音楽を聴くこと

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ふと帰り道に考えたことです。

昔は音楽をレコードで聴いていて、今はCDからiPodへと移っていますね。

このような変化がもたらしたものとして考えられるのは、音楽の扱いだと思います。具体的に言えば、昔はもっと1曲聴くことが貴重な体験だったということです。レコードを準備して聴くのも大変ですし、そのプレーヤーの前でしか聴けない。しかも何度も針を落とせば音が劣化するので聴き過ぎるということもできない。だから自然と音楽を1回聴くことがとても貴重な体験だったのだと思います。しかし今はiPodで自分の部屋から外に持ち出して聴ける上に、何度聴いても劣化することもなく(iPod本体は古くなることはあるでしょうが)常に音楽が身近にある訳です。

このような聴き方の変化が音楽そのものにまで影響を与えかねないのが怖いところです。つまり昔のように1回聴くことが貴重な体験であるような音楽は、今の何度でも聴き返せる音楽とは本質的に異なってしまうと思うのです。1回聴くのが貴重な音楽は、きっとそれだけの重みがあるでしょうし聴いて大きな感動があり非日常的な世界へと私たちを導くものであるでしょう。しかしそのような音楽をiPodで何度も聴こうとはなかなか思えません。第一電車の中でそのような体験ができませんし、すること自体迷惑です。iPodで聴く音楽はもっと耳が疲れないようなもの、それほど大きな感動はなくとも小さな感動を幾つか与えればよいものに変わっていきます。

聴き手の変化に合わせて作り手がそのような軽い音楽しか作らなくなるというのはいかがなものか。もちろん軽い音楽もあっては良いとは思いますが、それと同時に胸を打つような音楽も作られ続けなければ、音楽のやせ細りは進んでしまうように思います。

と、iPodで音楽を聴いている私が言うのもどうかと思いますが、実際に聴いているとそのようなことは考えざるを得ないのでした。

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