【人間椅子】映画『いとみち』の挿入歌”エデンの少女”はどんな曲?挿入歌に選ばれた理由は?

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人間椅子
画像出典:Rooftop

2021年6月に公開される映画『いとみち』の挿入歌に、ハードロックバンド人間椅子の”エデンの少女”が選ばれた。

青森県を舞台にしたこの映画で、メンバーの2人が青森県出身の人間椅子の楽曲が使われることになった。それでは「エデンの少女」とはどのような楽曲なのか?

そしてなぜ「エデンの少女」が選ばれたのか?についても探ってみた。

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映画『いとみち』について

まずは映画『いとみち』について、基本的な情報を確認しておこう。

  • 公開日:2021年6月18日(青森先行上映)、6月25日(全国上映)
  • 主なキャスト:駒井蓮、豊川悦司、黒川芽以、横田真悠、中島歩、古坂大魔王、ジョナゴールド(りんご娘)、宇野祥平、西川洋子
  • 脚本・監督:横浜聡子
  • 原作:越谷オサム『いとみち』(新潮文庫刊)

<予告編>

津軽弁の訛りが強く、人見知りの強い高校1年生の相馬いと(駒井蓮)が、メイドカフェで奮闘し、成長する姿を描くストーリーだ。

また得意だった津軽三味線がポイントになるようで、オール青森ロケ・青森県出身のキャストが多く配置されるなど、青森県に根差した映画となっている

映画ではシングルマザー、格差社会などもさりげなく散りばめられつつ、温かい人間ドラマとなっているようだ。

第16回大阪アジアン映画祭で最優秀作品賞、観客賞を受賞している。

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挿入歌の「エデンの少女」はどんな曲?

劇中の挿入歌として、人間椅子の楽曲「エデンの少女」が使用されることになった。では「エデンの少女」とはどのような内容の楽曲なのか?

歌っているバンド人間椅子について、続いて「エデンの少女」について紹介していこう。

歌っているのは日本のハードロックバンド「人間椅子」

挿入歌を歌うバンド人間椅子は、日本のハードロックバンドである。1987年に結成され、1989年にテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国」に出演したことで、デビューにつながった。

ベース鈴木研一の”ねずみ男”の奇抜な衣装が印象的だったが、ギター和嶋慎治のギタープレイや、おどろおどろしく文学的な楽曲の世界観も高く評価された。

しかしバンドブームが去ると、長らく低迷期を経験している。ドラマーが何度が交代しており、2004年にナカジマノブが加入し、現メンバーでの体制がスタートした。

転機となったのは、2013年に人間椅子が敬愛するBlack Sabbathのオジーオズボーンが主催する「Ozz fest Japan 2013」への出演だった。

”イカ天”世代の人だけでなく、若い世代も含めて新たなファンを獲得し、2015年には渋谷公会堂での単独公演では満員御礼となった。

そして2019年に発表したアルバム『新青年』収録の「無情のスキャット」のMVがバズり、再生回数は860万回を超えている。(2021年4月現在)

そして動画には国内だけでなく、海外からのコメントも増加した。2020年2月には初の海外公演(イギリス、ドイツ)が実現し、今大いに注目を集めている。

初めて聴く人は、まず最新のベストアルバムをおすすめしたい。

そして2020年には初の映画『映画 人間椅子 バンド生活三十年』が公開され、その映像作品が6月25日に発売予定である。

なお人間椅子の歴史について、詳しくは当ブログの以下の記事で紹介している。

「エデンの少女」はどんな曲?

それでは劇中に使用された「エデンの少女」はどんな曲なのか?「エデンの少女」の基本情報は、以下の通りである。

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:10thアルバム『見知らぬ世界』(2001)

人間椅子の音楽性は、おどろおどろしいハードロックである。その流れからすると、かなり異色の楽曲と言える。

ハードなギターから始まるも、歌はとても爽やかである。そして非常にポップで覚えやすいメロディであり、歌謡曲を思わせるような楽曲なのだ。

なぜこのような楽曲が生まれたのか?この時期の和嶋氏は私生活で離婚という大きな変化があり、作る楽曲にも大きな影響を及ぼしていたようだ。

ハードロックのダークな世界観で、元妻への感謝の気持ちを表現できないと思い、明るい曲調が増えたようである。アルバム『見知らぬ世界』には、他にも何曲か明るい曲が収録されている。

※この時期については、和嶋氏の自伝『屈折くん』に詳しく書かれている。

そして「エデンの少女」の歌詞の内容はどのようなものだろうか。

歌詞に登場する「少女」はまるでおとぎ話の登場人物のようである。そして何か不幸をまとった少女が、輝きを目指して駆け抜けていくような光景が浮かぶ歌詞である。

しかしこの歌詞のモチーフとなったのは、実は統合失調症と思われる少女の姿だったようだ。作詞・作曲を行った和嶋氏によると、図書館でぶつぶつと独り言を話している少女を見かけたとのこと。

そして笑みを浮かべたかと思うと、急に走り出していった。その背中に、この歌詞を思いついたと、2001年のファンクラブ会報誌で書いている。

精神疾患を抱える人こそ、子どものような純粋さを失わずに持っているかもしれない。そういった純粋な心の在りようを”少女”として描いた曲だと思われる。

「エデンの少女」はなぜ挿入歌に選ばれた?

続いて、なぜ「エデンの少女」がこの映画の挿入歌に選ばれたのだろうか?人間椅子の中でも、異色の楽曲であり、決して代表曲とは言えない楽曲だが、選ばれた理由はあるのか。

筆者が調べたところ、まだ「エデンの少女」が選ばれた直接的な理由はまだ明かされていないようだ。ただし断片的には情報が出てきている。

まず原作者の越谷オサム氏は人間椅子のファンであることを公表している。映画『いとみち』に関する情報が解禁になったことで、一連のツイートが投稿されていた。

越谷オサム先生による【バンド・人間椅子とわたくし】
人間椅子が劇中曲を担当する、映画「いとみち」の原作小説を書かれた越谷オサム先生の人間椅子に関する呟きをまとめました。

人間椅子の活動初期より名前は知っていたものの、自身の作品への影響を警戒して、あえて音源を耳にしないようにしていた時期が長かったようだ。

しかし2014年にベスト盤を聴き、すぐにCDをコンプリートしたことを報告している。

そして2019年に映画制作会社「ドラゴンロケット」のプロデューサーより、映画『いとみち』に人間椅子の楽曲を使いたい旨を打診され、すぐにOKの返答をしたのだという。

一連のツイートで気になるのは、選曲したのが横浜聡子監督であるということだ。

監督の横浜聡子氏が人間椅子のファンであるか確認できなかったが、「エデンの少女」というレア曲を選ぶのだから、あらゆる人間椅子の楽曲を聴いた上での選曲だろうと思われる。

また映画『いとみち』のビジュアルは2種類あるが、”赤バージョン”と呼ばれるビジュアルのキャッチコピーは「少女よ、駆け抜けろ!」である。

これは「エデンの少女」の終盤に登場する歌詞である。やはり少女が主人公の物語であり、この映画のイメージと楽曲がリンクする部分があったと想像される。

さらに青森のご当地アイドルグループ「りんご娘」のジョナゴールドが演じる、早苗は「人間椅子」のファンという設定で、自室には人間椅子のポスターが張られているビジュアルも公開された。

以上から、原作者や監督の、人間椅子に対する熱い思いを感じ取ることはできるだろう。そして映画のイメージに合う人間椅子の楽曲を、厳選した結果が「エデンの少女」だったのではないか。

まだ公式に選ばれた理由に関する情報は見当たらないが、映画のイメージに合った楽曲であることは推測される。

社会問題にも触れつつ、少女の成長を追っていくような内容であり、「エデンの少女」が持つ本質的な純粋さがマッチしたのではないだろうか。

まとめ

今回は映画『いとみち』の挿入歌に決まった、人間椅子の「エデンの少女」について紹介してきた。

人間椅子の楽曲の中では、異色のポップな曲調であるが、歌詞の成り立ちを知ると不思議な感動を覚える名曲である。筆者も前々から気に入っていた楽曲だけに、ここで日の目を見ることが大変嬉しい。

「エデンの少女」が挿入歌に使われた理由については、現時点ではまだ情報は見つからなかった。ただ人間椅子への熱い思いを感じられるポイントが多く、聴きこんで選ばれたのではないかと推測される。

今後の情報にも要注目であるとともに、映画を見てどのように曲が使われているのか注目していきたい。

「いとみち」鑑賞後に、「いとみち」と「エデンの少女」の関係について考察した記事

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