【ライブレポート】2024年4月21日(日)ジャパハリネット 2024 Full Recovery One Man Show Tour 新宿Wild Side Tokyo

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ジャパハリネット

結成から25周年を迎えようとしているロックバンド、ジャパハリネット。2024年4月に5年ぶりとなるワンマンツアーが開催されることとなった。

東名阪と地元愛媛を加えたツアーであり、”Full Recovery”と題して、本格的にライブ活動に復帰する意味合いが込められたタイトルとなっている。

筆者は4月21日(日)に新宿にあるWild Side Tokyoで行われた初日のワンマンに参加してきた。会場の雰囲気や選曲・演奏含め、再結成後に見たライブの中でも屈指の良さだったのではないかと感じた。

そんな4月21日(日)のライブを振り返りつつ、全体の感想も後半で綴っている。

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ライブレポート:ジャパハリネット 2024 Full Recovery One Man Show Tour 新宿Wild Side Tokyo

5年ぶりとなった今回のツアーは、いわばコロナ前以来のツアーと言うことになる。”Full Recovery”と銘打ったのは、それ以前からライブは少しずつだが復活していたからだ。

2023年10月には、ライブハウスMarble独立記念3周年として東京でのワンマンライブが行われていたが、曲数は少なめであり、ある意味で”リハビリ”的な内容だった。

いよいよ今回”Full Recovery”ということは、通常のワンマンの時間でやるだろう、と筆者は予想しており、実際その通りになったのだった。

今回もライブは唐突な告知であり、チケット販売については、イープラスにジャパハリネットをお気に入り登録していたことで、メールが届いて気付いた。

「最速先行」のような文字が見えたので、てっきり「先行抽選」かと思っていたら、「先行先着」という珍しい形態の販売であると気付く。

チケット販売開始から1〜2時間程度経って慌てて購入したが、無事にチケットを入手することができた。既に60番を超えていたところだった。

即日完売ではなかったものの、翌日にはソールドアウトしたようだった。

4月21日(日)はあいにくの天気で、16時前くらいから都内では雨がポツポツ降ったり止んだりしていた。

18:40近くに会場に到着すると、入場口にはまだ人が溢れている様子。

中に入ってみると、ドリンクチケットがあらゆる決済に対応している現代的なところだったのだが、1人で対応しているので大渋滞していたのが分かった。

18:50くらいにもまだ会場の人は多くはない状態、少し開始時間が押すことが見込まれる。開演前に「満員のため1歩前に進んでください」と言うアナウンスがあった。

開演前BGMはジャパハリネットの楽曲で、時折かなりマニアックな選曲もあった。「コモレビ」「涙のハンカチ」(いずれも『帰り道』カップリング曲)など、懐かしすぎる曲が聴けた。

場内が暗転すると、入場曲はいつもの「Love Me Do?」ではなく、録音されたあの曲のフレーズである。メンバーが次々に入場し、城戸氏は少し遅れて登場。

バンド演奏が入り、1曲目に披露されたのは「若葉咲く頃」。最近のライブでこの曲から始まったのは珍しいような気もする。

ギターの中田氏が「新宿!」と煽って始まった「蹴り上げた坂道」、やはりこの2曲はいつでもセットであり、メジャーデビューアルバム『現実逃走記』の冒頭からライブはスタートした。

「久しぶりにやる曲、思い出しつつ聴いてほしい」と始まったのは、シングル『金色の螺旋-コンジキノラセン-/美しき儚きかな』から「悲しみ色」である。

間髪入れずに「聖戦パラドックス」と続き、この辺りで勘づき始めるが、今回はメジャーデビュー後の曲が多いぞ、と思い始めた。

続くのはインディーズ時代の人気曲「烈の瞬」、今回はチューニングはノーマルに戻っており、(一時期半音下げていた)心配されていた城戸氏の喉の調子も以前より回復していたようである。

なお今回のライブは、比較的前方で見ていたのだが、全然押し合いにならず、平和に楽しむことができてとても良かった。

ここのMCでは中田氏から、東京に前泊しており、お洒落なところでたまにはランチをと思ったが、つけ麺を食べたと言う話が繰り広げられる。

中岡氏とともに行ったそうだが、出された水がなぜか中田氏のものだけ油が浮いていたと言う話から、食べ終わってスマホを見ている家族がいて…となぜか不満を述べるコーナーになりそうに。

中岡氏がドラムを叩き始め、城戸氏が中田氏に「おなかの調子はどうですか?」と聞くと、リズムを止め、「大丈夫」と答える、と言う具合のミニコントのような場面もあった。

ちなみに今回は全体的にMCが全員冴え渡っていて、メンバーどうしの話がかみ合わないこともなく、笑いを取ることに成功していた。

なお会場について、以前ジャパハリネットACでWild Side Tokyoで演奏し、バンドとしては初めてとのこと。

絶対に良い会場だからと20年来付き合いのある人に言われ、ライブハウスのスタッフさんにも熱烈なオファーを受けてこの会場になったそうである。

開演前アコースティックギターに2カポを付けていたのでまさかとは思ったが、「あるがために」が披露される。じんわりと聞かせてくれる名曲である。

すかさず不気味な和音のイントロ、そして美しいアルペジオ、なんと「対角線上のアリア」が披露される。高校時代、夢中になって聴いていたこの曲をようやくライブで聴けて感無量だった。

ジャパハリとしては斬新でだいぶん尖った曲ではあるが、『RE:BEST』にも収録され、この日のライブの様子を見ても、人気の高い楽曲であることが分かる。

筆者の好きな『東京ウォール』周辺の楽曲が立て続いて嬉しいばかりであるが、この日のハイライトの1つが次に披露された「ジオラマの花」だったように思えた。

Aメロ~Bメロがかなり高いキーが続くこの曲、今日は1音下げてGの音で演奏された。リズムもストレートな8ビートではなく、シャッフル調でアレンジ的にはちょっと大人になった雰囲気だ。

曲の世界観は人の生死にまつわる普遍的なものであるからか、演奏する側の年齢や状態によって聞こえ方が随分と変わる曲だな、と思った。

若い頃には当時の感覚がもちろんあり、また大人になったジャパハリからは、さらに深みのある楽曲として聞こえた。それは「あるがために」なども、同じような感慨深さがあった。

続くMCではベースの鹿島氏のお誕生日だったことが話されると、珍しくも鹿島氏が饒舌にMCをし、宿泊した都内でランニングをしてスマホの電池が切れて、道に迷った話を披露した。

45歳になろうとして交番で道を尋ねた、というオチを話し、城戸氏が「唯一二人で作った曲を」と始めるも、どうやら中田氏が間違えたのか演奏をやり直すことに。

披露された「帰り道」はやはり人気曲であり、会場全体が多幸感に包まれていたように思えた。アレンジ的には『RE:JAPAHARINET』収録の「帰り道2018」だった。

そのまま「遥かなる日々」へ、まさかこの曲も聴けるとは感無量だった。最後のサビでGからAに転調する部分は、転調せずにそのままのキーに変更されていた。

『東京ウォール』に至るまでのシングル2曲が立て続けに披露されたのは、この日を象徴する流れだったように思えた。

どこのMCだったか、なかなか同年代で続けているバンドはいない、と言う話があり、藍坊主とはようやく対バンできる(翌日22日)とのこと。

新曲を持ってきたとのことで、「僕らが忘れたたった一つのこと」が披露される。最初はアコースティックなアレンジで始まり、バンド演奏が始まると疾走するタイプの楽曲だった。

再結成後のアルバム『RE:JAPAHARINET』は『夢色ロジック』の時のような音楽的にはバラエティ豊かな作品だったが、やはりジャパハリの原点は、シンプルなビートのパンクである。

その原点に戻ったかのような、ストレートな楽曲であり、リリースが楽しみな楽曲であった。

続く「約束の場所」もキーがAからGに下げられていた。もう1曲シングル曲をと始まった「星霜のさくら」、『RE:BEST』で再録された楽曲が多かった印象だった。

ラストの3曲を残しつつ、何とインディーズ時代の曲は「烈の瞬」のみという珍しいライブだ。

本編最後のMCだったか、自分の声をライブで聴いてみたくて始めたと言う城戸氏。プロのライブを観たのは自分たちでライブをやり始めた後で、スピッツのライブだったと言う。

ライブ会場のアルバイトをしていて見たそうだが、あだ名は「革靴」だったとのこと。いよいよライブも終盤、ラスト3曲はおなじみの楽曲であった。

「哀愁交差点」は、キーがBからAへと下げて歌われる。この日『満ちて来たる日々』から唯一披露された「贈りもの」では、なぜか最前列の男性が城戸氏を肩車する場面があった。

ここのMCだったか失念したが、東京には1年に1回はライブで来ようと決めているようだ。

ずっと松山でコツコツライブをやっていた時代には、こんな風に東京で大勢の前でライブをやれるとは思っていなかったと城戸氏が語っていた。

最後は「物憂げ世情」、冒頭の歌声は会場に響き渡り、会場の熱気も頂点のままライブ本編が終了した。そして城戸氏はバク転で締め、これも久しぶりに見たような気がした。

披露された楽曲はメジャーデビュー後~解散までの楽曲が多かったが、ライブ自体は若々しくなったかのような溌溂とした印象だった。

アンコールに応えてすぐにメンバーが登場。城戸氏はSNSでも書いていたが、せっかく調べたのに閉店していたランチのお店についてMCでも語っていた。

アンコール1曲目は「絶望の風」、おなじみラストのブレイクでは、中岡氏がマイクを取り、怖かったエピソードを語っていた。

自身がめざましテレビに出た時のエピソード(スワットにいたことを話してクビになった運転手)から城戸氏が音声の出ない字幕のテレビをずっと見ていたことが怖いなどと語っていた。

またしてもどこのMCだったか失念したが、中田氏は今でも現役だけどと笑いつつ、現役時代から来てくれている人もいて、お互いベテラン同士でこうしてまた会えるのが嬉しいと語っていた。

城戸氏は色んなしがらみが誰しもあるが、ここで集まってライブを観て、また明日から頑張ろうと思ってもらえたら何より、と語ってMCを締めていた。

ラストはこの日唯一『夢色ロジック』からの「百花繚乱」だった。「また会おう」と言ってそれが当たり前ではない、とも語られていた通り、一期一会のライブが愛おしく思えた瞬間だった。

終演は21時過ぎくらいで、全18曲・約2時間というたっぷりライブを楽しむことができた。終演後の物販は長蛇の列ができていたが、筆者はその様子を横目に会場を後にしたのだった。

<セットリスト>

No.タイトル収録アルバム
SEWakabasaku Intro
1若葉咲く頃『現実逃走記』(2004)
2蹴り上げた坂道『現実逃走記』(2004)
MC
3悲しみ色シングル『金色の螺旋-コンジキノラセン-/美しき儚きかな』(2005)、『RE:BEST』(2020)
4聖戦パラドックス『東京ウォール』(2005)
5烈の瞬『天国ベスト〜BEST FIRE OF HEAVEN〜』(2007)
MC
6あるがためにシングル『遥かなる日々』(2004)、『RE:BEST』(2020)
7対角線上のアリア『東京ウォール』(2005)
8ジオラマの花『現実逃走記』(2004)
MC
9帰り道2018『RE:JAPAHARINET』(2018)
10遥かなる日々『東京ウォール』(2005)
MC
11僕らが忘れたたった一つのこと新曲
12約束の場所『回帰線』(2006)
13星霜のさくら『回帰線』(2006)
MC
14哀愁交差点『現実逃走記』(2004)
15贈りもの『満ちて来たる日々』(2002)
16物憂げ世情『現実逃走記』(2004)
アンコール
17絶望の風『現実逃走記』(2004)
18百花繚乱『夢色ロジック』(2007)

※セットリストはこちらの方のポスト(公式のセトリ)から情報をいただいた。

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全体の感想

冒頭にも書いた通り、筆者としては再結成後に見た東京でのライブの中で最も良かったと言っても過言ではないくらいの内容だったと感じた。

まずは選曲だが、メジャーデビューしてからの楽曲が大半を占め、逆に普段は多く演奏される『満ちて来たる日々』を始めとするインディーズ時代の楽曲がわき役と言う感じだった。

ジャパハリネットと言えば、確かにインディーズ時代の楽曲に人気曲・定番曲が多数揃っているのも事実であるが、メジャーでリリースされた楽曲も良い曲がたくさんある。

今回シングル曲「遥かなる日々」「帰り道」が並んで披露されたのが印象的だった。選曲全体を見ると、この2曲を起点にその前後の楽曲が多く披露されていたように思える。

とりわけアルバム『東京ウォール』やその周辺のシングル曲が普段より多く、その前後である『現実逃走記』『回帰線』の楽曲が本編のほとんどだった。

時代的には華々しいメジャーデビューから、徐々に音楽性が変化しつつある過渡期の時代の楽曲たちである。

しかし考えてみれば、「哀愁交差点」辺りでジャパハリを知って、本格的に聴き始めたのがその後の「遥かなる日々」くらいからだった、と言う人も意外と多いのではないか。

筆者もまさに「遥かなる日々」が本格的にジャパハリネットを聴くきっかけになった楽曲で、「哀愁交差点」やインディーズ時代の楽曲は後から追いかけたものだ。

そうしたファンにとって、実は青春真っただ中の楽曲は「遥かなる日々」「帰り道」前後の時代の楽曲たちなのではないか、と思える。

そう考えれば、今回披露されたのは多くの人の心に残っている楽曲たちであり、改めて再注目されて良いのではないか、と思った。

そしてバンドの状態や会場の雰囲気など、非常に良い状態だったように思えた。会場については、土地のエネルギーのようなものが結構イベントには影響すると言うのが持論である。

Wild Side Tokyoはとても気の良いところに建っているようで、居心地の良い空間だった。その影響も手伝ってか、メンバーのMCも冴え渡り、演奏も非常に熱く、ポジティブなパワーに溢れていた。

さらにはバンドとして久しぶりのライブながら、どこかバンドの雰囲気が若返っているように思えた。まだまだこれから楽しみに思えるジャパハリネットである。

ぜひ25周年のタイミングで、また東京でのライブも楽しみに待ちたい。

【ジャパハリネット】解散前までの5枚の全アルバムレビュー – ”ジャパハリらしさ”とは何か?

コメント

  1. m.n より:

    同日本当に久々にジャパハリネットのライブを見ました。私も偶然e+のアナウンスを見つけてチケットを購入したのですが、運が良かったんですね。
    ライブの様子を詳しく書いて下さいありがとうございます。
    個人的に、好きなミュージシャンの訃報以後、ライブに行ってもどうしても心から楽しめないでいたのですが、このライブはやはりライブっていいなと思えました。エネルギーが伝わってきました。メンバー皆さんのMC冴えてましたね。そういえば20年前に地元札幌の某ライブハウスで初めてみた時にも、ライブツアーの移動スケジュールがタイトで、スタッフさんはカレンダー読めないんじゃないかと思う、とMCで話していたのを思い出しました。アラバキロックの0泊3日もMCで聞いた記憶があるような…大変だったんでしょうね。
    長々とすみません、素敵なライブレポでしたのでコメントさせて頂きました。
    ライブハウスの建つ地の気が影響するっていうが面白いなと思いました。
    初めて行きましたが確かに良いライブハウスですね。

    • まるとん まるとん より:

      m.nさま

      嬉しいコメントをありがとうございます。

      昨日のライブは、理屈抜きにして、心から楽しめるそんなエネルギーに溢れていたように感じました。
      書き漏らしてしまいましたが、移動日程がかなりタイトだったお話もありましたね。
      当時は若かったからこそできたのでしょうが、今回は身体に優しい日程を鹿島さんが考えてくださっているようで良かったです。

      もちろんバンドのメンバーさんは全力を尽くしてくれていて、その上で良い場所に建っているライブハウスだと、それがさらに突き抜ける印象があります。
      あの空間はとても心地好くて、ずっと居たい感じがしました。

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