皆さんはライブ盤を聴くのが好きだろうか?それともあまり聴かないだろうか?
ライブ盤を聴くかどうか、で2つの派に分かれるように思う。ちなみに筆者はライブ盤はあまり聴かない派の人だ。
その一番の理由は、どうしても演奏の揺れのようなものが気になってしまうからだ。少し粗かったり、またパフォーマンス的に崩した部分などが、どうしても目立って聞こえてしまう。
逆にライブ盤が好きな人からすれば、スタジオ盤とは違う勢いが良いのだということになろう。筆者の音楽的な趣向からすると、やっぱりアルバムとして構築された作品を好むのだ。
ライブ映像だったら、ライブの記録として見られるのだが、どうも音源作品だとライブ記録を聴くという感じがなじめないのだ。
ただ数少ない、筆者が好きなライブ盤がある。南佳孝氏の『All My Best』と言う作品だ。
南佳孝さんについて
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— 南佳孝 STAFF (@umibeno_uwasa) June 17, 2020
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最初に南佳孝氏について簡単に紹介したい。南佳孝氏は、1973年に松本隆氏のプロデュースによるアルバム『摩天楼のヒロイン』でデビュー。
また1976年に発売した『モンロー・ウォーク』を郷ひろみ氏が『セクシー・ユー』のタイトルでカバーし大ヒットした。
有名なところでは、角川映画『スローなブギにしてくれ』主題歌の『スローなブギにしてくれ』がある。オリジナル以外にも薬師丸ひろ子氏や松田聖子氏への楽曲提供を多数している。
近年はカバーにも積極的に挑戦し、洋楽が多かったものの、最近は邦楽カバーも行っている。
FM COCOLO「NIGHT AND DAY」という自身がパーソナリティを務める番組内のコーナー「レディオソロイズム」で毎週1曲ずつ弾き語りでカバーを行った。
その中から選曲して2016年に「ラジオな曲たち NIGHT AND DAY」、そして2019年には「ラジオな曲たちⅡ」をリリースしている。
2019年には69歳の誕生日を迎え、南佳孝フェス「I WILL 69 YOU」をEX THEATER ROPPONGIおよびなんばHatchにて開催した。
ゲストも太田裕美、尾崎亜美、斉藤和義、杉山清貴、鈴木みのりと豪華な公演であった。
いわゆる”シティポップ”の括りで語られることが多いが、その音楽性はかなり独特で、簡単に枠に当てはめることはできないと思う。
ラテン音楽の要素を多分に持ち込んでいるところが、その独自性を高めている。
また初期の作品はシティポップ的な要素も強かったものの、中期の『SEVENTH AVENUE SOUTH』『冒険王』などは音楽的にも非常にレベルが高く、特定のジャンルに括れるものではない。
また南さんは”アーティスト”とか”シンガーソングライター”と呼ぶのは何だかふさわしくない気がする。筆者は”音楽屋”だと思っている。
どんなことがあってもぶれずに、自分の音楽を紡ぎ続ける姿勢は、本当に音楽をやるために生きている人であり、とても尊敬するところだ。
『All My Best』について
さて、南佳孝氏の自身初のライブ盤が『All My Best』である。
収録されているライブは、2012年4月に行われた目黒BLUES ALLEY JAPANでのライブで、自身のキャリアの中でのベスト盤を構成するような選曲で行われたものだ。
曲目とメンバーは以下の通りである。
- 君の笑顔
- ソバカスのある少女
- これで準備OK
- Sleeping Lady
- プールサイド
- SCOTCH AND RAIN
- 夜間飛行
- 日付変更線
- 二人のスロー・ダンス
- 冒険王
- 昼下がりのテーブル
- 夜の翼
- Midnight Love Call
- スタンダード・ナンバー
- Monroe Walk(モンロー・ウォーク)
- スローなブギにしてくれ(I Want You)
- Simple Song
《メンバー》
- 南佳孝(Vocal and Guitar)
- 佐山雅弘(Piano & Rhodes)
- 土屋潔 (Guitar)
- バカボン鈴木 (Bass and Backing Vocal)
- 鶴谷智生 (Drums)
- Pecker (Percussions)
- 佐野聡 (Trombone, Flute,Hermonica, Pandero)
ライブ盤が苦手な筆者が、なぜこのアルバムは好きなのか。もちろん南氏の曲と歌が素晴らしいのが大前提なのだが、ライブ盤の作りに限定すると理由は次の3つである。
ベスト盤を作るつもりで収録したライブ盤であること
先ほど書いた通り、もしもベスト盤を作るならこうなる、という選曲で構成されている。
普段やるライブを収録する、というよりもライブでアルバムの録音をしたニュアンスが強いので、音源作品として聴きやすい作りになっているのだ。
腕の立つミュージシャンによるぶれのない演奏
ライブレコーディング的な演奏を完璧にこなすミュージシャンが集まっていることも大きい。ただしスタジオ音源を再現するような演奏ではないことも一方で重要である。
ライブならではのラフさもある演奏であり、スタジオ盤とは一部異なるアレンジも、腕利きのミュージシャンであれば安心して聴ける。
今は亡き佐山雅弘氏による怒涛のピアノも冴え渡っていた。
録音の音質が良いこと
あまり好きではないライブ盤は、音が悪いということがある。いかにもライブをそのまま録ったという音だと、どうしても繰り返し聴こうと思えない。
このライブ盤は非常にきれいに音が録れている。
2.とも関わるが、シンプルなバンド編成で録られているため、各楽器の音もクリアに聞こえるような音作りも素晴らしい。
筆者にとっては、スタジオ音源のような録音クオリティで、ライブならではのラフさもありつつ腕利きミュージシャンによる演奏とアレンジにより、南氏の楽曲がベスト盤的に収録されている、ということが嬉しかったのだ。
記録として残すのにふさわしい音が詰まっているので、ぜひ手に取ってみていただきたい。
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