【人間椅子】静か過ぎる?バンド生活35周年の幕開け – 人間椅子の現在地とこれから

スポンサーリンク
人間椅子
画像出典:激ロック:LIVE REPORT

2023年はアルバム『色即是空』をリリースし、リリースツアーでは各地で最高動員数を記録し、ますますファンからの支持が厚くなっている人間椅子である。

2024年はバンド生活35周年の年に入るとあって、さぞやてんこ盛りの1年になるのか、と思っていたが、今のところ驚くほど静かな幕開けとなっている。

ひとまず35周年のイベントとして、4月にはワンマンツアー「バンド生活三十五年~猟奇第三楽章~」の開催が決定している。

ただ30周年だった2019年、さらには25周年だった2014年の頃の熱狂を思い出すと、静か過ぎるようにも感じてしまう。

なぜ”静か過ぎる”と感じる状況になっているのか。今回はその理由を推測しつつ、人間椅子の現在地・これからについて、勝手に考えてみよう、という記事である。

スポンサーリンク

”静か過ぎる”人間椅子となっている理由は?

さっそくだが人間椅子をめぐって、今は”静か過ぎる”と言っても良い状況になっている、と筆者は感じている。

ただこの傾向は、コロナの騒ぎが始まってからくらい(2020年頃)からのようにも思える。いくつか思い当たるものを書き並べてみた。

ただし関係者ではないため、全くの推測であり、真実はもちろん分からない、と言う前提である。

コロナで止められた影響

まずは人間椅子に限らない話として、コロナの騒動によってバンド活動がストップさせられた感は否めない。2020年頃はライブはもちろん、レコーディングで集まることもままならない状況だった。

人間椅子はかろうじて2020年の初めに念願の海外進出(ヨーロッパツアー)を行うことはできたものの、帰国後にコロナの騒ぎが始まり、その活動をストップせざるを得なくなった。

多くのミュージシャンが”無観客配信ライブ”を行う中、人間椅子も時流に乗って1度行ったことがあるが、どうもしっくり来なかったようで、一度きりで終わってしまった。

やはり人間椅子にとっては、ライブ会場に人が集まり、歓声が飛び交う中で、生の爆音を届ける、というやり方でなければ、納得ができなかったようである。

それからは、制限のある中ではあったが、ライブ活動を再開し、2023年のアルバム『色即是空』のリリースツアーでは、今までと同じ形でのライブができるところまで来た。

しかしコロナ対策を含め、どこまでコロナ騒動に付き合うかどうかも、各自の判断にゆだねらるという宙ぶらりんの状態が世の中全体で続いているようにも思う。

音楽関係者の間でも、もうコロナが明けて通常通りだ、と思う人もいれば、元通りには戻れないという感覚の人たちもいるだろう。

人間椅子にとっても、結果的に元通りに戻った、と言う状態ではないように筆者には思える。ただしコロナはきっかけに過ぎず、別の要因もあったように思われる。

バンドの活動ペース問題・鈴木研一氏の体調問題

コロナ期間中から人間椅子の活動ペースは、以前よりゆっくりになった、と思っている。以前と言うのは、2013年にOzzfest Japan 2013に出演して再ブレイクして2019年の30周年頃までである。

思い起こせば、2013年からの6~7年間はこれまでの人間椅子では考えられないくらいのハイペースでの活動であった。

たとえば2016年の人間椅子はアルバムリリース(19th『怪談 そして死とエロス』)に加え、年間3本のワンマンツアー、対バンやイベントも目白押しの1年であった。

こうしたハイペースでの仕事ぶりは、2019年の30周年の年でちょうど一区切りを迎えたところでもあり、そのタイミングでコロナ騒動の期間に入ることとなった。

コロナのタイミングも重なって、そろそろ活動ペースを落とすことをどこかで決めたのではないか、と筆者は考える。

メンバーの年齢も50代半ばに入り、やはり30~40代の頃のように体力が続かなくなっていることは確かであろう。ベースの鈴木研一氏も、常々ライブの曲数を減らそう、と提案していたようである。

2019年頃までの”売れっ子”状態の活動ペースにはそろそろ限界が来ていた感もあるし、コロナでその路線が継続できなくなったのであれば、良い潮時だったのかもしれない。

さらに遡って、2012年以前の人間椅子の活動ペースは、だいたい今と似たような感じであった。年間にツアーが1~2本、全く表立った活動が聞かれないタイミングもしょっちゅうだった。

筆者としては昔の人間椅子のようで懐かしいだけなのだが、2015年前後から追いかけ始めた人にとっては、物寂しい状況に見えるかもしれない。

さらに2023年には鈴木氏が、持病の脊柱管狭窄症が悪化したことにより、座ってライブを行うという事態になっていた。

手術をして回復する見込みだということだが、しばらくは無理はせずにゆっくりペースでの活動になることではあるだろう。

SNSや企画担当の交代?

人間椅子の活動ペースは、メンバー間の要因だけではなく、運営側の要因も加わっているように思える。

これもコロナの時期からであるが、2019年頃まで非常に熱心に更新されていたSNS発信の頻度が、極端に落ちるようになった

もちろん発信できるイベント自体が少なくなったこともあるが、それまでは新情報がなくても、とにかく毎日更新し続ける担当者がいて、それが熱気を作り出すことに一役買っていたように見えた。

当時の担当者がいなくなってしまったのか、更新が減ってしまえば、見た目にもゆったりペースに落ち着いたように見えてしまう。

この傾向も2012年以前頃の人間椅子に戻ったようであり、もともと人間椅子の運営は現代風のSNS発信などを駆使して、話題を作るようなビジネスが苦手であった。

一時期そうしたことに長けた担当者がいたことで、ある意味で”人間椅子らしからぬ”巧みなSNSビジネスが展開されていたのだった。

それと同時に、2015年前後の当時にあった、ユニークな企画なども行われなくなってしまったのが残念である。

配信番組(帰ってきた人間椅子倶楽部など)や塗り絵企画など、ライブ以外の面白い企画は、実は人間椅子のメンバーとの相性が良かった。

もともと90年代に青森ローカルで放映されていたテレビ番組「人間椅子俱楽部」では、今で言うユーチューバーの先駆けのようなことをやっていたのだった。

なかなか人間椅子メンバーだけだと重い腰をあげて行動に移せなかったことだろうと思うが、担当者の発案で実現した事案も多数あったことと思う。

こうした外から盛り上げてくれる人たちが減ってしまった様子であり、のんびりペースの人間椅子に戻ったという部分もあるのだろう。

スポンサーリンク

人間椅子の2024年の現在地とこれから

ここまでいくつかの要因に分けて、今の人間椅子のゆったりペースの活動になった経緯を想像してみた。

もちろん複数の要因が絡み合って、現在の状態になっていると考えられる。いずれにしても、2013年のOzzfest Japan 2013出演を契機とする、”再ブレイク”状態の波が去ったのは間違いない

ただし、それは人間椅子側の活動ペースの問題である。ファンの側から見てみると、まだまだ人間椅子への熱狂は続いているようにも思える。

特にそれを感じたのは、2023年のアルバム『色即是空』のリリースインストアミニライブ(タワーレコード渋谷店)に参加した時である。

こちらの記事でレポートしたが、平日夕方にもかかわらず、満員御礼でファンが詰めかけた熱狂ぶりは、まだまだ人間椅子のブレイク状態が継続していることを如実に示した。

やはり2019年頃までの熱心な活動のお陰か、コロナの時期にも新規ファンが増え続け、「無情のスキャット」で知ったファンは曲を覚えて、ライブに駆けつける人は後を絶たない。

人間椅子の活動は緩やかになったとしても、ファンの熱量は高いという、”需要過多”状態であるのが、現在地と言ったところだろう

ただし今後は、2015年前後のような、”供給過多”とも言える人間椅子側の猛烈な活動ペースは戻ってこないような気がする。その時期をリアルタイムに経験できたことは、とても貴重だったと思う。

もちろん何かのきっかけで”バズる”ような出来事があれば別だが、このままのペースならば、のんびりとした活動が続いていくのだろう。

ただぜひとも、活動の頻度を上げるのが難しければ、企画の面白さでファンを魅了してほしい、と思っている。

かつてこちらの記事でも書いたが、人間椅子には過去の名曲がたくさんあり、なかなかライブで披露されない楽曲もたくさんある。

ぜひとも過去の楽曲にフォーカスした、年代別ライブや過去の作品の再現ライブなど、企画性の高いライブを行う、というのもファンにとっては嬉しいものである。

また過去に撮影・録音したコンテンツの蔵出しなども、解禁されたら嬉しいところである。

メンバーの実働が過度に増えることは今後は難しくなっていくだろうが、企画性豊かな活動になれば、ファンとしては大いに楽しめるのではないか、と思う。

とは言え、何よりライブが見られることが第一であり、健康第一に活動が末永く続くことを祈っている。2024年、バンド生活35周年がどんな1年になるのか楽しみにしたい。

ハイペースな活動の時期にリリースされたアルバム

威風堂々(2017)

2016年に年間3本も行われたツアーから厳選されたテイクを収録した2枚目のライブアルバム。1枚目よりも音響・演奏クオリティともに向上した充実作である。

異次元からの咆哮(2017)

ライブアルバム『威風堂々』をリリースしながら、オリジナルアルバムもリリースした2017年。コンパクトな楽曲が多めで、当時の勢いを物語る作風だ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました