ハードロックバンド人間椅子の絵やイラストを描くファンが多いのはなぜか?

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ベテランハードロックバンド人間椅子は、独特な音楽性を貫いて活動を続けてきた。そして音楽性のみならず、”イカ天”にねずみ男の姿で登場した時から、独特な見た目でも注目を集めてきた。

まるでホラー漫画から飛び出してきたような見た目は、”絵になる”出で立ちである。実際に、「人間椅子」のキーワードでpixivで検索をかけると、多数の作品がヒットする。

#人間椅子のイラスト作品 - pixiv
#人間椅子のイラストや絵は442件投稿されています。#人間椅子と一緒に付けられている主なタグには#和嶋慎治、#ninge...

また筆者もSNSを見ていると、毎日誰かしらの作品を目にしている。しかもそのイラストは、カッコいいテイストの作品だけでなく、可愛らしいものも多いのが特徴である。

なぜこんなに人間椅子の絵やイラストを描く人が多いのか。そしてなぜここまで人間椅子は”絵になる”存在なのか?

これらの疑問について、様々な角度からその要因を考察してみよう、というのが今回の記事である。

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【前置き】ファンがミュージシャンの絵を描く一般的な心理

最初は人間椅子に限定せず、一般的にファンがミュージシャンの絵を描く心理について書いておこう。

1つには、ファンがそのミュージシャンを好きだと言う気持ちから出てきたもの、と言う考え方がある。

誰かのファンになれば、その人のことで頭がいっぱいになり、好きだと言う思いが溢れてくる。その思いは、何かの形にしてアウトプットしたくなってくる。

筆者はブログと言う形で、好きなバンドへの思いを文章にして綴るのが好きだからやっている。

またその思いを、ミュージシャンに直接思いを伝える方法もある。SNSでコメントを送る、ファンレターを送る、などが考えられる。

しかし溢れ出るミュージシャンへの思いを、言葉に託すのもまた難しい作業ではある。

文章が苦手だが絵は得意という人が、ミュージシャンの絵を描くのだろう。

さらに言うと、言葉に出すのは憚られるような、もっと個人的な感情のようなものも、きっとあるはずだ。

そんな行き場をなくした思いを、絵に託して表現している、と言う考え方もできる。絵の中でなら、どんな妄想を膨らませても全く問題がないのである。

ここから発展して、ミュージシャンと同じになりたい・同じことをしてみたい、という心理もあるかもしれない。

同じことをしてみたいのであれば、曲を歌ったり、楽器を弾いたりするのがまずは思いつく。しかし歌が上手くないといけないし、楽器は練習するのにも時間がかかる。

では同じになりたい、と言って、コスプレをするということも考えられるが、そう言うことじゃないんだよなあ、と言う気もしてくる。

そこで絵が得意な人は、絵の世界を通じて、そのミュージシャンの世界観を一緒に体験する、と言う方法をとるだろう。

ここまでをまとめると、以下のようになる。

  • 絵を描くのは、ファンがミュージシャンを好きだと言う思いから発している。
  • 言葉にするのが苦手、また言葉にしづらい思いを持った時に、絵にして発散する。
  • 同じ世界観を体験したいと思った時に、絵に表現する。

これだけでも、一応今回の疑問への回答にはなっている。しかしこれは一般論であり、人間椅子と言うバンドの特異性に触れて考えてみたいのが、今回の記事の目的である。

では人間椅子のいったいどんな部分が、ファンにこれほど多くの絵を描かせているのだろうか?

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人間椅子がよく絵・イラストに描かれる要因とは?

ここからは、本題である、なぜ人間椅子は絵やイラストに描かれることが多いのか?という疑問について考えてみたい。

これにはいくつかの要因があると思われる。筆者が考えた要因について、以下の3つの観点からまとめてみたい。

  1. ”絵になる”人間椅子の多面的なキャラクター性
  2. 創造力豊かなファン層
  3. 楽曲や歌詞・ジャケットから生まれるインスピレーション

”絵になる”人間椅子の多面的なキャラクター性

1番大きな要因から紐解いてみたいが、ファンの人が描くのは、メンバーの絵が圧倒的に多い。今回の問いの中心は、「なぜ人間椅子のメンバーはここまで”絵になる”のか?」ということでもある。

この点を考えるには、人間椅子のメンバーの多面的なキャラクター性を取り上げるのが良いだろう。

人間椅子のメンバーの特徴は、ステージ衣装の”オン”の状態と、普段着の”オフ”の姿のいずれも表に見せていることだ。

そしてこの”オン・オフ”は、楽曲やパフォーマンスでの鬼気迫る表情と、MCでのまったりとなごむやり取りの2者とも言える。

これらの”オン・オフ”が組み合わさり、人間椅子のメンバーは色々な表情を見せてくれる。この表情豊かな部分が、ファンにとって絵を描きたくなるポイントのようである。

それでは、人間椅子の出で立ちやキャラクターの特徴から、絵にしたくなるポイントを述べていこう。

妖怪的な魅力? – ”映える”ステージ上の人間椅子

まずはステージ上の人間椅子であるが、メンバー三者三様の独特の見た目である。

ギターの和嶋慎治は、和服を着ており、髪を後ろで縛っている。侍のようでもあり、文豪のようでもあり、仙人のようでもある。

ベースの鈴木研一は、白塗りで和袈裟を着ている。僧侶のスタイルであるが、白塗り姿が異形の存在であるかのようだ。

ドラムのナカジマノブは、リーゼントにサングラス、そして鯉口シャツの出で立ちである。最も現代人に近い服装であるが、3人の中に入るとやっぱり異様な雰囲気である。

今の人間椅子の見た目は、どこかおばけや妖怪的な魅力があるように思う。つまり怖いけれど怖すぎず、ちょっと安心する怖さなのだ。

海外のバンドで言えば、Slipknotのようなグロテスクさはなく、どちらかと言えばKISS寄りである。しかし全員がメイクしている訳ではないので、悪魔集団と言う感じでもない。

まさに日本の妖怪のような出で立ちなのだ。

そんな見た目から、2015年に放映されたドラマ『JKは雪女』では、人間椅子風の3人が妖怪として出演していた。(劇伴を人間椅子が担当したことで、こうした演出になったのだろう)

今でこそ妖怪的な見た目のメンバーだが、若い頃の印象はまた違う。デビューした頃は、よりイケメン度が高かったし、鈴木氏の長髪時代は異様な妖艶さがあった。

人間椅子の出で立ちの歴史を振り返りつつ、イケメン化させたり、恐ろしくしたりと、色んなテイストでイラストにするのは楽しいに違いない。

”萌える”ポイントが多数 – ほのぼのした普段の人間椅子は、”かわいいおじさん”たち

さて、ここからが人間椅子のもう1つの特徴であるが、ステージを降りて、普段着になったメンバーの姿も、よく絵に描かれるという点である。

人間椅子のメンバーは、普段着になってしまうと、もはやただのおじさんになる。しかしこの3人の姿もまた絵になってしまうのはどういうことなのか。

ここで重要なのは、3人のメンバーが”かわいい”ことである。50代半ばのおじさんたちを”かわいい”と言うのも不思議だが、かわいいとしか言いようがないのである。

そのかわいさは、まずもってInstagram等に投稿される画像からあふれ出している。いくつか並べてみたのだが、やっぱりかわいいのだ。

・30周年をケーキでお祝いするメンバー

・コメダ珈琲店でシロノワールを食べるメンバー

・ツアー移動中に仲良くお食事するメンバー

なぜこのおじさんたちは、こんなにもかわいいのか?2つの理由を考えてみた。

1つは、メンバーの関係が深いからではないか、ということだ。和嶋・鈴木両氏は、中学時代からの友だちで、高校から一緒のバンドで活動する間柄である。

やはり大人になってからできた関係に比べ、子ども時代からの関係性は遠慮がないと言うか、お互いの恥ずかしい部分も知り合った、ディープな関係なのである。

また2004年に加入したナカジマ氏も、2人とは高円寺で一緒に過ごした時期がある友だちの関係だった。一時は鈴木氏とは家が2軒離れただけのご近所だったとも言う。

しかもナカジマ氏の明るいキャラクターが良かったのかもしれない。2人の朴訥とした空気感に、凸凹のように上手くピースがはまったような印象がある。

今の人間椅子には、仲の良さとともに、リラックスした雰囲気が感じられる

もう1つは、今の人間椅子が輝いているから、という要因も大きいように思う。昨今の人間椅子は、これまでで最も売れていると言っても良いほど、絶頂期を迎えている。

ブレイクの要因はこのブログでも何度も取り上げたが、和嶋氏が人生の苦しみの中から抜け出したことが非常に重要な要因となっている。

イカ天バンドと言われた人間椅子はなぜ再ブレイクしたのか

14th『真夏の夜の夢』~15th『未来浪漫派』の頃に、和嶋氏は生きていく指針のようなものを自らで見つけ、それによって人間椅子における表現のあり方も変化してきた。

それまでの人間椅子と言えば、楽曲だけではなく人間性も暗い雰囲気のバンドであった。MCでも口をついて出るのは、自虐的な内容のことが多かった(笑いを誘いつつではあったが)。

それが2004年にナカジマ氏が加入したことで、一気に陽気なパワーが入ってきた。最初はファンも含め、戸惑いの色もあったが、少しずつ”陽”のパワーが人間椅子を包んでいった。

そこに和嶋氏の考え方の変化が加わって、バンドの空気はさらに明るくなり、人間椅子のメンバーは輝きを放つようになった。

そんな輝きが縁を引き寄せたか、どんどんと注目を集める状況ができてきたのであった。

今の人間椅子のメンバーは50代半ばだが、年齢を経たことで身につけてしまいそうな、人間の嫌味な部分が全然見られない。おじさんなのに、少年のような純粋なオーラを放っている

こうしたメンバーのオーラが、アウトプットとして”かわいい”存在になるのではないか、と考える。人間椅子のかわいさは、内側から純粋な心が溢れ出たものだと考えている。

そしてこの3人が話をし始めると、とても日常的なほのぼのとしたエピソードが繰り出される。これがまた人間椅子のおどろおどろしい音楽性とはかけ離れていて、”ギャップ萌え”である。

しかもライブのMCでは、ステージ衣装のまま普段のほのぼのトークになってしまう。演奏はキレッキレなだけに、そのギャップはさらに大きなものになるのだ。

そのため人間椅子のMCは昔からファンによって漫画にされてきた。古くは人間椅子倶楽部の会報であり、今でもTwitter上では、ツアーのMCが漫画化されているのを見かける。

人間椅子が描かれるのは、ステージ衣装姿だけではなく、ほのぼのエピソードとともに、”かわいい”メンバーであることも多いのである。

【人間椅子】人気上昇中のハードロックバンド「人間椅子」の素顔は”カワイイ”おじさんたちだった! – ライブ以外のSNS投稿写真まとめ

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穏やかな心で生きるための居場所

複数のキャラクターを持つ人間椅子の”変身ヒーロー”的魅力

最後にもう1つ付け加えると、人間椅子が絵になる要素として”変身ヒーロー”的な魅力があるのではないか、と思っている。

人間椅子はこれまで述べてきたように、普段はかわいいおじさんたちである。それがひとたびステージに上がれば怖くてカッコいいヒーローになるのだ。

しかし変身しても、話し始めるとかわいくなるし、変身前の姿も見せる、ユルいヒーローである。ユルさとともに、色々な表情が飛び出すところが、一番の魅力なのかもしれない。

おじさんかと思うと子どものようでもある。遠いヒーローのような存在でありつつ、かわいいおじさんでもあるのだ。

大事なことは、ありのままの姿を隠さず見せている、ということだろう。どんな表情のメンバーも、人間椅子の3人には違いなく、だからこそファンはいつでも人間椅子から目が離せない。

こうした多彩な表情を見せてくれる人間椅子だからこそ、絵を描きたくなる人が多いのではないかと思うのだ。

創造力豊かなファン層

人間椅子の見た目やキャラクターが絵になりやすい点を指摘してきた。しかし描かれる側だけでなく、描く側にも要因はあるのではないかと思っている。

それはファンの中に芸術的センスの持ち主が多いのではないか、という点である。

まず思うのは、人間椅子と言う独特過ぎる世界観のハードロックバンドを好きになるセンスこそ、変わり者ではないか、と言うのが持論である。

誰もが知っているようなアイドルグループやバンドを選ばず、あえて人間椅子と言うややこしいバンドを選ぶセンスである。まずもって曲者に違いない。

きっとそうした人たちは、何かしらの芸術的な感性を持ち合わせているのではなかろうか。実際のところ、絵が上手い人が多いし、楽器が上手い人が多いように見える。

こうした芸術的な感性を持っている人たちは、なかなか周囲との協調性の面では苦労することもあるだろう。筆者もそんな皆さんと同じく、生きにくい人生を送っている。

そんな生きづらさのモヤモヤを表現するには、芸術は持って来いである。そもそも人間椅子と言うバンド(特に和嶋氏)が、心に抱えた闇を表現してきたバンドだったではないか。

人間椅子と言うバンドに引き寄せられてくる人たちは、およそ上記のような芸術的な感性を持ち、何かしらの生きづらさを芸術で癒してきた人たちなのである。

そもそも芸術志向の人たちがファンに多いのではないか?と言うのも考えられる要因の1つだろう。

楽曲や歌詞・ジャケットから生まれるインスピレーション

では芸術的な感覚を持った人たちがなぜ集まってくるのか。それは、人間椅子の作品の芸術性が高いからに他ならない。

2つ目に挙げたのは、人間椅子の作品が創作のインスピレーションになっているのではないか、というものだ。

人間椅子の楽曲やアルバムジャケットなどに、日常的に触れていると、無意識のうちにインスピレーションが湧いてきそうな気がする。

ここではインスピレーションが湧いてきそうな楽曲、アルバムジャケットを取り上げてみよう。

楽曲 – 物語よりイメージ先行の歌詞と世界観

人間椅子の楽曲と言うと、ハードロックサウンドの曲に文学的な歌詞が乗るのが特徴である。そして小説のタイトルを借りて、そこからイメージを広げて歌詞を作るのも常套手段だった。

しかし人間椅子は小説のタイトルは借りても、内容は借りてこない。和嶋氏がよく語っているように、ストーリーをなぞるだけになってしまい、曲のイメージを固定させるのを避けるためだ。

そう考えれば、人間椅子の曲は特定のイメージを持たせぬよう、聴く側が自由に想像できる余地を多く残した楽曲作りをしている、ということになる。

言葉やメッセージ主体の曲を作るミュージシャンもいれば、1枚の絵画を描くように曲を作るミュージシャンもいる。人間椅子はどちらかと言うと、絵画的な曲作りをしているような気がしている。

歌詞を取り出してもみても、ストーリー的な要素はあまりない。

和嶋氏の作る歌詞は、文学的ではあるが、決してストーリー的な歌詞ではない。観念的なもの、漠然としたイメージや、ワンシーンを思い起こさせるくらいの歌詞が多くなっている。

鈴木氏の歌詞は、さらに描写的な歌詞が多い。生々しく感触がこちらに伝わってくるような、擬態語・擬音語が多用されているのが特徴だ。

ファンはきっと楽曲を聴きながら、頭の中で様々なイメージが広がっているのではないだろうか。そんなイメージも、創作に向かわせているのかもしれない。

たとえば楽曲をイメージ化したものの1つがミュージックビデオ(MV)である。人間椅子の中には、イラストや特殊な映像を用いたMVも存在するので、改めておさらいしておこう。

洗礼

  • 収録アルバム:12th『三悪道中膝栗毛』(2004)

鈴木氏がボーカルをつとめるダークな雰囲気が漂う楽曲。収録アルバム『三悪道中膝栗毛』が「東海道中膝栗毛」をもじったものなので、江戸時代の浮世絵を用いたユニークなMVとなっている。

「東海道五十三次」の浮世絵や地獄絵図など、様々な作品が組み合わさり、そしてアニメーションで動き出すと言う、2004年当時にあってはかなり凝ったものだ。

人間椅子としても15周年を記念する作品で、人間椅子らしいものを目指したのだろう。こういった和風で、地獄的な世界を少しコミカルに描く、というのが特徴だ。

このMVの世界観に触発されたのか、2020年にファッションブランドIKUMIとコラボした映像も公開された。

実際に人間椅子の作品からインスピレーションを受けているものが、登場しているのである。

虚無の声

  • 収録アルバム:20th『異次元からの咆哮』(2017)

人間椅子20枚目のアルバム『異次元からの咆哮』に収録された「虚無の声」のMVである。このMVでは、人間椅子初のプロジェクションマッピングを用いた映像となっている。

メンバーや楽器に映像が映し出され、かつてない異世界感のある作品になっている。

2004年の「洗礼」からテクノロジーの発展にも目を見張るものがあるが、人間椅子はこうした最新技術の中にあっても、変わらぬ個性を放っている。

人間椅子の魅力は、あらゆるものとコラボしても揺るがない、圧倒的な個性にあるのだと気づかされる。

ここからはMVとは別に、この曲で絵を描いたら面白そうだと思われた曲をピックアップしてみた。

夜叉ヶ池

  • 収録アルバム:2nd『桜の森の満開の下』(1991)

シングルカットもされた、人間椅子初期の大作である。泉鏡花の戯曲からタイトルを借りたもので、龍神伝説をもとにした作品である。

MVが存在する楽曲ではあるが、これとは違ったイメージを想像してみるのも面白い。美しくも、激しさも秘めたこの曲、妖艶で残酷な絵画作品になりそうな予感がする。

マンドラゴラの花

  • 収録アルバム:3rd『黄金の夜明け』(1992)

デビュー前の時期から演奏されていた、鈴木氏のおどろおどろしい作風の曲。漫画「エコエコアザラク」に登場する、引き抜くと悲鳴を上げ、それを聴くと死ぬと言われる植物を題材にしている。

まさにその植物の恐ろしさを歌った楽曲である。実在する植物ではあるが、この曲の歌詞を題材に、恐ろしい「マンドラゴラの花」を描いてみるのも面白そうだ。

塔の中の男

  • 収録アルバム:15th『未来浪漫派』(2009)

ドイツの詩人ヘルダーリンの生涯を知り、歌詞にしたと言う「塔の中の男」。(和嶋氏のコラム参照)統合失調症だったという彼であるが、曲調も目まぐるしくダークさと明るさを行ったり来たりする。

ヘルダーリンの生涯に焦点を当てても良し、全く異なる”塔の中の男”をイメージするも良し。様々なイメージを掻き立てる楽曲になっている。

宇宙海賊

  • 収録アルバム:22nd『苦楽』(2021)

宇宙シリーズ”の楽曲の中では、最もヘビーな曲調である。ヘビーさの中にも陽気な雰囲気があり、さらに宇宙的サウンドでもあるため、いろんなイメージが湧いてくる。

くれぐれもあの”宇宙海賊”の芸人さんの顔が先に浮かんでこないよう、一度頭の中を空っぽにして、自由なインスピレーションを待ちたいところである。

ジャケット – 独特な世界観のイラストジャケット

人間椅子のアルバムジャケットは、アルバム全体のコンセプトや世界観を表すものとして、いつもユニークなジャケットになっている。

人間椅子のメンバー写真が使われる場合もあるが、どちらかと言うとイラストがデザインされたものが多い印象がある。

人間椅子のアルバムの多くは、緩やかなコンセプトのある作品が多い。一部にはコンセプトの決まった作品もあるが、やはり楽曲と同様、イメージを固定させるものではない。

アルバムジャケットは、音楽と言う聴覚からの刺激に、視覚的なイメージを与えて、その世界観を膨らませてくれる役割がある。

逆にアルバムのコンセプトとあまり関係ないイラストを使うことで、あえてイメージを拡散させている場合もある。

いずれの場合でも、何らかのインスピレーションを生むものにはなっているだろう。あまりジャケットの絵を描く人は多くない印象だが、無意識に人間椅子のイメージを形作っているものと見ている。

ここでは、いくつか人間椅子のイメージを形作っていると思われるジャケットを紹介しておきたい。

9th『怪人二十面相』(2000)

江戸川乱歩の小説「怪人二十面相」をコンセプトにしたアルバム『怪人二十面相』のジャケットである。コンセプトの決まった作品であり、ジャケットは登場人物に扮したメンバーのイラストであった。

ぜひ漫画化してほしいようなイラストであり、怪奇的でありつつエロスも感じさせる。メンバーのイラストを描く際の、1つのイメージになり得るものだろう。

18th『無頼豊饒』(2014)

メンバーのイラストをジャケットにした作品だが、こちらは浮世絵風のイラストである

18th『無頼豊饒』はコンセプトが”精神的な自由”という抽象的なものだったので、ジャケットはキャッチーになったのかもしれない。

そしてあまりにユニークなジャケットだったためか、公式に”ぬり絵企画”も行われた。

※企画の概要

「無頼豊饒」リリース記念!「ぬり絵」コンテスト作品発表 / 人間椅子 - 徳間ジャパン
レコード会社、徳間ジャパンコミュニケーションズのサイトです。リリース情報、試聴、PV、コメント動画ほか

※応募した人の作品一覧(筆者の作品も下の方にある)

「ぬり絵」コンテスト~「無頼豊饒」リリース記念~
Event by 人間椅子 on 木曜日, 7月 31 201474 posts in the discussion.

他にも、配信番組「帰ってきた人間椅子倶楽部」で絵を募集したこともあり、人間椅子と絵は切り離せないもののようだ。

22nd『苦楽』(2021)

2021年のアルバム『苦楽』は、今まで以上に世相を反映した作品になった。それゆえか、ジャケットはよりミステリアスなイラストに仕上がっている。

弥勒菩薩のように見えるが、ロボットのように見える。そして旧約聖書では禁断の果実と言われる、りんごを手に取っている、何とも不可思議な世界観だ。

このイラストだけでも、何か禁忌に触れるような、陰謀を感じさせるような、イメージが膨らむジャケットになっている。

【アルバムレビュー】人間椅子 – 苦楽(2021)かつてないほど”現代”と向き合った超充実作

まとめ

今回の記事では、人間椅子の絵やイラストを描くファンがなぜ多いのか、その理由を探ってみた。人間椅子メンバーの魅力ファンの特徴作品の芸術性の3点から論じたがいかがだっただろうか。

今回の記事で考察した要因は、ざっくりとまとめると以下のようになる。

  1. ”絵になる”人間椅子の多面的なキャラクター性:カッコいい~かわいいまで、ありのままの姿をいつも見せてくれる。
  2. 創造力豊かなファン層:人間椅子を好きになる曲者のセンス、芸術的な感性の持ち主が多いはず。
  3. 楽曲や歌詞・ジャケットから生まれるインスピレーション:楽曲やジャケットなどから、無意識に様々なインスピレーションを受けている。

少しだけ書きそびれたことを付け加えると、人間椅子のメンバーも自身を絵にしている。人間椅子のLINEスタンプを作った際には、自分自身をメンバーがイラストにしていた。

鈴木氏は人間椅子のグッズやTシャツのイラストを描いているし、和嶋氏もよくイラストを描いていた。ナカジマ氏はドラムヘッドの風神・雷神などを、マジックで描いている。

実は人間椅子のメンバーも絵画とは縁があるのだった。

後半では、人間椅子の作品がインスピレーションをもたらすのではないか、と言う点を述べた。

これまではメンバーの絵画を描く人が多い印象ではあるが、楽曲の世界観を絵画にする人が現れても面白いのではないか、と思う。

先日、人間椅子の楽曲「なまはげ」を題材にした小説がバンド公認で書かれるというニュースがあった。人間椅子の楽曲は、様々な形で芸術的なインスピレーションを呼んでいる

ぜひ絵画の得意な人は、人間椅子の世界観を絵画にする試みを行ってほしいと思っている。人間椅子はあらゆる形で絵になるバンドのようである。

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