昔の音楽を知った若い世代とリアルタイム世代とが当時の音楽談義をするのが難しい理由とは?

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音楽ジャンル

若い世代が、遡って昔の音楽に関心を持つことは珍しいことではない。昨今はサブスクなどで昔の音楽にもアクセスしやすくなった。

そうした場合、音楽談義を同世代ですのはなかなか難しく、当時の音楽を聴いていたリアルタイム世代と行う方が楽しいはずだ。

一方で、異なる世代間で昔の音楽について語る難しさがどうしてもあるように、筆者は感じている。

”世代間ギャップ”と片付ければ簡単な話ではあるが、音楽ならではの難しさがあるような気がする。

昔を遡って聴いている世代と、リアルタイム世代が当時の音楽について語り合う時の難しさ、そしてどうやったら楽しく会話できるかについて考えてみた。

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異なる世代間で昔の音楽を語り合う難しさとは?

冒頭に述べた通り、異なる世代間で音楽について語り合う場面は、昔より増えるのでは?と感じている。

ベテランのバンドも増え、若い世代・リアルタイム世代でファンコミュニティで語り合う場面もあるのだろう。

あるいは、アイドルグループの作り手が昔の音楽をオマージュしていることも多く、リアルタイム世代のファンと後から知った若いファンとが交流するなんてこともある。

ちなみに筆者は昔の音楽を聴き漁っている30代後半の世代である。70~80年代の音楽を好むので、リアルタイム世代となれば50~60代くらいの人たちということになる。

ファンコミュニティや親と音楽の話をしたこともたくさんあったのだが、どことなく同世代で話すのとは異なる難しさのようなものを感じた。

単に世代間ギャップと言う言葉で片づけてしまうには乱暴な気がするので、今回はその難しさについて言語化してみよう、と思った次第である。

ここでは大きく分けて2つの点で書いている。案外お互いに知らない音楽があること、そしてムードの共有は難しいということの2点である。

お互いが知らない音楽が結構あり得る

まずよく生じる問題として、同じ時代の音楽の話をしていても、お互いに意外と知らない音楽がある、ということが挙げられる。

おそらくそれは、世代が違うことによる、当時の音楽へのアクセスの違いにあるのだろう。

リアルタイム世代は、当時多くの人が聴いていた音楽を、興味がなかったとしても耳にする機会は多かったはずである。

そのため当時流行ったもの、評価が高かったものなどを、ある程度満遍なく知っている可能性が高い。

そこからどれだけ掘り下げたかは個人差が出てくるだろうが、ひとまず通りいっぺんのその世代の音楽について知っているものを共有しやすい。

一方で後から聴いた世代の聴き方は、たいてい誰か好きなミュージシャンがいて、その人を掘り下げて聴くことが多い。

そこから好きなジャンルが生まれ、そのジャンルの中を掘り下げていくことになるだろう。

彼らにとって、当時流行っていたか、皆が知っているか、ということはあまり重要なことではない。自分の好きなジャンルを堀り下げるので、知名度は基準ではないのだ。

そうなると起きる問題は、後から聴いた世代は、その世代が誰しも知っている音楽を意外に知らない、ということがあり得る。

すると若い世代は、話についていけなくなり、輪の中で孤立した状態になってしまう。

そして逆に若い世代の方が、驚くほどマニアックなバンドを知っていて、リアルタイム世代はそれを知らないと、何となく白けた空気になってしまうのだ。

筆者の場合はハードロックが好きではあるのだが、主に70年代のハードロック、そしてその後も古典的なハードロックに影響を受けた音楽を好んで聴いてきた。

それでリアルタイム世代の人と話をすると、たとえば筆者はあまりQUEENは聴かないのであるが、当時のハードロックファンであれば、好みはともかく、一通り話はできるのだろう。

むしろリアルタイム世代は掘り下げて聴いた人が多く、通り一遍の曲だけ知っていても話についていけない、ということが起こりがちである。

逆に筆者はBudgieがとても好きなのであるが、それなりに掘り下げた人でないと、日本では通じなかったりする。

やはり音楽談義は、共通項で話をするほかないのだと実感した。

どうしても横に広げて聴いていたリアルタイム世代の方が音楽談義はやりやすく、好きなバンドを掘り下げる縦の聴き方をする後から世代は参加が難しくなりがちである。

当時のムードを遡った世代は知らない

これまで書いたことに近い話ではあるが、後から遡った世代が当然知らないのが、当時の音楽が流行した社会の雰囲気、ムードの問題である。

もちろん、純粋に音楽的な意味での発展・進化において、その音楽が時代的に流行する、という要素も大きいだろう。

一方で、社会的なムードがその音楽ジャンルを流行らせる、と言った要素も大きい。

たとえばそれは70年代のディスコミュージックであったり、80年前後に日本で流行ったAORなどのジャンルは、その当時の雰囲気のようなものが重要なのだろうと思う。

やはりディスコに通っていたとか、通う人たちを間近に見ていたとか、そうしたムードとともに聴いていた人と、純粋にダンスミュージックとだけ聴いた後から世代では印象は随分と違う。

またAORなども、当時の都会的なものに憧れて、ドライブに出かけ、海や夜景の中でカーステレオなどで聴いた世代と、現在のリバイバルを楽しむ人では随分と異なる聞こえ方がしているだろう。

同世代が集まって音楽談義をする時、どうやっても当時の流行やムードの話になるものである。

その中で異なる世代が混じっていると、なかなか話についていけなくなるものである。もちろん興味深く当時の話が聞ける場合もあるが、あまり分からない話が続くとやはり厳しい。

逆にリアルタイム世代は、当時の雰囲気が伝わる楽曲やバンドはよく聴いていたものの、案外それ以外の音楽が抜け落ちてしまっていたりする。

それが先ほどの後から追いかける世代の方が逆に詳しかったりする現象と重なって来る。

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まとめ

今回の記事では、異なる世代間で音楽談義をすることの難しさについて書いた。

やはり音楽談義は、近い世代でその当時の思い出話に花を咲かせながら行うのが、やりやすいには違いないだろう。

しかし「お互いが理解しえない」「世代間ギャップだから仕方ない」と言うと、何とも希望のない終わり方になってしまう。

異なる世代間が楽しく音楽談義をすることも可能であると思っている。そのためには、異なる世代間でお互いにリスペクトすることが必要である、と感じている。

基本的には後から聴いている若い世代は、やはりリアルタイム世代に対して、自分より色々な物を見てきたリスペクトを持って会話に参加するのが良いだろう。

一方でリアルタイム世代も、あえて現代に過去の音楽に興味を持ってくれる人に対して、敬意を持って会話に加わってもらう構えが必要になろう。

お互いに「知らないことは積極的に知ろうとする姿勢」「お互いの話を丁寧に聴く」など、音楽談義に限らず、会話の基本がより重要になる、ということなのだろう。

同じ”音楽仲間”には違いないのだが、年代的な違いや経験してきたものの違いにリスペクトをしながら、楽しく音楽談義をしたいものである。

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