以前に9月~10月によく聴いたアルバム5枚を紹介する記事を公開した。
今回は続いて、10月~11月によく聴いたアルバム5枚を紹介しようと思う。10月が重なっているが、今回はおよそ10月後半から11月の前半くらいと思っていただければと思う。
今回もあまり統一感はないが、新譜よりも昔の名盤を中心に紹介する。
最近気に入っているジャンル・よく聴いている5枚のアルバム
前回の紹介の際にも書いたが、筆者の最近の好みはアンビエントやチルアウトからソウルミュージックに移行しつつある。
わかりやすい歌モノや様式のしっかりあるジャンルから、環境音楽が心地よく感じているところだ。今回選んだアルバムも、何枚かはその流れにある作品である。
そこからもう少しリズミカルなところに関心が移って、ソウルミュージックを聴いている。ソウルミュージックも幅広く、かつて聞きかじって挫折したことがあった。
あまり朗々と歌い上げるタイプのソウルが苦手なようで、一方AOR要素のあるものやチルアウト的な音数の少ないソリッドなものが好みだと言うことが分かった。
今回はこのようなAOR的なソウル、そして環境音楽的なアプローチの作品が中心に並んだ。
Stimulator Jones – Exotic Worlds and Masterful Treasures (2018)
ソウルミュージックで良いアルバムがないかと思って、たまたま見つけたのがこのアルバムだ。
Stimulator JonesはもともとヒップホップのDJであり、ソングライティングから様々な楽器の演奏も本人が行っているのが本作である。
80年代~90年代のソウル、AORなどを思わせるサウンドで、美しいメロディラインが印象的である。音数は決して多くなく、クールなサウンドとなっている。
筆者の聴きたいソウルの完全なストライクである。心地よいサウンドとボーカルに、美しいメロディと、非常にフィーリングが合うアルバムである。
・Stimulator Jones – Give My All
AORを感じさせる心地よいサウンド。ラフに構築されたアレンジが抜群に良い。
・Stimulator Jones – Soon Never Comes
90年代のR&Bを感じさせつつ、ヒップホップの要素も組み込まれている印象だ。「Give My All」もそうだが、リズムギターのカッティングが実に良い味を出している。
筆者にとってはホームラン級の名盤だったのだが、なかなか同系統の作品を見つけるのが難しい。ソウルも細分化されており、微妙にテイストが違うとハマらなかったりする。
休日にゆったりと聴きたくなるような作品だ。Stimulator Jones氏はまだ作品数も多くないようだが、今後の作品にもぜひ期待したいところだ。
Anita Baker – Rapture (1986)
ジャケット写真も実に素晴らしいAnita Bakerによる2ndアルバムである。ソウルには疎く、全く知らなかったのだが、素晴らしいシンガー、そしてアルバムだ。
Anita BakerはChapter 8というファンクバンドでシンガーを務め、1983年にソロデビューを果たしている。クワイエット・ストームと呼ばれる、ソフトでメロウな曲調の音楽に分類されるらしい。
確かにいかにもソウル、という感じではなく、AORやフュージョン的な要素を感じさせるトラックが筆者にとっては入りやすかった。
Anita Baker氏のボーカルは変幻自在で、「You Bring Me Joy」では力強いボーカルを見せ、続く「Caught Up In The Rapture」では一転してソフトで優しい歌い方へと変化する。
・Anita Baker – Caught Up In The Rapture
夜の遅めの時間帯にじっくりと聴きたいアルバムである。これ以外のアルバムも手に取ってみたいところだ。
Klaus Nomi – Simple Man (1982)
3枚目に選んだのは、ニューウェイブの中でも異色のシンガーソングライター・パフォーマーのKlaus Nomiの2枚目にして最後のオリジナルアルバムである。
Klaus Nomiはソプラノ歌手を目指していたこともあり、オペラやニューウェイブなどを基調とした独特の音楽性を持っている。
1983年にAIDSのために亡くなっており、AIDSで亡くなった初めての著名人としても知られている。
なお2020年にはテレビ番組「ドリームマッチ2020」にて、ハライチの岩井勇気氏が”塩の魔人”のキャラクターが、Klaus Nomiのオマージュであると話題になった。
Klaus Nomiと言えば1st『Klaus Nomi(邦題:オペラ・ロック)』が名盤として語られることが多く、2nd『Simple Man』はやや評価が低い印象がある。
確かに1stアルバムはオペラとニューウェイブが見事に融合した名盤であり、楽曲のバランスも絶妙だ。それに比べ、2ndはオペラ要素は弱くニューウェイブ的な作風が強くなった印象である。
しかし個人的にはより聴きやすくなった作品として気に入っている。ポップな「After the Fall」「Simple Man」や、ダンス要素もある「Icurok」「Rubberband Lazer」などわかりやすい。
そしてラストに収録されているカバー曲「Return」の美しさは筆舌に尽くしがたい。鎮魂歌のように響くこの曲は、短い生涯を送ったNomi自身に捧げられているようにも感じる。
The Art of Noise – Who’s Afraid of the Art of Noise? (1984)
4枚目に挙げたアルバムも、ニューウェイブ・実験音楽のジャンルである。The Art of Noiseはキーボードとサンプリングを駆使して作られる実験音楽のユニットである。
1983年のYesのアルバム『90125(邦題:ロンリーハート)』をプロデュースしたトレヴァー・ホーンが参加しており、The Art of Noiseのメンバーもアルバムに参加していることで知られている。
今回紹介するのは1stアルバム『Who’s Afraid of the Art of Noise?(邦題:誰がアート・オブ・ノイズを…)』である。
筆者の目当ては、チルアウトの元祖と言われる楽曲「Moments In Love」であった。チルアウトのおよそ意味するところは、ゆったりとしたテンポでくつろげるような電子音楽を指しているようだ。
・The Art of Noise – Moments In Love
アルバムの他の楽曲を聴く限り、チルアウトというジャンルを作り出そうという意図はなさそうだ。しかし見事に無機質なビートに同じリフが繰り返され、穏やかに時間が流れる曲となっている。
この曲だけでも聴く意味があるが、他の曲も名曲が揃っている。映画「ブレイクダンス」の劇中で使用された「Beat Box Version 1」もヒップホップに影響を与えたであろうビート感で心地よい。
・The Art of Noise – Beat Box Version 1
全体を通じて実験的なサウンドを構築しながらも、決して難解な音楽ではないと思う。この姿勢こそがチルアウトなど、後の環境音楽に与えた影響は大きいのではなかろうか。
作業のBGMなどにも適した音楽であり、どんなシチュエーションでも楽しめるように思う。
Enigma – Le Roi Est Mort, Vive Le Roi! (1996)
最後に紹介する作品も電子音楽であり、ヒーリング・ミュージックの先駆者とも言われるEnigmaである。
民族音楽などの古典音楽とダンスビートとの融合が特徴であり、初期はインスト曲が多いが、徐々にボーカルの入った曲も多くなっていく印象である。
日本では4thアルバム『The Screen Behind the Mirror』収録の「Modern Crusaders」がアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」のエンディング曲として使用されたことでも知られている。
ずっと1stの『MCMXC a.D.』が好きでそればかり聴いており、あまりボーカルが増えてきた2nd以降のアルバムは敬遠していたところもあった。
この3rdアルバムは1stアルバムのような革新性はないかもしれないが、良いメロディが揃っている印象だ。「Beyond The Invisible」では土着的なビートに神秘的なボーカルが美しい。
・Enigma – Beyond The Invisible
各楽曲を緩やかに結びつけながら、アルバムは緩急の付いた流れができている。個人的に名曲だと思う「The Child In US」の穏やかなムードから一転「T.N.T. For The Brain」の緊張感が心地よい。
・Enigma – T.N.T. For The Brain
2ndアルバム『The Cross of Changes』ではやや歌モノが増えた印象で、環境音楽的なものを求めていた筆者としてはやや馴染まない部分もあった。
3rdアルバムの本作は、もう少し環境音楽に戻った感触がある。全体を通じる音作りの心地よさと、主張しすぎないボーカルのバランスが良くなっていると思う。
この作品も夜の時間帯や散歩の時によく聴いていたように思われる。
今月はソウルと実験音楽やニューウェイブの作品を多めに聴いていた。来月に向けても、また新たな音楽を発掘していきたい。
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