人間椅子全曲トリビア辞典vol.5(13th『瘋痴狂』~15th『未来浪漫派』)

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人間椅子
画像出典:Amazon

前回:人間椅子の全曲トリビア辞典vol.4(7th『見知らぬ世界』~9th『三悪道中膝栗毛』)

この記事では、人間椅子の楽曲にまつわるトリビアを紹介する。
トリビアとは、「くだらないこと、瑣末なこと、雑学的な事柄や知識、豆知識」を指す。

そんな豆知識を全曲について集めようと言うのが、この記事の主旨だ。
以下の内容を中心に書こうと考えている。

  • 楽曲のタイトルのもとになった小説等は何か?
  • 歌のフレーズの元ネタ
  • スタジオ音源とライブ演奏時の違い
  • 楽曲にまつわるエピソード(初披露の方法、制作時のエピソード)

第5回は、13th『瘋痴狂』~15th『未来浪漫派』までだ。

※この記事は読者参加型にできればと思い、こんなトリビアを知っていると言う方は、コメント欄にぜひお寄せください。

あまりに主観的な内容でなければ、書き加えさせてもらい、内容の充実を図ろうと思います。

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13th『瘋痴狂』

  • 発売日:2006年2月22日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • 発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • メンバー:和嶋慎治 – ギター・ボーカル、鈴木研一 – ベース・ボーカル、ナカジマノブ – ドラムス・ボーカル
no. タイトル作詞作曲時間
1雷神和嶋慎治鈴木研一5:24
2二十一世紀の瘋痴狂和嶋慎治和嶋慎治6:00
3ロックンロール特急和嶋慎治鈴木研一5:27
4品川心中和嶋慎治和嶋慎治8:06
5青い衝動和嶋慎治鈴木研一2:46
6無慈悲なる青春和嶋慎治ナカジマノブ4:56
7不惑の路鈴木研一鈴木研一5:39
8山椒魚和嶋慎治和嶋慎治7:29
9恐怖!!ふじつぼ人間鈴木研一鈴木研一3:10
10孤立無援の思想和嶋慎治和嶋慎治6:47
11暗黒星雲和嶋慎治鈴木研一7:07
12幻色の孤島和嶋慎治和嶋慎治8:40
合計時間71:31
  • アルバムタイトルは、英語圏の俗語である“hoochie koo”(淫靡な踊り、酔っぱらい)、“hoochie coochie”(絶倫)をもじったもの。もともとヴ―ドゥー呪術における魔術師から来た言葉で、尋常ではない方法で人を狂騒状態にするロックと重ね合わせている。
  • ジャケット写真にウサギの絵が使われているのは、江戸時代にはウサギの入れ墨を入れるのが流行ったから。ナカジマ氏のバスドラムにはこの絵が使われている。
  • 本作から発売元が徳間ジャパンコミュニケーションズとなる。
  • 人間椅子のオリジナルアルバムの中で、ドラマーが歌った曲数が最も多いアルバムである(3曲)。
  • 帯惹句は「過剰なまでにひたむきで 悲愴なまでに愚かしい」
  • 初回特典はA4クリアケース。

雷神

  • タイトルはKISSの「God of Thunder(雷神)」からと思われる。
  • 鈴木氏によれば、もともと異なるイントロがあり、Judas Priest風のものだったらしい。
  • 後に2017年の20thアルバム『異次元からの咆哮』に「風神」が収録され、風神・雷神が揃った。しかしチューニングが異なるため、並べて演奏されることはない
  • ライブでの演奏頻度は近年低く、2011年のアルバム『此岸礼讃』発売ツアー以来演奏されていない。

二十一世紀の瘋痴狂

  • タイトルはKing Crimsonの「21世紀のスキツォイドマン」からではない。Johnny Winterの「Rock and Roll, Hoochie Koo」からであるようだ。イントロのドラムもそのまま使われている。
  • 歌詞は1番:ドン・キホーテ、2番:ものぐさ太郎、3番:ツァラトゥストラをイメージしている。
  • 「第十一回 人間椅子倶楽部の集い 2015」にて久しぶりに演奏された。

ロックンロール特急

  • レコーディングの当日まで鈴木氏がボーカルの予定だったが、キーも高く雰囲気に合わなかったため、ナカジマ氏が歌うこととなった。
  • ライブでは中間のギターソロが長くなることがあり、和嶋氏のアドリブが披露される
  • ライブでの演奏頻度は比較的高く、2017年のライブ盤リリース記念ワンマンツアー『威風堂々』などで演奏されている。

品川心中

  • タイトルは落語「品川心中」からであり、ロック史上初の”ロック落語“の楽曲である。
  • イントロは三遊亭圓生の出囃子である「正札附」、アウトロは「二つ巴」の一節で「花に遊ばば」が用いられている。
  • MVが制作されている。MVの中で登場する書は和嶋氏の姉が書いている。
  • 落語部分はレコーディング時には、座布団を敷いて座って収録されたらしい。アルバム発売時のツアーでは、ライブでも座布団が敷かれて座って落語を行っていた
  • CDでは落語部分にも演奏が入っているが、ライブでは演奏はない。そのためライブでは静けさの中、和嶋氏が落語を話すため大変緊張するとのこと。
  • ライブでは「落ちているのは雑巾」の後に、アドリブでもう一言加わることがある。「払っていないのが年金」など。
  • 2020年2月のヨーロッパ公演では、落語部分を英訳した文章を紙に書いてスタッフが持つと言う方法で内容を伝えた。

青い衝動

  • ナカジマが2バスの曲をリクエストしたことで、鈴木氏が作曲した楽曲である。
  • 和嶋氏は「衝動」が何を指すのか明言していないが、近年は書かれない人間の闇や狂気を描いた内容であると思われる。
  • 1988年公開、フランス・イタリア合作の映画に「蒼い衝動」がある。

無慈悲なる青春

  • 人間椅子の楽曲としては、ナカジマ氏初の作曲である。ギターリフから作る人間椅子流の作り方も初挑戦だったとのこと。
  • スラッシュメタル風の楽曲を鈴木氏が作ることが恒例となっていたが、本作ではナカジマ氏が作ることになったのも異例のことだった。
  • ナカジマ氏ボーカルの楽曲の中でも演奏頻度が低く、「第八回 人間椅子倶楽部の集い2011」以来演奏されていない。

不惑の路

  • 40歳を迎えたことで作られた楽曲。1995年の5thアルバム『踊る一寸法師』で、30歳を迎えた時に作られた「三十歳」に続く作品。
  • 50歳を迎えた時には記念曲は作られなかったが、ライブで演奏しにくいためとのこと。アルバム発売当時より演奏されていないと思われる。
  • ライブのMCから、2番の歌詞は、その当時のハードロック業界を描いたものとのこと。

山椒魚

  • タイトルは井伏鱒二の小説「山椒魚」から。
  • 楽曲はRory Gallagherが在籍したバンドTasteの1969年のアルバム『Taste』に収録された「Catfish(なまず)」に影響されたもの。
  • ライブではスライドバーをつけたまま、リフの演奏も行われる。またギターソロが長く演奏される。
  • 近年の演奏頻度は低く、「第六回 人間椅子倶楽部の集い 2009」以来演奏されていない。

恐怖!!ふじつぼ人間

  • 鈴木氏いわく、冗談半分で作った曲でありアルバムから外すように主張していたとのこと。
  • ライブでは「なめくじだらけの人間が」の前に、その土地の地名などを交えてアドリブの歌詞が入れられることがある。ライブアルバム『疾風怒濤~人間椅子ライブ!ライブ!!』では名古屋公演でのアドリブが聴ける。
  • ライブの後半に演奏されることが多く、ライブの定番だった。近年はやや演奏頻度が減り、2017年のライブ盤リリース記念ワンマンツアー『威風堂々』などで演奏されている。

孤立無援の思想

  • タイトルは高橋和巳のエッセイ「孤立無援の思想」から。
  • 最初からナカジマ氏に歌ってもらうつもりで作曲された楽曲とのこと。イントロ・サビなどのファルセットは鈴木氏によるもの。
  • 間奏部分の転調は、Beach Boysのブライアン・ウィルソンへのリスペクトによるもの。
  • 近年の演奏頻度は高くないが、「第十二回 人間椅子倶楽部の集い 2016」にて演奏された。

暗黒星雲

  • 暗黒星雲とは天体用語であるが、キリスト教における天国と地獄の中間の煉獄を歌ったもの。
  • ダウンチューニングで演奏したかったものの、鈴木氏のキーが合わず現在の形となった。
  • 鈴木氏は演奏したいと主張するも、なかなか演奏に至らないとのこと。「第九回 人間椅子倶楽部の集い 2012」でようやく演奏された。

幻色の孤島

  • タイトルは日野日出志による漫画「幻色の孤島」から。
  • 楽曲は後半の不気味なアルペジオが先にあって、後に前半部分が作られた。
  • King Crimsonの「Starless」のような展開を目指したとのこと。
  • 演奏が難しいものの比較的演奏頻度は高い。しかし生配信された2016年の秋の全国ワンマンツアー「地獄の季節」ファイナルの東京公演では、アルペジオでわかりやすく間違えてしまった。
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14th『真夏の夜の夢』

  • 発売日:2007年8月8日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • 発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • メンバー:和嶋慎治 – ギター・ボーカル、鈴木研一 – ベース・ボーカル、ナカジマノブ – ドラムス・ボーカル
no. タイトル作詞作曲時間
1夜が哭く和嶋慎治和嶋慎治7:47
2転落の楽典和嶋慎治鈴木研一5:36
3青年は荒野を目指す和嶋慎治鈴木研一5:09
4空飛ぶ円盤和嶋慎治和嶋慎治8:25
5猿の船団和嶋慎治ナカジマノブ4:12
6閻魔帳鈴木研一鈴木研一5:11
7白日夢和嶋慎治和嶋慎治5:13
8牡丹燈籠和嶋慎治鈴木研一6:24
9世界に花束を和嶋慎治和嶋慎治8:44
10膿物語鈴木研一鈴木研一4:12
11肥満天使(メタボリックエンジェル)鈴木研一鈴木研一4:56
12どっとはらい和嶋慎治和嶋慎治7:17
合計時間73:06
  • タイトルはウィリアム・シェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」から。和嶋氏によれば夢や幻想に関する曲が多く、非日常を描いたアルバムとのこと。
  • アルバムの収録時間は10thアルバム『見知らぬ世界』の72分50秒を超えて、最長収録時間となった
  • 帯惹句は「稀代の悪党も恋に破れた若者も、兵隊も学者も婆さんも娼婦も――みんな夢を見る。 夢がなくては 救われない。」
  • 2000年の9thアルバム『怪人二十面相』以来続いていた、1曲目が鈴木氏の曲という流れが終わり、本作以降はずっと和嶋氏の楽曲が1曲目である。
  • ディスクユニオンで購入すると、特典にトーク映像のDVDがついていた。

夜が哭く

  • メインのリフは1998年頃に作られたもので、10年越しで完成した楽曲である。
  • 1番の歌詞は少年犯罪について歌っているとのこと。
  • 現在アルバムの冒頭がベースから始まるのは本作のみである。(1st『人間失格』の「鉄格子黙示録」は厳密には効果音からスタートしている)
  • 展開が多く難しいために、演奏頻度は少ない。「第十回 人間椅子倶楽部の集い 2013」以来、演奏されていない。

転落の楽典

  • 歌詞の内容はロックの起源と歴史に関するものとなっている。
  • 発売当時のライブでは頻繁に演奏されていたが、近年は「第十二回 人間椅子倶楽部の集い 2016」以来、演奏されていない。

青年は荒野を目指す

  • タイトルは五木寛之の小説「青年は荒野をめざす」から。
  • 青春シリーズ”とも呼ばれ、次作の「輝ける意志」が続編である。また前作には「無慈悲なる青春」がある。
  • 「ライララライラ」は仮歌の歌詞がそのまま使われた。
  • 2008年の「七月の猟奇歌~Show Boat 15周年記念」以来、ほとんど演奏されていない。

空飛ぶ円盤

  • タイトルはカール・グスタフ・ユングの著作「空飛ぶ円盤」から。
  • ”宇宙シリーズ”の楽曲は鈴木氏の専門であったが、和嶋氏による初の”宇宙シリーズ”
  • 「窓辺から黄金の船」とあるが、和嶋氏は実際にUFOによるアブダクションを経験したとMC等で語っている。
  • 2008年に演奏されている記録があるが、それ以降は演奏されていないと思われる。

猿の船団

  • タイトルはフランスの小説家ピエール・ブールによるSF小説「猿の惑星」から。
  • ライブでは、メインリフの際にコーラスとともに、ファンの間では手をグーパーするのが慣習になっている。
  • ファンクラブの集いではよく演奏されており、近年では「第十四回 人間椅子倶楽部の集い 2018」で演奏された。

閻魔帳

  • 閻魔帳とは、死者が生前に行った善い行い・悪い行いを記す帳面のこと。
  • デモテープ段階ではAメロが大きく異なっていたらしい。
  • アルバム発売ツアーでも演奏頻度が低く、その後もほとんど演奏されていないレア曲である。

白日夢

  • タイトルは谷崎潤一郎の戯曲「白日夢」から?
  • デビュー前の89年頃に作った「夏の墓場」が元の曲だった。サビのパートが異なっていたとのこと。
  • 2010年の『春のにほひは涅槃のかをり』ツアーでの演奏記録があるが、それ以降は演奏されていないと思われる。

牡丹燈籠

  • タイトルは明治の三遊亭圓朝の落語の怪談話「牡丹灯籠」から。
  • ギターソロの後半部では和嶋氏は般若心経を唱えるつもりで演奏しているとのこと。
  • アルバム発売時のツアーや『春と修羅』では演奏されているものの、その後はほとんど演奏されていない。

世界に花束を

  • 人間椅子として初の詩の朗読を大胆に取り入れたもので、内容は反戦歌である。
  • 詩の朗読部分は歌詞カードには書かれていない。
  • 詩の朗読はやや津軽弁の訛りがあるように聞こえるが、和嶋氏は標準語で話しているつもりとのこと。
  • 朗読しながらの演奏は極めて難しいため、演奏頻度は低い。近年は「第十二回 人間椅子倶楽部の集い 2016」で演奏されている。
  • 詩の朗読は17thアルバム『萬燈籠』収録の「十三世紀の花嫁」でも行われたが、この曲での半生を活かして、演奏のリズムに合わせた朗読が作られている

膿物語

  • 実は”パチンコシリーズ”の楽曲である。パチンコ台の「海物語」とかけており、当初は「海物語」を題材に作られたが失敗し、今の形になった。
  • アニメソングを意識して作られており、Aメロ・Bメロ・サビの構成となっている。
  • 鈴木氏はこの曲のギターソロを気に入っており、あまり速く弾かないソロが良いと語っている。

肥満天使(メタボリックエンジェル)

  • ライブで演奏される際には、”フードタイム”があって鈴木氏が何かを食べてから演奏されることがあった。
  • ライブではキーが高く歌えないことがあったため、ツアーの途中よりダウンチューニングで演奏されることが定着した。
  • 近年の演奏頻度は減っているが、「第十一回 人間椅子倶楽部の集い 2015」で演奏された。この時のフードタイムはセブンイレブンの「生キャラメルエクレア」。

どっとはらい

  • 「どっとはらい」とは東北南部弁で「これでおしまい」の意味。「どっとはらい」という言葉は、前作13thアルバム『瘋痴狂』収録の「二十一世紀の瘋痴狂」にも登場する。
  • 歌詞の世界観はダダイズムであり、既成の秩序や常識に対する否定、攻撃、破壊を特徴とする芸術の運動である。
  • 中間部のプログレッシブな展開は、King Crimsonの「21世紀のスキツォイドマン」に影響を受けたものと思われる。
  • ダウンチューニングの曲であるため、かつては中間に演奏されることが多かったが、近年はアンコールの最後に演奏されることが増えた。

15th『未来浪漫派』

  • 発売日:2009年11月4日、2016年11月2日(UHQCD再発)
  • 発売元:徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • メンバー:和嶋慎治 – ギター・ボーカル、鈴木研一 – ベース・ボーカル、ナカジマノブ – ドラムス・ボーカル
no. タイトル作詞作曲時間
1太陽の没落和嶋慎治和嶋慎治5:56
2輝ける意志和嶋慎治鈴木研一4:37
3浪漫派宣言和嶋慎治和嶋慎治5:23
4至福のロックンロール和嶋慎治鈴木研一3:45
5愛の法則和嶋慎治和嶋慎治6:12
6赤と黒和嶋慎治和嶋慎治5:51
7冥土喫茶鈴木研一鈴木研一3:55
8塔の中の男和嶋慎治和嶋慎治8:54
9月下に捧ぐ舞踏曲和嶋慎治鈴木研一6:45
10ヤマさん和嶋慎治和嶋慎治6:05
11秋の夜長のミステリー和嶋慎治人間椅子4:31
12ばっちりいきたい子守唄和嶋慎治鈴木研一3:23
13深淵和嶋慎治和嶋慎治9:23
合計時間74:50
  • 前作『真夏の夜の夢』の収録時間の73:06をさらに超えて、最長収録時間となった
  • 鈴木氏が前作のレコーディング時に「作詞は1曲だけにする」という宣言通り、1曲を除いて全て和嶋氏の作詞となった。
  • これまで1年に2作のアルバムを発売することはなかったが、ベスト・アルバム『人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤』が同じ2009年に発売されている。
  • これまで和嶋氏のギターで使われていたフロントピックアップがバッキングで使われることが著しく少なくなった。
  • 和嶋氏が自分の中で表現の軸を見つけつつある作品であり、ニーチェに凝っていた時期で、歌詞のテイストがややこれまでの作品と異なる。鈴木氏は自身を”絶不調”と述べている。
  • タワーレコードで購入した場合には、新曲として「悪魔と接吻」を収録したCDがついた。次作の『此岸礼讃』に収録されることとなった。

太陽の没落

  • 歌詞のベースにあるのは、ニーチェの著作「ツァラトゥストラはかく語りき」。ツァラトゥストラ山から下りてくる場面の歌詞であると和嶋氏は述べている
  • 近年の演奏頻度は低く、最近では「第十二回 人間椅子倶楽部の集い 2016」で演奏されている。

輝ける意志

  • 前作『真夏の夜の夢』に収録の「青年は荒野を目指す」に続く”青春シリーズ”。
  • アルバム発売前に行われた「第六回 人間椅子倶楽部の集い 2009」において初めて披露されている。
  • ギターソロはMichael Schenkerを意識したサウンド・フレーズである。

浪漫派宣言

  • アルバム発売前に行われた「第六回 人間椅子倶楽部の集い 2009」において初披露され、その際にMVが収録された。長らく公開されることが少なかったが、2018年のMV集「おどろ曼荼羅~ミュージックビデオ集~」に初めて収録された。
  • WebロックマガジンBeeastで連載された和嶋氏のコラムのタイトルが「浪漫派宣言」だった。

至福のロックンロール

  • 鈴木氏が敬愛するKISSを意識して作られた楽曲である。
  • サビの「ロックンロール」の掛け声に関して、ライブで和嶋氏・鈴木氏いずれの掛け声で腕を上げるか、によってどちら派なのかわかる、というMCがあった。
  • 演奏頻度は低く、近年はほとんど演奏されていないレア曲である。

愛の法則

  • 歌詞の内容は恋に苦しむ人について歌ったものとのこと。
  • 仮タイトルは「愛の嵐」であり、歌詞の中に登場する。

赤と黒

  • フランスの作家スタンダールの小説に「赤と黒」があるが、特に小説からタイトルを借りたものではない。
  • Deep PurpleRainbowを意識した楽曲であり、ギターソロもRitchie Blackmoreを象徴するフレーズが使われている。キーも「Smoke on the Water」や「Burn」などで使われるGmが採用されている。
  • ライブで演奏される際には、ギターソロの終わりの部分がアドリブで長く引き伸ばされることが多い。
  • Gmに決めて曲が作られたためか、ボーカルのキーが高く、ナカジマ氏が出せる限界のキーであるとのこと。

冥土喫茶

  • 冥土とメイドをかけており、メイド喫茶が流行っていたためにこのタイトルとなった。
  • 歌詞に登場する「奪衣婆」はダーツバーとかかっていると鈴木氏は述べている。
  • ライブではイントロがギターとドラムだけで始まるため、鈴木氏はベースを置きハンドマイクでお客さんを煽るパフォーマンスをすることがある。それが長いと和嶋氏はギターを弾く腕がつらい、と述べることがあった。

塔の中の男

  • 歌詞はドイツの詩人フリードリヒ・ヘルダーリンを偲んで作られた。30代で統合失調症を患い、半生を塔の中で過ごしたという。
  • メインのリフは10年ほど前からあり、鈴木氏はぜひ曲にしてほしいと言っていた。
  • 発売当時は頻繁に演奏されていたが、徐々に頻度は減少。最近では配信ライブ「帰ってきた人間椅子倶楽部~配信ライブ編~」で披露された。

月下に捧ぐ舞踏曲

  • この曲と「太陽の没落」で太陽と月が揃うため、発売時のツアーの東京公演2日間は「太陽の日」「月の日」と名付けられた。
  • バッキングギターでフロントピックアップが使用されているのはアルバムの中でこの1曲のみである。
  • 発売時のツアーから既にレア曲の扱いだったが、「第十二回 人間椅子倶楽部の集い 2016」で久しぶりに演奏された。

ヤマさん

  • 「ヤマさん」はナカジマ氏がアルバイトしていた土建屋で働いていた当時65歳の男性。知的に遅れのある人物で、身体を壊してからは人の好さが災いして物を盗られて、その後亡くなってしまったとのこと。
  • リフはAerosmithの「Walk This Way」に影響されたアメリカンなものとなっている。
  • 近年の演奏頻度は低く、「第七回 人間椅子倶楽部の集い 2010」以来演奏されていない。

秋の夜長のミステリー

  • 作曲は「人間椅子」となっており、人間椅子史上初めての形のクレジットである。実際は曲のほとんどは和嶋氏が作っているようだ。
  • 同じリズムにフィンガー5の「個人授業」がある。
  • あまり演奏されることがない曲で、「第九回 人間椅子倶楽部の集い 2012」以来演奏されていない。

ばっちりいきたい子守唄

  • アルバム発売の前年2008年、お笑い芸人のエドはるみ氏が親指を突き立てて「グ〜」という芸が流行り、流行語大賞を受賞している。その影響も受けていると思われる。
  • ライブでは、「ばっちグーグー」の部分で、和嶋氏がコードのストロークの合間に親指を突き立てる動作をする。
  • エンディングには長いギターソロが挿入されていたが、フェードアウトで切られてしまっている。

深淵

  • これまで8分台の曲が最長であったが、9分台の曲で最長記録を更新した
  • イントロの長いギターは、ピックではなく指弾きである。
  • サビのリフレイン部分は嵐の日に作られ、雷鳴と合わせて作られたため変拍子となっている。
  • OZZ fest Japan 2011に出演した際には、持ち時間30分の中でこの曲が選曲されている。和嶋氏の心境の変化をダイレクトに反映した曲で、自信作と思われる。

Vol.6に続く

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