今こそ語り継ぎたい 後藤マスヒロ期の人間椅子の魅力 – プレイスタイルからアルバム全紹介まで

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人間椅子
画像出典:OOSU PRESS

活動30年を超える日本のハードロックバンド、人間椅子の活躍が目覚ましい。「無情のスキャット」がバズり、海外公演も大成功を収めるなど、近年バンドとして大いに躍進している。

Twitterなどで盛んに人間椅子についてつぶやいている人を見ると、「無情のスキャット」で知った人やOZZfest Japan 2013出演頃で知った人など、ここ10年以内に知った人が多いようだ。

しかし人間椅子の活動は、それより前に20年間も続いている。最近の活動の密度が濃いものの、以前の人間椅子も良かったぞと、ファン歴20年の筆者は思うところだ。

このブログでは近年の躍進に注目することが多いが、筆者が個人的に好きなのは”後藤マスヒロ”氏が在籍した頃の人間椅子だ。ファンになった頃の人間椅子であり、やはり思い入れは強い。

しかしここで言いたいのは「昔”は”良かった」ではなく、「昔”も”良かった」ということ。当時の人間椅子は、今とはまた異なる魅力を持っていたのだ。

そこで今回はドラマーが後藤マスヒロ氏だった頃の人間椅子の魅力を改めて掘り下げたい。その当時の音楽性やライブ、マスヒロ期に作られた作品の紹介を中心に行っていく。

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後藤マスヒロ期の人間椅子の特徴

後藤マスヒロ氏が人間椅子に在籍した時期について最初に述べておこう。

後藤マスヒロ氏が人間椅子で活動したのは、サポートドラムス(1993年 – 1995年)、第三期ドラムス(1996年 – 2003年)の期間である。オリジナルアルバムとしては以下の6枚に関わっている。

  • 羅生門(1993年)
  • 頽廃芸術展(1998年)
  • 二十世紀葬送曲(1999年)
  • 怪人二十面相(2000年)
  • 見知らぬ世界(2001年)
  • 修羅囃子(2003年)

ここでは後藤マスヒロ氏が在籍した人間椅子の特徴を、いくつかの角度から見ていきたい。

後藤マスヒロ氏のドラミングと編曲への貢献

後藤マスヒロ氏は、人間椅子加入前はTheピーズや頭脳警察でドラムを担当していた。音楽的にはハードロックやプログレッシブロックなどを背景に持っており、手数の多いドラムが特徴だ。

1993年に4thアルバム『羅生門』の際にサポートドラマーとして人間椅子に参加している。この時点ではサポートであるため、そこまで後藤氏の個性が反映されていない印象だ。

その後の人間椅子は土屋巌氏と『踊る一寸法師』『無限の住人』の2作のアルバムを制作し、『無限の住人』の発売ツアーを前に土屋氏が脱退する。

後任として後藤マスヒロ氏が正式加入することになる。正式加入後の5作品では、よりパワーアップした後藤氏のドラムが冴え渡っている。

特に『怪人二十面相』以降の3作品は、ドラムの音作りも含めて素晴らしい。テクニカルであるだけでなく、どっしりとしたヘビーさも兼ね備えている。

後藤氏はプレイでの貢献とともに、編曲面でも大いに貢献していると思われる。特にデモ段階でアレンジを組み立てない鈴木氏については、後藤氏のドラムアレンジがかなり採用されているだろう。

後藤氏のドラムは、テンポが速くても遅くても手数が多いのが特徴だ。シンプルなリズムであっても、巧みにドラムフレーズを組み合わせて、プログレッシブに聞こえるように演奏されている。

後藤氏のドラムは、良い意味で人間椅子を難解な音楽たらしめた要素と言える。当時の人間椅子が唯一無二の音楽性であった要因の1つとして、重要であったのが後藤氏のドラムだったのではないか。

当時のライブの特徴

筆者が初めて人間椅子のライブに参加したのが、2001年にアルバム『見知らぬ世界』の発売ツアーだった。その当時を振り返って書いた日記が下記のリンクである。

その後、VHS『見知らぬ世界』発売ツアー、『修羅囃子』発売時のツアー、「終わらない演奏会」ツアーの計4回、後藤氏在籍時のライブを観た。

当時のライブの印象と言えば、今よりも張り詰めた緊張感があったように感じる。今の人間椅子も演奏とMCの落差が大きいが、マスヒロ氏の時代の方がさらに強かったように思う。

やはりマスヒロ氏の鬼気迫るドラムは印象的である。それに呼応するように、和嶋・鈴木両氏も迫真のパフォーマンスを見せていたように記憶している。

また今以上にライブごとにセットリストを変えていた。30代半ばという若さと圧倒的なテクニックにより、あらゆる曲をライブごとに変えながら演奏できたのだろう。

そして今以上に楽曲のカバーや即興の演奏なども多かった。ハードロックをバックグラウンドに持つ3人が集まるオタクの空間という雰囲気のライブだったように思う。

和嶋・鈴木両氏とのコンビネーション

この当時の人間椅子の3人のバランスも、当然今と異なっていた。いわゆる外向けの看板役となっていたのは鈴木氏であった。

インタビューなどで口火を切るのは鈴木氏であり、和嶋氏はそれに続くような形であり、今とは逆の立場であった。

そして後藤氏は基本的に寡黙であり、2人に比べればクールなコメントを残すことが多い。

音楽的にもこれに近いバランスだった。まずは鈴木氏が人間椅子らしいハードロックを作り、アルバムの中核となる楽曲を作っていた。

和嶋氏はやや王道から外したロックの楽曲が多く、アルバムでは楽曲の幅を広げる担当というイメージである。後藤氏はドラムの職人と言う印象で、2人の作る様々な曲を自在にアレンジしてみせていた。

この時期は音楽的な幅を広げていた段階であり、ハードロックから派生したあらゆるロックが作られていた。

結果的に音楽的には非常に奥深くてマニアックな作品が作られていたと言える。しかしクオリティとしては非常に高く、人間椅子としてオリジナルなハードロックの幅を最も広げ、深めた時期であった。

また今の人間椅子に比べれば、ずっと不健康な音楽と言う印象だ。和嶋氏がまだ表現に迷いがあり、歌詞には常に不穏なムードが漂っていた。

この不健康さが魅力の1つともなっており、今の人間椅子の前向きな歌詞とは明らかに異なる点である。

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各アルバム紹介

ここでは後藤マスヒロ氏がプレイしたアルバム6枚を紹介していこう。アルバム全体の紹介と、アルバムのおすすめ度を筆者がつけてみた。

また近年のベスト盤には収録されない名曲と思われる曲を各アルバムから2曲ずつ選出して紹介した。

4th『羅生門』

  • 発売日:1993年10月21日、1998年7月23日(廉価盤再発)、2016年11月2日(HQCD再発)
  • 発売元:株式会社メルダック、、徳間ジャパンコミュニケーションズ(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★★★☆
no.タイトル作詞作曲時間
1.もっと光を!和嶋慎治鈴木研一・和嶋慎治3:49
2.人間椅子倶楽部和嶋慎治和嶋慎治4:26
3.なまけ者の人生(Album Version)和嶋慎治鈴木研一5:03
4.埋葬蟲の唄和嶋慎治鈴木研一・和嶋慎治5:44
5.青森ロック大臣和嶋慎治鈴木研一3:02
6.ナニャドヤラ和嶋慎治和嶋慎治2:52
7.ブラウン管の花嫁和嶋慎治和嶋慎治5:43
8.憧れのアリラン鈴木研一鈴木研一3:56
9.羅生門和嶋慎治和嶋慎治・鈴木研一7:04
   合計時間41:40

売り上げが下がっており、起死回生を狙おうとしていた時期の作品だ。Black Sabbathのトニー・アイオミ氏にプロデュースを打診したものの失敗するなど試行錯誤をしていた。

『黄金の夜明け』の実験的な要素や難解さと対比し、わかりやすさを重視しているようにも思われる。何とか売り上げを伸ばそうと言う苦労もあったのだろうかと推測される。

前作に比べるとコンセプト感は弱めであり、1曲ずつのキャラクターが強い印象。鈴木氏がボーカルを取る曲が多い一方で、和嶋氏による作詞がほとんどで分担がはっきりした作品だ。

後藤氏はサポートとしての参加であり、人間椅子の世界観にそこまで大きな影響を与えている印象はない。ただし「人間椅子倶楽部」ではサポートながらボーカルとして後藤氏も参加している。

全体的にはどことなく固い印象もあるが、聴きやすさでは随一のアルバムである。

<『羅生門』の名曲>

人間椅子倶楽部

イントロの後藤氏のドラムが印象的であり、キャッチーなリフが心地よい。ファンクラブのテーマ曲でもあり、陽気な印象も与える楽曲である。

シンプルなビートだけに、後藤氏の動き回るドラムが爽快である。

埋葬蟲の唄

『羅生門』の中でも最もプログレッシブな楽曲である。どんよりしたメインリフと、中間部の激しい展開が対照的なアレンジとなっている。

後藤氏の個性が光るのは中間部のテンポチェンジであろう。正式加入時よりはシンプルなドラムセットながら、スリリングなドラミングは明らかに人間椅子に新しい魅力をもたらしている。

7th『頽廃芸術展』

  • 発売日:1998年2月21日、2003年1月22日(廉価盤再発)
  • 発売元:株式会社トライクル、(株)テイチクエンタテインメント(再発)
  • おすすめ度:★★★★★
no. タイトル作詞作曲時間
1胎内巡り和嶋慎治鈴木研一7:52
2戦慄する木霊和嶋慎治和嶋慎治3:54
3九相図のスキャット和嶋慎治和嶋慎治5:00
4血塗られたひな祭り鈴木研一鈴木研一7:20
5菊人形の呪い和嶋慎治和嶋慎治7:11
6天体嗜好症和嶋慎治鈴木研一6:18
7村の外れでビッグバン和嶋慎治和嶋慎治4:57
8ED75鈴木研一鈴木研一6:31
9エキサイト鈴木研一鈴木研一3:21
10阿片窟の男和嶋慎治和嶋慎治4:37
11銀河鉄道777鈴木研一鈴木研一3:40
12ダンウィッチの怪和嶋慎治鈴木研一、和嶋慎治7:24
合計時間68:04

単発のメジャー契約でリリースを行っていた時期の作品であり、制作も自前で行ったという人間椅子の歴史においては特殊な作品である。

和嶋・鈴木両氏の地元青森県のライブハウスMag-Net亀ハウスで録音されている。自らトラックダウンも行っており、他の作品と比べるとやや音像が異なっている。

しかし内容としては、名曲をてんこ盛りに詰め込んだようなアルバムである。ベスト盤に入る楽曲は少なく、ポピュラーな要素は薄いが、マニアックな名曲が多数揃っている印象だ。

和嶋・鈴木両氏の楽曲のバランスも良く、2人がお互いの個性を引きたてつつ、ダークな世界観を構築している。アルバムタイトルも示すように、洋風な印象を感じさせる作風となっている。

またこの作品から後藤氏が正式加入し、その怒涛のドラムを聴かせてくれる。バラエティ豊かな楽曲に対して、圧倒的な個性で動き回るドラムを楽しむことができる。

前作『無限の住人』に比べればまとまりに欠けるアルバムとも言えるが、個々の楽曲のポテンシャルは非常に高く、かなりおすすめのアルバムである。

<『頽廃芸術展』の名曲>

胎内巡り

冒頭から後藤氏の怒涛のドラムで始まる楽曲だが、1曲目にしてはかなり渋い。のっそりと同じリフを繰り返すスタイルで、ハードロックとして王道の展開の楽曲である。

和嶋氏のギターもブルースを感じさせる渋いギターソロが聴ける。Freeのポールコゾフを意識したビブラートが心地よい。

ラストにはお経パートがあり、プログレッシブな要素も楽しむことができる。

ダンウィッチの怪

非常に人気の高い楽曲で、鈴木氏のボーカルによるダークな世界観を堪能できる楽曲だ。全体的にはプログレの要素が強く、前半と後半で雰囲気が異なる点も面白い。

ラストの展開では後藤氏の怒涛のドラムを聴くことができる。プログレッシブな楽曲の中での後藤氏のドラムの変幻自在なプレイには本当に舌を巻く。

8th『二十世紀葬送曲』

  • 発売日:1999年3月25日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • 発売元:メルダック、徳間ジャパンコミュニケーションズ(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★★★☆
no. タイトル作詞作曲時間
1幽霊列車和嶋慎治和嶋慎治5:41
2鈴木研一鈴木研一6:35
3恋は三角木馬の上で和嶋慎治和嶋慎治4:39
4都会の童話和嶋慎治後藤升宏7:07
5暁の断頭台和嶋慎治鈴木研一5:56
6少女地獄和嶋慎治和嶋慎治6:06
7春の海和嶋慎治鈴木研一7:50
8不眠症ブルース後藤升宏後藤升宏5:45
9サバス・スラッシュ・サバス鈴木研一鈴木研一3:33
10黒い太陽和嶋慎治和嶋慎治6:11
合計時間59:16

メジャーに復帰したアルバムであり、人間椅子の10周年を記念した作品だ。20世紀から21世紀へと人間椅子が変わらず暗い曲を作っていくことを示した作品でもある。

前作『頽廃芸術展』が幅広い楽曲が収録されたのに対し、収録曲数も抑えてヘビーな楽曲が多めになっている。拷問器具が写真に掲載されているように、不穏なムードが漂う楽曲が多い。

サウンド面では前作とは異なり、より生々しくヘビーな音に仕上がっている。人間椅子の全作品の中でも屈指の重低音の効いた音像になっているように感じられる。

後藤氏のドラミングは前作と大きな変化はないが、2曲作曲で参加していることは注目点だ。やや和嶋・鈴木両氏の楽曲がヘビーな方向で似通っているため、後藤氏の曲がアルバムで変化になっている。

全体としては「幽霊列車」「蟲」などの定番曲はありつつ、アルバムトータルではやや固い印象もある。じっとり重い人間椅子が好きな人にはおすすめしたいアルバムである。

<『二十世紀葬送曲』の名曲>

暁の断頭台

アルバムの中でも屈指のヘビーな楽曲であり、重さとともに漂う寂寥感が堪らない。サビの悲しいメロディラインと和嶋氏の歌詞が相まって、この時期の人間椅子の良さが表れている。

ここでも中間部では後藤氏の怒涛のドラムを聴くことができる。どっしりしたドラムから、タムを転がすプレイまで自在に変化するドラムはさすがとしか言いようがない。

黒い太陽

アルバム内で和嶋氏の最もヘビーな楽曲であり、歌詞も今の人間椅子ではあり得ない真正面から悪を描いた楽曲である。

ダウンチューニングによる重低音のリフは、ドゥームメタルにも括られそうなほどの重さである。「暁の断頭台」にも通じるような、寂寥感が漂うのがこの時期の人間椅子の特徴だ。

そして3人の息が合った演奏により、このヘビーなグルーブが生まれている。テクニックだけではない後藤氏のヘビーなドラムが楽しめる1曲でもあると言えよう。

9th『怪人二十面相』

  • 発売日:2000年6月21日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • 発売元:メルダック、徳間ジャパンコミュニケーションズ(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★★★★
no. タイトル作詞作曲時間
1怪人二十面相和嶋慎治鈴木研一6:45
2みなしごのシャッフル和嶋慎治和嶋慎治4:22
3蛭田博士の発明和嶋慎治鈴木研一5:46
4刑務所はいっぱい和嶋慎治和嶋慎治5:25
5あしながぐも鈴木研一鈴木研一5:08
6亜麻色のスカーフ和嶋慎治後藤升宏4:31
7芋虫鈴木研一鈴木研一8:41
8名探偵登場和嶋慎治和嶋慎治2:39
9屋根裏のねぷた祭り鈴木研一鈴木研一7:22
10楽しい夏休み和嶋慎治和嶋慎治6:01
11地獄風景鈴木研一鈴木研一3:29
12大団円和嶋慎治和嶋慎治8:15
合計時間68:24

20世紀最後の人間椅子のアルバムとして、原点である江戸川乱歩の小説をタイトルに冠したアルバムが『怪人二十面相』である。

「怪人二十面相」に関する楽曲がいくつか収録されていることや、メンバーが登場人物に扮するジャケット写真など、コンセプトアルバムとも言える

前作ではどんよりした楽曲が多い印象だったが、本作は比較的わかりやすい楽曲が多く、明るい雰囲気も漂っている。「芋虫」「大団円」などヘビーな楽曲もあるが、あまりじっとりした印象はない。

おそらくは音作りが影響していると思われ、より各楽器の音がクリアに録音されている。後藤氏のドラムもよりタイトさを増し、バンド全体の一体感もさらに増していった印象だ。

さらに人間椅子の作品中で最も洒落たアルバムと感じている。特に和嶋氏の楽曲はおどろおどろしさはほとんどなく、小気味良い楽曲が並んでおり、ハードロック以外の要素を多く感じる。

鈴木氏の楽曲も全体的に冴え渡っており、アルバム全体のクオリティも非常に高い作品だ。後藤氏在籍時ではピークとも言える傑作である。

<『怪人二十面相』の名曲>

刑務所はいっぱい

すっかりレア曲入りしてしまった楽曲だが、本作の和嶋氏の中でも巧みに構築されたハードロックの楽曲である。

単音のリフやパワーコードなど、ハードロックの美味しいツボを押さえつつ、小洒落た雰囲気を感じさせる。近年のメッセージ性の強い楽曲も魅力的だが、この時期の音楽性を高めた楽曲も味わい深い。

屋根裏のねぷた祭り

軽やかな風味の本作ながら、じっとりとした怖さを味わえる1曲となっている。鈴木氏の囁くようなAメロから「ヤーヤドー」の掛け声が恐ろしさを際立たせている。

和嶋氏のギターはバイオリン奏法を取り入れているが、これも恐ろしさを強調するための工夫だ。また後藤氏のドラムもタメを効かせたプレイで、重さもありつつタイトに演奏されている。

10th『見知らぬ世界』

  • 発売日:2001年9月21日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • 発売元:トライエム、徳間ジャパンコミュニケーションズ(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★★★☆
no. タイトル作詞作曲時間
1死神の饗宴和嶋慎治鈴木研一4:49
2涅槃桜和嶋慎治和嶋慎治6:56
3侵略者(インベーダー)和嶋慎治鈴木研一5:48
4さよならの向こう側和嶋慎治和嶋慎治5:38
5人喰い戦車鈴木研一鈴木研一4:43
6そして素晴しき時間旅行和嶋慎治後藤升宏6:55
7甘い言葉 悪い仲間和嶋慎治和嶋慎治5:58
8自然児和嶋慎治鈴木研一7:02
9エデンの少女和嶋慎治和嶋慎治5:14
10魅惑のお嬢様鈴木研一鈴木研一5:56
11悪魔大いに笑う和嶋慎治和嶋慎治4:37
12棺桶ロック鈴木研一鈴木研一3:34
13見知らぬ世界和嶋慎治和嶋慎治5:40
合計時間72:56

和嶋氏が離婚を経験した後に、気持ちを仕切り直して作られたというアルバムである。和嶋氏が今までにない明るい曲調が増えたことで、賛否両論を巻き起こした作品だった。

前作までの楽曲のバランスを大きく崩した作品ではあるが、楽曲全体のクオリティは全く落ちていない。明るい曲調も含めて、バラエティを増した作品として楽しむことができるだろう。

鈴木氏は前作に続き、安定して高いクオリティの楽曲を作っている。特に「死神の饗宴」は鈴木氏の楽曲の中でも屈指の名曲であり、和嶋氏の歌詞もヘビーな内容を前向きに書いた新しさがある。

和嶋氏の心境地である「さよならの向こう側」「エデンの少女」などは、メロディも良くクオリティの高い楽曲に仕上がっている。

後藤氏のドラムは前作同様、タイトでヘビーなドラムとなっている。高速の「棺桶ロック」から自身の作曲である「そして素晴しき時間旅行」のプログレまで、縦横無尽にプレイしている。

バラエティに富んだ作品でありながら、クオリティの高い楽曲が並んでおり、個人的にはおすすめ度星5つである。ただ賛否両論あると思われ、1つ引いた4つにしている。

<『見知らぬ世界』の名曲>

人喰い戦車

鈴木氏が敬愛するNWOBHMのバンドTANKをイメージして作った楽曲である。TANKの持つ男臭さと胸に刺さるメロディが見事に融合した名曲だ。

AメロからBメロへと巧みに転調が行われているなど、楽曲も作り込まれている印象。ギターソロにも哀愁が漂っており、和嶋氏のギターもこの曲の世界観をよく表現している。

見知らぬ世界

本作において唯一和嶋氏が作曲したヘビーな楽曲にしてタイトル曲。これまでラストには複雑な曲が配置されることが多かったが、現在の人間椅子に通じる前向きでヘビーな楽曲となっている。

この曲は3人のグルーブが見事に揃ったところに成立している。隙間のあるドラムに、ギターのリフがリズムを埋めるような形になっている。

3人の息がぴったり合うことで、この土着的なリズムが生まれる。中間部からの高揚感あるギターソロの流れも秀逸であり、この時期の人間椅子の真骨頂を見ることができる。

11th『修羅囃子』

  • 発売日:2003年1月22日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • 発売元:トライエム、徳間ジャパンコミュニケーションズ(UHQCD再発)
  • おすすめ度:★★★☆☆
no. タイトル作詞作曲時間
1東洋の魔女和嶋慎治鈴木研一5:34
2鈴木研一鈴木研一5:55
3愛の言葉を数えよう和嶋慎治和嶋慎治4:39
4月に彷徨う鈴木研一鈴木研一5:33
5野球野郎和嶋慎治後藤升宏4:29
6最後の晩餐和嶋慎治和嶋慎治6:52
7終わらない演奏会鈴木研一鈴木研一3:45
8王様の耳はロバの耳和嶋慎治鈴木研一4:21
9恐山和嶋慎治和嶋慎治3:37
10蛇性の淫鈴木研一鈴木研一6:22
11相剋の家和嶋慎治和嶋慎治6:06
合計時間57:13

騒々しい音楽のロックは修羅の音楽であるとし、”囃子”に見立てて演奏するというのがタイトルの意味するところだ。ジャケットにはチンドン屋に扮したメンバーが写っている。

基本的な路線としては前作同様、鈴木氏がハードロック中心で、和嶋氏はハードさは控えめな楽曲が多くなっている。ただし鈴木氏も後のインタビューで答えていたように、クオリティはここ数作に劣る

鈴木氏は「自分の曲が多いから」と語っているが、どちらかと言うとアルバム全体の目指す方向が見えなくなっているところにあるように思う。

緩やかであってもアルバム全体を束ねていた何かが解けてしまったようで、サウンド面にも表れているように思う。ライブに近いアレンジとなっているが、前作までのグルーブ感はやや後退した。

個々の楽曲では「東洋の魔女」「相剋の家」など人間椅子らしいものもあり、決して駄作とは思わない。しかし後藤氏がこの後で脱退したことからも、少しずつ歯車がずれてきている印象である。

<『修羅囃子』の名曲>

恐山

弾き語り主体の楽曲ではあるが、人間椅子らしい独特の湿り気を感じさせる名曲。楽曲自体はもっと前からあったようだが、このタイミングでの収録となっている。

サビの部分ではバンド全体での演奏となっているが、テレビ番組「人間椅子倶楽部」で放映された弾き語りのみのアレンジも個人的には気に入っている。

蛇性の淫

鈴木氏らしい王道ハードロックの楽曲だ。メインリフはベースのみで演奏されるアレンジも秀逸であり、不気味な雰囲気を強めている。

エロスをテーマにした楽曲であり、”下品さ”を表現しているのだろう。ゴリゴリしたベースラインやユニゾンチョーキングなど、怪しさを表現するアレンジが効いている。

和嶋氏の作詞だったらまた異なる印象になったであろう楽曲だ。

まとめ

今回は後藤マスヒロ氏が在籍した時期の人間椅子について紹介してきた。

筆者が初めて人間椅子に触れた時期が、後藤氏が在籍していた頃だった。それ故にただならぬ思い入れがあるものの、それを差し引いても今なお光り輝く名盤が並んでいると思う。

今の人間椅子がわかりやすくヘビーな楽曲を作っているとすれば、この時期の人間椅子は職人のように音楽性を極めるマニアックなものであったと言える。

当時はその魅力を伝えるツールもなかったので、まさに知る人ぞ知るバンドだった。その魅力が当時全く伝わっていなかったのが筆者としては残念だが、今人間椅子を知って触れる人が増えたのは嬉しい。

これからこの時期の作品に触れる人は、今と少し異なる人間椅子の音楽にぜひ触れてほしいと思う。またメルダックから発売された作品は、良質なUHQCDで再発されている。

ぜひアートワークも含め、CDを手に取って聴いてみてほしいと思う。

なお後藤氏は金属恵比須でドラマーとして活動し、聖飢魔Ⅱの創始者であるダミアン浜田陛下のDamian Hamada’s Creaturesにもドラマーとして参加しているので注目されたい。

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