自部屋の音楽が選ぶ2022年に聴いたおすすめ名盤10枚紹介 – 新作から不朽の名盤まで

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アルバムレビュー
画像出典:BEATINK.COM

2022年も多くのアルバムを新たに聴くことができた。このブログでは新譜を取り上げる機会が少なかったため、紹介したいと思いつつできていない作品がいくつもある。

今回は2022年に筆者が聴いた中から、おすすめのアルバムを10枚紹介しようと思う。

前半は2022年に発売されたアルバムから5枚、後半はそれ以前にリリースされたアルバムから2021年発売のもの・過去の名作あわせて5枚を紹介している。

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2022年発売のおすすめのアルバム

2022年にリリースされたアルバムの中から、よく聴いたもの・気に入ったものを紹介したい。

2022年は昨年に比べると、新作を聴くことは少なかったように感じる。今年新たに入手した音源の中で、ほぼこの5作が2022年の作品すべてと言っても良いくらいだった。

選ばれた5枚はジャンルもキャリアも実に多様だが、非常に心地好いサウンドに仕上げられた作品群であることは共通しているように思う。

発売が早い順に紹介する。

Bonobo – Fragments(2022)

  • 発売日:2022年1月14日
  • レーベル:Ninja Tune

最初はイギリスのエレクトロニックミュージックのBonoboの作品である。

グラミー賞に5度ノミネート、2017年の前作『Migration』がイギリスのナショナルチャートでトップ5入りし、アメリカのビルボードダンスアルバムチャートで1位を獲得している。

本作は5年ぶりとなるアルバムで、日本でApple MusicとiTunesのジャンル別チャートで初登場1位となるなど、要注目の作品である。

Bonoboの音楽はダンスミュージックの中でも、ダウンテンポと呼ばれるような、心地好く落ち着くようなサウンド・ビートが特徴である。

筆者は2013年の『The North Borders』以降、本作までの3枚が特に気に入っている。電子音とオーガニックな生音との心地好い融合が、円熟味を増している。

前作がかなりオーガニックな雰囲気が漂うビートだったが、本作はもう少しダンスミュージック寄りである。

筆者としては、2013年の『The North Borders』の持つダンス的要素、2017年『Migration』のオーガニックな要素の心地好い融合、という感触であった。

前作、前々作が気にいった人にとっては間違いなく好みの作品だろう。そしてサウンドの心地好さにおいては、さらに磨きがかかったおすすめのアルバムである。

John Mayall – The Sun Is Shining Down(2022)

  • 発売日:2022年1月28日
  • レーベル:Forty Below

John Mayallと言えば、白人ブルースにおいてはレジェンドと言って良い人物だ。

1950年代より音楽活動を始め、John Mayall & The BluesbreakersではEric Claptonが加入していたことでも知られる。

もはや”伝説の人”かと思っていたが、2000年代に入ってもコンスタントに作品を作り続け、御年88歳での新作『The Sun Is Shining Down』をリリースしていることに驚いた。

しかもそのパワーは衰えることなく、力強いブルースを聞かせてくれることに感動している。楽曲は60年代から変わらぬ、ストレートなブルースである。

様々なゲストが参加しており、女性ギタリストのCarolyn Wonderlandは全面的に参加しているそうだ。

とにかく88歳とは思えない若々しいボーカルに驚くばかりであり、そのパワフルさに圧倒される。

やはり記念で作ったアルバムなどではなく、コンスタントに作り続けてきた継続の力である。

こんな風に年を重ねてみたい、という気持ちになるし、何よりブルースという音楽が何歳になってもできる素晴らしいジャンルであることも改めて感じた。

Ghost – Impera(2022)

  • 発売日:2022年3月11日
  • レーベル:Loma Vista、ユニバーサルミュージック(日本盤)

スウェーデン出身のハードロックバンドGhost、4年ぶりとなるアルバムを外すわけにはいかないだろう。

Ghostの歴史から見た新作『Impera』の魅力について、すでに以下の記事で書いた通りである。今回はもう少し客観的にアルバム、そして楽曲の魅力をご紹介したい。

【アルバムレビュー】Ghost – Impera (2022) 音楽性は本当に”変わった”のか?

Ghostと言えば、1st『Opus Eponymous』のインパクトが強烈であったため、オカルトメタルのバンドという印象もあるかもしれない。

しかし本作は、ポップで煌びやかな80年代ロックを思わせるサウンドが前面に出た作品だ。

2曲目に収録の「Kaisarion」は、これまでになくストレートで爽やかなサウンドが新しい。

一方で「Twenties」は不気味なサウンドがGhostらしい楽曲で、バラエティ豊かな楽曲が詰まったアルバムとなっている。

楽曲の洗練度はさらに増し、クオリティの非常に高いアルバムである。それでいて、初期から続くGhostらしいヘビーなサウンドは唯一無二だ。

確かに随所に70年代~80年代のハードロックの要素は感じるが、どれもGhostのサウンドとして消化されている。

そのサウンドは、ハードロックやヘビーメタルだけにとどまらず、ニューウェイヴなど他のジャンルの要素を独自にブレンドさせた魅力がある。

ヘビーメタルの様式美への敬意は示しつつも、オリジナルなサウンドの追求を行っていることが窺われる作品になっている。

re:plus – cure(2022)

  • 発売日:2022年6月1日
  • レーベル:GOONTRAX

ローファイ・ヒップホップと呼ばれるジャンルを好んで聴いている。いわゆるヒップホップのトラックのようなビート感に、ジャジーなサウンドが乗っかるものだ。

ただその中にもバリエーションは存在し、サウンドやリズム楽器の”ローファイさ”があれば、どんな旋律やアレンジを乗っけても良いのである。

それゆえ、心地好いと思われる曲もあれば、少し合わないなと感じるものも出てくる。re:plusの『cure』は中でも心地好いと感じるアルバムだ。

re:plusは”ローファイ”らしさよりも、ジャズヒップホップとしては良質な楽曲を多数作り出しているグループである。

中国や韓国など、アジア各国において人気のあるミュージシャンだ。

本作は1曲目の「glow」の心地好さが素晴らしい。一気に作品に引き込まれる楽曲である。

全体を通じて落ち着いた、心地好いサウンドが流れている。前作『Floating in the midnight sun』では、メロディが前面に出た部分もあったが、本作はメロディは背後にある感じがする。

やはり心地好さという点においては、このジャンルではメロディが目立ちすぎるのも時にマイナスになる。本作はそのバランス感覚が絶妙に良い作品、という感想である。

Crazy Ken Band – 樹影(2022)

  • 発売日:2022年8月3日
  • レーベル:ユニバーサルシグマ

結成から25周年を記念して作られたクレイジーケンバンドの新作『樹影』である。前作『NOW』から2年ぶり、間にカバーアルバム『好きなんだよ』を挟んでのリリースだ。

クレイジーケンバンドはボーカルで作詞・作曲を手掛ける横山剣の、無国籍なミクスチャーサウンドが魅力のバンドである。

初期こそ昭和歌謡のバンド、というイメージもあったが、ソウルやAORなど洋楽的な要素も感じさせるサウンドは、昭和歌謡にはまったくとどまらない。

25周年を記念した本作であるが、現状にとどまることなく、さらに前に進もうという姿勢が感じられる作品である。

それが感じられるのが、サウンド面である。普段は横山剣に加え、ギターの小野瀬雅生の2人が編曲を担うが、今回はPark氏が入ったことで、サウンドが若返っている。

1曲目の「Almond」は、ジャズヒップホップを感じさせる、簡素なアレンジが心地好い。これまでもCKBにはある曲調だが、引き算のサウンドが新たな印象を感じさせる。

2曲目の「ドバイ」は、これぞ横山剣と言えるアジアテイストのある楽曲。夢の中では何でもあり、という夢の中での旅行をテーマにした歌詞も、横山氏らしい。

印象に残った曲としては、ご先祖様について歌った「Roots」は、まさにアメリカのヒップホップグループThe Rootsを思わせるトラックが面白い。

また小野瀬氏による「コウタイ」では、『好きなんだよ』で見せた語りを、再び聴くことができる。

25年間で培ったクレイジーケンバンドらしい個性はそのままに、より現代のサウンドでアップデートされた良盤だ。

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自部屋の音楽筆者が2022年によく聴いた新旧名盤

2022年リリースの作品だけだと、あまり数が見つからなかったため、旧作も紹介したいと思う。

旧作と言っても2021年の作品から2枚紹介し、あと3枚は1980年代の個性的な3枚を選んだ。

THEイナズマ戦隊 – 世明けのうた(2021)

  • 発売日:2021年1月13日
  • レーベル:CROWN STONES

1997年に結成、今年で結成25周年を迎えるロックンロールバンドTHEイナズマ戦隊が、2021年にリリースした『世明けのうた』である。

本作は初期からのイナ戦の良さも感じさせつつ、年を重ねたことで歌えるようになったテーマも盛り込んだ、現時点での完成形を見たように思う。

本作は前半の楽曲が、現在のイナ戦を思わせる楽曲が並ぶ。結婚や出産などを思わせる「流れる日々を君と共に」「僕の宝物」などは、今でこそ歌えるテーマだろう。

その一方で、後半には初期からのロックンロールバンドらしい曲調も登場する。

「Please Please marry me」のロックンロールに、「おはようから墓場まで」のパンクのビートと、2000年代前半頃のイナ戦を思わせる。

そしてアルバム最後に配置された「大切な人 幸せであれ」は初期の武骨なイナ戦のようでもあり、最新のイナ戦でもあり、とにかく聴いてほしい名曲だ。

いろんな方向性を模索した時期もあったバンドに思われるが、現在のこのバランスは素晴らしいと思った。

CHVRCHES – Screen Violence(2021)

  • 発売日:2021年8月27日
  • レーベル:EMI・Glassnote

エレクトロポップバンドCHVRCHESによる4枚目のアルバム『Screen Violence』である。

タイトル自体は前からあったものだそうだが、結果的に2021年のパンデミック騒ぎにマッチしたタイトルとなってしまった。

煌びやかなエレクトロサウンドが印象的なバンドであるが、本作は今まで以上にダークな側面を見せつつ、繊細さが前面に出ている作風だ。

中でも、The Cureのロバートスミスと歌っている「How Not To Drown」を聴いて、なるほどと思ったものである。

CHVRCHESのサウンドは、煌びやかに見えて、その後ろには悲しみや陰鬱としたものを感じる。この曲を聴いて、The Cureが持つダークさとリンクしていることがわかった。

それにしても、リードボーカルのローレン・メイベリーの透明感のある声が真っすぐに入ってくる。今まで以上に、ボーカルがストレートに聞こえてくる作品のように思える。

より研ぎ澄まされた感覚で作られたアルバムなのではないか、と感じた。

Tradition – Captain Ganja And The Space Patrol(1980)

  • 発売日:1980年(オリジナル)、2017年7月19日(再発)
  • レーベル:Venture Records(オリジナル)、Octave Lab

2022年に筆者が初めて出会ったジャンルにレゲエ・ラヴァーズロックがある。聞かず嫌いと言うべきか、これまでピンと来るミュージシャンと出会えてなかったのだ。

しかしついに魅力的なグループを見つけたのが、Traditionである。

1976年にイギリスで結成され、1983年まで活動し、2000年代に復活している。どうやらラヴァーズロックの世界では伝説的なグループのようである。

そして長らく彼らの音源は入手困難だったようだが、2017年・2019年とリイシューが相次いだことで、ようやく聞くことができるようになったとのこと。

そんなことも知らずに、筆者は1980年の『Runaway Love』に偶然出会い、彼らの心地好いサウンドとボーカルに惹かれた。

さらに掘り下げていくと、彼らはダブと呼ばれるレゲエのリミックスを施したジャンルにおいても名盤を生み出していることが分かった。それが今回取り上げた本作である。

とにかく入手困難で高額で売られていたという作品、確かにとんでもなく良い内容だった。

筆者が思うに、レゲエのビートで、より環境音楽的な要素を強めたサウンド。ひたすら繰り返されるリフと、宇宙的な効果音が、トリップするような感覚になる。

その他にも良いダブ作品をリリースしているので、ぜひそちらもチェックしてほしいところ。

Etron Fou Leloublan – Les Poumons Gonfles(1982)

  • 発売日:1982年6月15日
  • レーベル:Turbo Music S.A.

フランスのEtron Fou Leloublanによる3rdアルバム『Les Poumons Gonfles(邦題:肺ふくらませて)』である。バンドの最高傑作とも言われるアルバムだ。

あまり聴いてこなかった前衛音楽のジャンルに入るバンドである。筆者は”クラウトロック”のコーナーの中に紛れて置かれている本作が目に留まった。

クラウトロックとは、ドイツにおける1960年代後半~1970年代前半頃の前衛音楽のことである。Etron Fou Leloublanはフランスのバンドであるため、当てはまらないが音楽的には近いものがありそうだ。

フレンチ・アヴァンギャルドロック・バンドと言われるような、とにかく尖ったバンドである。が、本作は初心者の人にも聞きやすい、洗練度の高い作品になっている。

不可思議なリズムに、素っ頓狂なボーカルなど、最初は取っつきにくいが、聴くうちに引きずり込まれていく不思議な魅力がある。

個人的に気に入っているのは、時折聞こえてくるヘビーなベースラインである。特に「Christine」において、そのダークなベースが印象的だ。

ダークなベースに突っ走るドラム、そこに加わる奇怪なボーカルと、まさにアヴァンギャルドな雰囲気であり、なぜかクセになる楽曲である。

やはり印象的なリフと、プログレッシブなリズムが聴く者を引きずり込むような魅力があるように感じている。

Prefab Sprout – Steve McQueen(1985)

  • 発売日:1985年6月
  • レーベル:エピックレコード

最後に紹介するイギリスのバンド、Prefab Sproutは筆者が2022年後半で最もよく聴いたバンドかもしれない。

1982年にデビュー、ポップなロックにニューウェイヴや映画音楽などの要素を感じる、高い音楽性が評価されているグループである。

その音楽性の高さゆえ、どちらかと言うと玄人受けしているグループであり、過小評価されているようにも思える。

本作は1985年の2ndアルバムであり、彼らの最高傑作と評する人も多い名盤である。本作の魅力は、洗練されたサウンドと、美しいメロディの連続であるところだろう。

1984年の1st『Swoon』は、やや粗削りのニューウェイヴ色の強い作品だった。一方本作では、プロデューサーにトーマス・ドルビーが起用され、緻密なサウンドが作られた。

特にアルバム前半は、名曲の宝庫である。どれを挙げても良いのだが、「Appetite」のメロディの美しさは素晴らしいの一言。

そのほか、シングル化されてスマッシュヒットした「When Love Breaks Down」も彼らの代表曲の1つと言って良いだろう。

とにかく作りこまれた完成度の高いアルバムである。それゆえ、彼らはほぼ同時期にバンドならではのサウンドで録音した『Protest Songs』というアルバムも制作していた。

しかしシングル「The King of Rock ‘N’ Roll」が思わぬヒットとなり、先に『ラングレー・パークからの挨拶状』がリリースされることとなったのだった。

このことから、彼らはバンドらしいサウンドの楽曲も志向していた中で、『Steve McQueen』という音楽的に高度な作品も残した。

『Steve McQueen』それ自体は名盤であるが、それだけがPrefab Sproutのすべてというわけでもないのだろう。

ぜひその他のアルバムとも併せて聴きたいバンドである。

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