私のエレカシ記念日

ある意味今日は私にとっての「エレカシ記念日」。なぜなら去年の今日、最初にエレカシのCDを買った日だからです。まあAmazonで頼んで届いた日なんですけどね。最初に買ったのは「東京の空」でした。私の一番好きなエレカシの雰囲気です。「極楽大将」宮本浩次と呼ぶに相応しい曲が揃っています。また歌詞カードにメッセージが載っているのもこの作品だけではないでしょうか。ジャケットもこれが一番気に入っています。

私はこの歌詞カードを眺めつつ、模試の疲れで横になりながら(本当は正座して聴くのが流儀らしいですが)「この世は最高！」を聴き始めた訳です。あの時は何か「今までとは違う音楽を聴き始めたんだ、俺は！」という感動がありましたね。やはり今まではメロディーやリズムが整った曲を聴いていたので、エレカシの破天荒な演奏や歌に魅かれていました。「この世は最高！」の「この世は最高さ」で歌詞が終わった後の「でぇー」(活字にすると表現できませんが)が異様に生々しくてその時は「こんな叫びをレコーディングで入れるのか!?」という新鮮な驚きがありました。Yahoo!で試聴はしてはいましたが、やはり「今宵の月のように」のイメージが強く、その違いにも驚きました。

ここまでは去年の事を思い出して書きましたが、今この「東京の空」というアルバムについて考えると違う見方というか、もっと個人的な事も見えてきました。「東京の空」は私の中ではエレカシ最後の少年時代のアルバムと思っています。バンドの仲の良さや思い出がはっきり表れたアルバムという感じです。後の作品(ポニーキャニオン時代)はもう少し視野が広がって、また世に出たという緊張感のある状態で少し外向きなエレカシですね。それに対してエピックの作品の多くは宮本さん個人に埋没していると言って良い程、独りぼっちの世界です。ただ「東京の空」は友達を意識した作品で、青春時代の思い出や雰囲気、匂いのようなものを感じます。

私は高3のあの頃、どこかセンチな気分だったんでしょう。青春とか友達とかに飢えていました。というのも、やはり高2で文理が分かれてから、真に友達であった人や熱く語り合えるような人と離れてしまったのです。それに受験勉強はしなければならないし、何か最後に高校生活を締め括る活動も出来ませんでした。

そんな不完全燃焼のまま過ごしていた日々にエレカシは私の心に染み渡りました。星の降るような夜に友だちと歩きたいような気分だったし、なんか足りねぇとも感じたし、実際に夕日は綺麗であったし…。

そんな青春の擬似体験をエレカシでしていたような気がします。しかし気持ちの整理をするには時間がかかり、結局大学受験に失敗するという事態になってしまいました。エレカシにハマッて受験に失敗したなどということはありません。ただ私が感傷的な気分とか、その年齢における青春を感じつついないと気が晴れないタイプの人間だからです。勿論友達だの学校の行事だのどうでも良いから勉強する、と割り切れた人は良いでしょう。しかし私のような熱い男には少し味気無い一年だった訳です。気持ちばかり残ってしまって、それを整理、消化するのに一年を費やしてしまったということです。だから「何で受験失敗したの？」と聞かれたら本来この事を延々と語らなければなりません。

高校生活はあまり楽しいものではなく、一年かけて気持ちを整理するのに時間がかかる程不完全燃焼でした。しかし今は気分も晴れて真剣に受験勉強をしています。去年に比べれば明らかに集中しているのはこの辺りが影響しています。

ある意味で私を救ってくれたエレファントカシマシ、そして「東京の空」。今聴いてみると当時ほどの実感を持って楽しめないと感じるのは、やはり当時は曲自体に感情移入する程のめり込んで聴いていたからですね。

でも思い出深い一枚には違いありません。

ちょうどファン歴一年です。聴き始めた時よりは少し大人になりました。まだまだエレカシに対する感じ方が変わると思いますが、ますます好きにはなっています。やはり見所の多いバンドです。これからも応援していきたいです。