イントロから戦慄が走る!人間椅子の名イントロ曲を新旧15曲集めてみた

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日本のハードロックバンド、人間椅子は1970年代のブリティッシュハードロックを現代に受け継ぐ貴重なバンドである。

ハードロックの魅力は、やはり印象的なリフ、そしてそのリフに向かうイントロからの展開が1つにはある。人間椅子も、様々なイントロがあり、それぞれに魅力がある。

今回は、中でもイントロでがっしりと心を鷲掴みにされてしまう楽曲を選んでみた。

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人間椅子の名イントロ曲15曲

人間椅子の名イントロ曲、15曲を時代が古い順に並べて紹介する。

イントロの特徴、楽曲の紹介などを中心にまとめている。

※名イントロ曲15曲を集めたプレイリスト

賽の河原

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:和嶋慎治・鈴木研一
  • 収録アルバム:1st『人間失格』(1990)

人間椅子の定番となっている、あの世について歌った代表的な楽曲。そのイントロは、メインリフを少し変形させたギターのみのリフである。

Black Sabbath直系とも言える不気味なリフは、一気に楽曲の持つ怪しい雰囲気を醸し出す。そしてギターのみのリフ、ベースとドラムが入ったイントロ、そして冒頭のリフを用いて歌に入っていく。

同じようなリフを使いつつ、リズムやベースラインが変化していくことで、楽曲の形をしっかり作っている。1stアルバムにして、緻密に作られたアレンジが素晴らしい。

さらにメインリフと中間部の美しさの対比も、見事というほかない展開の凄さである。

審判の日

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一・和嶋慎治
  • 収録アルバム:3rd『黄金の夜明け』(1992)

印象的なベースリフからスタートするこの曲。中間部を除けば、ほとんどが冒頭のメインリフだけで押していくタイプの楽曲である。

しかしあまりに名リフであるがゆえに、この始まり方がベストであろう。ゾクゾクするようなベースリフは、不気味さよりも高揚感さえ感じさせるフレーズである。

ベースが一定のリフを刻むため、ギターはスライド奏法を用いたりして、曲に花を添えている。

狂気山脈

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:和嶋慎治・鈴木研一
  • 収録アルバム:3rd『黄金の夜明け』(1992)

「審判の日」同様、この曲もベースリフからスタートする楽曲。しかしこちらは不気味さをダイレクトに伝えるような、静かなベースリフである。

ギターの怪しげなフレーズが上に乗っかり、壮大な曲の始まりを予感させる効果となっている。ベースが同じリフを刻みながら、ギターが変化していく展開もまた見事だ。

そして深い山々の森の中に迷い込んだような、不気味で不安定な気持ちにさせるような素晴らしいイントロである。鈴木氏のベースも、曲によって実に変幻自在であることがわかる。

羅生門

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:和嶋慎治・鈴木研一
  • 収録アルバム:4th『羅生門』(1993)

「羅生門」はこれまでにはなかった印象的なリフである。それは大正琴の音色と合わせた、非常に和風の音階を用いたイントロである。

”ダダダン”という力強いキメの後に、荘厳であり雅な雰囲気がしてくる和音階である。ハードさの中に美しさのある、この曲全体を象徴するかのような名イントロだ。

そしてパワーコードによるメインリフで、一気にハードロックになる展開である。やはりこのイントロがあってこそ、全体が締まるように感じられる。

黒猫

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:6th『無限の住人』(1996)

人間椅子、そして和嶋氏の作る楽曲の中でも屈指の名イントロが「黒猫」であろう。メインのリフは非常にヘビーなものだが、イントロのリフはトリッキーなフレーズである。

その秘密はリフとリフの間の拍数にある。通常であれば4拍空けるところを、この曲では5拍空けているのである。

1拍多く空けることで、微妙な緊張感と不安感が無意識に感じられるようになっているのだ。綺麗に収まるはずのものが、やって来ない不安感が、この曲の雰囲気を作り上げている。

フレーズだけでなく、拍数までも巧みに使っているのが人間椅子の楽曲の面白さである。

暁の断頭台

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:8th『二十世紀葬送曲』(1999)

不気味さを際立たせるイントロと言う意味では、「暁の断頭台」も外せない。この曲は、パワフルかつダークなベースと、ドラムだけで楽曲が始まる。

その上に怪しげなギターフレーズが乗っかり、そしてベースとユニゾンによるパワフルなリフ弾きへと展開していく。

展開としては「狂気山脈」などとも共通する部分があるが、より力強さが強調されたイントロである。地味な楽曲ながら、ライブでは意外にも披露される機会は多めの楽曲である。

怪人二十面相

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:9th『怪人二十面相』(2000)

9thアルバム『怪人二十面相』の表題曲にして、鈴木氏の力作である。変幻自在の怪人二十面相のごとく、展開が多く、ストレートな作風が多い鈴木氏にしては珍しい。

イントロも非常に凝っており、半音ずつ下がっていくギターフレーズがいくつも重ねて録音されている。不気味であり、何かが始まっていく高揚感が見事に表現されている。

そして中間部を経た後でも同様のフレーズが登場するが、実はイントロと異なる音階から始め、少しずつ音階自体が下がっていく仕様になっている。

2000年前後の人間椅子はイントロに限らず、展開やフレーズワークが最も巧みな時代と言えよう。

芋虫

  • 作詞・作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:9th『怪人二十面相』(2000)

隠れ人気曲だったため、2019年リリースの『人間椅子名作選 三十周年記念ベスト』で初めてベスト盤に収録された楽曲。

エフェクトのかかった鈴木氏のベースがリフを刻み、和嶋氏による悲しげなスライドギターが哀愁を誘う。暗さとともに、哀愁をも漂わせる名イントロと言えるだろう。

イントロのベースリフが、歌の部分ではギターが担い、ベースは歌いながらギターにハモるという高度な演奏をしている。

ギター・ベースともに聴きどころの多い、演奏面でも充実の楽曲である。

相剋の家

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:11th『修羅囃子』(2003)

和嶋氏の禍々しい楽曲では随一の「相剋の家」は、イントロも禍々しいものとなっている。

禍々しさを表現するために、あえてイントロではギターを入れない工夫がなされている。ドラムだけで始まり、ベース、そしてコーラスが入っていく。

コーラスは土着的な響きとなっており、まるで異形の者たちの宴のようでもある。ハードロックの枠を飛び越え、人間椅子にしか作り出せない独特の不気味さが完成している。

深淵

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:15th『未来浪漫派』(2009)

和嶋氏の心の叫びとも言うべき名曲「深淵」は、イントロも印象的なものとなっている。深淵をのぞき込むかのような、暗く静かで、そしてどこか美しさすら感じるアルペジオである。

そしてダウンチューニングで演奏されるこの曲は、イントロも当然ダウンチューニングである。低音弦を用いたアルペジオも、独特な音の味わいがある。

かつて「人面瘡」でもギターのアルペジオで始まる楽曲はあったが、ここまで長尺のものは初めてである。人間椅子、和嶋氏の新境地を象徴するイントロである。

沸騰する宇宙

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:16th『此岸礼讃』(2011)

2011年、東日本大震災を経てリリースされた『此岸礼讃』の1曲目。まるで大地の唸りのような、轟音のイントロである。

そのまま力強いリフへとなだれ込む展開も含め、これまでの人間椅子にはないアグレッシブさがある。

ジャンル分けすれば、もはや70年代ハードロックではなく、より新しい時代のヘヴィメタルと言うべきサウンドである。新たな人間椅子の幕開けを感じさせるイントロとして取り上げたかった。

宇宙からの色

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:ベスト『現世は夢 〜25周年記念ベストアルバム〜』(2014)

和嶋氏が作る、ハードロックにプログレ風味を加えた近年の代表曲の1つである。イントロもハードなリフではなく、ファズを用いた奇怪なフレーズである。

宇宙的なサウンドでありながら、同時に高揚感をも伝えるフレーズは、ライブの1曲目などにも最適である。そして一気にアップテンポな展開に持っていく流れも見事だ。

コンパクトな楽曲の中に、しっかりハードロック・プログレのエッセンスをギュッと詰め込む曲作りは、近年の作風を表しているように思える。

芳一受難

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:19th『怪談 そして死とエロス』(2016)

近年の鈴木氏のヒットナンバーとして間違いなしの楽曲。耳なし芳一の怪談をベースに、人間椅子、そして鈴木氏らしいダークかつヘビーな名曲である。

アッパーな曲調ながら、イントロはおどろおどろしいフレーズである。最初から不気味な雰囲気を醸し出すことに成功しており、ポイントは鈴木氏が息を吸い込む音が入っているところだ。

これによって、次に来る展開を期待させるとともに、一気にアッパーな展開を予感させる。「来るぞ!」という感じが伝わってくる、名イントロであろう。

無情のスキャット

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:21st『新青年』(2019)

当ブログでも何度か取り上げている、近年の人間椅子最大のヒットナンバーだ。国内だけでなく、海外から高い評価を得たことで、初の海外公演実現に結び付いた曲と言っても良いだろう。

8分を超える大作だけに、イントロも作り込まれている。どこかクラシカルなフレーズで、哀愁がありつつも勇壮な、これまでにありそうでなかったイントロである。

下記の記事でも書いたように、「深淵」のようにギターだけで長いイントロはあったが、バンド全体でここまで長いイントロはこれまでなかった。

メインの轟音リフと対比して、イントロがよりメロディアスに聞こえるのかもしれない。

【人間椅子】バズった「無情のスキャット」の魅力を徹底的に掘り下げてみた

宇宙海賊

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:22nd『苦楽』(2021)

鈴木氏による楽曲のシリーズものであり、”宇宙シリーズ”と呼ばれる。プログレやサイケ風味の曲が多い中、人間椅子らしいヘビーな楽曲の宇宙シリーズは珍しい。

ただイントロでは、和嶋氏によるエフェクトのかかった宇宙的サウンドのギターから始まる。インプロビゼーションが進むと、初めてダウンチューニングギターであることが分かる。

そして鈴木氏のベース、そして和嶋氏のギターと、続々と楽器が入っていく展開が面白い。曲を聴き始めた瞬間に、まさかこんなにヘビーな曲だと分からせない工夫が面白い。

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まとめ

今回の記事では、人間椅子の楽曲のうち、イントロが良い楽曲を15曲選んで紹介した。

総じてみてみると、楽曲を作り込むことの多い和嶋氏の楽曲が多めの印象ではある。一方で鈴木氏の楽曲も、メインリフ自体の良さが光る楽曲もあって、両者の違いも見られた。

人間椅子の楽曲は、シンプルにメインリフから始まる曲もあれば、楽曲に入るための導入となるフレーズがくっ付いている場合もある。

リフの持つパワーや雰囲気に応じて、相応しいイントロをつけたり、つけなかったりするが、そのバランス・センスが冴え渡っている楽曲が、今回選んだ楽曲だと思う。

こうして並べてみると、人間椅子の代表曲が多くなっていることもわかる。また定番化していないものの、メンバー的には手応えを感じてライブで時折披露される曲も多い。

それだけイントロの役割は大きいということだろう。改めて人間椅子の楽曲のイントロに注目して聴いてみるのも面白いだろう。

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