【ライブレポート】2026年5月20日(水)人間椅子 還暦記念ツアー『猟奇新生』 名古屋 Electric Lady Land

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ライブレポート

とうとう今年で全員が還暦を迎えるハードロックバンド人間椅子還暦記念ツアーと題したライブツアーが行われている。

前々から還暦には赤いちゃんちゃんこを着て記念ツアーをやろうと話していた通り、メンバー全員無事にこのツアーを迎えることができた。

リリース記念ではないツアーであり、前回の『まほろば』ツアーでは、やれるうちにレアな曲をどんどんやっていくとベースの鈴木研一氏が発言していた。

選曲にも注目が集まった中、レア曲も散りばめつつ、かつての懐かしい定番曲も飛び出すなど、人間椅子の長い歴史を振り返る内容になっていたと思う。

5月20日(水)に名古屋Electric Lady Landで行われたライブの模様をセットリストとともにレポートする。

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ライブレポート:人間椅子 還暦記念ツアー『猟奇新生』 名古屋 Electric Lady Land

今回の還暦記念ツアー『猟奇新生』は全国8箇所を回るツアーで、名古屋は6箇所目であった。なお事前にソールドアウトとなっていた。

これまでも大阪以外は全会場、ソールドアウトとなっていたようである。

かつては同じ建物の一回り小さいell.FITS ALLになった時代もあった。近年は毎回ソールドアウトとなっている。

雨の予想される天気だったが、入場時は崩れることがなかった。18:30過ぎに入場、既に前方はかなり埋まっているようであった。

BGMはCactus「One Way… or Another」、Uriah Heep「Return To Fantasy」、Rush「Tom Sawyer」などが流れていた。

最近はお馴染みBlack Sabbathの「Wheels of Confusion/The Straightener」の途中で暗転してスタートである。

今回はダウンチューニング楽器でのスタート、そして前回のツアーと同じ「まほろば」からスタートとなった。

過去の楽曲ではなく、現在地の楽曲から還暦記念ツアーを始めるところに、人間椅子らしさを感じたのだった。

続く「死神の饗宴」はかつての超定番曲、逆に久しぶりで懐かしさを覚えた。今回はギターのピックアップはリアで演奏されており、ソリッドなサウンドになっていた。

最初のMCは鈴木氏から、平日にもかかわらず、残業しないで来てくださってありがとうございます、との発言も。

ギターの和嶋慎治氏からは、名古屋はデビュー前から来ていて、東京の次にライブをやっている場所である、だからホームタウンだと語られた。

デビュー頃は大阪にはあまり行けておらず、また低迷期は北海道や九州には行けなかった時代もあったが、名古屋は毎回必ずと言って良いほど行っていたのだという。

ほっこりするMCから一転、次の曲の導入としてディストピアの話題を始める和嶋氏。「まほろば」がユートピアであれば、恐ろしい未来がディストピアとして映画などで描かれる。

ロボットやAIの暴走など、映画で描かれるような未来にならないことを祈る、とひとしきり語ったところで、こうやって話していると頭がおかしな人と思われると和嶋氏。

一報の鈴木氏は「聴いているようで聞いていない」との突っ込みで笑いが起こっていた。

しかし20年くらい前の和嶋氏はもっと周りを引かせるような話題をぶっこみまくっていたが、今はずいぶんとマイルドになったと思う。

ややレアな「人間ロボット」、終わりの方では和嶋氏がギターを弾きながら無表情で左右に歩くような動きを披露、これについて後のMCで語られている。

ゲーテの最期の言葉だった、と前置きがあって始まった「もっと光を!」(1993年『羅生門』収録)は、この日のセトリの中で最もレアな楽曲だった。

2番の歌詞で色が登場する部分では、色に合わせて照明が完璧に合わさっていた。鈴木氏がいたく感動していたとともに、合い過ぎて笑ってしまったとのこと。

これこそELLの愛を感じるところ、そして多くのバンドに愛される会場であることが分かる瞬間だった。

「人間ロボット」ではロボットの動きを見せたが、そこからまさかのバンドのJAPANの話になり、ベースのミック・カーンの動きにインスパイアされたとのことが和嶋氏から明かされる。

JAPANと言えば、初期はグラムロックながらシンセポップやアンビエントまで扱ったバンドで、人間椅子のライブでJAPANの名前を聴くとは思わなかった。

ロボットの動きのリハーサルもちゃんとやったそうだが、鈴木氏の方へ寄り過ぎたと告白していた。

和嶋氏が芸の幅を広げているという話から、芸と言えば落語、「品川心中」が披露される。

和嶋氏の落語の間、鈴木氏は口パクで同じセリフを言っているのを見かけて笑ってしまった。口パクの件は一言も触れず、落語が上手くなっている、と終わった後に語る鈴木氏であった。

そして「品川心中」終わりで、ナカジマ氏が服を脱いでいるのに気付く。落語の間に脱いでいたのか、和嶋氏の落語中の他メンバーは色々忙しい。

続く「黄金の夜明け」もやや久しぶりの楽曲である。中間部はベースとギターでリズムをとりながら披露され、長年のコンビネーションの良さを感じさせた。

「杜子春」前、愚痴や弱音は身内にならば吐けるというもの、お父さん・お母さんに生きている人も、亡くなった人も、関係の悪かった人は自分は人に優しくしましょう、と説法のような話に。

これもやや久しぶり、「巌窟王」で非常にダークな雰囲気に。コロナ以降にファンになった人にとっては、初聴きとなった曲ではなかろうか。

今までで1番大きかったかもしれないタイアップということで、「無限の住人 武闘編」。これも『苦楽』リリースツアー以来で演奏頻度の低かった曲だ。

今日のリストは、『苦楽』前後でしばらく演奏されていなかった曲、コロナ期にライブが少なかった頃の曲が多めに取り上げられていた印象だった。

個人的にはこの後の2曲がこの日のハイライト、まずはH.P.ラブクラフトの名前を挙げつつ「ダンウィッチの怪」である。

長らく披露のなかった曲だが、人気の高さをバンドも知ったのか、2018年「恩讐の彼方~人間椅子 2018年 晩夏のワンマンツアー」以降、たびたび披露されるようになった。

長い静かな中間部からのラストまでの展開はやっぱり鳥肌物モノ、そして鈴木氏のパフォーマンスが最高だった。

鈴木劇場は次の曲へ引き継がれ、これも意外と久しぶりの「相剋の家」。かつての超定番だったが、その魅力の1つが歌う和嶋氏の隣での、鈴木氏の圧巻のパフォーマンスがある。

ダウンチューニング曲が終わり、ここからアニキコーナー。この日は静かな時に「アニキ」と呼びかけられるも、ここまであまり話さなかったナカジマ氏。

ただ途中でアニキと呼ばれるのは嬉しいとのこと、披露されたのは、これもやや久しぶりの「蜘蛛の糸」である。

どこに行っても「蜘蛛の糸」を聴いていた気がするのはもう10年位前の話、人間椅子らしい世界観とナカジマ氏のボーカルが見事にマッチした曲で、よく披露されていた。

ライブは終盤へ、車社会の愛知県というようなMCから「疾れGT」、やはり今回は『苦楽』からの楽曲が多めであった。ラストはおなじみ「針の山」で本編が終了。

アンコールでは、メンバーが赤いちゃんちゃんこを着て登場した。和嶋氏は帽子もかぶっているのが面白い。

恒例のツアーTシャツ紹介では、ナカジマ氏が前後ろの紹介をするが、今回はちゃんちゃんこを着ており、一度脱いでちゃんと着直す、という動作があった。

「ちゃんと着直すのね」と和嶋氏がツッコミを入れていた。

どこかで年齢を感じさせるトークとして、眉毛や耳の毛が長くなる、という話があった。ここでもその話題になり、和嶋氏もスキンヘッドに?という話が出て来ていた。

和嶋氏は「五分刈りくらいに」というと、鈴木氏は「どうせならスキンヘッドにしましょうよ」と坊主を促していた。

そしてなぜかウォーリーをさがせ!のように、和嶋をさがせ!にして、色んなおじさんの中に和嶋氏がいるTシャツを作ろうと、謎の提案をする鈴木氏であった。

さて、和嶋氏はセミアコっぽい形の真っ赤なギターを披露。新作『まほろば』から「ばかっちょ渡世」が披露された。

筆者は唯一この曲がライブで未聴の曲、予想通りライブで盛り上がる曲であることが分かった。「この格好でやると良いね」と、終わった後に語っていた。

年内は秋口に名古屋でもう1回ツアーで訪れることを予告していた。還暦になっても中学生・高校生の時の気持ちを大事にバンドをやっていきたいと語る和嶋氏。

ラストはおなじみ「無情のスキャット」を披露、これもちゃんちゃんこを着たまま披露されたのが少し面白かった。

前回より1曲少ない16曲だったが、無事に還暦ツアー名古屋公演が盛況のうちに終了した。

<セットリスト・収録アルバム>

No.タイトル収録アルバム
SE此岸御詠歌『萬燈籠』(2013)
1まほろば『まほろば』(2025)
2死神の饗宴『見知らぬ世界』(2001)
3人間ロボット『苦楽』(2021)
4もっと光を!『羅生門』(1993)
5品川心中『瘋痴狂』(2006)
6黄金の夜明け『黄金の夜明け』(1992)
7杜子春『苦楽』(2021)
8巌窟王『新青年』(2019)
9無限の住人 武闘編『無限の住人(リマスター盤)』(2020)
10ダンウィッチの怪『頽廃芸術展』(1998)
11相剋の家『修羅囃子』(2003)
12蜘蛛の糸『萬燈籠』(2013)
13疾れGT『苦楽』(2021)
14針の山『人間失格』(1990)
アンコール
15ばかっちょ渡世『まほろば』(2025)
16無情のスキャット『新青年』(2019)
※オリジナルアルバムを記載
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全体の感想+年内に次のツアーへ

メンバー全員が還暦に入る2026年を還暦イヤーとして、還暦ツアーを行う人間椅子である。筆者もライブを見続けて25年、時の長さにさすがに驚くばかりである。

選曲に関しては、かつての懐かしい定番曲を中心に、人気の高そうなレア曲を散りばめた、”中級者向け”といった感じだろうか。

レア度で言うと、前回の『まほろば』ツアーの方が実は高く、新曲以外はかなりレアな曲を盛り込んだ印象であった。

”終活モード”という発言もあり、還暦ツアーはどんな選曲になるのか、と思ったが、マニアック過ぎず、ほど良くレア曲がブレンドされたバランスだったと思う。

筆者はレア曲よりも、懐かしい定番曲が並んでいたのに胸が熱くなった。具体的には「死神の饗宴」「相剋の家」「蜘蛛の糸」辺りのことである。

2009年の20周年以降、新規ファンも取り込めるように、定番曲を固めて盤石の演奏でライブに臨むモードに入っていた頃、「死神の饗宴」「相剋の家」は定番に入っていた。

そんな戦友のような楽曲が2013年のOzz fest JAPAN 2013では1曲目・2曲目に続けて披露され、それ以前から聴いていた人は涙なくしては見られなかったのではないか。

そして2013年に『萬燈籠』リリース後の人間椅子は快進撃が始まり、各地のライブでナカジマ氏の曲名コールから「蜘蛛の糸」が幾度となく披露されたのだった。

個人的にはそんな10数年前の人間椅子を思い出す時間となった。

加えて2001年に初めて名古屋で人間椅子を観た頃にやっていた「死神の饗宴」「黄金の夜明け」から、昨年のツアーで聴いた「まほろば」まで長い歴史を振り返る内容だった。

それぞれに色々な感慨があると思うが、人間椅子の長い歴史を旅するライブだったのではないか。2026年はもう1本ツアーが予定されているようである。

今回のツアーと併せて、人間椅子の歩みに思いを馳せる還暦ツアーとなりそうだ。

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