クレイジーケンバンドのおすすめ夏ソング24曲 – なぜCKBの夏ソングが魅力的なのか?

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1997年に結成され、活動25年を迎えたバンド、クレイジーケンバンド。ボーカル横山剣が作るジャンルを行き交う独特な楽曲が魅力である。

クレイジーケンバンドで思い浮かべる季節は何か。間違いなくそれは「」である。

もしかすると「タイガー&ドラゴン」のイメージが強い人は意外に思うかもしれない。実はクレイジーケンバンドは夏を題材にした楽曲をたくさん作っているのだ。

今回の記事では、クレイジーケンバンドのおすすめ夏ソングを筆者が選んで紹介したい。

クレイジーケンバンドと夏の関係性、なぜクレイジーケンバンドの夏ソングが魅力的なのか、についても考察している。

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クレイジーケンバンドと夏

クレイジーケンバンドは、1997年に横浜で結成されたバンドである。1998年の1stアルバム『Punch! Punch! Punch!』でデビューして以来、コンスタントに作品をリリースしている。

クレイジーケンバンドと言うと、2002年のシングル「タイガー&ドラゴン」を思い出す人も多いかもしれない。

この楽曲を元に作られた2005年のドラマ「タイガー&ドラゴン」で世に知られ渡ることとなった。

2000年代前半頃までは、バンドは昭和歌謡のエッセンスを散りばめた作風になっていた。そのため、当時はあまりクレイジーケンバンド=夏、というイメージはなかったように思う。

ただ、実は2002年のシングル『GT』ではその方向性は既に示されており、昭和歌謡だけには収まらないバンドでありたい姿勢は見え隠れしていた。

一方で世間からのイメージは、”ちょい悪オヤジの昭和歌謡バンド”であったため、そのイメージだけで評価されたくない発言を、横山氏は時折していた。

2003年の5th『777』以降、意図的に昭和歌謡カラーを薄くするような作品が増えた。ジャンルとしては、ソウルやジャズ、ヒップホップなどを感じさせるものが増えていった。

海外のソウルやヒップホップなどとともに、日本のシティポップなどの影響もあり、クレイジーケンバンドの夏サウンドが作られていったのではないか、と勝手に思っている。

さて、クレイジーケンバンドのアルバム発売時期を見てみると、ほとんどの作品が6月~9月頃にリリースとなっている。実はほとんどの作品が夏を意識したものであった。

また8月にリリースされた作品は、全20枚のアルバム中9枚もあった。(2022年時点)

音楽的な背景が云々…という以前に、きっと横山氏は夏が好き、というのがクレイジーケンバンドと夏の関係が深い理由だろうと思う。

2012年にホテルニューオータニ幕張で開催されたイベントの映像が公開されている。確かに夏の風景とクレイジーケンバンドの楽曲はよく似合う。

とにかくクレイジーケンバンドには”夏ソング”が多い、ということで、今回の記事を書くに至った訳であった。

なおクレイジーケンバンドの来歴やおすすめアルバムについては、以下の記事もお読みいただきたい。

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クレイジーケンバンドのおすすめ夏ソング24曲

クレイジーケンバンドの作品は、夏にリリースされたものが多いことを述べた。そのため、夏をテーマにした楽曲もとても多くなっている。

今回は、中でも夏の時期に聴きたくなるクレイジーケンバンドの楽曲を集めてみた。夏をテーマにした曲だけならたくさんあり、その中から厳選して強力な楽曲を集めている。

特に、横山氏の考える”夏感”とでもいうべき、夏に感じるドキドキ感や切なさを感じる楽曲を選んだ。

各曲紹介では、その曲に感じる夏のポイントや、選んだ理由などをまとめている。

※Spotifyにプレイリストを作成した(配信のない「太陽のプレイメイト」を除く)。

Almond

  • 作詞:CK、作曲:CK & Park
  • 収録アルバム:20th『樹影』(2022)

2022年時点でのクレイジーケンバンドの最新作『樹影』。その1曲目を飾るこの曲を、今回の1曲目に配置した。

テーマとして夏を題材にしたものではなく、時差のある遠距離恋愛を歌ったもののようだ。

ただ、まさに”PACIFIC”が目の前に広がるような夏サウンド。2022年の夏がここから始まるような電波をキャッチして、思わず選曲した。

作曲にはサウンドプロデュースを行っているPark氏が入っている。ローファイヒップホップを感じさせるトラックが最高に心地好い。

夏っ子

  • 作詞・作曲:横山剣/菅原愛子
  • 収録アルバム:13th『ITALIAN GARDEN』(2012)

2曲目に配置した楽曲は、タイトルからして夏ソングを思わせる。しかし実は夏がもうすぐやってくる、という初夏の時期がテーマの楽曲である。

ゆったりしたビートに乗せて、「甘くやるせない季節」と夏を表現する。個人的には「それどころじゃないんだけどなんだか」という一節がとても気に入っている。

日々いろんなことがあってドタバタしていても、夏になれば「甘くやるせない季節」なのである。夏はある意味で、いやおうなしにそんな気分にさせてくれるのだ。

アウトロでは菅原愛子氏のボーカルとともに波の音が聞こえてくる。さあ夏が来るぞ、という気分にさせてくれる。

タオル

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:9th『SOUL電波』(2007)

クレイジーケンバンドの夏ソングを代表する楽曲であり、クレイジーケンバンドに夏のイメージを定着させた曲と言っても過言ではない。

甘くメロウな楽曲に、夏のプールの物語を描いた歌詞が最高に夏である。

ただ横山氏がここで描きたかったのは”夏の物語”と言う感じではないらしい。キーワードは「柔軟剤の香り」と「飛び込み禁止のホイッスル」のようである。

前者は嗅覚、後者は聴覚と、横山氏が実は感じ取っているのはストーリーではなく感覚である。夏に経験するこうした感覚こそ、クレイジーケンバンドの夏ソングの重要な要素なのだ。

True Colors

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:6th『Brown Metallic』(2004)

夕暮れ時を思わせるサックスの音色から始まるこの曲。夏を題材にした楽曲ではないが、夏の終わりの夕涼みの時期に聴きたいような曲である。

テーマとして描かれているのは、クレイジーケンバンドのバンドメンバー自身のことのようだ。昼間に働いて、夜にはいつもライブをしていた長者町のFRIDAYに向かおう、というのが1番の歌詞である。

自宅録音シリーズにも収録されていた楽曲であり、もともとは異なるAメロが当てられ、サビだけ採用された。ラップが挿入され、より陽気な雰囲気が追加された。

ただやはりサビから漂う哀愁に、夏の終わりの物寂しさが重なってくるようである。

37℃

  • 作詞・作曲:横山剣・菅原愛子
  • 収録アルバム:7th『Soul Punch』(2005)

かなり夏を意識して作られた『Soul Punch』の中でも、クセになる夏ソングである。横山剣・菅原愛子によるデュエット曲でもある。

かなりソウル色強め、ヒップホップの要素も感じさせるこの楽曲。「37℃」は体温なのか気温なのか、いずれにしてもやや気怠い雰囲気が漂っている。

弾けるような夏ソングもあれば、うだるような暑さを表現したような曲となっている。

「Every Sunday Monday…」という英語で一週間を歌詞にするのが定番化しているが、その初期の楽曲ではなかったか。

昼下がり

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:2nd『Goldfish Bowl』(1999)

「うだるような暑さ」シリーズと言えば、この曲も外せないだろう。クレイジーケンバンド初期の夏ソングは、全く爽やかではないダークな雰囲気漂う1曲。

夏の暑さをヘビーなビートで表現した楽曲である。そして歌詞の世界観はかなり不思議なもので、中華街にいる男女学生を横目に、中華街で飲茶をしている主人公が登場する。

しかしこの曲も「タオル」のようにキーワードが存在し、それは「元町プールの水より冷たい汗」である。もともとのタイトルがこのキーワードだったと言う。

真夏の暑さの中、逆に冷や汗に固まった脳みそと、人間の方は冷え切っている。そんな緊張感が走る中、急に登場する炎の料理人周富徳にほっこりしてしまう。

せつ子

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:17th『GOING TO A GO-GO』(2018)

「夏」そして「女」の組み合わせもまたクレイジーケンバンドの定番である。女性の名前を冠した楽曲はまるで昭和歌謡のようである。

曲調も昭和歌謡を思わせるもので、2018年の楽曲だがやや初期のクレイジーケンバンドを思わせる。

「せつ子」!の掛け声はまるで英語のように聞こえる異国感。そして昔の名前はナオミ、さりげなく「ナオミの夢」と1970年のヒット曲が登場する。

遊び心満載の歌詞もまたクレイジーケンバンドらしいと言えよう。

ガールフレンド

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:11th『ガール!ガール!ガール!』(2009)

夜の街の雰囲気漂う「せつ子」に続くのは、クレイジーケンバンドの純愛ソング「ガールフレンド」である。

純愛、とは書いたものの、“一夏の恋”とも言えるような、一時の関係を描いたものなのかもしれない。ただその思いの募り方が純愛だな、と思わせる曲だ。

極上のメロディと、ソウルフルな横山氏のボーカルが印象的な楽曲でもある。この曲もクレイジーケンバンドの夏ソングの代表と言っても良いだろう。

なおキーボードによるイントロありバージョンと、ドラムから始まるバージョンが存在し、どちらもそれぞれに良い。

せぷてんばぁ

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:シングル『せぷてんばぁ』(2001)

「ガールフレンド」が失恋ソングでもあったので、クレイジーケンバンドの夏の失恋ソングと言えば、この曲も外せないだろう。

タイトルが表す通り、9月と言う夏の終わりの楽曲である。「夏はもう後ろ姿」の一節だけで何とも言えない寂しさがやってくるのも、夏だからこそ。

横山氏には珍しく「ですます調」で書かれた歌詞は、日記を綴ったような文体。「鎌倉の海」と言うフレーズと共に、どこか静かな雰囲気が漂う。

元々は神崎まき氏に楽曲提供したもので、オリジナルの歌詞をつけてセルフカバーしたものである。

7時77分

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:5th『777』(2003)

続いては、真夏の暑さで夢か現実か分からなくなるような不思議な感覚の曲。5th『777』の冒頭を飾るこの曲は、アルバムへの導入曲の位置づけにもなっている。

テレビの高校野球を見て「確かに人々はみな動いてる」と、暑さの中で自分以外が止まっているような感覚を歌っている。暑さだけがリアルな感覚であり、まるで白昼夢のような状態である。

そして横山氏は数字が並ぶと、手を合わせて感謝するとも言う。しかも7が並ぶ「7時77分」という現実にない時間が、さらに不思議な世界へと誘う。

最後には「さあ 気分をかえてお聴き下さい」と、今聴いているこのアルバムへと戻ってくる。楽曲の中で時空を飛び越えるSF的な夏ソングである。

Loco Loco Sunset Cruise

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:7th『Soul Punch』(2005)

「7時77分」に続き、もう1曲夏の不思議な体験を歌った楽曲である。楽曲としては、ゆったりとメロウな曲調であり、クレイジーケンバンドらしい夏ソングとなっている。

ただ面白いのは、歌の最後まで聴くと、「スタヂオだ やっぱり夢だな」と、実は全て夢であったというオチである。夢の中で見た、サンセットクルージングの光景を歌ったものだった。

そして夢の中で鳴っていたメロディであることも歌詞になっている。おそらく横山氏の実体験が反映された歌詞なのだろう。

クレイジーケンバンドの歌詞には、こうした横山氏の不思議な体験が描かれたものがあることも特徴の1つである。

南国列車

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:18th『PACIFIC』(2019)

”港町”をテーマにしたアルバム『PACIFIC』の、実質的なラストに配置された楽曲。この曲もまたクレイジーケンバンドにしか出せない魅力の詰まった楽曲である。

タイトルからしてラテン風の楽曲なのか、と思いきや、メロディは昭和歌謡そのものである。70年代を思わせるメロディとコーラス、歌詞もどこか昔の日本を思わせるものだ。

”南国”とはいったいどこを指すのか、そんな想像が膨らむ曲である。そして1度聞くとメロディが頭に渦を巻くようなタイプの楽曲であると思う。

昭和の日本の夏、といった雰囲気が漂ってくるように、筆者は思うのだった。

夏の谺 

  • 作詞・作曲:小野瀬雅生
  • 収録アルバム:2nd『Goldfish Bowl』(1999)

クレイジーケンバンドのアルバムには1曲小野瀬雅生氏による楽曲が収録されるのが定例である。それに倣って、このプレイリストにも小野瀬氏の名曲を加えてみた。

タイトルは、「なつのこだま」と読むようである。歌詞の内容は、幼い頃の夏の思い出を歌っているようであり、どこか遠い時間旅行をしたような楽曲となっている。

特定の経験やモチーフを描きたい横山氏に対して、小野瀬氏はどちらかと言えばロマンチックな夏の思い出を表現しているかに思える。

なお2003年にリリースされた小野瀬雅生ショウのアルバム『LITTLE HIGH BIG NOW』に再録され、よりブラッシュアップされたバージョンを聴くことができる。

ABCからZまで

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:シングル『まっぴらロック』(2002)

先ほどの「夏の谺」でプレイリストも折り返し、ここからB面と言うイメージで聴いていただきたい。再び夏の甘酸っぱい気持ちを思わせる楽曲を選んでみた。

演歌調の「まっぴらロック」のカップリングとして収録されたこの曲は、クレイジーケンバンドの楽曲の幅広さを示すこととなった。

内容としては、ちょっぴり(実はかなり)エッチな夏の経験を描いたような歌詞だ。この曲は、クレイジーケンバンドの夏向けのシティポップ調の楽曲の原型となったように思える。

☆☆☆☆☆

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:6th『Brown Metallic』(2004)

読み方不明の曲だが、歌詞に出てくる「ファイブスター」が正しいのかもしれない。”最高級の”を意味する言葉である。

この曲は、まさに横浜ローカルな夏ソングとなっている。しかも東京に住む人に向けて、横浜の良さを伝えているような気がしている。

歌詞には渋谷からの東急東横線・みなとみらい線の駅名が登場し、みなとみらいの花火が登場する。横浜に住んでみると東京はすぐ近くだが、意外と東京の人からは横浜は遠いらしい。

もっと横浜に気楽に来てほしい、という思いを込めているように感じた。筆者も横浜市民になってみて、この曲の聞こえ方が全く変わった。

秋になっちゃった

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:8th『GALAXY』(2006)

タイトルには”秋”とあるが、実は秋をテーマにしながらも夏の楽曲である。それは秋が近づいてきたからこそ感じる夏の良さについて歌ったものと言えるだろう。

秋が近づくことで変化する天気や自然の変化に、どこか物寂しくなってしまう気持ちが、歌詞に描かれている。

特定のモチーフから広げることの多い横山氏だが、この曲はどうやら一筆書きで書いたような実感がこもっている。

この曲を聴くと、本当に横山氏が夏好きであることが分かるし、日本人ならではの夏から秋の情緒を感じさせる歌詞になっていると感じる。

GT

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:4th『グランツーリズモ』(2002)

冒頭でも説明した通り、この「GT」からクレイジーケンバンド=夏、という図式が始まったと言っても良いのではないか、と思う。

真っ赤な車がシングル「GT」のジャケットに描かれている。ここでのGTとは、フォード「マスタングGT」を指し、マスタングGTの65年式を買ったことで生まれた曲だそうだ。

歌詞の世界観は、車と女の子、夏、海、というとっても分かりやすいもの。そして昭和歌謡を意識していた時代でもあったため、まさに昭和の夏や車といったイメージである。

またスモーキーテツニ氏による「GT!」の掛け声も耳に残る。マスタングGTを購入したウキウキ感が、楽曲からも伝わってくる。

Brand New Honda

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:5th『777』(2003)

車シリーズを続けて、今度は「Brand New Honda」を並べてみた。この曲ではホンダのバイクや車の種類がそのまま歌詞に登場している。

筆者はあいにく詳しくないため、バイクや車の話題にはこれ以上触れないが、それらを知らなくとも楽しい雰囲気が伝わってくる楽曲となっている。

軽快なビートに乗せて、夏にお出かけする時の何とも言えないウキウキ感がそのまま表れている。やはり車に関する楽曲で、横山氏のテンションがとても高いことが分かる。

きっと車に乗っている時に生まれた楽曲も非常に多いのではないだろうか。

ステーション・ワゴン

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:12th『MINT CONDITION』(2010)

車シリーズの最後に持ってきたのは、「ステーション・ワゴン」である。ステーション・ワゴンとは車体形状などで分類される自動車の種類の1つである。

この曲で描かれるのは、車の中での男女2組の光景である。どうやらちょっと訳アリの関係であることが窺える。

車の中、という閉鎖された空間では色々なドラマが起きる。そんなほろ苦い思い出も、また夏の風物詩と言って良いのかもしれない。

それが極上のメロディで歌われ、これまでの車シリーズの曲調とは一線を画している。

SUNSHINE888

  • 作詞・作曲:横山剣・菅原愛子
  • 収録アルバム:9th『SOUL電波』(2007)

あまりこれまで紹介してきた夏ソングにはない曲調のものも選んでみた。『SOUL電波』に収録された楽曲で、まさに電波のような不思議な感覚の曲だ。

もともと「Walking in the Sunshine」と言うタイトルで、自宅録音シリーズに収録されていた。そのタイトルは歌詞に活かされているが、それ以外の歌詞は今回新たに作られている。

この曲で歌っているのは、言葉ではない感覚や熱、電波のようなものが伝わることについてのようである。夏はそんな電波が飛び交う季節なのかもしれない。

Summer Freeze

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:7th『Soul Punch』(2005)

タイトルからしてユニークな楽曲。夏であるのに、フリーズ=凍り付く、固まるというワードが並んでいる。

曲調はラテン風のゆったりしたビート、しかし歌われている内容は悲しいものである。理由も分からず、いなくなってしまった彼女か奥さんか、そんな状況に凍り付いている、というものだ。

そこに「夏は曲者」という歌詞が意味深い。夏の暑さのせいか、思ってもみないことに、凍り付くという急転直下である。

歌詞を意識せずに聞くと、心地好い曲だけにかえって恐ろしさがある。

太陽のプレイメイト

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:3rd『ショック療法』(2000)

クレイジーケンバンド初期の楽曲の中で、ひときわテンションの高い夏の曲がこれである。「GT」の世界観にも通じる、夏と海と女といった内容である。

この曲はメロディの良さも光るが、何故か耳に残ってしまう歌詞がまた面白い。「夏は花盛り」とか「強迫観念ビーチ」といった言葉遣いが独特である。

そして何と言っても昭和のスターが登場する点が横山氏らしい。「尾崎紀世彦な凛々しいモミアゲ」について、リリース当時中学生だった筆者には何のことだか分からなかった。

木彫りの龍

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:6th『Brown Metallic』(2004)

プレイリストも終盤、ライブの後半に演奏される陽気なこの曲を配置した。軽快なビートに乗せ、思わず一緒に歌いたくなるような歌謡曲テイストのメロディがとても良い。

歌詞にも登場する「木彫りの龍」であるが、これは実際に横山氏が体験したことらしい。おみやげの木彫りの龍を置くようになってから、運気が一気に上昇したと言う。

横山氏は結構運気のことや、スピリチュアル的なことも意識をしているようである。

中間部で唐突に演歌調になるのも面白い。バンドの演奏もとても楽しい1曲になっている。

流星ドライヴ

  • 作詞・作曲:横山剣
  • 収録アルバム:7th『Soul Punch』(2005)

プレイリストも最後の曲になるが、こちらもライブでは後半に演奏される楽曲である。

自宅録音シリーズに収録されていた時のタイトルは「また会える日まで」であった。尾崎紀世彦氏の「また逢う日まで」のクレイジーケンバンドバージョンと言ったところだったか。

ここで描かれるのは”ふたり”がもうすぐお別れである、という場面である。ただし横山氏の目線で見れば、時間が無情に過ぎていくこと、の方が中心的テーマのように思える。

「時間と云うものは残酷なものですね」と歌った「まっぴらロック」に通じるもの。そして夏もあっという間に過ぎていくことを歌ったものである。

まとめ – なぜCKBの夏ソングが魅力的なのか?

今回はクレイジーケンバンドの楽曲の中で、”夏”を題材にした楽曲を厳選して紹介した。

最初にも述べた通り、クレイジーケンバンドのアルバムの多くが夏の時期にリリースされており、他にも夏をテーマにした楽曲は非常に多い。

今回紹介した楽曲以外にも、ぜひ夏ソングを発掘して聴いてみてほしい。

さて、クレイジーケンバンドの夏ソングには、何とも言えない魅力がある。他にも夏をテーマにした楽曲を作る人は数多くいる中で、横山氏の作る夏ソングには独特な視点がある。

それは夏をめぐる人間模様ではなく、何気ない風景や物から横山氏が感じ取ったことを膨らませて曲にしている点である。

それは例えば「タオル」で描かれた「飛び込み禁止のホイッスル」であり、運気が上がったという「木彫りの龍」である。

彼の作る歌詞の世界観は、あまり明確なストーリーがある訳ではない。緩やかなイメージの中に、横山氏が強烈に感じた風景や物からの電波を、曲にしているのである。

だから実はあれこれ説明するよりも、感じ取ってほしい、というのがクレイジーケンバンドの楽曲の楽しみ方である。

それは夏の曲に限らないことで、クレイジーケンバンドの楽曲の特徴と言って良いものだ。

そのために、実はタイトルよりも描きたいものが別に存在することもあるし、ストーリーと関係のない何気ないアイテムこそ本題だったりする。

そうしたテーマを探しながらクレイジーケンバンドの曲を聴くのも面白いかもしれない。

そしてクレイジーケンバンドの夏ソングも、横山氏が好きな様々なアイテムを描きつつ、心地好い電波を発しているからこそ、魅力的なのだと思う。

※Spotifyにプレイリストを作成した(配信のない「太陽のプレイメイト」を除く)。

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