Negiccoの全アルバムレビューとグループの歩み
3rdアルバム『ティー・フォー・スリー』(2016)
- 発売日:2016年5月24日(CD)、2016年7月30日(2LP)
- レーベル:T-Palette Records
- プロデュース:connie
No. | 曲名 | 時間 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
---|---|---|---|---|---|
1 | ねぇバーディア | 5:02 | 池田貴史 | 池田貴史 | 池田貴史・山口寛雄 |
2 | RELISH | 4:12 | 岩里祐穂 | connie | connie・NEGiBAND |
3 | マジックみたいなミュージック | 4:49 | connie | connie | Magic, Drums & Love |
4 | 恋のシャナナナ | 4:49 | connie | connie | connie |
5 | Good Night ねぎスープ | 5:00 | G.RINA | connie | mabanua |
6 | 江南宵唄 | 4:50 | 大坪加奈・connie | Spangle call Lilli line | Spangle call Lilli line |
7 | カナールの窓辺 | 4:35 | connie | 長谷泰宏(ユメトコスメ) | 長谷泰宏(ユメトコスメ) |
8 | 虹 | 3:35 | 平賀さち枝 | 平賀さち枝 | Kai Takahashi(LUCKY TAPES) |
9 | SNSをぶっとばせ | 3:50 | 堂島孝平 | オカモトコウキ(OKAMOTO’S) | OKAMOTO’S |
10 | 矛盾、はじめました。 | 4:47 | 土岐麻子 | さかいゆう | connie、NEGiBAND |
11 | 土曜の夜は | 4:47 | connie | 角谷博栄(ウワノソラ) | 角谷博栄(ウワノソラ) |
12 | おやすみ (Album Ver.) | 5:31 | MEG | connie | 長谷泰宏(ユメトコスメ) |
13 | 私へ | 4:33 | 坂本真綾 | connie | connie・真藤敬利 |
収録時間 | 60:20 |
”アダルト・オリエンテッド・アイドル”化とバラード路線の台頭
『光のシュプール』がオリコンチャートトップ10入りを果たし、注目度がさらに高まっていた中での作品。
本作でも豪華なクリエイターが参加している点は、前作と同様である。ただヒット曲を狙う方向性の楽曲とは、やや方向性が変わりつつあることが分かる。
まず先行するシングルとしては4作品がリリースされていた。レキシの池田貴史氏による「ねぇバーディア」は、これまでのNegiccoらしい弾けるような明るいポップソングである。
一方でさかいゆう氏が作曲した「矛盾、はじめました。」は、ラテン風味でミドルテンポのしっとりした楽曲・大人の女性の心情を歌った歌詞など、Negiccoの新たな面を引き出した楽曲と言えるだろう。
また本作リリース直前に7inchシングルとしてリリースされた「土曜の夜は」は、シティポップを感じさせる懐かしいサウンドで、ますます大人になったNegiccoという印象である。
前作の路線を引き継ぐインパクトの強いシングル曲は「ねぇバーディア」のみであり、それ以降の楽曲は大人っぽいイメージを前面に押し出しているのが特徴的である。
そしてアルバム自体も、大人っぽさが漂う上質なポップスの作品に仕上がっている。それはアルバムタイトルが、ジャズのスタンダードナンバーとなった「Tea For Two」をもじったことからも窺える。
RHYMESTER宇多丸氏のラジオ番組にNegiccoが出演した際に、本作をAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)ならぬ、”アダルト・オリエンテッド・アイドル”と称した。
まさにそう言った雰囲気が、アルバムの前半「RELISH」「マジックみたいなミュージック」「Good Night ねぎスープ」などから感じることができる。
アルバム前半がconnie氏の楽曲が多く、後半になるとまたしても豪華な作家陣がアルバム楽曲にも参加している。
後半は各クリエイターの個性が出ている楽曲もあり、Negiccoのキュートな部分が出た「虹」や、風刺の効いたロックナンバー「SNSをぶっとばせ」など、良い味付けになっている印象だ。
やはり本作も多彩な楽曲は揃っているが、拡散方向だった2ndに比べると、1つの方向性に集約しつつある。
それは生バンドの温かいサウンド、AOR的要素などの楽曲・サウンド要素に加え、「同世代の女性を元気づける歌」をテーマにした歌詞も、一貫して明確な方向性になっていたからだろう。
さらには、アルバム全体で「2日間を描いた」という流れも良い。1~6・7~12で朝から夜まで描かれるのだと言い、アルバムトータル感が前作よりも良くなった印象になっている。
AORとは、アルバム・オリエンテッドとも言われており、実際のところアルバムというまとまりが意識された名盤と言えるだろう。
もう1つの特徴として、バラード曲が台頭してきたことが挙げられる。アルバム終盤の「おやすみ」「私へ」の流れは、これまでのNegiccoにはなかったものである。
「おやすみ」はもともと『ねぇバーディア』のカップリング曲であり、AOR的なゆったりしたビートの心地好い楽曲だった。
アルバムではピアノとストリングスによるバラードアレンジに変更となっている。Negiccoの3人がもともと持っていた瑞々しさが、バラードで一気に引き出された印象だ。
これまで以上に、3人の歌で勝負していく、という意思も感じられるだろう。
Negiccoの音楽的なレベルアップ、そしてconnie氏との信頼関係のさらなる強まりを感じさせる作品になっているとも言える。
なお、様々な楽曲の影響を感じさせる内容ともなっているようだ。しかし筆者はあまり詳しくないため、そうした解説はたとえば以下のページをご覧いただければと思う。
多忙ゆえの反動・Negiccoと1人の女性と言う”矛盾”
少し本作リリースまでのNegiccoの活動を振り返ってみたい。
2014年に『光のシュプール』でオリコンチャートトップ10入りの悲願を果たし、次の活動が注目されていた。
2nd『Rice & Snow』リリースは、ライブハウスを回る初のワンマンツアーや、アーティスト寄りの活動が多くなっていた印象である。
「ご当地アイドルとして、呼ばれたら何でも出演する」ようなスタンスではなく、着実に自分たちの音楽を届けに行く、という活動にシフトしていったのだ。
そして2015年8月16日、日比谷野外音楽堂での「Negicco at 日比谷野外音楽堂Road of Negiiiiii〜Negicco One Man Show〜 2015 Summer」を敢行。
野音のステージで、次なる目標として「来年は自分たちの単独公演で武道館に立ちます」と宣言する。
日本武道館を目指す、ということは、アイドルファンだけでなく幅広い層へのアピールがさらに必要になってくる、ということだろう。
Negiccoはこれまで以上に精力的に活動を続けていた。しかし、新潟と東京を行き来しながらタイトなスケジュールをこなす彼女たちには、徐々に無理がたたり始める。
2016年3月の『矛盾、はじめました。』リリースイベントでは、メンバーが相次いで体調不良になり、Meguだけでイベントを行ったこともあった。
そうした状況下でリリースされたのが本作『ティー・フォー・スリー』である。
リリース後の7月30日「Negicco 13th Anniversary『Road of Negiiiiii 〜TADAIMA〜 2016 Summer at NHKホール」では、次こそ日本武道館と言う機運が高まっていたが、現実は異なっていた。
そのNHKホールの舞台で、Negiccoからは「今の私たちには厳しいと実感しました。」というMCがあったのだった。
もしかすると無理をすれば日本武道館に立てることはできたのかもしれない。でもそれは違うと感じての発言だったのだと言う。
それはまさに無理なスケジュールで体調を崩す、というイベントの状況と重なっていたように思える。
メンバーの年齢的には20代後半に全員が入ったところだった。きっと色々な思いも抱えながらの活動だったのではないか、と想像するところである。
※実際のところ、Kaedeは25歳(2016年)頃に本気でアイドルを辞めようと思っていたと語っている。
そんな中で、「矛盾、はじめました。」がNegicco自身を歌った楽曲ではないか、と思う時がある。
前作の頃までは、Negiccoと言うアイドルグループを歌ってきたのが彼女たちだった。「ネガティヴ・ガールズ!」「トリプル!WONDERLAND」などがたとえばそうである。
しかしここで歌われるのはNegiccoと同年代の1人の女性の目線である。
ここで歌われる「理想も現実もいきたいの」とは、深読みすれば、Negiccoとして大きな舞台に立つ”理想”と、しかし1人の女性としての”現実”の狭間を言っているように聞こえる。
当時のNegiccoはどんどん前に進んで行くように見えていた。しかし改めて「矛盾、はじめました。」やアルバムの楽曲を聴くと、別の扉が開き始めているように思えてくる。
それは1人の女性としてどう生きるか、という本作のテーマそのものである。当時のNegicco、そして彼女たち3人に思いを馳せると、また違った聞こえ方になるのが本作とも言えるだろう。
4thアルバム『MY COLOR』(2018)
- 発売日:2018年7月10日(CD)、2018年11月27日(2LP)
- レーベル:T-Palette Records
- プロデュース:connie
No. | 曲名 | 時間 | 作詞 | 作曲 | 編曲 |
---|---|---|---|---|---|
1 | Never Ending Story | 4:42 | connie | Keishi Tanaka | Keishi Tanaka |
2 | キミはドリーム | 3:51 | こだまさおり | 石濱翔(MONACA) | 石濱翔(MONACA) |
3 | スマホに写らない | 4:30 | 高橋 一 | 思い出野郎Aチーム | 思い出野郎Aチーム |
4 | 愛、かましたいの | 3:40 | 堂島孝平 | 堂島孝平 | 石崎光 |
5 | Tell me why? | 3:54 | 森雪之丞 | connie | connie |
6 | She’s Gone | 3:24 | 夏目知幸 | 夏目知幸 | シャムキャッツ |
7 | カリプソ娘に花束を | 4:25 | connie | connie | サイトウ “JxJx” ジュン・YOUR SONG IS GOOD |
8 | そして物語は行く | 3:36 | 岩里祐穂 | 上田知華 | connie・CRCK/LCKS |
9 | ノスタルジア | 4:20 | 中川理沙 | 中川理沙 | ザ・なつやすみバンド |
10 | グッデイ・ユア・ライフ(下り ver.) | 3:50 | connie | connie | connie・長谷泰宏 |
11 | 硝子色の夏 | 4:52 | 中島愛 | ミト(クラムボン) | ミト(クラムボン) |
12 | 雫の輪 | 4:53 | connie | 冨田恵一 | 冨田恵一 |
13 | 15 | 2:08 | connie | connie | connie |
収録時間 | 52:05 |
バントによる豊かなサウンド・Negiccoの揺るぎない歌唱
前作『ティー・フォー・スリー』から約2年ぶりのフルアルバムである。そしてNegicoが結成して15年を記念するアルバムでもある。
ちょうど1stアルバム『Melody Palette』が10周年時のアルバムであり、そこから5年後の作品なのだ。
先行シングルとしては、2016年12月の『愛、かましたいの』、2018年2月の『カリプソ娘に花束を』の2作品である。
前作の項で述べた通り、日本武道館を目指して邁進するというモードから、無理をせずに続けていく、というモードに変わってきた中でのアルバムである。
前作は”大人のポップス”がイメージされるサウンドだったが、本作はもう少し若返ったような、そしてあまりNegiccoにはなかったロックっぽいサウンドが印象的である。
その印象は冒頭の「Never Ending Story」~「キミはドリーム」の流れに顕著である。さらに豊かなバンドサウンドが、アルバムに彩りを添えてくれている。
本作は前作に比べ、また音楽的に多様な方向に向かっている。しかし2ndアルバムのような拡散している印象はなく、アルバムとしての一体感は抜群である。
それはおそらくクリエイターの圧倒的な個性に対して、Negiccoの歌が揺るぎない軸として出来上がった作品だからではないか、と思っている。
そしてNegiccoへの信頼感とともに、さらにその手腕を振っているのがプロデューサーのconnie氏であろう。作曲を見ると、実は前作に比べてconnie氏の楽曲は少なくなっている。
しかしこれこそNegiccoへの信頼感にも見える。今まではconnie氏が楽曲を作ることで、Negiccoらしさを守ってきた部分があったように思う。
それが、ついにメインの作曲者ではなく、他のクリエイターに任せたとしても、Negiccoらしさは全く損なわれない、という信頼感と自信から来るものだと思われる。
さて、そんな本作も豪華なクリエイターが参加しており、アルバム特設サイトにはコメントつきで紹介がされている。
特に印象的なのは、シャムキャッツによる「She’s Gone」である。アイドルをやめていく同世代に向けて歌われたもので、こんなやるせない楽曲を歌えるようになったのかと感心してしまう。
また前作でバラード路線が台頭し始めたが、「硝子色の夏」「雫の輪」では貫禄さえ感じる見事な流れだ。
特に「雫の輪」の神々しいまでの歌唱、そしてNegicco自身に向けたconnie氏の歌詞が見事に融合した名曲である。
connie氏の作った曲では、「Tell me why?」はBaBeの世界観を蘇らせたダンスナンバー、自身がボーカルもとったNEXCO東日本のタイアップソング「グッデイ・ユア・ライフ(下りver.)」も面白い。
またラストに配置された「15」は、Negiccoの15年を軽やかに総括したような楽曲。最後のフレーズがデビュー曲「恋するねぎっ娘」に出てくるフレーズを使っているのが素晴らしい。
なおトータル感は抜群のアルバムだが、シングル曲「愛、かましたいの」は2016年の楽曲で、ややモード的に少し前のNegiccoという感じで、アルバムの中ではやや浮いている印象も否めない。
ただ、この曲が入ったことで、それだけNegiccoが変化してきたという軌跡を確認できるとも言えるだろう。
本作ではNegiccoの3人が、自在に楽曲の中を飛び回っているかのような軽やかさだ。Negiccoの音楽としては1つの完成形を見たと言って過言ではないだろう。
アーティストの熱量も、作品を追うごとに増しているのに対し、Negiccoもそれに高い水準で応えられるようになった。両者のコミュニケーションのクオリティが格段に上がったのである。
その意味においては、前作の上質なポップスの心地好さに、さらに何を作ってもNegiccoらしい力強さが加わったアルバムと言えるのではないだろうか。
Negiccoストーリーの1つの着地点・それぞれのカラーを求めて
本作『MY COLOR』はNegiccoの音楽として1つの完成形を見た、と述べたが、Negiccoというストーリーの1つの着地点になったようにも思う。
2018年は新潟・朱鷺メッセにてNegicco結成15周年記念ワンマンライブ「love my 15years at 朱鷺メッセ」、そして東京・中野サンプラザにてワンマンライブ「relive MY COLOR」が行われた。
その後は、大規模な会場でのワンマンライブと言う形は行われておらず、2019年にはNao☆の結婚、Kaedeのソロ本格始動など、メンバー個人のニュースが多かった。
そんな折に新型コロナウイルス感染症拡大により、計画されていたライブなどの中止が相次ぐ。また2020年にMegu、2021年にはKaedeが結婚を発表し、メンバー全員が既婚者となった。
いろんなきっかけ、そして偶然なども重なっての今ではあるが、前作から本作ができるまでの流れには1つのストーリーがあるように思う。
前作の「矛盾、はじめました。」では、暗にNegiccoとしての自分と、1人の女性としての自分という、2つの自分が意識されるようになったのではないか、と述べた。
年齢的な問題、そしてがむしゃらに日本武道館を目指して、Negiccoとしての自分だけが先に行ってしまい、1人の女性としての自分が取り残されてしまった感覚だったのかもしれない。
そんな乖離した状況を落ち着かせる意味でも、活動のペースを落とすこととなった。そしてリリースされたのが、本作『MY COLOR』である。
さて、Negiccoはアルバムに”色”に関するワードを入れたのは初めてではない。それは10周年を記念してリリースされた、1st『Melody Palette』である。
『Melody Palette』は、これからNegiccoの新たな色を描いていくと言うアルバムだった。
そして5年後の4thアルバム『MY COLOR』の内容を見れば、もはやNegiccoが描くカラーは揺るぎないものとなっていることが、十分に示されたと言える。
そして本作で示された新たな挑戦は、各メンバーのカラーを出すというものだったのではないか。
だからこそアルバム名は『”MY” COLOR』なのであり、メンバー全員の”OUR”ではなかった。かと言って、決してメンバー個人のパートを前面に出すようなアルバムということでもない。
3人のカラーがそれぞれあり、3つが絶妙に混ざり合う心地好さに満ちた作品である。
このことは、本作のアルバムジャケット(初回限定盤)が、白色の歌詞カード表紙に3人のメンバーカラーのシートを重ね合わせることで、色彩が完成するという工夫にも表れているではないか。
さらには「雫の輪」において「1人ずつ違う色が重なって」と言う歌詞があり、Negiccoの3人がそれぞれ違う色を持ち寄って、ここまで来たことを歌えたのである。
まさに『MY COLOR』は3人が一体となったNegiccoとしてのストーリーの1つの着地点であり、3人それぞれの色がさらに深まっていくという新たなストーリーの幕開けを告げる作品なのだ。
最後に、Negiccoは重要な曲が未来を予見している、というのがとても面白いと感じた。「矛盾、はじめました。」がそうだったように、「カリプソ娘に花束を」がまたしても未来を予見している。
この曲は、結婚する娘が父親に向けて歌った、という内容である。当時はなぜこうしたテーマの楽曲が出てくるのだろう、と少し不思議に思ったような記憶がある。
しかしその後の展開を見れば、なるほどと思わされる。Negiccoの物語は、緩やかに続きながら、3人それぞれの道が続いていくことを予感させるものだったのである。
そしてこの曲のMVでは、最後に父親役として後ろ姿で登場するのは、長年Negiccoを支えてきたマネージャー、また事務所の会長である熊倉維仁氏である。
この曲、熊倉氏への感謝の気持ちを込めて作られているように思える。
きっとこの曲のリリース当時は、3人が結婚している未来はまだ描けていなかったであろう。メンバー全員が結婚した今、果たして熊倉氏は一体どんな心境なのか、考えるだけで胸が熱くなる。
まとめ – アイドルとしてのNegicco・音楽としてのNegicco
今回はNegiccoがこれまでリリースしてきた4枚のフルアルバムのレビューを通じて、Negiccoと言うグループの歩みも同時に振り返ってきた。
それぞれのアルバムがどのような作品なのか、そしてその時期のNegiccoはどんな活動をしていたのか、という2点を振り返ると、グループについて改めて理解が深まった。
最後に、Negiccoはアイドルなのかアーティストなのか、という点から、改めてNegiccoというグループについて振り返っておきたい。
1stアルバム『Melody Palette』の時点から、既にこの2者の間で揺れ動いていたグループであった。ただそのどちらに向かうか、で悩んでいたのはそれ以前のことであったように思う。
既に10周年を迎えたNegiccoは、アイドルでもアーティストでもなくNegiccoである、というスタンスを取った。
確かに取っ掛かりとしては、アイドルの形を取り、そしてアイドルと言う形態が音楽を用いてパフォーマンスするから、そうしてきたということだったのである。
そしてNegiccoというグループが魅力的だったから、次々と楽曲提供するアーティストが出てきたことで、アーティスト寄りに見えた、ということだったのだ。
ただし3人での活動、そしてアルバムリリースをする中で、アイドルから始まった3人の女性が、どのように年齢を重ねていくのか、というドキュメンタリーを見せてくれた、という面がある。
それは3rdアルバムから4thアルバム辺りにかけて顕著であり、その足跡が見事にアルバムの中に描き込まれた点が、ある意味、最もアイドルらしいと言えるのかもしれない。
もちろん聴き手にとっては、そう言った背景を知らずとも十分に楽しめる作品群ではあるが、作品に流れるそういったドキュメンタリーが、作品をさらに輝かせてくれている。
そしてメンバーそれぞれのカラー、そしてそれぞれの人生に向かって、Negiccoと言う物語はいったん着地点を迎えたと言える。
それだけ3人の絆が揺るぎないからこそ、解散ではなく、活動を緩やかにして継続と言う道を選ぶことができたように思う。
同じメンバーでここまで活動を継続したアイドルグループも類を見ない。その意味でも、かなり貴重なドキュメンタリーとしてNegiccoの歴史とともに、アルバム作品はあるのだと思った。
以前、筆者の書いた記事で、Negiccoは”持続可能な”アイドルなのではないか、と書いた。それは今回アルバムの作風の変遷を見ても、その通りであるように思えた。
各アルバムが、その時々のNegiccoを映し出す鏡となっており、それをconnie氏や他の楽曲提供したクリエイターがともに作り上げてきたのである。
これこそNegiccoへの愛の結集であり、それを見守るファンの愛もかなり強いのだと感じた。
来年はNegicco結成20年の節目である。Negiccoとしての活動は緩やかであるが、やはり20周年を記念した作品のリリースは期待したいところである。
次なるNegiccoの新たなカラーが見られる日を楽しみに待ちたい。
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