人間椅子というハードロックバンドが昔から好きであることは、このブログでもずっと書いてきた。かれこれ20年前くらい、「怪人二十面相」と言うアルバムくらいから聴いている。
僕はその頃から、人間椅子はきっと売れるはずと信じて止まなかった。当時はそんなことを言っても見向きもされなかった印象がある。
しかしどうだろう。
2019年の「無情のスキャット」で、人間椅子は売れた。
480万回再生(2020年3月13日現在)を超えており、国内外からも評価されている。
なお2021年6月現在では、再生回数は920万回を超え、間違いなく売れたと言えるだろう。
「無情のスキャット」の楽曲を分析した記事はこちら ↓
ここまで至る道のりをずっと追っかけてきた者として、何があって売れたのか、自分なりにファン目線から考えてみた。
そのターニングポイントとなったであろう出来事を以下に挙げてみる。
20周年ベスト盤の発売
僕はここが結構大きなポイントだと思っている。今までのベストにはオールタイムのものがなかった。
そして初めて「陰獣」という人間椅子にとってデビュー曲が、きちんとメジャー盤に収録されるというのも大きかった。
何よりこの時のツアーの選曲にあるように思う。
それまでの人間椅子のライブと言うと、あんまり定番らしい定番はなく、かなりコアな曲もワンマンツアーで演奏されていた。
しかしこの時ばかりはベスト盤に合わせて、代表曲と思われる曲で固めていた。
後もしばらくその傾向は続いたが、新規ファンの獲得に一役買っていたと思う。
※2009年のツアーのセットリストや感想はこちらの記事から
和嶋さんが吹っ切れたこと
これもかなり、というか最大のポイントではないかと思う。
詳しくは和嶋さんのご著書「屈折くん」をお読みいただきたい。
またこのあたりの記事にも書かれている。
和嶋さんの創作で吹っ切れたなと感じた最初は、『真夏の夜の夢』に入っている、「どっとはらい」という曲だった。
ドラマーのナカジマノブさんが加入してからの和嶋さんの曲は、良い曲もあるのだが、どこか迷いの中にあった感は否めない。
しかし「どっとはらい」はかつてのヘビーさとも異なる、何か吹っ切れたヘビーさがあった。それが決定的になったのは、「深淵」という曲だった。
ヘビーでありながら、生きている喜びのようなポジティブなパワーに溢れていた。この路線になってからの和嶋さんの曲は、輝きを放っている。
その集大成として、先ほど挙げた「無情のスキャット」があると思う。
一方でベースの鈴木さんの曲はデビュー当時から全くぶれない。ここがあるから昔からのファンも離れないのだと思うし、安心感がある。
ご本人も語っておられる通り、常に変わっていく和嶋氏と変わらない鈴木氏のバランスによって成り立っているのだと思う。
YouTubeなど動画サイトの台頭
これは至るところで言われているが、20周年ベストが出た頃から、動画サイトが台頭してきた。
そこでかつて青森で放送されていた「人間椅子倶楽部」という番組で放映されていた、洋楽カバーのクオリティの高さが話題になった。
ここではコアな音楽ファンの心をつかんだのではないかと思う。メディアの露出が極端に少なかった当時にしては、有り難い宣伝メディアとなっていた。
その後は、配信番組「帰ってきた人間椅子倶楽部」として、復活している。
※番組のリンクや見どころをまとめた記事は、以下のリンクから
OZZ FEST JAPAN 2013への出演
これは本当にビッグニュースだった。国内のバンドの出演もそんなに多くなかった中、大抜擢と言うべき出演だった。
実際に見に行ったのだが、人間椅子への関心度は相当高かった。
そして何より印象に残っているのは、演奏が終わった後に人間椅子コールが止まなかったことだ。この時大きな波が来ていることを確信した。
あまりに嬉しくて会場で僕は泣いていた。
初めて聴く人にも間口を大きくしたアルバム、ライブ
ターニングポイントと言うわけではないが、オズフェスト出演以降の人間椅子の制作、ライブ活動はそれまでと変化してきたと思う。
マニアックな路線ではなく、初めて見る人にも楽しんでもらえるような楽曲制作、ライブ選曲になっていったと思う。
あまり人間椅子らしくない曲は外して、ハードな曲を詰め込んでいたと思う。特に2010年のライブアルバム『疾風怒濤〜人間椅子ライブ!ライブ!!』の頃はその傾向が顕著だ。
昔からのファンからすれば、何だかライブが騒がしくなったとか、定番曲ばっかりでレア曲がなかなか聴けないとか、いろいろと不満もあった時期かと思う。
僕も正直そういう不満も持ったことがあるが、日に日に人間椅子が売れていくのは当時10年以上前からの悲願なので、単純に嬉しかった。
SNSやウェブ記事などへの積極的な露出
かつての人間椅子はテレビや雑誌に出てくることもほとんどなかった。
しかしSNSやウェブ記事等、新しいメディアが出てきてからは、それを積極的に活用するようになったことも大きい。TwitterやInstagramは頻繁に投稿しているし、動画配信も行っている。
また各メンバーのウェブ記事もたくさん出るようになって、露出は大変充実している。
それに関連して、そもそも各メンバーがそれぞれ持っていた得意分野について披露する場ができたことも大きい。
バンド活動を中心にしながらも、各メンバーの持ち味が活かされたことも人間椅子が売れる要因の一つになっているようにも思う。
対バンやイベント出演が増えたこと
人間椅子は地道にワンマンライブを重ねてきてはいたが、他のバンドとライブで関わることは限りなく少なかった。ましてフェスへの出演はもっと少なかった。
ナカジマノブさんの顔の広さも手伝って、近いジャンルのバンド、年齢の近いバンドと対バンが格段に増えた。そこで初めて人間椅子を聴く人を引き込んだと思う。
またフェスへの出演も大きい。こちらも名前は知っているけど聴いたことのなかった層を引き込んだと思う。
やっぱり演奏はすごいし、話すと面白いし、パフォーマンスは圧倒的である。一度見ればその凄さはわかる人にはしっかり伝わっている。
既に長いキャリアはあるものの、同窓会的にならずに、新しいファンの獲得に努めてきた結果であると思う。
オズフェスト出演で第2のデビューだったと語るように、生まれ変わったような感覚にメンバーがなれたであろうことも、フレッシュなバンドとして、新しいファンに受け入れられたと思う。
まとめ
もちろん他にも要因はあるだろうが、僕なりにまとめてみた。そしてどれも1つだけでは売れなかっただろうし、全てが重なり合って今があると思う。
偶然はない。
すべて今までやってきたことから花開いていると思う。そんな地道な過程があるから、人間椅子のブレークは、僕らに希望を与えてくれるのだろう。
だからこそこれからもずっと人間椅子を応援していこうと思うのだ。
なお人間椅子をまだ聴いたことがないという人は、30周年のベスト盤が入門編にぴったりなのでおすすめしたい。
2月に行われた海外公演への道のり、海外で評価される理由についての記事はこちら
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