もっと読みたい!小説化して欲しい人間椅子の定番曲からレア曲まで10曲選んでみた

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2022年11月2日(水)に人間椅子のアンソロジー小説本『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』が発売された。

小説からタイトルを借りることも多く、イカ天出演後は”文芸ロック“などと呼ばれた人間椅子である。今回はその逆で、人間椅子の楽曲タイトルから小説を綴るという、前代未聞の試みである。

筆者も手にとって読んでみたところ、これがどの作品も非常に面白かった。楽曲の世界観を借りつつも、独自の物語が紡がれている。

そして小説を読んでいたら、妄想が膨らんできた。人間椅子の他の楽曲でも、小説化したら面白そうなものがたくさんある。

そこで今回の記事では、さらに小説化してほしいと筆者が熱烈に思う楽曲を選んだ。最初に本家アンソロジー本の内容をおさらいし、後半で選んだ楽曲と作品のイメージを書いてみた。

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『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』について

最初に小説本『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』についておさらいしておこう。

本作は人間椅子の楽曲をモチーフに、豪華作家陣が小説を執筆した作品集である。収録作品などは以下の通りである。

  • 発売日:2022年11月2日(水)
  • 出版:角川書店
  • ページ数:280
  • 収録作品:大槻ケンヂ「地獄のアロハ」、伊東潤「なまはげ」、空木春宵「超自然現象」、長嶋有「遺言状放送」、和嶋慎治「暗い日曜日」
  • 装画:沙村広明(題材は「人面瘡」)
作者タイトル楽曲の収録作品
大槻ケンヂ地獄のアロハ筋肉少女帯人間椅子の1stシングル『地獄のアロハ』(2015)
伊東潤なまはげ18thアルバム『無頼豊饒』(2014)
空木春宵超自然現象20thアルバム『異次元からの咆哮』(2017)
長嶋有遺言状放送2ndアルバム『桜の森の満開の下』(1991)
和嶋慎治暗い日曜日5thアルバム『踊る一寸法師』(1995)

角川出版による詳細ページはこちら

小説からタイトルを借りることの多い人間椅子であったが、本作はその逆で、人間椅子の楽曲をモチーフに小説を執筆する、という斬新な企画である。

4人の執筆者に、メンバーの和嶋慎治が加わり、怪奇的な世界観を持つ小説が綴られている。

なお初出は以下の2作以外は書き下ろしである。

  • 伊東潤「なまはげ」:「小説 野生時代」特別編集2021年冬号
  • 和嶋慎治「暗い日曜日」:「怪と幽」vol.011 2022年9月

なお選ばれている楽曲について、小説のタイトルから取ったもの(例えば「踊る一寸法師」「怪人二十面相」など)は避けたとのこと。

※この点については、カドブン(KADOKAWA文芸WEBマガジン)での和嶋慎治・大槻ケンヂの対談で語られている。

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装飾を担当したのは、漫画家沙村広明氏であり、人間椅子の1996年の6thアルバム『無限の住人』は、沙村氏による『無限の住人』のイメージアルバムである。

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もっと読みたい!小説化してほしい人間椅子の楽曲10曲

小説集の企画が大変面白かったので、「もっと読みたい!」という気持ちになった。そこで筆者が思う、ぜひとも小説化してほしい人間椅子の10曲を選んでみた。

選んだ基準としては、以下の2点である。

  1. 小説のタイトルから作られていない楽曲
  2. 曲の世界観や描かれるモチーフは割と明確ながら、様々なストーリーが妄想できそうな楽曲(イメージが固定され過ぎている楽曲は外した)

楽曲の世界観を紹介しつつ、こんなストーリーが面白いのでは?という妄想も少し書いている。

なまけ者の人生

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:4thアルバム『羅生門』(1992)

鈴木氏の作るブルーステイストを感じさせる渋い楽曲。和嶋氏は文学的であり、かつ厭世的な歌詞をあてている。

楽曲のタイトルは「なまけ者」とついているが、人生を謳歌しているようにも見える。ただし地位や名誉などと言った”成功”とは無縁の幸せではあるが。

そんな歌詞のテーマ性を活かした小説が面白そうである。たとえば現代文明を一切否定して生きる男から見た、現代人の生活の滑稽さを描く、などのテーマはいかがだろうか。

※筆者はこの曲を、”人生シリーズ”の楽曲として以下の記事で紹介している。

黒い太陽

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:8thアルバム『二十世紀葬送曲』(1999)

和嶋氏がこれまで作った楽曲の中でも、最も”暗黒”と言う言葉が似合うような楽曲である。それも人間の心の闇をのぞき込むような、不気味な黒さである。

歌詞にある「心の空に 真っ黒な太陽」とあるのが、テーマになっているように思える。衝動のようにやって来る、人間の狂気とも言える部分であろう。

様々な妄想が膨らむが、犯罪を犯した男が刑務所から出所してからのストーリー、というのが面白そうに思える。人は変われるのか、変われないのか、というテーマが根底にある。

死神の饗宴

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:10thアルバム『見知らぬ世界』(2001)

鈴木氏が作るBlack SabbathとBudgieが融合したような渾身の楽曲。その楽曲に、和嶋氏はこれまでになく、ストレートなメッセージを込めた。

それは「死にゆくまで 生きぬくのだ」という歌詞である。この歌詞を、死神の視点から歌ったのが人間椅子らしさとなっている。

死神から見た人の生死、という割と主題がはっきりした歌詞なので、小説化する際には少し違った視点の方が面白いかもしれない。

とは言え、ある人の死を描くことにはなるだろう。臨死体験など、生死にまつわる不思議な体験を描くストーリーが面白そうだ。

相剋の家

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:11thアルバム『修羅囃子』(2003)

この曲もまた和嶋氏のダークサイド全開の楽曲である。暗い、というよりは、精神が分裂しているかのような、2つの自分が存在する=相剋の様子を描いた歌詞である。

前半の難解な表現の人格と、中盤の明るい展開に見られるような別の人格が、1つの曲の中に存在しているのが特徴的である。

ストレートに小説化するのであれば、まさに精神の病を抱えた人のストーリーになるであろう。ただし現代にするのか、あるいはまだ精神疾患の理解が乏しかった昔の時代を描くと言う手もある。

舞台設定も家族を描くのか、あるいは病院を舞台にするのか、はたまた精神世界を描く難解な小説になるのか、いろいろと妄想は膨らむ。

肥満天使(メタボリックエンジェル)

  • 作詞・作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:14thアルバム『真夏の夜の夢』(2007)

鈴木氏によるアニソン風のコミカルな楽曲。歌の主人公は太った天使であり、暗に鈴木氏の体重増加を自虐するような歌詞である。

一見するとそれだけの曲にも見えるが、深読みすれば面白い歌詞である。つまり、体型の問題や肥満は悪とされる風潮の、どこか強迫的な部分や窮屈さを描いていると言えなくもない。

小説にするのであれば、その辺りを皮肉にした内容が面白そうである。たとえば肥満体型こそがもてはやされる社会のストーリーなどを考えてみた。

そこに”肥満天使”なる存在を崇拝する宗教の話題と絡めても良いかもしれない。

ヤマさん

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:15thアルバム『未来浪漫派』(2009)

タイトルが人物名であり、まさに実在した人物をテーマに歌詞が書かれた楽曲である。なお「ヤマさん」に関する詳しいことは、和嶋氏のコラムに書かれている。

ヤマさんの人生とは何だったのか、という思いで歌詞が作られたのだと言う。

実在のモデルがいる楽曲なので、ノンフィクション的な物語になるだろう。ただこの曲については、ただただヤマさんについて小説化してほしいという思いである。

和嶋氏に執筆してほしいような気もするが、一度作品としてアウトプットした以上、別の人の視点も見てみたいところである。

深淵

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:15thアルバム『未来浪漫派』(2009)

アルバム『未来浪漫派』のラストを飾る、超大作にして和嶋氏の覚醒ぶりをはっきりと示した極めて重要な楽曲である。

和嶋氏のコラムに、フレーズや展開を作った時の状況・心境が綴られている。心の奥底に入って行くような感覚、そして奥底にたどり着いた時に、美しいものが眠っているのに出会う。

人は無様な自分と対峙してこそ、心の奥底にある美しさに出会えるのだ、というテーマである。

抽象的なテーマではあるが、それゆえどんな形でも小説になり得るのではないか、と思う。仏教説話のようなストーリーを作り上げることもできそうである。

衛星になった男

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:17thアルバム『萬燈籠』(2013)

和嶋氏のコラムによれば、極寒のキャンプ場にて、かじかんだ手で指二本でも弾けるリフを、ということでできた曲のようだ。

どこかで打ち上げられた有人宇宙船が、どこかの星の人工衛星となってしまったら、というテーマで作られた。小説や映画の題材になりそうなテーマである。

この曲については、楽曲もモチーフを活かしつつ、宇宙を舞台にしたSF小説を読んでみたいところである。

広大な宇宙の中、孤独を感じるのか、もっと違う感情が湧いてくるのか、人間の心理に迫る内容ともなりそうである。

泥の雨

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:19thアルバム『怪談 そして死とエロス』(2016)

ヘビーなリフと、メタル調のリズムが印象的な楽曲。アニメ『ニンジャスレイヤー』のエンディング曲として書き下ろされた楽曲であった。

テーマはディストピアであるが、現象世界だけではなく、私たちの心の世界を歌っているものとも言える。つまり地獄的な心は、地獄の世界を作り出す、という仏教の考え方のようでもある。

思い切り陰謀の世界を描く小説も読んでみたいし、未来の戦争を描く話などもあり得そうである。いずれのテーマで描くにしても、人間の心を扱うことにはなりそうだ。

楽曲としては救いのない雰囲気も漂うが、小説ではどうなるのか気になるところである。

地獄のヘビーライダー

  • 作詞・作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:20thアルバム『異次元からの咆哮』(2017)

鈴木氏による”地獄シリーズ”の楽曲である。鈴木氏が普通二輪免許(AT限定)を取得した記念に作られたもので、和嶋氏のギターによるバイク音も印象的である。

この曲は地獄の獄卒(と思われる)がバイクに乗って、亡者を踏みつぶしていくというユニークな設定である。まずその絵面だけを想像しても面白い。

どこかアニメ風の設定で小説を書くこともできそうである。たとえば地獄に入る獄卒ライダーの青春物語、なども面白そうである。

和嶋氏の世界観とは異なる分、鈴木氏の楽曲でも小説化したものを見てみたいところだ。

まとめ

今回の記事では、人間椅子の楽曲を小説化した『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』の発売を記念し、もっと読みたい人間椅子の楽曲を選んでみた。

おそらくそれぞれの好きな曲、小説化したら面白いのではないか、と思う曲が他にもたくさんあることだろう。

そうした声をどんどん発すれば、もしかすると第2作目が発売される、などということもあるかもしれない。

ぜひ本記事をきっかけに、次々と人間椅子の楽曲の小説化希望の声を発していただけると面白いのではないか、と思うところである。

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