまはげ」の延長線上にあるような曲調で、それほど衝撃はなかった。

一方で衝撃的だったのは「芳一受難」である。「恐怖の大王」の次に解禁となったが、確か以下の「旅と音楽」という番組告知の動画のBGMにサラッと流れていたのが最初だったのではないか。

激しいビートにヘヴィなリフ、そして鈴木氏の狂気を感じさせるボーカルが、小さな音量でよく聞き取れないのだが、それでも耳に残って仕方がない。

2016年にあって、エアチェック的な出会い方をした「芳一受難」であるが、だからこそ思い入れの強い曲のようにも思える。

そして作品全体を聴いてみると、和嶋氏・鈴木氏が久しぶりに拮抗するような、力強い作品になっているのがわかる。

これまで和嶋氏の覚醒とでも言える、和嶋氏フィーバー状態だったのが、鈴木氏も「芳一受難」「黄泉がえりの街」など、”らしい”曲調が戻ってきた感がある。

テーマ的にも従来の人間椅子の作風を再確認できたようなアルバムであり、この時代の中で重要な作品と捉えている。

また2013年頃から続く、人間椅子の熱狂は作品にも表れており、それはメタル的な激しさとして体現されていた。

しかしこの辺りから人間椅子再ブームの熱狂が緩やかに収まっていく雰囲気があり、前作までに比べると、人間椅子らしさが戻ってきた感覚もあったように記憶している。

帰ってきた人間椅子倶楽部 vol.04 

ニコニコ生放送にて、「帰ってきた人間椅子倶楽部vol.04」が2月3日放送された。

今回はアルバム発売日当日に行われたが、前半はひたすらメンバーが鍋を食べると言う相変わらずの緩さである。

メンバーそれぞれが具材を持ち寄って鍋をしながら、味付けや具材についてあれこれ話すのだが、当時はまだそこまでメジャーではなかったユーチューバー的なものであった。

また節分にちなんだ鬼のイラストの募集なども行われた。

演奏はアコースティック編成で、和嶋氏はアコースティックギター、鈴木氏は通常のベース、ナカジマ氏は電子ドラムであった。

「りんごの泪」が披露され、後半はプレミアム会員限定公開だったが、現在はYouTubeで全て見ることができる。

後半は「マダム・エドワルダ」「ねぷたのもんどりこ」が披露された。鈴木氏の楽曲は新鮮であったが、「マダム・エドワルダ」はこの編成の方がしっくりくるくらいである。

『怪談 そして死とエロス』インストアイベント+筆者参加のイベントレポート

『怪談 そして死とエロス』インストアイベントは大規模に行われた。関東圏のみならず、インストアのツアーとでも言ったような内容である。

その日程はライブツアーの前に東名阪を回り、ツアー中に近い場所(福岡、札幌)の2か所をめぐるものである。

日程は以下の通りであった。

  • 2/6(土)タワーレコード名古屋近鉄パッセ店 トークショー+握手&メンバーとの4ショット撮影会
  • 2/7(日)タワーレコード難波店 トークショー+握手&メンバーとの4ショット撮影会
  • 2/11(木・祝)ディスクユニオン dues 新宿 トークショー+握手&ジャケットサイン会
  • 2/11(木・祝)ヴィレッジヴァンガード下北沢店 トークショー+握手&メンバーとの4ショット撮影会
  • 2/14(日)タワーレコード渋谷店 B1F 「CUTUP STUDIO」 ミニライブ
  • 2/22(月)書斎りーぶる トークショー+握手・メンバー&掟ポルシェ氏との5ショット撮影会
  • 3/10(木)HMV札幌ステラプレイス トークショー+握手&メンバーとの4ショット撮影会

なおそれ以外にも、『怪談 そして死とエロス』を購入すると、楽屋招待の権利が当たる応募券が封入されていたが、こちらはイベント自体が中止となった。

また2月2日(火)~2016年2月8日(月)の期間で、タワーレコード新宿店にて「人間椅子~OZZFEST JAPAN 2015 LIVE写真~パネル展」と「人間椅子メンバー愛用楽器展示」を同時開催していた。

その当時に筆者が撮影した写真が以下の通りである。

さて、筆者はインストアイベントのうち、2/11のディスクユニオン dues 新宿、2/14のタワーレコード渋谷店の2つのイベントに参加していた。

ディスクユニオンdues新宿でのイベントはトークショーと握手、ジャケットサイン会だった。記憶に残っていることはなかったが、当時のツイートに以下のようなものがあった。

どうやらこの当時、メンバー3人とも目撃した後だったようである。最初に目撃したのはナカジマ氏であり、新高円寺駅前の松屋だった。

続いては和嶋氏で、新高円寺~東高円寺の間の青梅街道沿いで、最後に杉並郵便局前に制服姿の鈴木氏を目撃したのだった(当時の筆者はその周辺に住んでいた)。

おそらく今も杉並区にいるのはナカジマ氏だけだろうから、貴重な体験だった。

2/14のタワーレコード渋谷店 B1F 「CUTUP STUDIO」では、恒例のインストアライブである。新曲の初披露となるこのライブは、毎回緊張感がありつつも、楽しみなライブだ。

今回はドリンクまで作られ、楽曲のタイトルにちなんだ2種類のドリンクが販売された。

ライブ本編はアルバムの曲順通り、「恐怖の大王」「芳一受難」からスタート。「芳一受難」のお経部分、ここは果たしてどのようにファンが聴いているのか注目だった。

ライブで合唱できるように、般若心経を紹介するような檀家の人もTwitterで見かけた気がするが、さすがに大合唱とはならなかった。

当日のMCでも合唱とはなりませんでしたね、といった発言があった。

中盤はやや渋い選曲の「眠り男」「狼の黄昏」と続く。「眠り男」はギターが非常に忙しそうな楽曲であり、早くもレア曲入りを感じさせるものであった。

「超能力があったなら」は分かりやすく一緒に歌いやすい楽曲。ライブで定着しそうな予感がしていた。

「雪女」は推し曲の1つだったが、これもギターが大変そうであり、当時はこんなに定番曲として定着するとは思っていなかった。

本編ラストは「地獄の球宴」で、あえて高いキーを設定したというインタビューもあったが、既に初披露からキーは出ていない模様だった。

アンコールの「針の山」まで、比較的コンパクトな楽曲で一気に駆け抜けたライブだった。

no. タイトル
SE此岸御詠歌
1恐怖の大王
2芳一受難
MC
3眠り男
4狼の黄昏
MC
5超能力があったなら
MC
6雪女
7地獄の球宴
En.
8針の山

※参考URL

『怪談 そして死とエロス』発売記念インストアライブ@タワーレコード渋谷店 CUTUP STUDIO : 修羅草子
OP.SE:此岸御詠歌 恐怖の大王 芳一受難 眠り男 狼の黄昏 超能力があったなら 雪女 地獄の球宴 -En.- 針の山...

『怪談 そして死とエロス ~リリース記念ワンマンツアー~』

アルバムを発売して行われたツアー、今回は全国15か所という人間椅子にしてはかなり長いツアーとなった。それだけ勢いのあった時期ということが窺えるだろう。

加えて、このツアーが鈴木氏が郵便局のアルバイトを辞めて、バンドに専念するようになって初のツアーだった。それゆえにたくさんの日程を組めたと言う部分もあった。

さらにはライブの合間には、福岡と札幌でインストアイベントも行うと言う、なかなかのハードスケジュールである。ツアー日程は下記の通りだった。

2/19(金) 大阪心斎橋 BIGCAT
2/21(日) 四国高松 Olive Hall
2/23(火) 熊本 B9
2/24(水) 博多 Be-1
2/26(金) 名古屋 ELL
2/29(月) 広島 CAVE-BE 
3/1(火) 神戸 Chicken George 
3/4 (金) 仙台 enn 2 nd
3/6 (日) 青森 Quarter
3/8 (火) 宇都宮 HEAVEN’S ROCK
3/11(金) 札幌 cube garden
3/13(日) 盛岡 CULB CHANGE WAVE
3/14(月) 秋田 Club SWINDLE 
3/16(水) 千葉 LOOK
3/19(土) 赤坂 BLITZ

以下には、各ライブ終了後のオフィシャルツイートを並べてみた。

筆者はツアーファイナルの赤坂ブリッツ公演に行った。当日は完売御礼、ますます勢いを感じる人間椅子である。

会場にはArch Enemyのマイケル・アモット氏が来ていたとのこと。人間椅子を気に入っている海外ミュージシャンの1人である。

ライブの始まりは鉄板の「雪女」「地獄の球宴」でスタート。この2曲の組み合わせを、この時期のライブではよく見たような記憶がある。

インストアでも披露された「眠り男」に続くのは、かなり久しぶりの「遺言状放送」。かつては定番だったこの曲も、当時ではすっかりレア曲になっていた。

今回のライブでは、鈴木氏が新たにモッキンバードベースを、和嶋氏はレスポールを購入して臨んでいた。

和嶋氏はレスポールを持つと、Guns N’ Rosesの「Sweet Child O’ Mine」をバンドで披露する場面も。「マダム・エドワルダ」はできるだけ音源を崩さずに演奏していたが、かなり大変そうだった。

中盤はダウンチューニングコーナーが長めであったが、新曲より旧曲が多めのセットリスト。「超能力があったなら」はツアーを経て、大いにパワーアップしていた印象だった。

終盤は万歳が楽しい「人生万歳」を挟みつつ、定番曲で締めた。アンコールも含め、定番曲が多めのセットリストではあるが、新曲が濃い曲ばかりで、ライブはかなり楽しめた。

前年辺りまで、かなり人間椅子のライブのノリ方が激しいのを感じていたが、本作が割とじっくり聴ける楽曲が多いためか、ライブも良い意味で落ち着きを取り戻したように感じられた。

no. タイトル
1雪女
2地獄の球宴
3眠り男
4遺言状放送
MC
5三途の川
6マダム・エドワルダ
MC
7恐怖の大王
8芳一受難
MC
9黒百合日記
10冥土喫茶
11黒猫
MC
12超能力があったなら
13人生万歳
14人面瘡
15針の山
En.1
16新調きゅらきゅ節
17地獄
En.2
18なまはげ

4月17日(日)@EX THEATER ROPPONGI「続・怪談 そして死とエロス」

アルバム『怪談 そして死とエロス』の発売ツアーがかなり好評だったとのことで、追加公演が決定した。その名も「続・怪談 そして死とエロス」である。

アルバム発売記念ツアーであったが、思いのほか聴けず終いになっている楽曲も多いため、ツアーでやらなかった曲やレア曲も披露する、との触れ込みで告知があった。

会場は初のEX THEATER ROPPONGIであり、しかも座席指定のライブもなかなか珍しかった。この時は母が上京し、2人でライブを見たのだった。

冒頭から「菊花の数え唄」「狼の黄昏」と、ツアーファイナルでは披露されなかった楽曲からスタートである。

さっそくレア曲を、と披露された「狂ひ咲き」など、最近聴いていなかった楽曲も披露された。座席指定ということで、じっくり聴ける曲を、というMCから「芋虫」「胡蝶蘭」は圧巻だった。

そしてこの日のためにと、和嶋氏はテルミンを購入して、初めてライブで使用した。以降のライブでは大活躍のテルミンである。

ダウンチューニングコーナーでは聴きたかった「泥の雨」「黄泉がえりの街」が披露された。「黄泉がえりの街」はもはやレア曲候補と言っていたが、人気でその後も時折披露されることとなる。

後半はおなじみの楽曲ながら、早くも「雪女」は定番曲の風格を持ちつつあった。アンコール1曲目には嬉しい「幽霊列車」を挟みつつ、「地獄の球宴」で楽しく終了。

アンコール2回目に登場すると、ビッグなお知らせがあった。それは初の海外公演、それもロシアで5/12~5/14に行われる「RAMF 2016」というフェスに出演するのだと言う。

鈴木氏が上智大学のロシア語学科卒であるところに縁を感じた。さらには「地獄の道化師」と題したツアーが夏に行われることも発表された。

しかし5/9という直前に、急きょ出演が中止になると言う事態があった。同時期に各種の大きなイベントが重なるため、ロシア政府から重度なセキュリティ強化が求められ対応が難しくなったとのこと。

人間椅子ら出演のロシア公演が急遽中止
5月12日から14日にかけてロシア・モスクワで開催されるアジア文化交流フェスティバル「RAMF2016」の開催延期が発表...

残念ながら人間椅子の初海外公演は実現しなかった。ただご存じの通り、それは約4年後の2020年に実現することとなる。

no. タイトル
1菊花の数え唄
2狼の黄昏
MC
3狂ひ咲き
4地獄の料理人
MC
5芋虫
6胡蝶蘭
MC
7恐怖の大王
8芳一受難
MC
9泥の雨
10黄泉がえりの街
11深淵
MC
12超能力があったなら
13膿物語
14雪女
15針の山
En.1
16幽霊列車
17地獄の球宴
En.2
18どっとはらい

5月5日(祝・木)「第十二回 人間椅子倶楽部の集い 2016」@下北沢 GARDEN

追加公演の興奮も冷めやらぬまま、続くライブはファンクラブ限定ライブである。毎年1番楽しみにしているライブであり、レア曲のオンパレードになる。

前年は個人コーナーが長く感じられ、その点はやや不満だったが、順番からすると今年はカバーになるだろうと予想していた。

今回も開演前からメンバーによるDJコーナーが行われた。印象的だったのは鈴木氏のディスコナンバー特集と言うことで、曲に合わせて準備運動する様子であった。

ライブ本編について、前半はナカジマ氏加入後のレア曲中心のセットリストであった。「月下に捧ぐ舞踏曲」はなかなかにレアな楽曲となっていた。

メンバーコーナーは予想通り、カバー曲だった。今回は各メンバー選曲による洋楽ハードロックカバー、という王道の選曲だ。

和嶋氏の「Whole Lotta Love」はレスポール・テルミン購入記念といった選曲だった。鈴木氏の「Enter Sandman」は、人間椅子とかなり曲調は重なる楽曲だと思う。

ダウンチューニングコーナー4曲はなかなか渋いチョイス、後にファンクラブ会報にて「沸騰する宇宙」「胎内巡り」辺りはメンバーも手ごたえがあったと書かれていた。

長尺の「世界に花束を」、そしてかつての定番曲「天体嗜好症」は嬉しい選曲。「天体嗜好症」のAメロ手拍子をする人が減っていて、時代を感じたのだった。

本編締めの「大予言」はこの年1番のレア曲だったのではないか。

抽選会を経てのアンコールは「人間椅子倶楽部」「りんごの泪」とテンションは最高潮。何となく終わりそうな雰囲気だったが、アンコールを続けるともう1曲急きょ演奏することに。

本当のアンコールは「針の山」で、会場のテンションはさらに上がって大満足にてライブ終了。やはり真のアンコールは盛り上がるものだ、と思った。

no. タイトル
SE此岸御詠歌
1鉄格子黙示録
2転落の楽典
MC
3太陽の没落
4月下に捧ぐ舞踏曲
MC
5Running Free(Iron Maiden、ナカジマ氏
6Whole Lotta Love(Led Zeppelin、和嶋氏)
7Enter Sandman(Metallica、鈴木氏)
MC
8沸騰する宇宙
9悪霊
MC
10胎内巡り
11衛星になった男
MC
12世界に花束を
13天体嗜好症
MC
14孤立無援の思想
15愛の言葉を数えよう
16大予言
抽選会→En.1
17人間椅子倶楽部
18りんごの泪
En.2(予定にないアンコール)
19針の山

ワンマンツアー「地獄の道化師」

2016年2本目のツアーは初夏~夏の時期にかけて行われた。「地獄の道化師」ツアーである。

4月の追加公演で告知になったツアーであり、今回は長野、新潟など、普段あまり行っていない場所に訪問していた。ツアー日程は下記の通りである。

6月29日(水) 長野 CLUB JUNK BOX
7月1日(金) 新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE
7月3日(日) 高松 Olive Hall
7月5日(火) 名古屋 Electric Lady Land
7月8日(金) 大阪 味園ユニバース
7月10日(日) 東京 新宿ReNY
8月9日(火) 仙台 CLUB JUNK BOX
8月11日(祝木)青森 Quarter

今回は、告知用の映像が作られた。

ライブ終演後(一部ないものは開演前)のツイートをまとめた。

今回も筆者は東京公演のみ参加した。なお6月の段階で、東京公演が完売となるなど、かなり勢いを感じた。

そのため、ニコニコ生放送での配信が決定したのだった。

当日の開演前BGMはブルーオイスターカルトだったと当時の筆者のTwitterに書かれていた。

このライブは後に、ライブアルバム『威風堂々〜人間椅子ライブ!!』に収録されたので、記憶が補正されているものである。それにしても内容の良いライブだった、と記憶に残っている公演である。

今回のライブ1曲目は、アルバム発売ツアーと同じく「雪女」。新曲から演奏するというところに、新作の自信がうかがえるところだ。

すかさず久しぶりに披露される「怪人二十面相」が嬉しい選曲。再び和嶋氏は新しめの「宇宙からの色」を披露すれば、鈴木氏は懐かしい「天体嗜好症」である。

今回のセットリスト、新旧のバランスが絶妙であり、定番とレアのバランスもちょうど良いのだ。

じっくり聴かせる「狂気山脈」「夜叉ヶ池」は初期の定番。「夜叉ヶ池」はここ最近和嶋氏のキーが出ない問題があったが、後半をダウンチューニングにすることで回避した。

和嶋氏はダブルネックなのでこれまでと変わりないが、鈴木氏は今まで覚えたフレーズを全て移調しなければならなかったので、かなり大変だったことだろう。

ダウンチューニングコーナーでは、1995年の名盤『踊る一寸法師』から「暗い日曜日」「踊る一寸法師」が立て続けに披露されているのも嬉しい並びだ。

そしてダメ押しの「東京ボンデージ」で、昔からのファンにとっては歓喜の流れだった。

この当時は人間椅子倶楽部の集いで披露され、手応えのあった楽曲は、その後のワンマンライブで披露される傾向があった。

「愛の言葉を数えよう」もその1つであり、リリース当時は定番化していたが、頻度が落ちた曲だった。ライブ終盤は定番曲で固め、景気よく終わったライブだった。

ワンマンライブのセットリストとしては、現在に至るまでを考えても、トップクラスの内容だと思う。新曲や定番もきっちり披露しつつ、レア過ぎない、でもレアな曲が散りばめられている。

このライブが映像として残ったのは非常に意義深いと感じている。

no. タイトル
SE此岸御詠歌
1雪女
2怪人二十面相
MC
3宇宙からの色
4天体嗜好症
MC
5狂気山脈
MC
6夜叉ヶ池
MC
7恐怖の大王
8芳一受難
9暗い日曜日
MC
10踊る一寸法師
11東京ボンデージ
MC
12超能力があったなら
13膿物語
14愛の言葉を数えよう
15針の山
En.1
16迷信
17地獄の球宴
En.2
18なまはげ

ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016

人間椅子がROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016に参加する、というのはかなり珍しいことであった。いわゆるロキノン系と言われるバンドとは程遠い音楽性である。

8月6日の出演が決まっていたのだが、最初は観に行く予定ではなかった。しかし、知人が当日別のアーティストの関係者と繋がっている関係で、招待券を貰えたのだった。

筆者としても初の夏フェス、その知人とともに灼熱のひたちなかに行ったのであった。

人間椅子の出番は比較的早かったので、朝から現地に赴いた。とにかく暑かったことだけが記憶に残っているくらいである。

人間椅子と後半が被る形でBABYMETALが次に控えていたため、知人は人間椅子には参加せず。私1人で観ることとなった。

当日の写真やレポートは、以下の記事に詳しく出ている。

ロケットニュース24:【ライブレポート】人間椅子「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」初参戦! 灼熱の太陽をも凌ぐアツいパフォーマンスで聴衆を圧倒!!

【ライブレポート】人間椅子「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」初参戦! 灼熱の太陽をも凌ぐアツいパフォーマンスで聴衆を圧倒!!
2016年8月6日から4日間(8/6・7、13・14)の日程で開幕した、日本屈指の規模を誇る「ROCK IN JAPAN...

人間椅子の出番はBUZZ STAGEにて11:25からであった。屋根のあるステージであり、日差しの照り付ける中でのライブではなかった。

音出しの段階から会場にいたが、まだ人はまばらな状態で、かなり前の方に陣取ることができてしまった。個人的にはこういう時は後ろから会場の様子を見たかったのだが、前で見ることとした。

音出しでは「死神の饗宴」「恐怖の大王」の一部が披露されるが、やはりお客さんが少なく、それほど反応はない様子であった。

そして本番は「なまはげ」からスタート。1曲目からかなりヘヴィな楽曲であり、あまりこうしたサウンドに馴染みのない人たちは、驚きの様子もあったようである。

鈴木氏のパフォーマンスからギターソロと、ライブの見せ所も多いこの曲は、早くも少なかった会場に人が増え始めている。

続く「芳一受難」もヘヴィながら、スピーディーに展開していく楽曲であり、ライブの流れが出来ていく。「相剋の家」まで一気に進み、人間椅子の圧倒的演奏力を見せつけた。

ここで挟まれたMCは長くなってしまったようで、川端さんが巻きのサインを出し続けていたようだが、続く楽曲は「宇宙からの色」で、近年の勝負曲を惜しみなく展開する。

ラストは「針の山」であり、この頃には明らかに会場に人が集まり、初めて人間椅子を見たであろう人たちもこぶしを挙げていたのが印象的だった。

こう言ってはいけないかもしれないが、あの現場でここまでの演奏力と凄まじいサウンドを出せるバンドも人間椅子くらいだったと思う。

あの会場に来た人たちは本物の音を聴けたことだろう。

その後の筆者は、BABYMETALを途中から見て、オリジナルラヴを見られたのが印象に残っている。

8月21日(日) 東京 豊洲 PIT「地獄のアロハLIVE Blu-ray&DVD 発売記念ツアー」

何と8月2本目の人間椅子のライブに行くことになった。

それは2015年6月7日に渋谷公会堂で行われた筋肉少女帯人間椅子のライブを映像化した「地獄のアロハLIVE 2015 at 渋谷公会堂」の発売記念ツアーである。

2012年の対バン、そして2015年の渋谷公会堂に続く筋肉少女帯と人間椅子のライブ参加である。毎回お祭りのように楽しいライブなので、今回も行くことにした。

今回も先攻は人間椅子である。「雪女」「地獄の球宴」と、新譜からの鉄板の流れからスタートである。

人間椅子は2015年の渋谷公会堂でもそうだったが、往年のヒットパレード的なセットリストにはせず、その時の最新曲をしっかりと入れ込んでいく。

そしてシングル『地獄のアロハ』はカバーした筋肉少女帯の「少年、グリグリメガネを拾う」を律義に今回も披露した。人間椅子の曲かと思う楽曲なので、本人たちも気に入っているのだろう。

またしても新譜から「恐怖の大王」「芳一受難」と、当時のツアーでやり込んだ楽曲を披露していく。こうした対バンで「陰獣」を披露しないのも人間椅子らしいと言えるかもしれない。

人間椅子は全9曲で、あっという間に駆け抜けたライブだったような気がする。

筋肉少女帯の部分は割愛させてもらって、最後は筋肉少女帯人間椅子のライブである。

今回も最初は筋肉少女帯の橘高氏がボーカル、内田氏がギターを弾くバンド「ブラック菩薩」+人間椅子が登場し、「Warpigs~Paranoid」を披露する。サバスのカバーも定番化している。

続くは大槻氏、本城氏と人間椅子で「君は千手観音」である。この曲も人気のある楽曲ながら、こうしたコラボが行われる時にしか聞けないレアな楽曲だ。

続くKISSのカバー「Rock’n Roll All Nite」は、人間椅子+橘高氏、本城氏、内田氏と言う編成。人間椅子は出ずっぱりで、筋少のメンバーが加わっていくスタイルも面白い。

そして筋肉少女帯人間椅子のデビュー曲「地獄のアロハ」、双方の定番曲「りんごの泪」「釈迦」にて終了。それぞれの楽曲では普段聞けないギターソロバトル的な場面もあって面白かった。

アンコールではメンバー全員がアロハシャツに着替えて登場。不思議な空間の中で「地獄のアロハ (Heavenly version)」にて幕を閉じた。

概ね2015年の渋谷公会堂と似た曲目であったため、それほど新鮮味はなかったように記憶している。たまに開かれるお祭り、という感じで楽しめたライブだった。

※人間椅子セットリスト

no. タイトル
SE此岸御詠歌
1雪女
2地獄の球宴
MC
3少年、グリグリメガネを拾う
MC
4恐怖の大王
5芳一受難
6なまはげ
MC
7超能力があったなら
8新調きゅらきゅきゅ節
9針の山

帰ってきた人間椅子倶楽部 vol.05

2016年2回目の帰ってきた人間椅子俱楽部の放送である。10月5日の放送ということで、今回はリリースではなく、秋のツアー直前の告知の意味もあったのであろう。

しかし5回目は前回以上にユルい番組となっている。

メンバーがテントの中から登場するという不思議な始まり方から、キャンプ料理を作ってみようという企画である。

鈴木氏は自身の企画、ハードロック喫茶ナザレスで行ったたこ焼きを作り、和嶋氏はご飯を炊くというもの。最後にナカジマ氏がダムカレーを作る場面もある。

本人たちもやや反省しているように、前半のキャンプご飯づくりが間延びしてしまったため、企画されていたイントロクイズが中止となってしまった。

また事前に募集していた、行楽をテーマにしたメンバーの似顔絵紹介もあった。

後半は恒例のアコースティック編成での演奏である。選曲は「天体嗜好症」「芳一受難」「泥の雨」と、なかなか渋い選曲でよかった。

注目は「芳一受難」で、般若心経を読む部分は、本当に読経するような形にアレンジされているのが面白い。こうしたアレンジをサラッと加えるところが、人間椅子らしくて良い。

旧譜UHQCDの13作品の再発売

8月29日に、何とメルダックからリリースされていた旧譜13タイトルがUHQCDになって再発というニュースが入ってきた。

正直なところ「UHQCD」とは何ぞや?という感じではあったが、調べてみると、リマスターによって音質が大きく向上したCDになったということだった。

13タイトル全て実家にあったり、自分の家にあったり、としていたので、全部を買おうとはならなかったが、自分が特に気に入っている作品だけ最初に買おうと決めた。

それは2001年の10thアルバム『見知らぬ世界』である。自分にとって最初の人間椅子の”新譜”であり、中学生時代に最も聴き込んだアルバムだったからだ。

さっそく買って聴いてみると、これがかなり良い音になっているのだった。もともとヘヴィなサウンドのアルバムだったが、その奥行きと言うか深みがさらに増している感覚である。

これは他の作品も買わねばと思った次第である。その後に、筆者の好きな時期の『怪人二十面相』や『二十世紀葬送曲』などを買った。

また実家では初期の『人間失格』~『黄金の夜明け』までをひとまず購入したようである。そして『人間失格』の大幅な音質改善は、目を見張るものがある。

改めて、1st『人間失格』だけは、当時のCDを持っている人も絶対に買い直すことをおすすめする。

なお11月23日にはシングルと言う形で『針の山』のアナログ盤もリリースされた。

秋の全国ツアー「地獄の季節」

2016年の最後を締めくくる、3度目のツアーが行われた。タイトルは「地獄の季節」である。

この当時はツアーが多くて嬉しかったものだが、後からライブアルバムのためにいくつもツアーをやって、良いテイクを集めていたことが分かる。

その結果、次の年にリリースされた『威風堂々〜人間椅子ライブ!!』は楽曲のバラエティに富んだ、クオリティの高いライブアルバムに仕上がったと思う。

それはさておき、12本にわたる長めのツアーであり、茨城や岩手など、今回も普段あまり行っていない県も回っている。ツアー日程は下記のとおりである。

10月29日(土)茨城 mito LIGHT HOUSE
10月31日(月)兵庫 Chicken George
11月2日(水)福岡 Be-1
11月4日(金)広島 BACK BEAT
11月5日(土)香川 高松Olive Hall
11月7日(月)愛知 Electric Lady Land
11月8日(火)京都 KYOTO MUSE
11月10日(木)大阪 umeda AKASO
11月13日(日)青森 Quarter
11月15日(火)北海道 cube garden
11月17日(木)岩手 CLUB CHANGE WAVE
11月19日(土)東京 TSUTAYA O-EAST

各会場の終演後の公式Twitterの一覧である。

さて今回も東京公演、TSUTAYA O-EASTに参加した。新宿や赤坂などを回って、渋谷の会場は久しぶりであった。

今回もニコニコ生放送にて生中継されることとなった。

ライブは「阿呆陀羅経」「ねぷたのもんどりこ」と、少し前の定番曲2曲で景気良くスタート。そして今回はツアーの途中に、旧譜13作の再発があったので、旧譜からふんだんに披露されるとのこと。

さっそく懐かしい「羅生門」「幽霊列車」と、かつての表題曲や推し曲が続いていく。若干和嶋氏の緊張が見える様子だったが、そのピークは次の「幻色の孤島」であった。

それは中間部に入るアルペジオの部分、静寂の中で和嶋氏は弾き始めを間違えてしまうという、放送事故のような状態になってしまった。

「プログレッシブなひやひやする演奏をしてしまった」と後のMCで述べつつ、そこで吹っ切れて「人間失格」ではしっかり立て直していた。

ダウンチューニングコーナーでは、「痴人の愛」「今昔聖」辺りがやや久しぶりの選曲。「痴人の愛」の後半のアルペジオが、間違ったフレーズのままだったのが気になった。

ライブ終盤は、この時期に鉄板となった「地獄の球宴」「雪女」をやっていた。

アンコールでは「ダイナマイト」を披露し、この時は鈴木氏がハンドマイクでパフォーマンスをするというシーンがあった。

そしてアンコール2回目に登場した際には、ライブ盤の発売、そして自伝本の発売が発表された。この時はまだ『屈折くん』というタイトルは告知されていなかったようだ。

さらにはツアー日程も発表され、来年の活動が早くも明らかになって嬉しいワンマンラストであった。

やや和嶋氏の調子が良くない感じもしたが、何とか2016年のツアー3本を完走できたというところだ。

ライブ盤発売の告知

和嶋氏の高い跳躍

セットリスト

no. タイトル
SE此岸御詠歌
1阿呆陀羅経
2ねぷたのもんどりこ
MC
3羅生門
4幽霊列車
MC
5幻色の孤島
6人間失格
MC
7芳一受難
8泥の雨
MC
9痴人の愛
10洗礼
11今昔聖
MC
12超能力があったなら
13地獄の球宴
14雪女
15針の山
En.1
16新調きゅらきゅきゅ節
17ダイナマイト
En.2
18どっとはらい

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