【ライブレポート】2024年8月25日(日)Damian Hamada’s Creaturesと人間椅子 LIQUIDROOM

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ライブレポート

Damian Hamada’s Creaturesと人間椅子が対バンする。ありそうでなかった組み合わせである。

Damian Hamada’s Creaturesと人間椅子

聖飢魔Ⅱの創始者であるダミアン浜田陛下率いるバンドと、日本における地獄を歌ってきた人間椅子との対バンであり、まさに”地獄”の対バンである。

しかしふたを開けてみれば、双方へのリスペクトに溢れ、轟音が鳴り響く中で、実にハートウォーミングな空間となっていた。

8月25日(日)にリキッドルームで開催された「Damian Hamada’s Creaturesと人間椅子」の模様をレポートする。

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ライブレポート:Damian Hamada’s Creaturesと人間椅子

今回の対バンの発端と言うか、予兆のようなものはダミアン浜田陛下が人間椅子が4月に行ったツアー『バンド生活三十五年~猟奇第三楽章~』に来ていたところであった。

※ダミアン浜田陛下が人間椅子のライブを訪れていた投稿

実際に来ていたかどうかは当日分からなかったが、お花が届いていたことから、関係があると分かったのだった。

※「魔王ダミアン浜田」と書かれたお花が届いていた。

対バンやイベントなどで一緒になるなど、それなりの関係性がないとお花が届くことがないので何かあるのか?と思っていたら、早くも5月に対バンを行う発表があったのだった。

さらには雑誌でダミアン浜田陛下と和嶋氏の対談も実現した。なかなかの急接近と言う感じがした。

それ以前の人間椅子とダミアン浜田陛下のかかわりと言えば、1996年にダミアン浜田陛下のソロアルバム『照魔鏡』に鈴木氏がベースで参加したことぐらいである。

その当時は立ち会うこともなかったと言うから、仕事的な関係であり、筆者が見た人間椅子倶楽部(90年代に青森ローカルで放送)の映像でも、よそよそしく語る人間椅子メンバーの様子を覚えている。

それから時は経ち、ダミアン浜田陛下はDamian Hamada’s Creaturesを結成して、人間椅子と対バンをすることになったのは感慨深い。

音楽的にはやや異なるものの、ダミアン浜田陛下から人間椅子へのリスペクトも感じつつ、繋がりを感じさせる両者の対バンである。

今回は番号もあまり早くないので、ゆっくりと会場に向かった。急な豪雨も心配されるところだったが、蒸し暑い以外は問題なく会場にたどり着いた。

会場の入りはまずまずいっぱい入っている。開演前SEは鈴木氏が選曲したのではないかと思われるハードロックやプログレが流れていた。

今回はフロントアクトが2組出演した。トップバッターは3人組のバンド、ASTERISMである。

今回の中では最も現代的メタル寄り、インストを主体とするバンドだった。ポップなメロディラインと重低音がとても心地好いサウンドという印象である。

ただ新しさとともに、少し懐かしいインストメタルと言う雰囲気もあり、親しみやすさも感じられた。メンバーはかなり若いようで、今後がかなり楽しみなバンドである。

2番手に登場したWENDYは、かなりびっくりの70~80年代のアメリカンハードロックを感じさせるバンドだった。

ボーカルの方いわくメタルではないので出るのが少し怖かったというが、皆ルーツはここだから安心してくれ、と心の中でつぶやいていた。

ベーシストが体調不良のため、代役として大桃俊樹氏が弾いていた。最後の曲がとても良かったのが印象的である。

いずれのバンドも海外でのライブを行うなど、ハードロック・ヘヴィメタルバンドが日本からさかんに発信されているのは素晴らしいことだと感じた。

人間椅子

先攻は人間椅子である。転換時にリハーサルなどはなく、幕が下ろされた向こうでサウンドチェックが聞こえたのみだった。

SEは「此岸御詠歌」で登場、曲の途中で和嶋氏が合図を出してライブを開始、最初は割と予想通り「さらば世界」であった。

ややギターの音量が小さい感じもするが、音は聴き取りやすい。

2曲目は個人的に聴きたかった「死神の饗宴」。この曲は人間椅子と鈴木研一氏の魅力がよく分かるので、対バン・イベントではぜひやって欲しい楽曲の1つだと思っている。

最初にボーカルにエフェクトがかかっていて面白かったが、早い段階で消えてミスだと分かる。

重低音の2曲を続けて、最初のMCでは鈴木氏から人間椅子前の転換のBGMについて語られていた。

エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)を選んだところ、楽屋でダミアン浜田陛下がELPのファンクラブに入っていたことが判明したが、来日しなかったのが残念だと語られた。

全く知らずに選曲したら、ダミアン浜田陛下に向けて選曲したかのようになっていたそうで、ミラクルが起きていた。

初めての人もいるので、ということでメンバー紹介がある。お三方の紹介は以下のようになされていた。

『バンド生活三十五年~猟奇第三楽章~』のツアー以降で、最近できた紹介のやり方らしい。

和嶋氏は相変わらず横文字の名前(Damian Hamada’s Creatures)は怪しいところもあったが、若者から高齢者まで揃ったライブ、と話したところで、出演者がと言うことですよ、と補足する。

ダントツはダミアン浜田陛下であり、平均年齢を大きく引き上げているとのことで笑いが起きる。人間椅子は35周年と語り、30周年の時に作った曲を、と話して「無情のスキャット」が披露された。

いつも以上に轟音に感じられたのと、中間部の美しさが対比となって、とても良い演奏だった。

そのままドラムが畳みかけるように入り、「冥土喫茶」(2009年の15th『未来浪漫派』収録)のリフへ。最近披露されるのはやや久しぶりに思われる楽曲である。

鈴木氏は「ダミアン!」と叫む場面もあった。この選曲はダミアン浜田陛下のイベントと言うことで追加されたのかと感じた。

初見の人にはややマニアックな曲なので、ここぞとばかりに一緒に叫ぶところは大いに声を張り上げた。

曲が終わり、「和嶋くんはメイド喫茶に行ったことはあるんですか」と鈴木氏。「秋葉原は好きだけど行ったことはない」と和嶋氏が語り、今度メンバーで行こうかと話していた。

地獄の曲と言うことで、地獄からの使者と言われる「黒猫」と、珍しいMCでスタート。「無情のスキャット」とともに長尺の楽曲をじっくり聴かせるライブ前半だったと言う印象だ。

ここまでダウンチューニングのコーナーで、ライブ後半は一気に雰囲気を変えて、アップテンポな楽曲を立て続けに披露した。

アニキ(ナカジマ氏)コーナーは、普段の人間椅子のライブと同じくテンションが高い。今回披露されたのは、2023年の『色即是空』から「未来からの脱出」だった。

最後のサビの部分では、和嶋・鈴木両氏が同じマイクで歌う場面もあった。その時に鈴木氏が「和嶋君の方へ」と言う意味で、指をさしてマイクを決めていたのが可愛らしかった。

「世の中が暗くなっているので正義の味方を呼ぶ」というMCから「宇宙電撃隊」。これもタオルを振り回したり、皆で歌ったり、初見の人にはこんなバンドだったかと思わせる曲である。

最後はおなじみ「針の山」で終了。ギターソロの後のジャンプも大いに盛り上がり、最後に鈴木氏は再び「ダミアン!」と叫んで、ダミアン浜田陛下を称えた。

真夏の暑さのようなじっとり長い楽曲で前半は固め、後半で一気に弾けるという流れのライブだった。ちょっと久しぶりの「冥土喫茶」など、長いファンにも楽しめる内容だと感じた。

<セットリスト>

No.タイトル収録作品
SE此岸御詠歌『萬燈籠』(2013)
1さらば世界『色即是空』(2023)
2死神の饗宴『見知らぬ世界』(2001)
3無情のスキャット『新青年』(2019)
4冥土喫茶『未来浪漫派』(2009)
5黒猫『無限の住人』(1996)
6未来からの脱出『色即是空』(2023)
7宇宙電撃隊『色即是空』(2023)
8針の山『人間失格』(1990)

Damian Hamada’s Creatures

後攻がDamian Hamada’s Creaturesである。転換の音楽は鈴木氏選曲から、シンフォニックな楽曲に変わり、聖飢魔Ⅱの楽曲(「メフィストフェレスの肖像」)も含まれていた。

なおDamian Hamada’s Creaturesについては、曲目などはファンの方の詳細なレポートを参照しつつ、初見の筆者から気付いたことを書くことにした。

荘厳なSE「聖詠」から「天空の放浪神」でライブはスタート。冒頭はスピードメタル調の楽曲で大いに盛り上げる。

ライブの始まりはダミアン浜田陛下は登場せず、改臓人間メンバーのみでの演奏されている。ギターが2本なので当然ながらかなり音が分厚い。

また左右と中央にお立ち台があるようで、遠くからもメンバーがよく見えるようにという配慮と思われる。

「Walkure」で一気にシンフォニックでヘヴィな世界観へ入って行く。ボーカルのシエル伊舎堂氏と、コーラスを担当するベースのリリス一ノ瀬氏のハーモニーも美しい。

シエル氏から共演者への感謝を述べつつ、「ここからリキッドルームは地獄です」というMCからヘヴィな「夢幻の扉~The Darkest Hope」へ。7弦ギターの音と思われるヘヴィな音である。

スピードメタル曲よりも、人間椅子へのリスペクトなのか、かなりダークかつヘヴィな路線の曲が多めの印象だった。

ドラムを担当するKAZAMIクロウリー氏がイントロで美しいピアノを披露し、「Eternal Sinner」が始まる。この曲もシンフォニックかつヘヴィなサウンドを聴かせてくれる。

そして再び美しくも怪しげなイントロが流れると、ついにダミアン浜田陛下が呼び込まれて登場する。ヒョウ柄の衣装で、ギターも同じくヒョウ柄である。

ダミアン浜田陛下とともに披露された1曲目は「美女と魔獣」で、これまでのシンフォニックかつダークな曲調から、ややハードロックらしい力強い楽曲である。

演奏した後のMCでは、ダミアン浜田陛下が司会となりメンバー紹介が行われる。この紹介がとにかく面白く、まるで芸人さんのようなツッコミと司会ぶりがさすがであった。

キャンプの話(RENOファウスト氏)やシンバルを割る話(KAZAMIクロウリー氏)など、メンバーそれぞれの話を掘り下げて、次々と笑いが起きる。

中でもベースのリリス一ノ瀬氏は、紹介された時に「りんごの泪」のリフを弾き、ダミアン浜田陛下もそれについて触れていた。

人間椅子のバンドTを着てきたそうだが誰も声をかけてくれなかったとのこと。

ダミアン氏より「人間椅子の魅力は何か」と聞かれて「ブレないで、進化を続けて今が1番面白いと言うのが魅力」と、人間椅子ファンでなければ絶対できない回答で素晴らしかった。

その後、ダミアン氏は人間椅子との対バンに至る経緯について語る。

28年前にソロアルバムで鈴木氏が演奏で参加したが、世を忍ぶ仮の姿で高校教師をしていたため、かかわりは全くなかったそうだが、今年に入って転機が訪れたとのこと。

1月に聖飢魔Ⅱにいたゾッド星島親分を介してナカジマ氏と会食の機会があり、そこで対バンを希望していることを話したら、人間椅子側からも良い返事があったそうだ。

侍従(マネージャーのことだがと注釈あり)が努力してかなり早い段階で対バンが決まったことが嬉しいと語る。

丁寧な経緯の説明に人柄、いや悪魔柄が窺えたところで、人間椅子は文学作品からタイトルを取ることが多いが、次の曲はイギリス文学から、と始まった「嵐が丘」。

この曲だけ写真撮影OKだったが、筆者が気に入っていた曲だけに写真を撮ったり、盛り上がったりと大忙しだった。

いくつか写真を掲載しようと思う。ダミアン氏と肩を組んで歌う女性陣。

お立ち台に立つ迫力のダミアン浜田陛下である。

ギターのお二人がお立ち台に立ち、迫力あるソロを披露してくれる。

そして楽しそうなお二方とダミアン浜田陛下。

大興奮のままラストは『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』から「Babel」で疾走して終了した。

ヘヴィな楽曲やシンフォニックで怪しげな楽曲をふんだんに盛り込み、悪魔・地獄の世界を堪能させてくれた。演奏やパフォーマンスも華やかで見どころばかりのステージだった。

終了後には出演者全員をダミアン浜田陛下が呼び込み、トークが展開された。

出演者の音楽を聴きたくなる魔法をかけたから、また聴きに来るだろう、と述べ、再会を誓った。

そして「結構、結構、コケコッコー!」や「結構毛だらけ猫灰だらけ」(『男はつらいよ』の寅さんがよく言う口上)などギャグ満載の愉快なMCで締められたのだった。

17時に開演して、終了したのは20時30分を過ぎており、転換込みで3時間30分以上にわたる轟音の祭典は幕を閉じた。

<セットリスト>

No.タイトル収録作品
SE聖詠『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』(2020)
1天空の放浪神『最後の審判』(2024)
2Walkure『運命の支配者』(2023)
3夢幻の扉~The Darkest Hope『運命の支配者』(2023)
4Eternal Sinner『運命の支配者』(2023)
5美女と魔獣『最後の審判』(2024)
6嵐が丘『魔界美術館』(2021)
7Babel『旧約魔界聖書 第Ⅰ章』(2020)
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全体の感想

今回の「Damian Hamada’s Creaturesと人間椅子」は、双方のリスペクトがかなり感じられ、非常に充実したライブイベントだった。

ダミアン浜田陛下がしみじみと語られていた通り、お互いに存在は知りつつも距離が遠かった両者が、ついに同じステージに立ったことの喜びに溢れていた。

またフロントアクトも含め、音楽ジャンルが見事にそれぞれ異なり、上手くピースがはまって1つのイベントになっていたように思えた。それゆえ時間の長さをあまり感じさせなかった。

フロントアクトはかなり若手のバンドで、改めて若い人たちのパワーは凄かった。(割とベテランバンドのライブに行くことが多い筆者として感じたところである)

その中にあって人間椅子はやはり貫禄がありつつも、その中にあっても違和感がない、若々しいパワーをも持つのだと、客観的に見られたのが良かった。

またダミアン浜田陛下は最高齢のはず(悪魔的にも世仮的にも)だが、バンド自体は若いので、不思議な感じだった。まるで先生と生徒のような感じがありつつ、仲の良さが伝わってきた。

ハードロック・ヘヴィメタルバンドの集まるイベントだったが、全体にハートウォーミングな感じがあって、良い人たちの集まりで非常に居心地の良い空間だった。

これもダミアン浜田陛下の人徳ならぬ悪魔徳のおかげだったのだろうと思った。

ついに今年復活記念!マニア心をくすぐる聖飢魔Ⅱのダミアン浜田陛下作曲大教典のすすめ(前編)

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