【人間椅子】今となってはライブの意外な幕開け・ラストが実はとても良かった曲を集めてみた

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バンド生活三十五周年を迎えたハードロックバンド人間椅子はライブが魅力の1つである。新旧の楽曲を織り交ぜたセットリストも毎回楽しませてくれる。

ライブにおける最初の曲、また最後に披露される楽曲は、近年は割と定番の流れが存在する。

しかしかつてのライブやファンクラブ限定ライブ(人間椅子倶楽部の集い)では、意外な楽曲が最初や最後に披露されることがあり、それが意外に良かった経験がある。

今回の記事では、今となっては意外に感じられる、人間椅子のライブの最初・最後に披露された楽曲を集めて紹介することにした。

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ライブの始まり

ライブの始まりに配置される楽曲は、終盤ほどではないものの、定番になっている曲がある。例えば近年のライブでは、以下のような楽曲が1曲目によく配置されている。

  • 鉄格子黙示録
  • 阿呆陀羅経
  • 宇宙からの色
  • 雪女

アルバムリリースツアーであれば、そのアルバムの楽曲から披露されることになるが、リリースと関係ないツアーでも定番があるのだ。

かつてのライブで筆者が実際に出会った、意外な1曲目について、収録作品・遭遇したライブの情報・1曲目に配置された印象について書いている。

陰獣

  • 収録作品:『人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤』(2019)
  • ライブ情報:2009年10月18日 第六回 人間椅子倶楽部の集い 2009 高円寺Show Boat

“イカ天”出演時に披露し、人間椅子がデビューするきっかけになった楽曲である。記念碑的な楽曲ながら、意外にもライブ1曲目に披露されることは近年稀になっている。

筆者が見たのも2009年の人間椅子倶楽部の集いであり、それ以降1曲目で披露されたのを見た記憶がない。

カウントから、和嶋氏がフェイントでワウの音を一瞬鳴らしてからリフに入るのが定番である。その一瞬で「陰獣だ」と分かるのだが、1曲目にそれが来るとゾクゾクする。

何と言ってもファンからすれば人間椅子の原点であるし、これほど1曲目に配置されて感慨深い曲もないのである。

「陰獣」の立ち位置が意外に低く感じられる点について、こちらの記事に書いた。

爆弾行進曲

  • 収録作品:『桜の森の満開の下』(1991)
  • ライブ情報:2008年7月20日 七月の猟奇歌 〜 Show Boat 15周年記念 高円寺Show Boat

アルバム『桜の森の満開の下』の1曲目であり、前へと転がっていくようなハードかつノリの良い楽曲である。

個人的にはライブの1曲目は、助走のような形でミドルテンポの曲から始まるのも好きだが、この曲は1曲目で瞬間的に着火してテンションが一気に上がるのが良い。

また最近は和嶋氏の楽曲からスタートすることが多いが、自然と身体が動いてしまうのは鈴木氏の楽曲であり、鈴木氏の曲で始まるのもやはり良いものである。

近年ではこの曲が2曲目に披露されることは何度かあった。(2014年バンド生活二十五年 ~ 猟奇の果 ~、2024年バンド生活三十五年~猟奇第三楽章~)

黄金の夜明け

  • 収録作品:『黄金の夜明け』(1992)
  • ライブ情報:2002年1月28日 ビデオ「見知らぬ世界」発売記念ツアー 名古屋ell Fits All

アルバム『黄金の夜明け』のタイトルトラックであり、プログレとも言える長尺で展開の多い楽曲である。

人気の高い楽曲ながら演奏の難度が高いので、近年はレア曲の立ち位置で、稀に演奏されるにとどまっている。しかしかつてはそれを1曲目に持ってくるという荒業をやっていたのだった。

筆者が見たのは1回だけだが、イントロが始まった瞬間に驚いてしまった記憶がある。そしてメンバーの表情からも、意表を突いて、してやったり顔をしていたような気すらしていた。

アップテンポな曲でテンションを上げる始まり方も良いが、じっくりと長い曲で始まると「腰を据えて聴こう」という気持ちになるので、それはそれでとても良い。

晒し首

  • 収録作品:『無限の住人』(1996)
  • ライブ情報:2015年2月8日 第十一回 人間椅子倶楽部の集い 2015 下北沢GARDEN

アルバム『無限の住人』の1曲目を飾る楽曲である。アルバムの1曲目というパワーもありつつ、実は歌やメロディを聴かせるタイプの楽曲である。

こうした楽曲がライブの1曲目に配置されることは近年なくなっているが、人間椅子倶楽部の集いにおいて筆者は1曲目で聴いたことがある。

このタイプの曲は1曲目からしてライブで泣けてしまうのであり、こういうライブの幕開けもとても良い。いきなりハイテンションではなく、「良い曲だな」とグッとくるところからライブに入る。

この曲もライブの2曲目に配置されたことが近年はあった。(2018年恩讐の彼方~人間椅子2018年晩夏のワンマンツアー)

見知らぬ世界

  • 収録作品:『見知らぬ世界』(2001)
  • ライブ情報:2015年7月1日 『苦しみも喜びも夢なればこそ「現世は夢~バンド生活二十五周年~」渋谷公会堂公演』発売記念インストアライブ タワーレコード渋谷店

2001年のアルバム『見知らぬ世界』のタイトル曲であり、ヘヴィなサウンドながら凛として力強い歌詞が印象的な楽曲である。

筆者は初めて見た人間椅子のライブが『見知らぬ世界』発売記念ツアーだったので、その時の1曲目がこの曲だった。そして時を経て2015年のインストアライブで再び1曲目で聴くことになる。

実はこの曲、1曲目にはとても馴染む曲であり、ギターリフから全楽器が入って来るイントロも1曲目向きであり、じっくり聴かせつつもパワーのある曲だからだ。

ヘヴィではあるが、人間椅子の曲の中ではとても爽快感のある1曲目になるのである。

幻色の孤島

  • 収録作品:『瘋痴狂』(2006)
  • ライブ情報:2012年11月11日 第九回 人間椅子倶楽部の集い 2012 高円寺Show Boat

アルバム『瘋痴狂』のラストに配置された、本格的なプログレ展開が楽しめる難解な楽曲である。まさかこれが1曲目に来ることはないだろうと言うタイプだが、1曲目だったことがある。

それは2012年の人間椅子倶楽部の集いであり、始まった瞬間に一種の絶望感がある。「これは長いぞ」と1曲目にして覚悟を決めるような感覚に陥る。

とは言え、先ほどの「黄金の夜明け」同様、1曲目に長い曲が来ると、その後は一気に弾けるように楽しめるので、これはこれで面白いと感じた。

それにしても1曲目に難解な曲が来ると、緊張感が凄いものだ。

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ライブの終わり

ライブの終盤で披露される楽曲は、ライブ始まり以上に定番の楽曲が多くなる。例えば以下の楽曲がかなり定番化している。

  • 針の山
  • 人面瘡
  • 天国に結ぶ恋
  • ダイナマイト
  • 地獄
  • どっとはらい
  • なまはげ

しかしかつてのライブや人間椅子倶楽部の集いなどでは、意外な楽曲や普段のライブでは最後にはやらないような楽曲が終盤に披露されていた。

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陰獣

  • 収録作品:『人間椅子名作選 三十周年記念ベスト盤』(2019)
  • ライブ情報:2011年8月19日 レコ発ツアー「此岸礼讃」「此岸の日」 Shibuya 0-WEST、2019年10月25日 第十五回 人間椅子倶楽部の集い 2019 下北沢GARDEN

1曲目に披露されるのも意外な「陰獣」であるが、ライブの最後に披露されることもなかなかない。たいてい本編のどこかに配置されることが多く、最後と言うのはあまり経験がない。

筆者が経験したのは2011年のアルバム『此岸礼讃』発売記念のツアー、東京初日のアンコールラストだったのと、2019年の集いで本編ラストだった時である。(この時はナカジマ氏も歌唱に加わる)

東京2Daysでやっていた時代には、曲をガラッと入れ替えるのが定番であり、この時も初日は定番の終わり方を外して「陰獣」が披露されたのだった。

やはり人間椅子の代名詞でもあるので、1曲目やラストなど、ここぞで披露されると盛り上がりも半端ないものとなるのである。

あやかしの鼓

  • 収録作品:『人間失格』(1990)
  • ライブ情報:2008年10月19日 第五回 人間椅子倶楽部の集い 2008 高円寺Show Boat、2013年11月9日・10日 第十回 人間椅子倶楽部の集い 2013 高円寺Show Boat

デビュー作『人間失格』に収録、デビューから今日に至るまでライブでは披露されることが多めで、近年になってもたびたび披露されている印象である。

ライブの前半や後半などどこでも使える万能な楽曲であるが、人間椅子倶楽部の集いでは何度か本編最後に披露されたことがある。

速い曲や盛り上がる曲で終わることの多い人間椅子のライブだが、不気味なテイストのこの曲で終わるのもなかなか新鮮ではある。

しかし終盤の怒涛の展開が実はラストに相応しく、不気味な前半とスラッシュメタルテイストの後半で、見事に本編を締めくくることができる。

桜の森の満開の下

  • 収録作品:『人間失格』(1990)
  • ライブ情報:2009年10月18日 第六回 人間椅子倶楽部の集い 2009 高円寺Show Boat、2009年12月14日 未来浪漫派ツアー~20周年から21周年へ「月の日」 Shibuya O-WEST

アルバム『人間失格』のラストに配置され、デビュー前からライブのレパートリーとなっていた楽曲である。近年はライブの前半に披露されることが時々ある。

デビュー前後のライブでは、この曲が最後に配置されることが多かったようで、メンバー紹介を曲の間でやっていた、というエピソードもある。

筆者が目撃したところでは、2009年の人間椅子倶楽部の集い、そしてアルバム『未来浪漫派』発売記念ツアーで立て続けに本編最後に披露されていた。

重厚な楽曲でライブが終わると、それはそれで締まる感じがあり、この曲の終わり方もライブの終わりを意識したアレンジになっているので、全く違和感はないのである。

もっと光を!

  • 収録作品:『羅生門』(1993)
  • ライブ情報:2013年11月9日・10日 第十回 人間椅子倶楽部の集い 2013 高円寺Show Boat、2018年7月27日 第十四回 人間椅子倶楽部の集い 2018 下北沢GARDEN

アルバム『羅生門』の中のリードトラックの1つ、シングルカットもされており、当時は代表曲の1つとなっていたはずである。

残念ながら近年はほとんど披露されることがなくなり、筆者が見たと記憶しているのも人間椅子俱楽部の集いである。その時はアンコールラストに配置されていた。

この曲は毎回披露されるたびに、実に大いに盛り上がる。「なぜ」という部分も皆で歌いやすいし、テンポも良く、分かりやすく盛り上がれる要素満載なのだ。

なぜ最近は披露されないのか不思議なくらいであるが、ぜひライブ終盤に取り入れてもらいたい楽曲の1つである。

エキサイト

  • 収録作品:『頽廃芸術展』(1998)
  • ライブ情報:2011年11月3日 第八回 人間椅子倶楽部の集い 高円寺Show Boat、2017年9月8日 第十三回 人間椅子倶楽部の集い 2017 下北沢GARDEN

アルバム『頽廃芸術展』に収録のパチンコシリーズの楽曲である。スラッシュメタル調でありつつ、どこかロシア民謡(コロブチカなど)的なメロディとリズムが面白い。

かつては「ダイナマイト」と同様に、ライブの終盤においてよく演奏されていたが、パチンコシリーズが下火になると、「ダイナマイト」だけが残るようになっていった。

しかし「エキサイト」は「ダイナマイト」のように怒涛の疾走感とは異なり、じっくりと歌詞を聴くと人生を語ったなかなか味わい深いもの。

そのためライブのアンコールラストに披露されると、大いに盛り上がりつつも、人生についてしみじみと考えながら帰路につけるので、個人的にはこの曲で終わるライブが1番好きである。

大団円

  • 収録作品:『怪人二十面相』(2000)
  • ライブ情報:2012年11月11日 第九回 人間椅子倶楽部の集い 2012 高円寺Show Boat

2000年のアルバム『怪人二十面相』のラストを飾るこの曲は、ヘヴィなリフにどこか洒落たメロディが斬新な楽曲である。

プログレ風味の長い楽曲を、ということで作られたそうだが、和嶋氏は「伝えたいことが分からない」とあまり気に入っていない様子の楽曲だ。

そのためか滅多に披露されることがないのだが、2012年の人間椅子俱楽部の集いではアンコールにて珍しくも披露された。

次々と展開する曲であり、じっくりと聴かせてくれるので、歌詞にある通り「しめやかに」終わることができる。

相剋の家

  • 収録作品:『修羅囃子』(2003)
  • ライブ情報:2011年12月19日 「冬来たりなば春遠からじ ~人間椅子ワンマンツアー 2011年師走~」 Shibuya O-WEST

2003年の『修羅囃子』収録、難解な歌詞と暗黒の世界観が、当時の人間椅子らしい楽曲である。現在においてもライブの定番曲として頻繁に披露される。

ほとんどは中盤のダウンチューニングコーナーの中で披露されるもので、ライブの終盤に披露されることはめったにない。

しかし2011年のツアーでは何とアンコールラストに披露されている。しかもこの時はイントロ部分に和嶋氏の語り付きで、クリスマスに誰かといなくてもそれぞれの人生を生きれば良いと言う趣旨だった。

この時の和嶋氏は現在の作風に向かって明るさを得つつも、闇の部分がわずかに残っていた。今ではやらないであろう「相剋の家」で締める終わり方は貴重だった。

人生万歳

  • 収録作品:『萬燈籠』(2013)
  • ライブ情報:2015年2月8日 第十一回 人間椅子倶楽部の集い 2015 下北沢GARDEN

2013年の『萬燈籠』に収録された、鈴木氏お得意の速い楽曲だが、テーマとしては人生を讃えるような深い内容となっている。

リリースツアー以降はあまり披露されることがなく、2015年には早々に集いの楽曲として披露され、本編最後を締めくくる楽曲だった。

ライブでは「万歳」のところで、皆で万歳するのが恒例となっており、ライブでは実は盛り上がる楽曲だったりする。ややB級感のある曲だけに頻度は落ちているが、ライブ向きの曲ではある。

「エキサイト」と並んで鈴木氏の人生シリーズとも言える楽曲は、疾走感の中に味わい深さがあり、ライブでもぜひもっと聴きたいところだ。

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まとめ

今回の記事では、人間椅子のライブにおいて今は意外となった1曲目・ラストの楽曲を紹介した。

意外な楽曲が配置されると、何度もライブに足を運んでいる人にとっては新鮮なものである。かつての人間椅子はあまり定番を決めないスタイルだったので、常に新鮮ではあった。

とは言え、定番曲があるからこそ外す面白さもあるだろう。

今回紹介した人間椅子俱楽部の集い以外にも、対バンやイベント出演時には、曲数が少なくなるが曲の並びは普段と異なっていることが多い。

ワンマンライブ以外のライブに行ってみるとそうした意外なセットリストに出会えるかもしれない。人間椅子のライブをさらに楽しみたい人は、様々なライブに行ってみることをおすすめする。

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