バンド生活三十五周年の人間椅子は、和嶋慎治氏の歌詞を集めた『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』を発刊した。
和嶋氏が選んだ人間椅子の歌詞と、解説文が載った書籍である。その発刊を記念して、ジュンク堂書店池袋本店でサイン会が開催された。
後にサイン会や発刊記念イベントがいくつか告知となったが、今回のイベントがその最初である。併せて刊行記念の選書コーナーが設けられ、直筆歌詞(の写し)も展示されていた。
思いのほか情報量があったので、サイン会および選書コーナーに関するレポートを書くことにした。
『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』刊行記念選書コーナー
ジュンク堂書店池袋本店の9階、芸術書・イベントコーナーにて、選書コーナーが作られていた。選書コーナーと言いつつ、直筆歌詞ノート(写し)も展示されているのは知らなかった。
こちらが選書コーナーの全景である。
選書コーナーにはそれぞれ和嶋氏の直筆によるコメントが書かれている。
さらにコメントのみをまとめたプリントを自由に持ち帰ることができる。
そして壁には和嶋氏による直筆の歌詞(の写し)が貼られていた。曲目は以下の14曲であった。
- 鉄格子黙示録
- 陰獣
- 人面瘡
- 針の山
- 人間失格
- 遺言状放送(2枚)
- 憂鬱時代
- 太陽黒点
- 水没都市
- 見知らぬ世界
- どっとはらい
- 芳一受難
- 無情のスキャット
- 星空の導き
陰獣・鉄格子黙示録・人間失格(鉄格子黙示録はギターのコードまで書かれている)
針の山
遺言状放送(2枚あり、左側はメモ書きのようなものや、セリフ部分が書かれている)
人面瘡・太陽黒点・憂鬱時代(初期の歌詞はタイトルのレタリングが凝っている)
水没都市
見知らぬ世界
どっとはらい
芳一受難
無情のスキャット
星空の導き
なお書籍だけではなく、人間椅子のCD・DVD・アナログ等も購入でき、特典としてポストカードがもらえた。
ちなみにイベント前に購入しようとしたら、ポストカードは9階の案内カウンターでもらって、会計は1階なので本当に購入したのか確認しない緩やかなシステムであった。
とは言え、『羅生門』のHQCDをしっかり購入、ジュンク堂のセルフレジで人間椅子のCDを買うという不思議な体験をした。(ちゃんと購入できた)
しばらく9階で選書コーナーを見ていたら、まだ私服姿の和嶋氏が通りかかったのだった。
『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』サイン会
サイン会が行われるのは、9階奥のイベントスペースである。書籍は事前に買って持参とも、その場で購入とも事前の案内メールには書かれていなかった。
現地に行ってみると、当日にイベントスペースで購入できるとのことでお知らせがあった。(購入特典で、CDを買った場合とは別のポストカードがついた)
筆者は第四部の19:45からなので、しばらく外で時間を潰すことにした。
19:30過ぎ頃に9階のイベントスペース付近に到着すると、まだ第三部の人たちのサイン会が続いているとのこと。
館内アナウンスにて開始時刻が知らされる、ということになり、かなり時間が押していた。
おそらく20時を過ぎた頃に、第四部の集合がかかった。イベントスペースは中央に椅子が並べられていて、そこで座ってサインの順番を待てるようになっている。
椅子は左右の島に分かれており、まだ第三部の人たちが右の島で座っている。男女比で言うと女性が多く、年齢層は割とばらけている感じだった。
壁際には書籍の購入の列が作られ、第四部に参加する人たちはそこに並んで書籍を購入して、左の島に座っていくと言うシステムだった。
割と前の方に並んで書籍を購入後に座ると、どうやらこれから第三部の人のサインが始まるところだった。和嶋氏がサインをするのは衝立の向こう側のスペースだった。
第三部のサイン会を始める前に和嶋氏から挨拶があった。「この曲が入っていない、ということもあるかもしれませんが自選の詩集と言うことで」とのことだった。
衝立がまるで襖のようであり、「やんごとなきところでサインを書いています」と笑いを誘っていた。第三部のサイン会は、20時30分過ぎまではかかっただろうか。
既にサインを終えた人の話を小耳にはさみ、それなりに時間がかかっている理由は、和嶋氏のサインのみならず、人間椅子のロゴまで書いてくださっているからだ、ということである。
ようやく第四部の順番で、司会の方が和嶋氏に話しかけている様子だと、おそらく和嶋氏から「あとどれくらいですか?」という質問があり、「ようやく半分です」と返すところを見かけた。
休憩はなく、第四部の始まりはもう挨拶もなく、どんどんサインを進めていかないと終わらない、という感じでもあった。
和嶋氏もおそらく精神的には疲労感が溜まってきたであろうタイミングだったが、にこやかにサインに応じてくださった。
為書きは後まで残るものだと考えて、本名フルネームにしてもらった。若干お疲れの様子であまりお話は控えようと思ったが、今度のツアーで久しぶりに両親と名古屋に参加することだけ伝えた。
こちらがいただいたサインと、ポストカード(書籍購入特典・CD購入特典)である(※和嶋氏のサインの下に名前が書かれているのを隠している)
まとめ+『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』の感想
『無情のスキャット 人間椅子・和嶋慎治自選詩集』発刊記念のサイン会は、書籍のサイン会に参加するのも初めてだったので新鮮な感じだった。
参加者の受付をしている段階では、サイン会のイベントはこれだけだったので、かなりの人数が参加になったのだろう。(当初より枠を増やしていたはずである)
それでも人間椅子のロゴを丁寧に書いている和嶋氏の律儀な人柄が窺えた。そしてやはり和嶋慎治の名前だけでなく、人間椅子を代表して来ているということでもあるのだろう。
だからこそ和嶋慎治だけの書籍ではなく、人間椅子としての書籍でもある、というメッセージのようにも筆者は受け取った。
そしてサイン会の待ち時間に、書籍の中の解説部分を読み終えることができた。解説文つきで、歌詞を並べて読んでみると、人間椅子の歴史を俯瞰出来てとても面白い。
さらには、夜に寝る前のお供にとても良さそうな本である。人間椅子の世界観、そして和嶋氏の歌詞の世界観を夢と現の間の時間に楽しめるのは嬉しい。
どうしても寝る前に楽曲を聴いてしまうと、なかなかこれから寝ようと言う気持ちになれないが(テンションが上がってしまう)、音のない歌詞であれば寝る前にも楽しめる。
楽曲を聴くのとは違ったシチュエーション、時間帯に人間椅子の世界観を楽しめそうなコンテンツでとても良いと思った。
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