【ライブレポート】2024年11月18日(月)人間椅子2024年秋のワンマンツアー 『バンド生活三十五年 怪奇と幻想』東京 Zepp DiverCity(TOKYO)

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ライブレポート

ハードロックバンド人間椅子は、バンド生活三十五年を記念したツアー『バンド生活三十五年 怪奇と幻想』全8公演を無事に終えた。

本ツアーは人間椅子の35周年を記念しつつ、また11月13日にリリースとなった映像作品『バンド生活三十五年 怪奇と幻想』(DVD&Blu-ray)の発売記念も兼ねた内容となっていた。

筆者は既に11月5日の名古屋公演を観ており、今回東京公演は2回目のツアー参加となった。久しぶりの複数公演参加となり、じっくりと楽しむことができた。

今回は11月18日(月)ツアーファイナルの東京 Zepp DiverCity公演の模様をレポートする。

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ライブレポート:人間椅子 2024年秋のワンマンツアー『バンド生活三十五年 怪奇と幻想』東京 Zepp DiverCity(TOKYO)

本ツアー2度目の参加となった。久しぶりに名古屋公演(帰省を兼ねて)にも参加し、既にライブレポートも公開しているので、そちらとも比較しながら書いていきたい。

今回は先行物販の時間を見落としており、物販が終了した17時過ぎに会場に到着した。この日は当日券が売られているようだった。

これまでもZepp DiverCityでのライブは行われたことが何度もあるが、ずっと全席指定の形態だった。今回は前方のみ立ち見になったことで、今まで以上に多くの人を収容できる状況となった。

開場時間の18時を少し過ぎた頃、整理番号は20番台とかなり良かったものの、番号が早いからと言って早く入る必要はない。好きな時に入れるのが早い番号の特権である。

たくさんの人がまだ列を成している中、ゆるりと入場した。場内には縁のあるバンドや関係者、そしてファンの方からお花が届いているようだった。

芸人のメイプル超合金安藤なつ氏は人間椅子のファンとしても知られている。

今回の開演までのBGMは割とアメリカンな雰囲気のハードロックが多めであった。Night Rangerが流れていたのが印象的であった。

名古屋と同様、Black Sabbathの「Wheels of Confusion」が開演の合図となっていた。

会場は満員とまではいかなかったようだが、かなり大入りで一昔前には考えられないほどのファンが人間椅子のライブに駆けつけていることは感慨深いものがある。

「新青年まえがき」が流れると、紋付袴の和嶋慎治氏、鯉口シャツのナカジマノブ氏、そしていつもの袈裟の鈴木研一氏の順番にメンバーが登場する。

1曲目は鈴木氏のベースから「鉄格子黙示録」でスタート。安定感のあるずっしりしたサウンドはこの日も冴え渡っている。

立て続けにヘヴィな雰囲気の「暁の断頭台」が披露され、イントロで大きな歓声が起きていた。やはりこうした少し渋いが、味わい深い過去の楽曲を聴きたい人が多いようである。

鈴木氏の冒頭のMCでは「こんな曲あったっけ、とか懐かしいと思う曲をやります」とレア曲が盛り込まれていることを示唆していた。

和嶋氏からも「デビュー前の曲もあったり」と述べ、「もうこれが最後になる曲も」と鈴木氏が付け加えていた。

「『修羅囃子』に入っている曲」と「愛の言葉を数えよう」が披露される。今回もファズをかけたギターソロがイントロに挿入され、ブルース的速弾きソロが展開された。

細かな話であるが、ラストのAメロからBメロに行く際に少し長いブレイクがあるが、名古屋では全くの沈黙であったが、東京では歓声が上がり、土地の違いを感じたところである。

次の曲の前に鈴木氏から「楽しい曲の後にどよーんとした曲」「鳩の鳴き声をリフにした曲」という、名古屋では出なかったMCが飛び出して「埋葬蟲の唄」が披露された。

名古屋で観た時は非常に意外な選曲に思われたが、名古屋公演の後にリリースされた『バンド生活三十五年 怪奇と幻想』を観て、納得の選曲だった。

演奏終了後に、和嶋氏が鈴木氏がやっていた鳩の真似を真似していたが、鈴木氏は「楽屋でそれをやるなと言ったのにやっている」と、止められていたことが判明。

しかし和嶋氏はどうしても伝えたいことがあるようで、「鳴いている途中で急に止めることがあり、それを展開後のリフの変拍子に取り入れた」と語った。

なぜ間奏明けのギターだけ変拍子にしたと、個人的には長年の謎が解決して良かった。

映像作品がリリースになった話から、デビュー前の曲を披露しようということになったが、二度とやらない曲かも、とも話される。

和嶋氏からは、「学園祭の気持ちで」「先輩の演奏を聴きに来たダイバーシティ高校の皆さん」と笑いを誘っていた。

鈴木氏からは「全編スライドギターの曲はこれだけ」と語られた「夢女」。鈴木氏はSGタイプのベースを弾き、ナカジマ氏はタンバリンを使っていた。

演奏後のMCでは、和嶋氏・鈴木氏は高校時代に別のバンドを組んでいた話から、和嶋氏が「(演奏を)やめろ」と鈴木氏のバンドにヤジを送った話が披露されていた。

和嶋氏はまだ話を続けたい様子だったが、鈴木氏がサクッと話を切り上げて「芋虫」のイントロをおもむろに弾き始める。

和嶋氏は慌ててセッティングをしている様子だったが、素早く切り替えて間に合ったのはもちろん、むしろ気迫のある良いイントロだった。

今回も「芋虫」の後にナカジマ氏が服を脱ぐところを目撃、その直後に和嶋氏が話しかけて、「もう脱いでる」とタッチの差で見逃したようだった。

和嶋氏いわく衣装の話をしようと思ったとのことであった。名古屋と同じ、ここで和嶋氏から我々は昭和時代に子どもだった、という話があった。

どこのMCだったか失念したが、和嶋氏から「やまだかつてない」という昭和の言葉も飛び出した。

「恐怖の大王」「神々の決戦」と”終末シリーズ”の楽曲を立て続けに披露し、和嶋氏からは私たちの文明は何度か滅んでいるという話から、味わい深い楽曲「水没都市」が披露された。

ギターの機材的な話をすると、名古屋では「水没都市」の前半部はフロントピックアップを用いて演奏されたが、東京は全編リアピックアップになっていた。

その時の気分で変えるのか、あるいはやはりリアの方がしっくり来たのか、興味のあるところだ。そのままパワフルな「瀆神」へ、やや久しぶりに思える選曲だった。

和嶋氏からは書籍『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』の話があり、鈴木氏からは「好きな歌詞が入っていない」とのこと。

鈴木氏が入れてほしかった曲は「悲しき図書館員」「悪魔の手鞠歌」だったようだ。

そして自選詩集の流れから「無情のスキャット」へ、会場の”待ってました”という感じの歓声も大きく、今や「針の山」と並んで外せない曲になった感がある。

そしてライブも終盤、ナカジマ氏によるMC・歌うコーナーである。先ほどの学園祭の件で、タンバリンを演奏していたのが面白い、と言う話になった。

高校の先輩の演奏を見に行って、タンバリンが担当だと確かに何とも言えない気持ちになるだろう。

なお当日はナカジマ氏のお母さま、そして弟さんに同級生も観に来ていたとのこと。縁を大切にしているナカジマ氏らしいMCであった。

今回は久しぶりの「赤と黒」、隠れ人気曲だけに会場のテンションも非常に高かった印象である。

なお少し余談であるが、筆者の観ていたすぐ前にいた女性が、その歓声の大きさからして明らかにナカジマ氏推しであることがすぐに分かった。

「赤と黒」での盛り上がり方などを含め、見ていて清々しいほどの推しっぷりであった。人間椅子とナカジマ氏を見つめるその女性の目線や感動を通じて、こちらも元気をもらったような気持ちになった。

筆者ももう何十回と人間椅子のライブを観てきたこともあり、なかなか新鮮な感動を覚えることが少なくなったが、このような形で感動できたのは嬉しい出来事だった。

ラストは『人間失格』の「天国に結ぶ恋」「針の山」と速い曲を続けて本編を終了した。なお名古屋では鈴木氏の腰の調子がかなり悪そうだったが、今回はいくぶん回復した様子だった。

アンコールに応えてメンバーが登場。和嶋氏は今回のツアーTシャツ、ナカジマ氏はロングTシャツを着て登場した。

物販の話で、鈴木氏の着ていた白装束は物販で売っていないですけれど、という話から、白装束を物販で売ったらどうか、と言う話にもなった。

和嶋氏がギブソンのSGを弾き続けていたら、ギブソンからエクスプローラーを提供いただいた、と言う話で、新しいギターのお披露目となった。

次の曲に行く前に、Black Sabbathの「Paranoid」を弾き始め、鈴木氏が最初のパートを歌うところまで演奏が続けられた。鈴木氏は「ギターソロまでやりたかった?」と和嶋氏に話していた。

セッションをした後に、昔の映像を見たらよくやっていた曲、ということで「神経症I LOVE YOU」が披露される。

25周年を記念したベスト盤『現世は夢 〜25周年記念ベストアルバム〜』の盤を買わないと聴けないレア曲であるが、盛り上がっている人が多いように見えた。

そして鈴木氏からは次の曲への導入として、2025年にはアルバムを制作予定であり、それが完成した後の冬のツアーまでないですが、というやや残念なお知らせがあった。

制作の前にツアーをやって、その後アルバムを作ってツアーをやる、と言うほどスケジュールを詰め込まない、ということであろう。

残念ではあるが、人間椅子メンバーももう還暦手前であり、無理なスケジュールは組まない方向性になっているようでもある。

「誰一人、次のツアーに欠けないでまた集まれることをお祈りして」というMCから「地獄風景」がド派手に披露された。

そして最近はダブルアンコール形式ではなく、そのままラストの楽曲へ。ラストは「どっとはらい」、鈴木氏が右へ左へと縦横無尽に動き回る様子が印象的だった。

メンバー紹介では鈴木氏から「やまだかつてないギタリスト、和嶋慎治!」。

和嶋氏からは「宇宙で一番白塗りの似合う男、鈴木研一!」と言うと、クルクル回る鈴木氏、「ふんどしも白い」と合いの手を入れる和嶋氏であった。

そして「立派になりました」と親類や同級生が観に来ていたというナカジマ氏を紹介して、約2時間半のステージを終えた。

<セットリスト・収録アルバム>

No.タイトル収録アルバム
SE新青年まえがき『新青年』(2019)
1鉄格子黙示録『人間失格』(1990)、『人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤』(2009)
2暁の断頭台『二十世紀葬送曲』(1999)
3愛の言葉を数えよう『修羅囃子』(2003)
4埋葬蟲の唄『羅生門』(1993)
5夢女未収録
6芋虫『怪人二十面相』(2000)
7恐怖の大王『怪談 そして死とエロス』(2016)
8神々の決戦『色即是空』(2023)
9水没都市『黄金の夜明け』(1992)
10瀆神『新青年』(2019)
11無情のスキャット『新青年』(2019)
12赤と黒『未来浪漫派』(2009)
13天国に結ぶ恋『人間失格』(1990)
14針の山『人間失格』(1990)
アンコール
15神経症I LOVE YOU『人間椅子』(1989)、『現世は夢 〜25周年記念ベストアルバム〜』(2014)
16地獄風景『怪人二十面相』(2000)
17どっとはらい『真夏の夜の夢』(2007)
※オリジナルアルバムを記載、アルバム未収録などはベスト盤を記載
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全体の感想 – 名古屋・東京の2公演参加を終えて

今回は久しぶりに名古屋・東京の2公演を観ることになった。蓋を開けてみると、入れ替え曲の裏表を期待したものの、東京と名古屋はほぼ同じ選曲だった。

違いは「洗礼」と「瀆神」が入れ替わっただけであった。

何となく裏と表がある時に、表っぽい曲(代表曲だったり、今回推したい曲)と裏っぽい曲(それに比べると変化球の曲)がある。

今回は表の感じがする楽曲が名古屋で多く、やはりラストの東京では華々しく表っぽい曲で固めたいところで、似通った選曲になったのかと感じた。

ちなみに「人生万歳」「エキサイト」「恋は三角木馬の上で」「見知らぬ世界」などが名古屋・東京では外されてしまった曲たちで、少々聴けなかったのは残念だった。

※セットリストの入れ替えの対応について投稿されたもの

なお名古屋で心配された鈴木氏の腰の調子であるが、東京では随分と調子が良かったように見え、メンバーも演奏中に自然体であったように思われた。

どうやらまだ調子の良い時・悪い時があるそうで、お大事にしていただきたいところである。

今回のツアーの途中には、『ヘドバンPremium Vol.2』で人間椅子を大々的に特集している書籍が発刊となった。

かなり突っ込んだインタビューとなっており、新情報も満載で、人間椅子の現在地が赤裸々に語られている、とも思える内容である。

詳しくはぜひ書籍を手に取っていただきたいが、やはりライブ活動も含めて、活動ペースが以前より緩やかになっているのはメンバーも意識しているところであるようだ。

次回のツアーも、今のところは2025年の新作リリース後の予定とのことである。改めて振り返れば人間椅子の再ブレイク後の活動ピークが、2016~2017年頃、そして2019年までだったと思えた。

2020年初めに海外公演が実現できたところで、コロナにより強制ストップになった訳であるが、それまでの猛烈な活動ペースを見直すきっかけにもなったのかもしれない。

変わらず新規のファンが増加している様子が窺える状況ではあり、人間椅子のライブ・イベントに関しては”需要過多”であるとも言えるだろう。

とは言え、年齢的なことも考えれば、1回ごとのツアーを今まで以上に大切に、万全を期して参加できるよう、私たちも心掛けたいところである。

【人間椅子】バンド生活三十五周年を迎え、露出の機会がそれほど増えていないのに動員が増え続ける理由とは?

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