【ライブレポート】2023年9月28日(木)人間椅子 オリジナルアルバム『色即是空』リリース記念イベント タワーレコード渋谷店「CUTUP STUDIO」

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ライブレポート

バンド生活34年の人間椅子が、9月6日に23枚目となるアルバム『色即是空』をリリースした。今回は唯一のインストアイベントとして、タワーレコード渋谷店でミニライブが行われた。

タワーレコード渋谷店で『色即是空』を購入した人が参加でき、新作『色即是空』のみから構成される、スペシャルなライブである。

ほぼ全ての曲が初披露となるこの機会、ぜひ見届けたいと思い、筆者も参加してきた。9月28日(木)タワーレコード渋谷店「CUTUP STUDIO」で行われたミニライブをレポートする。

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ライブレポート:人間椅子 オリジナルアルバム『色即是空』リリース記念イベント

9月28日(木)、再び夏の暑さが戻った1日だった。

木曜日という平日ながら、17:30に入場券の交換開始、18:30には締め切って整列、という社会人にはなかなか厳しい日程ながら、会場には思った以上にたくさんの人が並んでいた。

それもそのはず、イベント参加券は配布終了の”満員御礼”となっていたのだった。

最近あまり熱心にSNS等を見ていなかったので、『色即是空』がどんな反応なのか分かっていなかったが、この盛況ぶりを見るに、好評のアルバムと言うことなのだろう。

筆者も『色即是空』レビューの記事を書いたが、前作よりさらに音楽的充実度を誇るアルバムになっていたと感じている。

【アルバムレビュー】人間椅子 – 色即是空(2023) 古くて新しい人間椅子の”新世界”

インストアライブが筆者は好きで、ほぼ全曲初披露の新曲だけで構成され、この日のためだけのセットリストと言う特別感、さらにはメンバーもファンも初めてという独特の緊張感と一体感がある。

会場に行くまでにこんな流れになるかな、というセットリストを自ら組んでみたりした。

さて、18時過ぎに到着して入場券の引換を行った筆者の番号は100番台の最初の方。会場に入った時には多くの人が前に立っている状態だった。

今回は開演前BGMは新譜ではなく、洋楽(プログレ中心)の詰め合わせ選曲となっており、通常のライブのようだった。客席の左右にはモニターがあり、ステージの様子を見ることができた。

開演直前には、恒例のアナウンスがあり、徳間のプロモーションをしていると思われる名物スタッフさんによる前説があった。

時々噛んでいるのが面白く、「声出しOKなので、喉に血がにじむくらい声を出して…」などユニークな前説だった。ほぼ定刻にライブはスタート、「此岸御詠歌」でメンバーが入場する。

諸々の規制もなくなったライブ、大きな声援でメンバーを迎える光景も戻って嬉しい限りだ。

最初はアルバムの1曲目「さらば世界」。曲の途中で、ふと鈴木氏を見ると、いつもよりベースの位置が高く、セッティングを変えたのかな、と思ったら、やけに背が低く見えるのでおかしい。

モニターを見て座っているのが分かった。当然座っているので動き回ることもなく、ライブが進んでおり、しばらく何があったのかとぐるぐる考えてしまった時間が続いた。

「エロイムエッサイム」と鈴木氏が唱えて始まった「悪魔一族」。そのままアルバム2曲目に行くかと思いきや、少し変えてきた印象である。

二拍三連のリズムが心地好いのと、中間部のリズムがとても好きな曲だ。後半にもリフが展開していき、ライブでも非常に盛り上がる曲だと分かった。

一方では曲を聴きつつも、やはり鈴木氏は大丈夫なのか、と言う思いが巡り続けていたのが最初の2曲だった。

最初のMCではさっそく鈴木氏から座って演奏している事情の説明があった。ずっと持病だった脊柱管狭窄症がついに”爆発”して、50mくらいしか歩けなくなってしまったとのこと。

衝撃的な告白だったが、続けて手術をツアー後に行って歩けるようになる予定とのこと。ツアーは全公演座って演奏するので申し訳ない、とのことだった。

何とも言えない空気が流れていたが、和嶋氏から「ずっと座っていると凄い大物に見える」と突っ込みが入り、「お坊さんでも偉い人は全く動かない」と付け加え、何とか笑いに変えていた。

また「3ピースなのに2人座っているのはどうなのか」と鈴木氏から発言があり、「和嶋くんにたくさん動いてもらう」ということになったのだった。

和嶋氏からのMCでは、「『色即是空』では人間として生きるとはどういうことなのか、をテーマに曲を作った」との話があった。

次は「中でも死をテーマにした曲」「『ヨハネの黙示録』にインスパイアされた部分があり、だいぶん”アタオカ”ですが」などのMCもありつつ、「死出の旅路の物語」。

スタジオ音源ではリフを弾いて終わるアウトロ部分に、新たにギターソロが挿入されていた。確かに入れるか迷うところだが、スタジオではくどくなるから入れなかったのだろうか。

鈴木氏が「ずっと立っているのは大変」「体操しながら」と始まった「蛞蝓体操」。メインリフでは和嶋氏がリフに合わせて体全体を左右に揺らすような体操っぽい動きをしていた。

中間部のリフが始まるところ、シンバルのような音が入っていたが、ナカジマ氏が立ち上がってシンバルを両手に持って鳴らしている場面も見られた。

ダウンチューニングコーナーは終わり、すかさずナカジマ氏のMCコーナー。「みんなが『色即是空』を聴いてきてくれている様子がわかって嬉しい」とのこと。

久しぶりにアニキコールも復活し、続く曲は「未来からの脱出」。和嶋氏のピックスクラッチ多め、これは分かりやすく盛り上がれる曲だった。

そのまま「地獄大鉄道」へ。「ガタゴトン」の部分で手を挙げるのか、その後の「ジャージャージャー」のギターに合わせて手を挙げるのか、どちらかと言うと後者寄りになっていった。

中間部の警報のようなギターの部分、自然とハンドクラップが起こっていた。

あっという間にラスト1曲、最後の曲の前に和嶋氏からMCがあり、「これからツアーに出て回る壮行の曲としてやります」と始まったのは、やはり「宇宙電撃隊」である。

リリース後から反響の大きそうな曲だけに、会場は一気に盛り上がる。「電撃!」や「ファイアー」、「ファンファンファファン」など、一緒に叫ぶ箇所が次から次に出てくるので大変である。

和嶋氏的にはややキーが大変そうな曲だったが、多くの部分はファンが歌ってくれるので安心である。

演奏の最後には鈴木氏は立ち上がって盛り上げていた。そしてひっそり和嶋氏が「鈴木くんが立った」と「クララが立った」のような感じで言っていたのが聞こえた。

アンコールは今回なく、これも鈴木氏の腰への負担を考えてのことだったのだろうか。全7曲、あっという間だったが、インストアイベントとしては充実過ぎるライブだった。

<セットリスト>

no. タイトル
SE此岸御詠歌
1さらば世界
2悪魔一族
MC
3死出の旅路の物語
4蛞蝓体操
MC
5未来からの脱出
6地獄大鉄道
MC
7宇宙電撃隊
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全体の感想

今回のインストアライブ、まずは鈴木氏の体調のことが心配である、というところから始めざるを得ない。ずっと腰が痛い、という話をされていたが、このことだったのか、と明らかになった。

どうやら身近な関係者も当日知ったとのことで、衝撃的なライブとなってしまった。

大柄の鈴木氏が動き回るのが人間椅子のライブの醍醐味でもあるので、非常に残念であるが、くれぐれも無理のないようにツアーの無事成功とともに、ツアー後の手術の成功を祈るばかりである。

さてライブの曲目は筆者の概ね予想通りだったが、コンパクトに『色即是空』の魅力が伝わるセットリストだったように思われる。

アルバム内では出色の出来である「蛞蝓体操」「死出の旅路の物語」がもれなく披露されたのは嬉しかった。

一方こうしたアルバムで聴くと素晴らしい曲も、ライブではまた微調整が行われていくのだろうとも感じた。

「死出の旅路の物語」はスライドギターが一か所だけあったり、和嶋氏がかなり忙しそうだった。回数を重ねる中で、諸々の進行がスムーズになっていくことだろう。

「蛞蝓体操」はテンポ感やグルーブの勘所を、おそらくライブの中でさらに磨いていくような感じがする。個人的にはさらにテンポを落としてどっしりした感じも良いように思われた。

その一方で「未来からの脱出」「宇宙電撃隊」などは、アップテンポで分かりやすくライブで盛り上がれる曲たちである。

特に「宇宙電撃隊」は早くもライブの盛り上がりのピークとなりそうで、ワンマンライブではどの位置に配置されるのかも注目したいところである。

10月からは『色即是空 ~リリース記念ワンマンツアー~』がスタートとなり、初日の宇都宮は既にソールドアウト、最終日の東京も売り切れとなり、追加販売が行われているようである。

充実のアルバム『色即是空』の楽曲を体感すべく、ぜひ多くに人に足を運んでもらいたいと思う。

『色即是空 ~リリース記念ワンマンツアー~』を楽しむためのアルバム

色即是空(2023)

音楽的充実度が増した最新作、まずは当然このアルバムから聴くべし。

人間椅子名作選 三十周年記念ベスト(2019)

一見さんでもこれを聴けば楽しめる、初期~現在までの代表曲を収録したベストアルバム。

苦楽(2021)

本作に繋がる、世相を反映した内容の濃い前作アルバム。

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