Budgie(バッジー)のトニー・ボージ在籍後期における真のB級の魅力・作品紹介

スポンサーリンク
その他アーティスト
画像出典:VWMUSIC:An Interview with Steve Williams of Budgie

ハードロックバンド、BugieはB級の帝王などと呼ばれる。ただ70年代前半にはヘヴィなリフと独特の湿り気あるハードロックを展開し、黄金期はB級とは思えない魅力がある。

真にBudgieのB級の魅力を楽しめるのは、70年代後半以降のトニー・ボージ在籍後期の時代であると考えている。

音楽性にも微妙な変化が見られ、一般には評価が落ちる時代である。しかしここにBudgieのB級としての真骨頂があるように感じている。

今回はBudgieのトニー・ボージ在籍後期の時代に注目し、3作品の紹介とその魅力について書いた。

スポンサーリンク

Budgieのトニー・ボージ在籍後期の3作品紹介

まずは今回紹介したいBudgieの時代、そして作品についてである。

Budgieは1971年に1stアルバム『Budgie』をリリースし、その当時のメンバーはバーク・シェリー(ベース、ボーカル)、トニー・ボージ(ギター、ボーカル)、レイ・フィリップス(ドラムス)だった。

1974年の4th『In for the Kill!』ではドラマーがピート・ブートとなり、1975年の5th『Bandolier』からスティーヴ・ウィリアムズに交代となった。

そして1978年の7th『Impeckable』でギターのトニー・ボージがバンドを去っている。

いわゆるBudgieの黄金期と言われるのが、3rd『Never Turn Your Back On a Friend』や4th『In for the Kill!』の時代である。

そしてスティーヴ・ウィリアムズ加入後のBudgieは、ヘヴィなハードロックからやや音楽性も変化していく時代に入っていく。

そんな音楽性に変化が見られるのが、今回紹介する3作品である。

Budgieのメンバーリスト(英語)

List of Budgie band members - Wikipedia

5th『Bandolier』(1975)

ドラムスがスティーヴ・ウィリアムズに交代となって1作目のアルバムである。邦題は『反逆の群狼』であり、イギリスのチャートでは36位を獲得している。

前作『In for the Kill!』のハードな部分を受け継ぎつつも、新たな側面も感じさせるアルバムとなっている。

ハードな側面としては、やはり「Napoleon Bona-Part 1&2」の組曲形式の楽曲が、前作からの流れを思わせる。

1曲目に配置された「Breaking All the House Rules」もハードかつ展開の多いハードロックながら、どこかロックンロール調になっているところが、これまでのBudgieとは異なる。

また「Slipaway」「Who Do You Want for Your Love?」が新機軸で、ブラックミュージック的な跳ねるようなリズムを導入し、どこかオシャレな雰囲気さえ感じる楽曲になっている。

こうしたロックンロールやブラックミュージックのサウンド・リズムを導入するようになったのが、スティーヴ・ウィリアムズ加入後のBudgieの特徴の1つとなっている。

本作はハードな曲と抑えた楽曲のバランスが絶妙で、アルバム全体が生き生きとしており、前作以上の名作と言っても良い出来栄えである。

なお「I Can’t See My Feelings」がIron Maidenにカバーされたことでも知られる。

6th『If I Were Brittania I’d Waive the Rules』(1976)

弾けた感じのあった前作に比べると、本作『If I Were Brittania I’d Waive the Rules』はBudgieの持つ湿り気やヘヴィさが復活したような作風になっている。

ただし前作から始まったロックンロール風味やブラックミュージック要素は今回も随所に感じられ、4thまでの重さとは違った風合いに仕上がっている。

いわゆるハードな曲としての「Anne Neggen」や「Quacktor and Bureaucats」などは、リフこそヘヴィながら曲調はロックンロールになっている。

「You’re Opening Doors」は前作ほど分かりやすいブラックミュージックではないが、ギターカッティングが跳ねる感じを持っている。

独特の重さを感じさせるのは、まずタイトル曲「If I Were Brittania I’d Waive the Rules」で、変拍子に乗せた独特なヘヴィなリフ、そして目まぐるしい展開と、新たな一面を見せている。

そしてラストの「Black Velvet Stallion」は機械的でヘヴィなベースラインとすき間のあるリズムが緊張感を生み出し、延々と続くギターソロもどこか不気味である。

色んな音楽性がややちぐはぐに混ざっているため、一般に評価は高くないが、BudgieのB級的な魅力においては非常に素晴らしいアルバムであると感じている。

7th『Impeckable』(1978)

巨大な猫の顔のジャケットが印象的な7th『Impeckable』、アルバムとしてはトニー・ボージが在籍した最後の作品となる。

全体的な路線としては、5th『Bandolier』のような、ハードかつ弾けた雰囲気を目指そうとして作られている印象がある。

1曲目「Melt the Ice Away」は、Budgieらしいリフと疾走感のあるビートが素晴らしく、Megadethがカバーしている。

「Smile Boy Smile」は思い切りロックンロールであるが、全体にはロックンロール要素は少なめで、前作には少なかったブラックミュージック要素が復活している。

「Love for You and Me」「All at Sea」などがそうしたブラックな雰囲気がありつつ、随所に出てくるギターリフのヘヴィさがBudgieらしい。

「Dish It Up」はメインリフがヘンテコだが、中間部の展開・転調が非常に凝っているのがカッコいい。

「I’m a Faker Too」「Don’t Dilute the Water」などは往年のBudgieのヘヴィさを垣間見ることができる。

前作以上に取っ散らかった印象は否めないものの、よく聴いてみるとBudgieのリフのセンスや展開の妙など、Budgieらしい魅力にあふれた作品になっている。

スポンサーリンク

Budgieのトニー・ボージ在籍後期の魅力とは?

Budgieのトニー・ボージ在籍後期における3作品の概要と聞きどころを紹介した。ではこれらの作品を通じて見えてくる、この時代の魅力とは何だろうか?

3点から書いてみることにした。

ハードロックにとどまらない音楽ジャンル

4th『In for the Kill!』までのBudgieは独特の湿り気と、地を這うような重たいビートが特徴のバンドであった。それこそがBudgieの魅力だ、という意見には全く同意である。

しかし5th『Bandolier』~7th『Impeckable』に見られる、ハードロック以外の要素との融合も、Budgieの魅力の1つと言って良いのではないか。

その変化はドラムスがスティーヴ・ウィリアムズに交代となってから見られるものである。彼のドラムが、それまでのBudgieとは異なり、跳ねるようなビートを得意としていたようである。

ハードロックバンドと言えば、ルーツにブルースを感じさせるバンドが多い。しかしBudgieにはデビュー時からブルース要素が限りなく少ない点が特徴でもある。

5th以降、ハードロックからよりルーツミュージックに寄ったBudgieであるが、ブルースではなくファンクなどのブラックミュージックに根差したところは、あまり他のバンドに類を見ない。

そしてバーク・シェリーの中性的なボーカルも、ファンクっぽいビートに似合っている。この時代のブラックミュージックテイストは、なかなかBudgieの音楽性に合っていると感じる。

アルバム単位で見たバランス感

Budgieの4thまでの作品は湿り気の多いハードロックとアコースティックの楽曲から構成されることが多かった。ハードロックの王道とも言えるが、ややアルバムの構築度としては物足りない作品もある。

つまり、アルバムの中の楽曲のバリエーションと言う意味では、やや一本調子に感じられる部分もあった。

その点において、5th『Bandolier』ではヘヴィな楽曲からファンク要素のある曲、やや洗練されたムードの楽曲まで、バラエティ豊かな楽曲が含まれることになった。

個々の楽曲の良さでは4thまでが強いが、アルバムの聴き応えと言う意味では、5th以降の方が魅力的なものがある

ただそのバランス感の頂点は5th『Bandolier』であり、6thや7thになるとそれまでのヘヴィなBudgieの魅力が後退し、新機軸の要素が強くなって、バランスをやや欠く作品になっていく。

とは言え、アルバムをまとめ上げると言う意味においては、初期よりも5th以降の作品においてクオリティが上がっていると感じられる。

変わらぬBudgie節

5th以降のBudgieは新機軸として、音楽性の広がりとそれに伴いアルバムの構築度が増していることを書いた。

しかしBudgieの魅力は、どんなに表面的な音楽性が変わろうとも、常に一貫している”Budgie節”とも言える曲調だろう。

その魅力はなかなか言葉にしにくいものだが、たとえば耳に残る独特なリフを随所に入れ込むところにBudgieの良さがある。

7th『Impeckable』では、ファンク要素の強い「Love for You and Me」「Pyramids」でも、所々に低音弦のギターリフが入れ込まれている。

こうしたさりげないヘヴィさこそBudgieの真骨頂であり、デビューから一貫しているように思われる。

マニアックな聴き方だが、隠れたBudgie節を探して聴くような楽しみ方こそ、Budgieマニアとしての楽しみ方の醍醐味なのだ。

【初心者向け】”はじめてのアルバム” – 第8回:Budgie 名曲”Breadfan”の入っているアルバムを最初に聴くのが本当に良いのか?+全アルバムレビュー

コメント

タイトルとURLをコピーしました