語ってみた5

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長らく放っておいた人間椅子アルバム評。久しぶりに行ってみます!

8th『頽廃芸術展』

前作が一貫したコンセプトのある作品だとすれば、今作はとにかく様々な曲を集めた作品と言えるだろう。今年発売されたベスト盤に唯一1曲も収録されなかったアルバムだが、おそらくは1曲ずつのポテンシャルは高いものの若干マニアックな感があり、ベスト的な定番曲はないということかもしれない。アルバムタイトルにも表れているように、今作・次作辺りは最も世間に背を向けた作品群と言って良い。曲に関しては「胎内巡り」「血塗られたひな祭り」等の日本的な世界観の曲から「ダンウィッチの怪」などの異国風な曲など幅広く、廃業した映画館で録音されてということもあって独特な音作りである。曲数が多いために若干冗長な印象を受けなくもないが、個々の曲の良さが光るアルバムである。他に特徴を挙げれば、和嶋氏のギターソロは非常にシンプルなものになっているが、ブルージーでカッコいいソロが多い。またキーボードが効果的に使われている作品は今のところこのアルバムだけである。

9th 『二十世紀葬送曲』

ジャケット写真にもあるような拷問器具に象徴されるような、背徳的なもの・後ろ暗いものを扱った作品のように思われる。「暁の断頭台」「黒い太陽」といった曲にこのアルバムの特徴を見ることができる。サウンド面では前作よりもクリアだが、個々の曲は前作のようなバラエティ豊かなものではなく重々しいハードロックが並んでいる。人間椅子の作品は日本風のものだという印象が強いがそうでない作品も多い。これも前作と並んで特に和の要素を押し出してはいない。曲について、「幽霊列車」で久しぶりに和嶋氏の曲が1曲目を飾った。「幽霊列車」と「蟲」、「暁の断頭台」と「少女地獄」のように和嶋氏と鈴木氏の作品が対になるように進んでいくのも面白いが、軽快な曲は少なく聴きやすいアルバムではない。ちなみにマスヒロ氏の曲が2曲入っている点にも注目したい。2人が複雑な曲を作っている分、マスヒロ氏の曲は上手く緩和剤になっているようにも思われる。「黒い太陽」は若さが少しだけ垣間見える最後の作品のようにも思われ、この後の作品からまた新たな人間椅子に変わっていくように考えられる。


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