本日は10月では2度目の満月である。月に2度目の満月をブルームーンと呼ぶそうだ。
そんな月に2度目の満月の日を記念して、月に関する人間椅子の曲特集である。
タイトルに「月」が登場する楽曲や、歌詞に「月」が登場する楽曲を古い順に紹介していこう。なお歌詞に「月」が登場する楽曲は膨大にあるため、一部のみ紹介している。
タイトルに「月」がつく曲
まずはタイトルに「月」が入っている楽曲のみを集めた。
月に彷徨う
- 作詞・作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:11th『修羅囃子』
レコーディング時には「禁忌の村」と呼ばれていたようで、おぞましい過去のある村がテーマになったホラー的な楽曲。月がそれをずっと見ていた、という設定なのだろうか。
人間椅子倶楽部の集いの常連曲といったところで、レア曲となっている。
月下に捧ぐ舞踏曲
- 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:15th『未来浪漫派』
月そのものをテーマにしている楽曲。ここでも美しい月の光の下では、幻想的でもあり、どこか狂気を感じさせるものでもある。
月のモナリザ
- 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:17th『萬燈籠』
月に生命は存在するのか、という問いは多くの人を魅了してきた。幻想的に光っているために、女神のイメージもあるのだろう。
この曲では月の女神をテーマにした楽曲である。こちらも集いの常連曲だろうか。
月夜の鬼踊り
- 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:20th『異次元からの咆哮』
満月の時には実は恐ろしいことが起きているのかもしれない。そんな満月の夜に鬼が踊っている様子を歌ったのがこの曲。
津軽弁を用いた歌詞や、ねぷた祭りの囃子のリズムなど、人間椅子らしい楽曲。
月のアペニン山
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:21th『新青年』
深沢七郎氏の短編小説からタイトルを借りた曲。歌われているのは、理想的とも言える恋する女性についてのようである。
12弦ギターが用いられ、アコースティック編成で演奏される。唐突にアウトロのみ怪奇的なムードとなり、どことなく不穏な終わり方である。
歌詞に「月」が登場する曲(一部)
人間椅子の楽曲の歌詞には「月」が登場するものが多数ある。すべてを挙げることは難しいため、特徴的な楽曲をピックアップしたい。
桜の森の満開の下
- 作詞:鈴木研一、作曲:鈴木研一・和嶋慎治
- 収録アルバム:1st『人間失格』
「芋虫の群れが月の明かりに映ゆ」という一節に登場する。ここでの月は不気味な明かりとして描かれているようである。
初期にはライブのラストに演奏されることも多く、今も根強い人気を誇る1曲。
夜叉ヶ池
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:2nd『桜の森の満開の下』
泉鏡花氏による戯曲「夜叉ヶ池」からタイトルを取っている。福井県に実在する池である。
「月」という言葉がよく出てくる楽曲。「月のものの沼を」や「月と眠り」などである。夜叉ヶ池にまつわる「龍神伝説」に登場する生贄となる美しい女性を思わせるものだ。
無限の住人
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:6th『無限の住人』
漫画「無限の住人」のイメージアルバムに収録されたタイトル曲。美しいメロディで始まり、後半は三味線奏法が特徴的な和風な展開となる。
ここでは「水面の月よ」「月の都を剣太刀」で用いられる。儚いもののイメージとして月が用いられているのだろうか。
なお続編となる「無限の住人 武闘編」にも「月」という言葉は登場している。
宇宙遊泳
- 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:6th『無限の住人』
宇宙シリーズの楽曲にも「月」が登場している。「月の兎も跳び廻り」の一節は耳に残っている人も多いのではなかろうか。
全体を通じて雅な文体で書かれた歌詞のこの曲では、月は古くからずっと存在するものの象徴として描かれているようだ。
菊人形の呪い
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:7th『頽廃芸術展』
菊人形をテーマにした楽曲であるが、季節としては秋をテーマにして作詞されている。ヘビーなサウンドながら、哀愁を感じさせる曲調であり、密かに人気のある楽曲である。
ここでは「月光浴びて」に登場し、菊人形のどこか不気味な様子を描き出している。
恋は三角木馬の上で
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:8th『二十世紀葬送曲』
歌詞の冒頭から「月の照らす春高楼」と、「月」が登場する。恋について歌った楽曲であるが、三角木馬という拷問道具を登場させる屈折した歌詞が特徴だ。
人間椅子倶楽部の集いで演奏されるレア曲となっている。
あしながぐも
- 作詞・作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:9th『怪人二十面相』
「月が出たらふらふらして」とあてのない様子が描かれている。あまり月が大きな効果を持つ楽曲ではないが、月の下で行動を始めるあしながぐもの怪しさがうかがえる。
この曲も人間椅子倶楽部の集いで演奏される楽曲だ。
魅惑のお嬢様
- 作詞・作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:10th『見知らぬ世界』
鈴木氏が松嶋菜々子をイメージして作詞した楽曲。曲はBlack Sabbathに強い影響を受けたものだが、歌詞が直接的であるためか演奏頻度は大幅に下がっている。
冒頭に「月明かり浴びた雪のような」と出てくる。官能的なイメージとしての月である。
塔の中の男
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:15th『未来浪漫派』
和嶋氏による大作である。中間部で「少年は学ぶ 月光」という歌詞で登場している。
「太陽」「月光」「雷鳴」「流星」と、気象に関するワードがここでは散りばめられている。ポジティブなニュアンスで用いられているようだ。
桜爛漫
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:17th『萬燈籠』
アルバムタイトルの『萬燈籠』が月のイメージである。そして桜をタイトルに入れた曲だが、広く春の美しさを歌った曲でもあろう。
「月とかっぽれするわいな」と和風のメロディで歌われる。月や花に囲まれて華やかな印象を与えている。
ねぷたのもんどりこ
- 作詞・作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:17th『萬燈籠』
ねぷた絵に描かれる世界を歌った楽曲。おどろおどろしい絵は、鈴木氏が大きな影響を受けている。
「月の光に囁く髑髏」と言う歌詞があり、不気味な月明かりがイメージされる。
リジイア
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:18th『無頼豊饒』
エドガー・アラン・ポーの短編小説「リジイア」よりタイトルを借りたもの。「月のアペニン山」にも似て、理想的な存在について歌ったもののようだ。
歌詞には「月より麗しい」とあり、1番の「星より懐かしい」と対比的に歌われている。
狼の黄昏
- 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
- 収録アルバム:19th『怪談 そして死とエロス』
狼と月をテーマにした楽曲で、月が前面に押し出されている。オジー・オズボーンの「月に吠える(Bark at the Moon)」にインスパイアされたものだろう。
「満月が泣いてる」「月に吠えろ」とわかりやすく月が登場している。和嶋氏の歌詞の中ではかなりシンプルなものになっている。
マダム・エドワルダ
- 作詞・作曲:和嶋慎治
- 収録アルバム:19th『怪談 そして死とエロス』
ジョルジュ・バタイユの短編小説「マダム・エドワルダ」よりタイトルを借りたもの。70年代ブリティッシュハードロックの魅力が詰まった名曲である。
歌詞には「月の砂漠に 後光が灯る」と出てくるが、月の印象はそこまでない。ただし美しいものがたくさん列挙されており、普遍的な美しさについて歌われていることがわかる。
まとめ
「月」に関する人間椅子の楽曲を紹介してきた。全体を通じて、レア曲が多い印象を持った。
特に「月」がタイトルに入っている楽曲は、人間椅子倶楽部の集いで演奏されることが多いレア曲が多い。鈴木氏による楽曲が多いと言う傾向もある。
また和嶋氏の楽曲では、タイトルに「月」の入るものは少ない。しかし歌詞に「月」の登場する曲はいくつかあり、普遍的な美しさを表すために使用されていることが多かった。
同じ「月」をテーマにしても、和嶋氏・鈴木氏の間でも描き方が随分と異なるのも面白い。
一方で「太陽」の付く曲を考えると、「太陽黒点」「黒い太陽」「太陽の没落」「太陽がいっぱい」など和嶋氏の曲の方が多いような気がする。
和嶋氏・鈴木氏の楽曲それぞれについて、どの単語が用いられることが多いのか考えてみるのも面白いかもしれない。
満月の下、人間椅子の楽曲を改めて聴いてみようと思った。
※「月」に関する人間椅子の曲
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