音楽を聴く上で、まずどこに耳が行くだろうか?
歌声よりも歌詞よりも、筆者はまずメロディに耳が向かう。良いメロディは、心を震わせ、時に涙さえ流れてくる。
「最近は良い曲がない」などとは言いたくないが、メロディで心を奪われる曲は減り、もうメロディだけで心を掴むような音楽は古臭いのかもしれない。
しかし、そんな時代の中で、活動開始から20年以上、良いメロディにこだわってきたバンドがある。それがロックンロールバンド、THEイナズマ戦隊である。
底抜けに明るい曲から、泣ける名曲まで様々あれど、一貫して良いメロディを作り続けてきたバンドであり、もっと評価されても良いのではないかと感じている。
今回の記事では、そんなTHEイナズマ戦隊の歴史とその魅力を伝える17曲を選んだ。筆者が特に良い曲だと思うものを、収録アルバムなどの情報とともにお伝えする。
THEイナズマ戦隊の歴史
#チームイナ戦、全員無事に帰宅致しました🏠
— THEイナズマ戦隊 (@inasen_official) November 2, 2021
『生きてこそ、まだまだ皆様に逢いに行きますツアー』に来てくれた皆様、そして逢いに来れなくても応援してくれた皆様、そしてツアーに携わってくれた皆様、本当にありがとうございました🙇♂️
また色んな形で皆様に逢いに行きます‼️#イナ戦 pic.twitter.com/Conn7XOc7a
まず前半はTHEイナズマ戦隊の歴史を振り返りたい。筆者が参加したライブや、当時感じていたこと、そして今改めてTHEイナズマ戦隊を聴いて感じたことも最後に書き添えた。
THEイナズマ戦隊は1997年に北海道で結成される。通称は”イナ戦”。
大阪出身の上中丈弥(ボーカル)、山田武郎(ギター)、中田俊哉(ベース)の3人が北海道酪農学園大学へ進学し、学内で久保裕行(ドラム)と出会い、不動のメンバーが揃う。
札幌を拠点に活動をし、2002年にミニアルバム『THEイナズマ戦隊』を発売。2003年にメジャー(ワーナーミュージック)からシングル『月に吠えろ』そして、代表曲でもある『応援歌』をリリース。
初期のイナ戦は当時流行っていた”青春パンク”の影響も感じさせ、”心臓直結系”と銘打ったロックンロールだった。それでもパンクとは一線を画す、心を打つメロディはデビュー時から一貫している。
ワーナーからは2枚のアルバムをリリース。徐々にメロディアスな楽曲も増え、青春パンク色は薄れ、ロックンロールを主体としたバンドへ。
なお2004年には、コント番組『メンB』の中でエンディング曲を毎回イナ戦が担当。筆者はここでイナ戦を知り、「パーダラ・ブギ~後悔するにゃ若すぎる~」に感動する。
当時、上中氏は白シャツで襟を立てるスタイル、ドラムの久保氏は上半身裸で演奏するのが定番だった。
クラウンに移籍後、2005年にはシングル『あの夏の日々』をリリースし、多くの番組のパワープレイとなり、ライブも即日完売が増えていた。
なお筆者が初めてライブに参加したのが、3rdアルバム『為さねば成らぬIII枚目』の発売ツアーだった。
2007年にアルバム『熱血商店街』をリリースし、ホールを含むツアーが大成功。
同年、関ジャニ∞『ズッコケ男道』は、作詞を上中丈弥が担当。週間オリコンチャート1位を獲得する。
以降、Kis-My-Ft2やSexy Zoneなどにも上中氏が作詞で楽曲提供を行い、バンド名義で楽曲提供することもあった。
2009年には、”応援”をテーマにした企画ベスト『俺達の応援歌』をリリース。
この時期は、直球の歌モノだけでなく、リフを意識したロックや、ダンスビートの曲など、変化球の楽曲がアルバムに入ることもあった。やや模索の時期のように、筆者には感じられた。
結成15周年の2012年には17曲のシングル曲を集めた『シングルコレクション』をリリース。
2014年はTHEイナズマ戦隊の17(イナ)周年。
長崎稲佐山公園にてプレミアムワンマンライブ「Inazuma Fun Fan Carnival~イナ達のイナ達はイナ友達だ!!世界に広げようイナ達の輪!!~」を開催。
アルバム『17』に収録の「幸せの唄」がクロニタスのCM曲となり、メンバーもCM出演を果たす。
2017年、結成20周年の年に3度目のメジャー復帰。
20周年記念盤『LIVE GOES ON!』を日本クラウンよりリリース。新曲5曲と、新録も含むライブの定番曲を収録した2枚組の形態で発売された。
この時期の楽曲は、またシンプルなロックと良いメロディに回帰したような作品が多くなってきた。
同年、初の全都道府県ツアーを敢行。そして2018年には日比谷野外音楽堂でのライブ『俺とオマエと野音と応援歌』を開催する。
筆者は2005年にライブに行って以来、13年ぶりに野音のライブに参加。変わらぬパワーと、そして特に懐かしい曲に涙したのだった。
2019年には念願の中野サンプラザ公演『俺とオマエとサンプラと応援歌』を行う。
2021年にはアルバム『世明けのうた』がリリース。収録曲には、テレビ東京系 ドラマBiz「行列の女神〜らーめん才遊記〜」主題歌「WABISABIの唄」がある。
またBS12 トゥエルビ ドラマ「課長バカ一代」の主題歌には「リーダー論争」がタイアップになるなど、結成23年目の現在もバンドは活躍中である。
筆者は2004年からイナ戦を聴き始め、2005年に初めてライブに参加している。ファンとしては古い部類に入るかもしれないが、ずっと同じ熱量で追いかけてきた訳ではない。
どうしても初期の頃の曲調が好きで、作風が少し変化した時期に、あまり聴かなかったこともある。それでもアルバムが出るたびに、チェックして聴き続けてきた。
なぜなら、やっぱり新曲が出るたびに、「あ、これは良い曲だ!」という曲が必ずアルバムに入っていたからだ。
改めてこの記事を書くにあたり、これまでの音源を聴き直してみた。すると発売当時には気づけなかった魅力もたくさん感じられるようになっていた。
筆者自身も年齢を重ねて好みが変化したのもあるし、また新鮮な気持ちで過去の曲を聴くこともできた。
もし筆者と同じように、少しイナ戦から離れていた人も、この記事が改めて聴くきっかけになれば嬉しい。
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