「第2回 人間椅子の楽曲に関する知識を問うテスト問題 – ”闇に蠢く”復習編」解説と講評 – 難易度・出題意図について

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人間椅子

ハードロックバンド人間椅子に関する楽曲テストを第1回に続いて、第2回を作成して公開した。今回は2022年9月のツアー”闇に蠢く”の選曲を中心に出題してみた。

「第2回 人間椅子の楽曲に関する知識を問うテスト問題 – ”闇に蠢く”復習編」を解いてみよう

今回も多くの人に解答していただいたので、解説と講評の記事を書くことにした。

前半では解答に関する全体的な傾向を数値から見る。後半は設問ごとに、出題意図や想定した難易度と実際の正答率から分析を試みた。

※まだテストに解答していない方は、解答を済ませてから以下の内容をお読みいただきたいと思う。

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解答についての全体的な傾向

まずは解答全体の傾向について、数字から見てみようと思う。10月6日(木)に公開して、いったん解答数が落ち着いてきたところで、分析をしてみたい。

  • 解答者数:49名
  • 解答の期間:10月6日(木)~10月12日(水)
  • 平均点:11.78/20点(前回10.74点)
  • 中央値:12点(前回11点)
  • 得点の範囲:3~20点(前回2~18点)

平均点を見ると、11.78点であり、100点換算すると58.9点と、相変わらず難しめの問題だったことがわかる。ただ前回に比べると、平均点は上昇している。

また得点の範囲を見て分かる通り、初めて満点を獲得した方がいらっしゃった。かなりの人間椅子マニアの方とお見受けする。

平均点では6割ほどになったものの、今回もかなり得点にはばらつきが見られている。5割から8割くらいの間に、多くの人が並んでいることが分かる。

つまり、ある程度までは正答できるものの、立ちはだかる強敵がいる、といった設問になっていることだろう。

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各設問の解説と講評

ここからは全14問を1問ずつ振り返り、どのような出題意図や難易度の想定があり、実際の結果はどうだったのか述べたい。

※各設問に付したリストの意味は下記の通りである。

  • 想定難易度:筆者が作成する際に想定した難易度であり、★の数が多いほど難しい。
  • 正答率:正解者数/解答者数(正答率)

参加しているドラマーに関する問題

  • 想定難易度:★☆☆
  • 正答率:43/49(87.8%)

1問目は、実は前回の1問目とほぼ同じ問題だったことにお気づきだろうか。人間椅子はドラマーの変遷が1つのポイントになっているため、もう1度同じ問題を出題してみた。

ただ前回と異なるのは「後藤マスヒロ氏が参加していないアルバム」という尋ね方ではなく、「演奏しているドラマーが他の作品と異なるもの」という書き方にした。

正解は前回と同じく1996年の6th『無限の住人』である。本作のアルバム収録までが土屋巌氏であり、その後のツアーから後藤マスヒロ氏がメンバー加入している。

9割近くの人が正答しており、サービス問題だったと言えるだろう。

同じアルバムに入っていない楽曲を選ぶ問題

  • 想定難易度:★☆☆
  • 正答率:44/49(89.8%)

この問題も第1回と類似の形式であった。同じアルバムに収録されていない、仲間はずれの楽曲を見つける問題である。

”闇に蠢く”ツアーでは、1998年の7th『頽廃芸術展』からの楽曲が多かったことから、『頽廃芸術展』に収録されていない楽曲を選ぶ問題であった。

正解は「地獄」であり、1996年の6th『無限の住人』に収録されている。

これも簡単な問題だったと思われ、正答率も9割近かった。やはり人間椅子リスナーは、アルバム単位で楽曲を聴く人が多い、ということを示した結果だろうか。

和嶋氏より鈴木氏の作曲が多いアルバムを選ぶ問題

  • 難易度:★★★
  • 正答率:6/49(12.2%)

今回のテストの中でも、最難関の1つだったと思われる問題である。そもそも目の付け所がマニアックかもしれないが、和嶋氏より鈴木氏の楽曲が多いアルバムを選ぶ問題である。

人間椅子は主に和嶋慎治・鈴木研一の2人が作曲を担当し、その2人のどちらが多く作るか、というバランスはファンにとっても気になるところではないか、と思った次第である。

大まかな傾向として、古い時代は鈴木氏が多め、最近は和嶋氏が多めと捉えている人が多いだろう。しかし2021年の『苦楽』は、最近の傾向が逆転して、ついに鈴木氏の楽曲の方が多かったのである。

この事実さえ知っていれば、正解できる問題である。最初から近年の作品はないだろうと踏んで、『無限の住人』『見知らぬ世界』で、どちらだろうと2択にしてしまった人は、罠にはまっている。

筆者自身も、1作ずつのバランスすべてを覚えている訳ではないが、『苦楽』で逆転が起きた、という事件が印象に残っていた人は、解答できる問題だった。

『萬燈籠』の発売時期に関する正誤問題

  • 難易度:★★☆
  • 正答率:29/49(59.2%)

人間椅子の飛躍に繋がった2013年に関する問題である。Ozzfest Japan 2013への出演、アルバム『萬燈籠』のリリースの時系列を尋ねてみた。

正解は✕であり、Ozzfest Japan 2013の出演時点では『萬燈籠』はリリースされていない。本当はアルバムの制作を控えていたが、急きょ出演が決まったのだった。

なおこの時点では「此岸御詠歌」は収録されており、SEとしては使用されていたが、生演奏はされていなかった。(”披露”と言う言葉が紛らわしかったかもしれない点はお詫びしたい)

リアルタイムで追いかけていた人に有利な問題だったかもしれない。そして『萬燈籠』はOzzfest Japan 2013の熱気が詰め込まれたアルバムだと思うと、また味わい深い。

ドラマーの作曲に関する正誤問題

  • 難易度:★★☆
  • 正答率:31/49(63.3%)

人間椅子は和嶋・鈴木両氏の楽曲がほとんどであるが、ドラマーが作詞・作曲に参加することがある点も特徴である。今回はドラマーの”作曲”について取り上げた。

正解は×であり、作曲に参加していないのは初代ドラマーの上舘氏に加えて、2代目の土屋巌氏もそうである。土屋氏は「三十歳」の”作詞”には参加しているが、作曲はしなかった。

問題文をよく読まないと間違えそうな問題であるが、6割以上が正解しているところを見ると、注意深く解いてくれたように思われる。

アルバム『二十世紀葬送曲』の作詞・作曲の組み合わせ問題

  • 難易度:★★☆
  • 正答率:30/48(62.5%)

前回のテストでも出題した、作詞・作曲者の組み合わせを選ぶ問題である。”闇に蠢く”ツアーでは、1999年の8th『二十世紀葬送曲』からも披露されたので、題材にしている。

とは言え、選択肢にはツアーで披露されていない曲も織り交ぜて出題した。「黒い太陽」「蟲」を選ぶ人は少なかったようで、「都会の童話」「不眠症ブルース」と言う後藤氏作曲の2択となった。

これは「不眠症ブルース」が後藤氏の体験をもとにしたものであることを知っていれば、後藤氏の作氏であることから誤りだと解答できるだろう。

また「都会の童話」のどこか不条理な歌詞の世界観は、いかにも和嶋氏の歌詞である。

演奏時間の短い楽曲を選ぶ問題

  • 難易度:★★☆
  • 正答率:28/49(57.1%)

人間椅子と言えば、和嶋氏の大作の印象が強いので、あえて短い曲について出題してみた。

”闇に蠢く”ツアーでは「新青年まえがき」がSEとして使用され、選択肢に入れたのだが、意外とこの曲はしっかりと展開があるので、まず外されるのではなかろうか。

やや迷いそうなのは「恍惚の蟷螂」と「ダイナマイト」かもしれない。「恍惚の蟷螂」も人間椅子の楽曲の中ではかなり短い方で、2:24である。

しかし「ダイナマイト」が1分台であることを知っていれば正解できただろう。「ダイナマイト」は1:54であり、人間椅子の楽曲の中でも最も短い。

人間椅子メンバー以外の作曲者に関する問題

  • 難易度:★★☆
  • 正答率:27/48(56.3%)

人間椅子と言えば、楽曲提供を受けることはほとんどなく、自らで作詞・作曲をするバンドとして知られている。そんな人間椅子だが、あえて例外の楽曲について尋ねた。

まずはカバー曲である「針の山」は、ウェールズのバンドBudgieの「Breadfan」に日本語詞を乗せたもので、もはや人間椅子の楽曲と言っても過言ではない。

音源化されたカバーは他にはないのだが、メンバー以外が作曲して人間椅子名義の楽曲がある。

それが『刀と鞘』のカップリング曲として収録された「桜下音頭」である。メインの作曲は漫画「無限の住人」の原作者である沙村広明氏が行っている。

もとになった曲を和嶋氏がバンドでのアレンジに仕立て上げたようで、和嶋氏も並んでクレジットされている。

ややマニアックな知識を問う問題ではあるが、2020年の『無限の住人』の再販では、「桜下音頭」がボーナストラックで収録されたことで、注目された楽曲であった。

「鉄格子黙示録」のバージョンに関する問題

  • 難易度:★☆☆
  • 正答率:35/49(71.4%)

人間椅子はあまり再録などを行うことはないが、初期の楽曲が再録されたことがあるので出題した。

和嶋氏が高校時代に作曲した「鉄格子黙示録」は、人間椅子初期の代表曲の1つである。”闇に蠢く”ツアーでも1曲目に披露されている。

アルバムとしては1st『人間失格』に収録されているが、この時には前半の歌のない部分までしか収録されなかった。過激な歌詞だったため、自主規制が行われたようである。

ライブでは歌ありバージョンも披露されていたものの、長らく完全版は未発表のままだった。

それが2009年のベスト盤『人間椅子傑作選 二十周年記念ベスト盤』で、初めて歌の部分も含めた完全バージョンとして再録されたのだった。

正解は◯であり、7割以上の人が正解していた。

”宇宙シリーズ”の楽曲に関する問題

  • 難易度:★☆☆
  • 正答率:47/49(95.9%)

人間椅子には、いくつかシリーズものとなっている楽曲が存在する。中でも”宇宙シリーズ”に関する問題である。

”宇宙シリーズ”の楽曲は、6th『無限の住人』に収録されている「宇宙遊泳」が第1弾であり、以降シリーズ化している。

近年は「宇宙のシンフォニー」「宇宙のディスクロージャー」など、タイトルに”宇宙”がついている楽曲も登場している。

ただ”宇宙”とタイトルにつく楽曲は鈴木氏だけではない。和嶋氏による近年の代表曲の1つ、「宇宙からの色」がある。

H.P.ラヴクラフトの小説『宇宙からの色』からタイトルを借りたものである。

よって、正解は×であり、和嶋氏の楽曲にも”宇宙”がタイトルについている楽曲が存在する。

9割以上の人が正解していることから、すぐに「宇宙からの色」が思い浮かんだ人が多かったことだろう。

アルバムの曲順に関する問題

  • 難易度:★★☆
  • 正答率:22/49(44.9%)

比較的簡単な問題が続いたので、やや難易度の高めの問題を配置した。アルバムの曲順に関する問題である。

人間椅子のアルバムは、おおよそ和嶋氏・鈴木氏の楽曲が交互に来るように配置されている。アルバム2曲目、ということは1曲目が和嶋氏なら、次に鈴木氏の楽曲が来るのが定番だ。

ただし例外も少なくない。選択肢4つ目の「鬼」は、2003年の11th『修羅囃子』の2曲目である。1曲目は鈴木氏の「東洋の魔女」で、続く「鬼」も鈴木氏による楽曲である。

そして正解の「地獄の料理人」は2014年の18th『無頼豊饒』の3曲目だ。1・2曲目の「表徴の帝国」「なまはげ」はいずれも和嶋氏の楽曲である。

2011年の16th『此岸礼讃』から3作連続で、和嶋氏の楽曲が2曲続く形でアルバムが始まるのが、この時期の特徴である。

アルバムの並びに着目してみるのも、作品の楽しみ方ではなかろうか、と思う。

ライブにおけるギターソロに関する問題

  • 難易度:★☆☆
  • 正答率:34/49(69.4%)

人間椅子のライブでは、曲によってオリジナルと異なるアレンジが施されることがある。そのアレンジの1つに、長くなるギターソロがある。

和嶋氏はギターソロをスタジオ音源の通りに弾くことが多いが、一部の楽曲ではソロが長くなり、アドリブを披露することがある。

今回選択肢に挙げた楽曲のうち、「どだればち」「狂気山脈」「東京ボンデージ」はアドリブが披露される楽曲である。

”闇に蠢く”ツアーでは、「狂気山脈」が披露され、後半部分では長いギターソロが演奏された。

一方で「無情のスキャット」は長尺の曲だが、ギターソロは長くなることがない。ライブ映像を見ても、基本はスタジオ音源の通りの展開である。

ただアウトロ部分のギターソロは、ややアドリブを織り交ぜたプレイである。これはBlack Sabbathの影響を受けたもので、スタジオ音源では異なるギターソロが左右で収録されている。

7割近くの人が正解していたが、誤答で多かったのは「東京ボンデージ」だった。まだライブで観たことがない人は、ライブ盤『威風堂々』の初回盤DVDでライブ映像を見ることができる。

ねぷた囃子が用いられている楽曲に関する問題

  • 難易度:★★☆
  • 正答率:25/49(51%)

”闇に蠢く”ツアーの一部会場では、「ねぷたのもんどりこ」が披露されたので、曲中に登場する”ねぷた囃子”を題材に問題を作成した。

鈴木氏が毎年見に行くと言うねぷた祭りでは、主に3つの囃子があるそうで、「行進」「休み」「戻り」である。

人間椅子の楽曲では、既に3つとも登場しているため、今回は「休み」の囃子が使われる楽曲を尋ねた。

「ねぷたのもんどりこ」はタイトルからして「戻り」であるとすぐに分かるだろう。あとは「あやかしの鼓」「月夜の鬼踊り」の2択になった人が多いのではないか。

正解は「月夜の鬼踊り」が「休み」のリズムであった。

なお以下のページに、ねぷた囃子の音声を聴くことができる。

ねぷた囃子 – 弘前ねぷた参加団体協議会

また配信番組「帰ってきた人間椅子倶楽部」のvol.06で、3つのリズムについて実演しながら紹介している。

ライブ終盤に演奏される楽曲の組み合わせ問題

  • 難易度:★☆☆
  • 正答率:31/49(63.3%)

人間椅子のライブでは、終盤になると決まって演奏される楽曲がある。そしてその楽曲も、時代とともに少しずつ変化している。

ここでは、アンコールの最後に演奏される曲の歴史を感じられる問題にしてみた。

まず(1)は「鈴木氏が学ランを着て演奏される」がヒントになっているが、2000年の9th『怪人二十面相』に収録された「地獄風景」が正解である。

この様子は、2002年のビデオ作品『見知らぬ世界』に収録されたライブ映像で確認できる。”闇に蠢く”ツアーでも披露され、学ランは着なかったが、少し懐かしさも覚えた。

(2)は「2014年」と「MVも制作された」がヒントになり、2014年の18th『無頼豊饒』収録の「なまはげ」である。

正答率は6割ほどで、まずまず答えやすい問題だったように思われる。

総評

今回は筆者が作成した「第2回 人間椅子の楽曲に関する知識を問うテスト問題 – ”闇に蠢く”復習編」についての解説と講評をお送りした。

前回がかなり難問続きだったので、もう少し簡単な問題を多めにしようと意識して作った次第である。そして出題を”闇に蠢く”ツアーの選曲を中心にする、という枠を設けた。

結果を見る限り、前回よりは得点しやすい問題が多かったように窺える。その一方で、どうしても満点を阻もうと、意図的に難問も忍ばせてある。

筆者としては、3問目の和嶋氏より鈴木氏の楽曲が多いアルバムを選ぶ問題が、内容としても設問の作り方としても、非常に気に入っている。

やはり人間椅子の長い歴史の中で、これまでの傾向が変わる瞬間は非常に重要なものである。アルバム『苦楽』が長年の傾向が変わった点について、筆者としては重大ニュースだった。

この重大ニュースを知っているかどうか問いつつ、もし間違えた人には、ぜひ知ってもらいたい、という思いで設問に込めた。

単に正解・不正解、ということではなく、問題を通じて人間椅子の楽曲・アルバムをより楽しむきっかけになればという思いがあって出題している。

これからも人間椅子の楽曲を聴き込みながら、良い題材を探しつつ、またテスト問題が作れたらと思っている。

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