【人間椅子】鈴木研一のベースを堪能するためにおすすめの楽曲を集めてみた – 4つの特徴から見る42曲

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鈴木研一のベースを堪能するためのおすすめ楽曲

印象的なベースフレーズの曲

ここでは楽曲の中に登場する印象的なベースフレーズを取り上げたい。

人間椅子の楽曲の中には、アレンジとしてベースだけになる部分があったり、あるいはギターのみ消えてベースとドラムだけになったりする曲がある。

既に紹介した楽曲の中にもそうした要素はあった。だがここでは、より印象的で鈴木氏の見せ場となるようなフレーズが入った曲を紹介する。

神経症I LOVE YOU

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:0th『人間椅子』(1989)、ベスト『現世は夢 〜25周年記念ベストアルバム〜』(2014)

メジャーデビュー前の作品から、和嶋氏の屈折したロックンロールナンバーである。

この曲では、ギターソロの前に短いベースソロが挿入されている。和嶋氏の「ベース!」の掛け声の後に、珍しくもハイポジションでのベースソロを聴くことができる。

鈴木氏のプレイはほとんど4弦・3弦を使ったものであり、高い弦のハイポジションのフレーズを聴けること自体がレアな楽曲である。

あやかしの鼓

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:和嶋慎治・鈴木研一
  • 収録アルバム:1st『人間失格』(1990)など

土着的なリズムに、不気味な掛け声が印象的な楽曲。ダークな前半から、後半は歌なしのアッパーな展開になる。

ベースの聴きどころは、ドラムだけになるパートから、ベースが入ってくるところ。EとFの音を鳴らしているだけだが、ここまでゾクゾクさせてくれるフレーズもないだろう。

ヘドバン必至の後半部であるが、鈴木氏のベースがバキバキと聞こえてくるのにも耳を傾けてみてほしい。

時間を止めた男

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:5th『踊る一寸法師』(1995)

和嶋氏の作る、ヘビーなのに得も言われぬ哀愁を感じさせてしまう楽曲。サウンド的には重低音のオンパレード、その分、後半の12弦ギターを使った展開がより物寂しく感じられる。

ベースの聴きどころは、ギターソロが終わった後のBメロへの入りである。それまではギターで演奏されていたフレーズが、ベースで演奏されるところがとてもカッコいい。

全体的にも低音の効いたベースが、うなるように鳴っている。やはりこの時代の、ギター・ベースともにフロントピックアップ時代(ベースは今もフロントだが)のサウンドは素晴らしい。

莫迦酔狂ひ

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:6th『無限の住人』(1996)

”酒”をテーマに、ダークかつプログレ風味の和嶋氏らしい楽曲である。変拍子も使いながら、展開の多さが魅力になっている。

ベースの聴きどころは、中間部に入る箇所でベースとドラムだけになる部分だ。ここの”ギリギリ”と硬質なベース音が非常に心地好い。

またギターが入ってきてから、ベースがルートだけでなく、リフになっているところもポイントが高い。ギターの和音の裏で動き回るベースがまたカッコいいのである。

アルバムを通じて、『無限の住人』のベースは太い音というよりも、硬質な音である点もカッコいい。

怪人二十面相

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:9th『怪人二十面相』(2000)など

コンセプトアルバム『怪人二十面相』のタイトル曲。変幻自在の怪人二十面相のごとく、次々と名リフが叩き込まれるような楽曲になっている。

ベースの見どころは、中間部に入る箇所のギターリフのハモりである。ここでは上をハモっているが、ギターソロ前の繰り返し部分ではギターがハモっている。

またギターソロ終わりにもベースのみになるフレーズが登場し、ハンマリングを使った素晴らしいフレーズである。

さらにはイントロではギターが半音ずつ下がる中で、オクターブを弾く印象的なベース。さらに中間部明けではそれと同じフレーズながら、転調していくという凝りに凝ったアレンジ。

2000年前後の人間椅子は凝ったアレンジが冴え渡っていた印象である。

黒百合日記

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:17th『萬燈籠』(2013)

歪んだ恋愛関係を歌った和嶋氏の楽曲。全体的にダークな雰囲気が漂い、鈴木氏のベースもうなっている。

中間部の歌が終わった後、ベースリフとドラムのみになる箇所がある。そのままギターソロに入る間も、バッキングはベースのみで、ヘビーなベースを堪能することができる。

またアウトロの不気味なリフでは、ベースはスライドを使ってギターとは異なるフレーズを弾いている。ギターとベースが混とんとして、不気味な音になっている。

地獄変

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:17th『萬燈籠』(2013)

芥川龍之介の小説からタイトルを借りた楽曲。Black Sabbathの影響を強く感じさせる、サウンド・リズム・構成である。

ベースの聴きどころと言えば、アウトロ部分のベースのみになる部分であろう。ゴリゴリとえげつない音のベースは、ピックを強く押し当てて削れるほどの強さで弾くことで得られるもの。

ライブ後に鈴木氏のベースを拾うことがあると、1回のライブでここまで削れるのか、と思うほどに形が変形している。鈴木氏のベースはエフェクターではなく、弾く力で歪んでいるのである。

月夜の鬼踊り

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:20th『異次元からの咆哮』(2017)

ねぷた囃子を取り入れた、土着的なリズムが印象的な楽曲。

ベースの見どころの1つは、中間部に入る時のベースである。またしても4弦開放をかき鳴らしているが、やはりこの重低音はいつ聴いても心地好いものだ。

さらに細かいところでは、アウトロに入るところで、一瞬だけ登場するギターリフがある。そこにハモるベースラインが何とも快感なのだ。

こうした細かいアレンジが、人間椅子の楽曲では重要なポイントだったりする。

動き回るベース

最後に紹介するのは、ベースが動き回る楽曲である。

鈴木氏のベースと言うと、ルート音を力強く弾き、あまり動かないと言うのが特徴である。ご本人もテクニカルなフレーズは得意ではない、と語っている。

しかし中にはよく動き回っているタイプの楽曲も存在する。

よく動くと言うことは、ギターがコードを鳴らすなど、ギターにあまり動きがないタイプの曲だ。和嶋氏のポップな曲や、プログレ風の曲に多い傾向である。

鈴木氏には珍しい、ベースが動き回る曲を集めて紹介しよう。

賽の河原

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:和嶋慎治・鈴木研一
  • 収録アルバム:1st『人間失格』(1990)

Black Sabbathのヘビーさに、日本の死生観を取り入れた、人間椅子の原点を思わせるような楽曲。おどろおどろしいAメロから、美しいBメロへの流れが素晴らしい。

ベースが動くのはBメロ部分である。ギターがコードを分解したアルペジオを弾く裏で、流麗なベースラインを聴くことができる。

この美しいBメロ部分は、ベースラインの美しさも寄与していると言えるだろう。なお鈴木氏いわく、ライブではスタジオ音源とは少し違うフレーズになっているとのこと。

それ以外の部分でも、中間部などでベースがあれこれ動き回っている楽曲である。

水没都市

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:3rd『黄金の夜明け』(1992)

和嶋氏によるヘビーな楽曲だが、歌メロはとても美しい楽曲である。コードの動きも、展開も多い楽曲であるために、ベースも忙しく動き回っている印象である。

特に忙しいのは、中間部の鈴木氏が歌う部分である。

鈴木氏のベースからリフが始まるが、リフそのものが複雑である。歌いながら弾くのも難しそうなフレーズが並んでいる。

それ以外にも、Aメロ部分では流れるような美しいベースラインを聴くことができる。ベースらしいベースが聴ける楽曲と言える。

埋葬蟲の唄

  • 作詞:和嶋慎治、作曲:鈴木研一・和嶋慎治
  • 収録アルバム:4th『羅生門』(1993)など

鈴木氏の作る楽曲の中では、最もプログレ要素が強い部類に入る楽曲。中間部の怒涛の展開は、ギター・ベース・ドラムが全て動き回る、あまり人間椅子にはない展開だ。

その中間部であるが、ギターがプログレ風味のソロを弾く裏で、ベースも縦横無尽に動き回っている。そしてギターがペンタトニックのソロに移行するとベースは一定のリフに変わるのもカッコいい。

ここまで鈴木氏のベースが動き回る曲は、これだけではなかろうか。

それ以外のBメロ部分などでも、美しいベースラインを聴くことができる。後藤マスヒロ氏の貢献度も高く、テクニカルな人間椅子の側面が垣間見える。

羽根物人生

  • 作詞・作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:5th『踊る一寸法師』(1995)

パチンコシリーズの楽曲にして、どこかフォークソングのような楽曲である。しかし実はUriah Heepの「Lady In Black」に影響を受けたと言う、ハードロックの楽曲なのだ。

この曲もコード進行がポップスの進行であるため、ベースもハードロック的なベースではない。特にベース的に美しいのは、Bmに転調してからの後半部分であろう。

メンバー3人によるコーラスになってからベースのリズムが変わり、そのままギターソロに突入する。この部分のベースはどこか哀愁を感じるものであり、ソロの美しさと重なって聴きどころだ。

それにしても鈴木氏の楽曲は、異なるジャンルをあえてブレンドする面白さがある。

無限の住人

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:6th『無限の住人』(1996)

イメージアルバム『無限の住人』のタイトル曲。美しいメロディの前半部、そして三味線奏法と民謡のようなメロディの後半部の展開がユニークな楽曲である。

まず前半部では、ハイポジションで優しく響くベースを聴くことができる。Bメロでのベースラインは非常に美しく、鈴木氏には珍しいタイプのベースである。

一転して後半では、ギターのフレーズとユニゾンで三味線風のフレーズが展開される。ここでは鈴木氏らしいバキバキと激しいベースを堪能することができる。

1曲の中に多彩なベースを楽しめる1曲だ。

桜下音頭

  • 作詞:沙村広明、作曲:沙村広明・和嶋慎治
  • 収録アルバム:シングル『刀と鞘』(1996)など

漫画『無限の住人』の作者である沙村広明氏が作詞・作曲した楽曲。打ち込みで作られていたものを、和嶋氏がバンドアレンジで完成させたため、クレジットに入っているそうだ。

この曲はいわゆるディスコソングであり、ベースは4つ打ちのフレーズだ。つまりルートとそのオクターブを交互に弾くパターンである。

Bメロ部分では4つ打ちパターンをさらに発展させたフレーズで、うねうねと動き回っている。

そしてアウトロ部分のギターソロでは、さらにベースは自在に動き回っている。人間椅子メンバーによる楽曲ではないためか、鈴木氏が普段弾かないようなベースフレーズもたくさん聴ける。

芋虫

  • 作詞・作曲:鈴木研一
  • 収録アルバム:9th『怪人二十面相』(2000)

鈴木氏による、とても物悲しくも美しい楽曲である。ヘビーなだけではない、70年代ハードロックの良さを詰め込んだ名曲で、ファンからも絶大な人気を誇る1曲だ。

ベース始まりの楽曲ではあるが、あまりにベースの動きが多いことから、こちらに分類した。まず前半のメインリフはベースからスタートし、Aメロ部分でもベースは動き続ける。

しかもイントロではベースが主旋律を弾いているが、Aメロではギターが主旋律で、ベースはそこにハモっている。あまりに歌いながら弾くのが難しいベースである。

中間部では、AとGの音をひたすら繰り返す不動のベースライン。しかしこの安定感こそ、鈴木氏の真骨頂とも言えるだろう。

中間部については、ギターがマイナーからメジャーに転調したりと、アレンジが実に素晴らしい。

悪魔大いに笑う

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:10th『見知らぬ世界』(2001)

10th『見知らぬ世界』では和嶋氏の作るポップな楽曲が印象的だ。その中でも、ゆったりとしたロックンロール調の楽曲である。

この曲もベース始まりであるが、メインのリフは全てベースが担っている。ギターはT.REXの「Get It On」のように、コードカッティングを乗せている。

Bメロ部分でも、実はギターの和音の後ろで細かく動いているのが聞こえる。ゆったりした曲こそ、実はベースはその間で動き回っていることが多いのだ。

幻色の孤島

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:13th『瘋痴狂』(2006)

これまでプログレ風味の楽曲は多かったが、本格的にプログレに取り組んだと言っても良い楽曲。中間部では一切歌が登場せず、難解なフレーズが展開されていく。

この曲が面白いのは、ギターより先にベースがフレーズを予告編のように先に出していくこと。イントロも実はベース始まりであり、後半でもベースがフレーズを引っ張っていく。

また中間部はギターが難解なアルペジオを弾く後ろで、不気味なベースフレーズをたくさん聴くことができる。

ベースとギターのフレーズが異なる箇所が多いため、ベースも聴きどころが多数ある曲だ。

塔の中の男

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:15th『未来浪漫派』(2009)

9分近くもある、和嶋氏の大作。前半のダークな部分は昔からアイデアとしてあったもので、それを1曲として仕上げたものらしい。

この曲も展開が多く、メロディアスな部分も多いため、ベースは忙しい。特に中間部への導入になる「鉄の窓 開け放ち」の辺りから、動きが多くなっており、ギターソロで最高潮となる。

ただ前半部分でも、フレーズ上の動きはないものの、リズムパターンの変化に合わせて、Aメロ・Aメロの後半・サビと、全て異なるピッキングのパターンになっている。

ベースの細やかなニュアンスの違いを楽しみたい1曲だ。

マダム・エドワルダ

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:19th『怪談 そして死とエロス』(2016)

19th『怪談 そして死とエロス』のラストを飾るこの曲は、メタルと言うよりは、70年代ハードロックを思わせる懐かしく、そして美しい雰囲気の楽曲。

とりわけ美しいのは変拍子を駆使した中間部分。悲しげなギターの旋律の裏で、軽やかに舞うようなベースラインがとにかく美しい。

ギターのフレーズも好きだが、同じくらいベースラインも魅力的だ。

さらにアウトロのギターソロ部分でも、ベースが動き回る。泣きのギターに呼応するかのように、ベースも手数の多い情熱的なプレイとなっている。

近年の人間椅子の楽曲の中で、最も芸術的な楽曲とも言える仕上がりだ。

月のアペニン山

  • 作詞・作曲:和嶋慎治
  • 収録アルバム:21st『新青年』(2019)

和嶋氏が12弦のダブルネックギターを新たに購入し、その調べを取り入れたかったと言う曲。12弦ギターのアルペジオが全体に美しく響く。

この曲のベースラインは、Black Sabbathの「Planet Caravan」から強く影響を受けたもの。とは言え、Bメロは和嶋氏らしいもので、ベースもなかなかに動き回っている。

そして1番が終わった後、ギターはハーモニクスを鳴らしている中でのベースラインが美しい。人間椅子の楽曲としては、初めて鈴木氏が指弾きで収録したという記念すべき楽曲でもある。

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まとめ

今回は人間椅子のベース・ボーカル鈴木研一のベースに注目した記事をお送りしてきた。

4つの楽曲の特徴を取り上げて、実際の楽曲を解説する形で紹介した。

日ごろから、ライブでは「演奏より歌重視」と述べており、鈴木氏が自身のベースのプレイについてはあまり多くを語らない。

しかしベースに注目すると、やはり人間椅子の楽曲において鈴木氏のベースの役割はとても大きい

まずは1点目で述べた通り、ベースのサウンド自体に圧倒的な存在感がある。3ピースバンドであるがゆえ、ベースはリズムを支えるだけでなく、ギターとともにバンドの音色を形作っていく。

鈴木氏の歪んだヘビーなベースは、それだけで存在感がある。また和嶋氏のギターと混ざることで、言いようのない心地好いヘビーなサウンドが生まれることは、2点目の特徴で述べた。

またベースの存在感は、チラッと登場する印象的なフレーズにも垣間見える。目立つのはギターだけでなく、ベースも”ここぞ”というタイミングで光るフレーズが登場する。

そして音のパワーと、シンプルなプレイが魅力ではあるが、ベースらしい動きを見せることも、もちろんある。

和嶋氏の楽曲の中には、ポップな楽曲・プログレ風の楽曲があり、そこでは動きの多いベースも堪能することができる。

筆者が思うに、確かに鈴木氏のベースは超絶テクニカルではないかもしれないが、圧倒的な低音の存在感と、それがうねるような動きが魅力だと思う。

それは鈴木氏の体全体のパワーであり、そして幼い頃から親しんだねぷた祭りのリズムであり、ハードロックやヘビーメタルのリズムから来るのだろう。

そして何より、一聴すれば鈴木氏と分かるベースであることが、その素晴らしさと言える。

ぜひ鈴木氏のベースに着目して、人間椅子の楽曲を聴き直すのも面白いだろう。さらには他のベーシストのプレイと比較しながら、鈴木氏のベースの魅力を掘り下げてほしいと思う。

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