【ライブレポート】2022年11月4日 奥村愛子 オーダーメイドステージ 『あなたまかせ』

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2003年に『いっさいがっさい』をリリースしてから、20年近いキャリアを持つシンガーソングライター奥村愛子

彼女の音楽活動の中心は楽曲制作であり、ライブ活動はとても緩やかなものである。だからこそ、ワンマンライブ自体がとても貴重である。

そして今回のライブは、全てリクエストから選曲されるというレアな企画であった。これはファンとしては行くしかないだろう。

11月4日(金)、下北沢シャングリラにて行われた、「オーダーメイドステージ『あなたまかせ』」の模様をレポートする。

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ライブレポート「オーダーメイドステージ『あなたまかせ』」

今回のライブは全曲リスエストということで、筆者もリクエストを送った。選んだ楽曲について、最初に書いた。

後半は、会場に赴いた筆者による、ライブレポートである。

本公演について・リクエスト曲

「オーダーメイドステージ『あなたまかせ』」は、2022年奥村愛子氏初めてのバンド編成でのライブである。そして全曲ファンによるリクエストによる企画ライブであった。

事前に3曲リクエストを送ることができ、その中からセットリストが組まれることになる。

こうした形式は初めてではなく、2019年の15th Anniversary Tour 2019『ATTACK』でも同様に3曲投票してリクエストライブが行われた。

その時は、地域ごとにトップ10を発表するものであり、筆者が参加した東京・青山RizM公演のトップ10は以下の通りであった。

さて、今回のライブで筆者が投票した3曲を書いておきたい。

せっかく選ぶのであれば、あまりライブでは聴いたことがない曲で、かつ特に好きな楽曲を選ぼうと決めていた。そして筆者が聴き始めた、1st~2ndアルバム頃に絞って選んだ

とは言え、1曲ぐらいは票が集まりそうな曲も入れようと言うことにして、以下の3曲と理由である。

  1. フリージア(1stアルバム『万華鏡』収録):パワフルな歌唱の多い1stにあって、王道歌謡曲でメロディがとにかく良い曲。奥村氏の作曲ではないが、アルバムの中で特に好きな1曲だ。
  2. 銀色の雨(2ndアルバム『虹色ナミダ』収録):2ndは奥村氏が作曲していない曲も多いが、1番メロディが好きな曲。抑えたボーカルと大人っぽいアレンジが良い。
  3. ベランダの向こう側(2ndアルバム『虹色ナミダ』収録):奥村カラーは薄めの2ndだが、中で圧倒的な輝きを放つ奥村節の名曲。これは票が集まると予想して投票した。

と言うことで、「フリージア」「銀色の雨」はただ好みで、「ベランダの向こう側」だけ選曲されることを狙って投票した。

ライブ直前の奥村氏のツイートでは、かなり票がばらけたとのこと。前回2019年のランキングとどのように変わったのか、についても見どころであった。

ライブ本編

ライブ会場は、下北沢シャングリラであり、かつて下北沢GARDENのあった場所である。小雨が降る下北沢駅から、19時頃に急ぎ足で会場に入った。

会場は椅子があり、着席スタイル。そして天井には可愛らしく、少し怪しげな明かりが…!

そして座席に座って、横を見ると昨年の『カウシロップアワー2021』でダンスをされていた方が来られているのを見かけた。

ライブはスクリーンに映し出された映像からスタート。ライブの告知画像に描かれていたおばけたちが動き出す可愛らしい映像だった。

1曲目は「NUTS IN THE PARTY」でスタート。投票はしなかったものの、筆者の奥村愛子好きな曲プレイリストの1曲目にするくらい好きな曲である。

バンドメンバーは、お馴染みの土屋佳代(Keyboards, Chorus)笠間洋平(Guitar)田名網大介(Bass)渡邊勇人(Sax, Flute)に加え、soki-木村創生(Drums)須賀裕之(Trombone)河原真彩(Trumpet)が新たに加わった。

ホーンが3人であり、かなり豪華なサウンドに仕上がっている。そしてバンドで息の合った、しっかり生の演奏が良かった。

近年の人気曲「仮面白書」、そして1stアルバムから「捨てられ上手」は割とレアな選曲ではないだろうか。

MCの中では、かなり久しぶりな曲、あるいはライブでやったことがないかもしれない曲を披露するとのこと。またランキング順ではないことが説明されていた。

続く「キスしてさよなら」はかなり意外な選曲。2ndシングル『冬の光』のカップリングで、奥村氏による作曲ではない楽曲が選ばれるのも珍しい。

ずっとストライプ」はさらっとした歌い方が魅力的な佳曲。ランクインに納得であり、ファンの方は実に良い所を突いてくるなと思ったくらいである。

サイダー」は2019年のリクエストにて、全く予想していない1位で、奥村愛子氏自身が驚いたとのこと。そこでファンに人気があると発覚し、ライブの定番曲になった経過がある。

二時の秘密」は根強い人気曲。『ラヴマッチ』の曲には熱烈なファンがいるとどこかで聞いたことがあるような…。

そして2曲続きでしっとりとした流れで「今夜わたしは泣いてしまう」~「ベランダの向こう側」。この日のハイライトとも言える、素晴らしい歌唱・演奏だった。

もし純粋に好きな曲で選んでいたら、真っ先に選んでいたであろう「今夜わたしは泣いてしまう」。もっと評価されてほしいと切に願っている大名曲である。

この日はアコースティックギターに合わせての歌唱から入り、とても良いアレンジだった。

そして「ベランダの向こう側」は自分も投票した1曲。この曲をあまりライブで聴いた記憶がなかったこともあり、やはり投票して良かったと思える名演だった。

続くMCでは、ランキング1位・2位は並べて演奏する、と宣言された。が、どちらが1位なのかは発表されないままであった。

演奏されたのは「街角マルガリータ」「今夜あなたは抱いてしまう」。いずれも『ラヴマッチ』収録の楽曲であり、やはり本作の曲は人気のようだ。

田名網氏の歪んだベースから始まる「わたしはずるい」。いつも迫力の演奏だが、この日はいつも以上に力強く、バンドのアンサンブルが素晴らしかった。

青の運命」は未収録ながらまさかのランクイン。前回の1年前のライブで披露されたきりであるが、何とリクエストでは5位だったようである。

手拍子をやって欲しいものの、簡単ではないリズムで、何か語呂合わせはないかと考え続けた奥村氏。ついに浮かんだのが「ホーンセクション頑張って」であり、これにはメンバーも関心の様子だった。

そして見事に手拍子は成功していたように思う。

ライブもいよいよ終盤、「まやかし横丁」「いっさいがっさい」は新旧の代表曲と言う流れであった。改めて音楽性が全くブレていない奥村氏、さすがであると感じた。

「いっさいがっさい」は、後半のブレイクで最近は何かしたがる奥村氏。今回はまさかのマジック披露であり、なぜかキーボードの土屋氏に対して子どもに語り掛けるような口調であった(笑)

全体的に今回はいつもより弾けている奥村氏。バンドメンバーとの相性が今まで以上に良かったのか、和気あいあいとして楽しげだったのが伝わってきた。

アンコールでは、グッズの紹介からメンバーを1人ずつ呼び込んでトークを行った。「いっさいがっさい」のカウントをサックス渡邊氏が行っていた話が出たが、筆者は目ざとく気づいていた。

が、確かにこれでカウントが合うのか?と心配になるくらい、声は通っていなかったのだった。

そして新曲「あなたまかせ」のリリース告知から、リクエストにはないが披露することに。サビの振り付けを練習するも、土屋氏に「難しくない?」と突っ込まれると「適当でOK」と奥村氏。

しかし結局皆さん完璧にできていたように見え、リズム感の良い方々が集まっているのだろうな、と感じた。

いったん配信を終了し、最後は会場限定のコーナーへと突入。

もう1つマジックがやりたいという奥村氏は「青の運命」のイントロの演奏を急きょメンバーに要求。それをBGMにマジックを披露するというまたしても不思議な展開だった(笑)

やり終えた奥村氏は、「これからはやめようかな」とやや反省の様子だった。

そして会場限定でもう1曲を披露。これまた懐かしい「いろのない日記帳」である。やはり1st『万華鏡』の曲は、筆者は聴き始めたきっかけのアルバムなので、どれもすぐに口ずさめる。

こうして全17曲のリクエスト形式のライブが終了した。

最後は写真撮影が行われ、ここは撮影OKとなった。バンドメンバーも全員前に出て、まずは1列になって撮影。

そして何かポーズをとって撮影と言ったところ、奥村氏1人だけがポーズを取り始めてしまい、メンバーにも何かポーズを要求。

そうしたら、なぜか仁義を切る時のポーズがとられ、スタッフさんの「OKでーす」に「OKじゃないだろう」と突っ込む奥村氏であった(笑)

いつも以上に、愉快で笑いが起きるライブだったように思う。

なお終演後には本公演のセットリストとランキング順位が記載された、パンフレットが無料配布された。それをもとに、収録作品をつけてセットリストを表にした

No.曲名順位収録作品
1.NUTS IN THE PARTY10位6thアルバム『ランタンレッド』(2015)
2.仮面白書同率11位7thアルバム『ストライプ』(2018)
3.捨てられ上手7位1stアルバム『万華鏡』(2005)
4.キスしてさよなら8位2ndシングル『冬の光』(2005)
5.ずっとストライプ6位7thアルバム『ストライプ』(2018)
6.サイダー同率11位6thアルバム『ランタンレッド』(2015)
7.二時の秘密9位3rdアルバム『ラヴマッチ』(2007)
8.今夜わたしは泣いてしまう同率11位5thアルバム『ショッキングブルー』(2013)
9.ベランダの向こう側同率3位2ndアルバム『虹色ナミダ』(2006)
10.街角マルガリータ1位3rdアルバム『ラヴマッチ』(2007)
11.今夜あなたは抱いてしまう2位3rdアルバム『ラヴマッチ』(2007)
12.わたしはずるい同率3位1stアルバム『万華鏡』(2005)
13.青の運命5位未収録
14.まやかし横丁16位7thアルバム『ストライプ』(2018)
15.いっさいがっさい同率14位1stアルバム『万華鏡』(2005)
en.1.あなたまかせ新曲配信シングル『あなたまかせ』(2022)
en.2.いろのない日記帳(会場限定)同率14位1stアルバム『万華鏡』(2005)
セットリスト

さらに以下は、演奏された楽曲をランキング順に並べ替えた表である。

順位曲名収録作品
1位街角マルガリータ3rdアルバム『ラヴマッチ』(2007)
2位今夜あなたは抱いてしまう3rdアルバム『ラヴマッチ』(2007)
3位わたしはずるい1stアルバム『万華鏡』(2005)
3位ベランダの向こう側2ndアルバム『虹色ナミダ』(2006)
5位青の運命未収録
6位ずっとストライプ7thアルバム『ストライプ』(2018)
7位捨てられ上手1stアルバム『万華鏡』(2005)
8位キスしてさよなら2ndシングル『冬の光』(2005)
9位二時の秘密3rdアルバム『ラヴマッチ』(2007)
10位NUTS IN THE PARTY6thアルバム『ランタンレッド』(2015)
11位今夜わたしは泣いてしまう5thアルバム『ショッキングブルー』(2013)
11位サイダー6thアルバム『ランタンレッド』(2015)
11位仮面白書7thアルバム『ストライプ』(2018)
14位いっさいがっさい1stアルバム『万華鏡』(2005)
14位いろのない日記帳(会場限定)1stアルバム『万華鏡』(2005)
16位まやかし横丁7thアルバム『ストライプ』(2018)
あなたまかせ配信シングル『あなたまかせ』(2022)
ランキング順位
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全体の感想

今回は全曲リクエストによるライブと言うことで、やはりセットリストに注目していた。

もっとマニアックな選曲が多いのかと思っていたが、ふたを開けてみると、奥村愛子ベスト選曲と言っても良いのではないか、という内容だった。

新旧の楽曲が満遍なく選ばれており、アルバムとして選曲されなかったのは4thアルバム『鍵』(2012)だけであった。

選曲の多かったアルバムは、1st『万華鏡』と3rd『ラヴマッチ』であった。特に収録曲数から言っても、『ラヴマッチ』はかなり強い、という印象である。

『万華鏡』はメジャーデビュー後、初のアルバムであり、一方『ラヴマッチ』はインディーズで仕切り直しの第1弾アルバムだった。

いずれも奥村愛子らしさに溢れた力作であり、やはりファンの間でも人気作ということなのだろう。

リクエストについては、筆者はかなり個人的な思いで選曲してしまったが、選ばれた楽曲はどれも納得であり、素晴らしいセットリストだったと思う。

そして新旧の楽曲がバランス良く選ばれているのも含め、ファンに愛されているのだなと感じた。

さらに今回のライブ、いつも以上に奥村氏が楽しげだったのが印象的であった。

楽曲は結構シリアスだったり、男性からすると”怖い”歌詞だったりする。しかし奥村氏当人のキャラクターは陽気で、今回はライブでもそれが溢れ出ていたと思う。

そんな奥村氏のキャラクターも前面に出て、いつも以上に、ライブな雰囲気のライブ、という感想だった。やはりライブは楽しいな、と思わせてくれるライブだった。

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コメント

  1. A より:

    詳細レポありがとうございます。
    この記事で見たくなったのでライブ配信録画を見ました。
    見逃さなくてよかったです。

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