茅ヶ崎のヘッドランドビーチで開催された無料の野外音楽イベント、「PEACEFUL EASY FEELING」に参加してきた。
客席の後ろからは波の音が聞こえる中、音楽を楽しめると言う素晴らしいイベントである。11時~17時頃まで多数のミュージシャンが参加していたが、筆者のお目当ては南佳孝氏である。
今回は当日の写真を交えつつ、南佳孝氏のライブの模様を中心にミニレポートを書いた。野外での無料イベントならではと思われたことも、最後に少し書き添えている。
ミニレポート:PEACEFUL EASY FEELING Free Concert at Chigasaki Beach
PEACEFUL EASY FEELING Free Concert at Chigasaki Beach開催決定!
— PEACEFUL EASY FEELING on the beach live (@PEF_otbl) March 20, 2024
◾️出演アーティスト
南佳孝
ブレッド&バター
KENNY
Morgan Paul & Mansel
AKISUN-MADE
YUZU
我那覇美奈
KURAI FAMILY BAND
GT 鳥山雄司ㅤㅤ
開催日程 : 2024年5月5(日) 11時〜
開催場所 : 茅ヶ崎市東海岸ヘッドランドビーチ pic.twitter.com/bKE9CSquNa
茅ヶ崎東海岸ヘッドランドビーチで行われた野外の無料音楽イベント、PEACEFUL EASY FEELING Free Concert at Chigasaki Beachに行ってきた。
2002年から始まったという歴史のあるイベントだそうだ。2023年も10月に開催予定だったが、台風のため中止・延期となっていた。
この度、ゴールデンウィークの日曜日にめでたく開催することとなったようだ。筆者のお目当ては南佳孝氏であるが、ブレッド&バターも出演するし、豪華な面々である。
事前にXやInstagramを確認していたが、タームテーブルは告知されなかった。以前のタイムテーブルを見るに、南氏は最後の方だろうと思い、12時頃に会場に着くように移動した。
当日はこれ以上ないほどの爽やかな快晴、気温も上昇して初夏の陽気だった。初めて降り立った茅ヶ崎、会場までは徒歩で20分ほどということで歩いて移動した。
海岸近くに陸橋があったが、そこから見える富士山が既に絶景だった。とにかく青空が広い。
会場となっているヘッドランドビーチは、とにかく絶景である。よく晴れて、風も強めだったため、マリンスポーツを楽しむ人たちもかなり多かった。
会場のメインテントには、タイムテーブルが貼られていた。
到着してすぐ、我那覇美奈氏のステージから少しだけ鑑賞することにした。爽やかな青空の下での生演奏はミュージシャンも楽しそうな様子である。
当日は日差しは強いものの、まだ夏のような蒸し暑さではなく、風が爽やかな体感だった。ただ午後には次第に風が強まり、強風注意の表示も出ていたほどだった。
我那覇氏のステージの後は、お酒を飲んだり、砂浜を散歩したりして、しばし自由な時間を過ごすこととした。
無料イベントなので、当然出入り自由。自然の中に身を置きながら、時折聞こえてくる音楽に耳を傾け、ゆったりとした時間が流れていった。
15時過ぎのブレッド&バタートリビュートから、ステージ前に腰を据えて聴くことにした。
ブレッド&バターの岩沢幸矢氏の娘さんであるAisa氏がボーカルに参加し、「トリビュートですが、ブレッド&バター、生きています」と笑いを誘った。
トリビュートには幸矢氏も加わり、そのまま本家のライブもスタート。
「Summer Blue」や「ピンクシャドウ」などを披露して会場を大いに盛り上げた。
なおブレッド&バターも南佳孝氏も弾き語りでライブをやる人たちで、どういう編成なのかと思っていたら、思いの外しっかりしたバンド編成だった。
キーボード・サックスに住友紀人氏も参加しており、なかなか豪華なメンバーであった。ブレッド&バターと南氏は同じメンバーでライブがスタート。
南佳孝氏は「これで準備OK」からラフに演奏が始まった。続く渋めの「Desert Storm」(1992年『NEW STANDARD』収録)など、ロック寄りの楽曲が序盤に配置された。
ある意味2曲で音出し・声出しの準備も整ったところで、南氏の真骨頂であるラテンテイストの楽曲が続けて演奏される。
まずは「日付変更線」、スタジオ音源よりもゆったりとしたテンポで演奏される。
どうもブレッド&バターの時から、地元民なのか勘違いしている人たちが酔っ払って最前列で踊っているのが大いに邪魔であったのは無料イベントの良くないところだ。
しかし南氏も音楽を聞かせる雰囲気に持って行きたい感じで、全く動じない。名盤『SOUTH OF THE BORDER』から「夜間飛行」へと黙々と演奏を続けていた。
「他の人に提供してもらった曲はほとんどないが、その数少ない曲」と「ソバカスのある少女」を披露。
やはりここでも酔っ払いたちは前の席の人たちを踊りに誘うが、流石に最前列の観客も「あっちへ行け」のジェスチャーを示し、スタッフの方が酔っ払いを捌けさせた場面もあった。
傾きかけた日差しと夕方へと向かう時間帯、会場のムードとしても、じっくりと南氏の音楽を聴きたいという思いが強まった結果だったようにも思えた。
そして南氏の黙々とライブ演奏を続ける、動じない姿勢の気迫勝ち(勝ち負けではないが)だったようにも見えた。
ギターの弾き語りから「プールサイド」は、この日のハイライトと言っても良いほど。お馴染みの曲ではあるが、筆者としては是非このシチュエーションで聴きたいと思っていた曲だけに、感無量だった。
「月夜の晩には」など、やはり初期の楽曲が多めのセットリストだった印象、そして夏や海を連想させる楽曲が中心を占めていた。
ラストは「好きに踊ってください」と「モンローウォーク」。南氏のこの一言に会場は一気に盛り上がり、立って踊りながら楽しむ人たちの光景が広がった。
なおゲストとして鳥山雄司氏がギターで何曲か参加していたが、一音で聴かせる気迫のプレイは流石の一言だった。
南氏曰く「この曲しかない」と語って、最後は「スローなブギにしてくれ」。名曲はもっとたくさんあるのだが、世間的な認知度ではやはりこの曲なのだろう。
「最後の曲」と言ったものの、もう1曲用意されているようで、これまでの出演者がステージに勢揃いした。
最後は全員で「上を向いて歩こう」を南氏が先導しながら、女性キーパート、全員で歌えるパートの順に演奏されてライブが終了した。
南氏オリジナル曲で9曲、最後に全員で1曲という、かなり豪華な内容だった。選曲としては、70年代のいわゆる初期の楽曲で占められていたと言える。
具体的には”第2のデビュー盤”と言える1976年の『忘れられた夏』から1979年の『SPEAK LOW』である。
『SEVENTH AVENUE SOUTH』など80年代の都会的な楽曲より、夏・海などをテーマにした初期が選ばれることは予想されたことであり、期待通りのベストな選曲だったように思えた。
<セットリスト(南佳孝)>
No. | タイトル | 収録アルバム |
---|---|---|
1 | これで準備OK | 『忘れられた夏』(1976) |
2 | Desert Storm | 『NEW STANDARD』(1992) |
3 | 日付変更線 | 『SOUTH OF THE BORDER』(1978) |
4 | 夜間飛行 | 『SOUTH OF THE BORDER』(1978) |
5 | ソバカスのある少女 | 『30th STREET SOUTH』(2003) |
6 | プールサイド | 『SOUTH OF THE BORDER』(1978) |
7 | 月夜の晩には | 『忘れられた夏』(1976) |
8 | モンローウォーク | 『SPEAK LOW』(1979) |
9 | スローなブギにしてくれ (I want you) | 『SILKSCREEN』(1981) |
10 | 上を向いて歩こう(※出演者全員) | – |
全体の感想 – 野外・無料イベントについて思うこと
今回は茅ヶ崎のビーチと言う野外での、無料の音楽イベントであり、なかなか筆者は普段経験しないライブに参加したという感じである。
いくつか感じたことを書き留めておきたい。
まずはマイナス面から、やはり無料と言うことは、どうしても変な人たちが紛れ込んでしまう恐れはやむを得ないことである。
レポートの中でも少し触れた通りであるが、「お金を払う」と言うことは、ある意味で見に来る客層の選別である。それをしない無料イベントは、どんな人間が入って来てもOKということだ。
残念ながらお互いに配慮しつつ、それぞれの楽しみ方で音楽を楽しむ、という趣旨をご理解いただけない層も紛れ込む訳だが、やはりこの問題を上手く捌くのは運営側であろうと思う。
客同士が言い合いをしてしまえば、それはただの喧嘩になってしまう。今回も運営側から配慮があったところではあるが、今後もご留意いただきたいところであった。
一方で無料イベントの良さとして、ミュージシャン側もかなりラフな印象だったことだ。スタジオセッションに居合わせるような感覚は、しっかりお金を払うライブでは味わえないものである。
終わるタイミングを見失っているなど、我々のような素人のバンド練習でもよくある光景であるが、無料ライブであればこそ、微笑ましく見える光景であろう。
また野外イベントと言うことで、かなりの強風だった。紙の譜面を見ている人が多かったが、風でめくれてしまうなどのハプニングも、野外イベントならではであろう。
自然の中で起きる様々なハプニングも含め、おおらかな気持ちの中で音楽を楽しめたことは、とても良かったと思う。
※【南佳孝】”作詞:松本隆、作曲:南佳孝”の全楽曲の一覧表+収録作品別の楽曲紹介
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