【初心者向け】”はじめてのアルバム” – 第20回:Sade 唯一無二の個性を感じさせる名盤は?

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アルバムレビュー
画像出典:Amazon

歴史の長いバンドは、必ずと言っていいほど「何から聴けば良いのか?」問題が出てくる。

そこで初めて聴く人向けに、最初に聴くのにおすすめのアルバムを紹介するシリーズ記事を書いている。

これまで19回の記事を書いており、国内外のベテランミュージシャンを多く取り上げてきた。記念すべき第20回はジャズやソウルなどを基調とした唯一無二のサウンド、Sadeを取り上げる。

ボーカルであるSade Aduのエキゾチックな存在感と歌唱、そして隙のないミニマルで洗練されたサウンドは、緊張感の中にある心地好さと言った趣だ。

さてこれまでは作品数の多いアーティストを選んできたが、Sadeは寡作で知られる。全部聴いてくれ、と言いたいところだが、厳選して名作を紹介しようと思う。

前回:【初心者向け】”はじめてのアルバム” – 第19回:Black Sabbath オリジナルメンバーの名盤紹介

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Sadeについて

最初にSadeについて、ごく簡単に歴史について語っておきたい。

そもそもSadeはバンド名である。ボーカルであるSade Aduを中心とし、バックミュージシャンを含むバンド形態なのだ。

バンドは1982年頃にイギリスで結成されている。

1984年にデビュー、当時のメンバーはSade Adu、Stuart Matthewman(サックス・ギター)、Paul Denman(ベース)、Andrew Hale(キーボード)だった。

1984年にデビューシングル「Your Love Is King」がトップ10ヒットしている。

さらにデビューアルバム『Diamond Life』は最高位2位を記録、世界で600万枚を売り上げるに至った。

3枚目のシングル「Smooth Operator」は初の全米ヒット、そして1985年7月13日にはライブ・エイドにも出演している。

1985年には2ndアルバム『Promise』をリリースし、イギリスとアメリカの両方で1位を獲得し、同年グラミー賞で最優秀新人賞を受賞している。

この頃までを初期(80年代前半)とするなら、ジャズやラテンの要素を感じさせる、心地好くムーディな音楽性が特徴であった。

ボーカルSade Aduのエキゾチックないで立ちも、そうした印象を強めたという逸話はよく聞かれるところである。

1988年に3rd『Stronger Than Pride』をリリース、BPIからプラチナ認定を受けている。

同作収録の「Paradise」はイギリスのトップ30、アメリカのトップ20入りを果たしている。

1992年に4th『Love Deluxe』をリリース、全米アルバムチャートで最高3位を獲得している。

1993年にはアカデミー賞受賞映画『フィラデルフィア』のため、パーシー・メイフィールドの曲「Please Send Me Someone to Love」をカバーした。

その後、Sade Aduが妊娠、出産のために活動を休止。残されたメンバーはSweetbackを結成し、アルバムリリースも行っていた。

なおこれまでを中期(80年代後半~90年代)とすれば、ラテン風味もそぎ落とされ、非常に緊張感がある中での洗練されたサウンドに変化していった時代だった。

2000年にSade Aduが復帰、5th『Lovers Rock』をリリースしている。2002年にはグラミー賞最優秀ポップ・ボーカル・アルバム賞を受賞した。

また2001年を通してツアーを行い、その模様はライブアルバム『Lovers Live』としてリリースされている。

次にアルバムリリースしたのは何と10年後、2010年に6th『Soldier of Love』をリリースし、本作もグラミー賞(最優秀R&Bパフォーマンス賞)を獲得している。

なお2012年にライブアルバム『Bring Me Home: Live 2011』をリリース後は、アルバム発表はされていない。

近年のSadeの動きとしては、2018年にディズニー映画『五次元世界のぼうけん(原題:Wrinkle in Time)』に「Flower of the Universe」を書き下ろしている。

同年、映画『妻たちの落とし前(原題:Windows)』のエンディング曲「The Big Unknown」を提供している。

その後、2022年の夏に再建されたミラヴァル・スタジオで7枚目のアルバムの新曲のレコーディングを開始したと報じられている。

現在に至るまでを後期(2000年代以降)とすれば、90年代までにあった緊張感は弱まり、アコースティックギターと打ち込みドラムによる、オーガニックな雰囲気のソウルに移行している。

また後退していたラテン風味や、土着的な要素が現代的なサウンドと融合している。

時代によって音楽的な変化はみられるものの、その洗練されたサウンドとSade Aduの妖艶なボーカルが繰り広げる唯一無二の世界観は、いまだ多くのファンの心を掴んでいる。

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”はじめて”のベストアルバム

まずはベストアルバムから紹介しよう。Sadeは2枚のベストアルバムしかリリースしていないので、話はとても早い。

個人的にはコンパクトにSadeの魅力を感じたいならば、1枚目のベストアルバム『The Best of Sade』(1994年)がおすすめである。

活動を休止する前の1992年の4th『Love Deluxe』までの楽曲から構成されている。これぞSadeというサウンドを凝縮した1枚となっている。

またアルバム未収録だったカバー曲「Please Send Me Someone to Love」は本作で聴くことができる。

もう1枚のベストアルバム『The Ultimate Collection』(2011年)は、6枚のアルバムから選曲され、現時点で唯一のオールタイムベストアルバムとなっている。

ただ『Love Deluxe』からの選曲が多かったり、2000年代以降の楽曲が多めであったりと、やや選曲に偏りがあると言う声もある。

どちらかと言うとマニア向けのコレクション用で、渋いところではThin Lizzyのカバーである「Still In Love With You」が収録されている。

加えて新曲が2曲、リミックスの新録が2曲収録されており、持っていない音源を揃えるのには必要なベスト盤と言えるかもしれない。

”はじめて”のオリジナルアルバム

いよいよ本題、はじめてSadeを聴く人におすすめしたいオリジナルアルバムである。冒頭にも書いた通り、Sadeは非常に寡作であるため、全部聴いてくれ、とも言いたくなる。

Sadeの作風を分けるならば、「Sadeについて」のところで書いた通り、3つの時期に分割できると考える。

  • 初期(80年代前半):ジャズやラテンの要素を感じさせる、心地好くムーディな音楽性
  • 中期(80年代後半~90年代):ラテン風味もそぎ落とされ、非常に緊張感がある中での洗練されたサウンド
  • 後期(2000年代以降):アコースティックギターと打ち込みドラムによる、オーガニックな雰囲気のソウル

やはり最初に聴くのは、日本でも一世を風靡した初期・中期の時代のアルバムからが良いのではないか。

初期においては、アルバム全体の完成度と言う意味でも、1985年の2nd『Promise』をまずはおすすめしたい。

既に1stアルバム『Diamond Life』でその個性を確立していたSadeであるが、よりそのサウンドを洗練させているのが2ndアルバムと言う印象である。

やはり1曲目「Is It a Crime?」のインパクトである。ゴージャスなイントロから、突き抜けていくようなSade Aduのボーカルが心地好い。

ゴージャスながらも最低限のサウンドで、都会的な雰囲気の漂うこの曲のインパクトは絶大である。

シングルカットされていないが「Jezebel」に漂う独特の緊張感と妖艶さこそ、Sadeの真骨頂であると思える。80年代後半以降の音楽性へと受け継がれていくタイプの曲だ。

あまりメインに上がって来ないが、個人的には「Fear」という曲が好きだ。このただならぬ雰囲気が衝撃的であり、心地好い緊張感というSadeのキーワードの1つになっていると思う。

もう1枚は中期から挙げておきたい。1988年の3rd『Stronger Than Pride』は2ndの路線を引き継ぎつつ、ラテン風味や土着的な要素を排するような方向に進んだと考える。

ルーズなタイプの楽曲を減らし、ミニマルな音数で、より緻密にサウンドを構築していったのが1992年の4th『Love Deluxe』である。

Sade Aduのヌード写真がジャケットであり、それに引っ張られる向きもあるが、内容は凄く良いものだと思っている。

一言で言えば洗練の極致であり、張り詰めた緊張感はSadeの全作の中でも最も強いと思える。それは1曲目「No Ordinary Love」の機械的なビートからも窺える。

バンドの躍動感は後退しているが、それゆえの緊張感とSadeのボーカルの生々しさが際立つというものだ。

緊張感が強めの本作だからこそ、「Kiss of Life」の軽やかなビートが際立つ。無駄のない洗練されたポップスがとても心地好い。

続く「Cherish the Day」では再び緊張感が高まり、「No Ordinary Love」で見せた無機質なビートが、かえってボーカルの情感を際立たせるのだった。

全く隙がない、というのが本作の特徴で、結果的に捨て曲が1曲も見当たらない、と筆者は別の記事で評価しているのだった。

”捨て曲のないアルバム”とはどんなアルバムのことなのか? – ”捨て曲”あるあると名盤紹介

洗練の極致、それはまるで修行僧のような雑念のなさであり、個人的にはSadeの1つの頂点だと思っている。それゆえに一区切りとなり、次作まで10年近く空くことになったのだろう。

まとめ

今回はジャズやソウルなどの要素を取り入れつつ、唯一無二の洗練されたサウンドのSadeを取り上げた。

寡作なSadeながら、あえて選ぶとすれば、以下のベストアルバム1枚、オリジナルアルバム2枚と言うことになる。

・『The Best of Sade』(1994年)

・『Promise』(1985年)

・『Love Deluxe』(1992年)

代表曲をベストアルバムで押さえつつ、2枚のアルバムから前後に広げていくと、Sadeの音楽性はすんなり入りやすいのではないだろうか。

もちろんベストアルバムから気に入った曲を見つけて、その楽曲が収録されているアルバムから聴く、というのでも良いだろう。

寡作であり、どれも優れた作品のSadeである。2022年に新作レコーディングの話もあり、そろそろもしや新作リリース+リリースツアーということが行われるのではないか、と期待している。

リアルタイムな動向についても、見逃さないようにしたいところだ。

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