演歌歌手、冠二郎の波乱万丈と楽曲の魅力 – ロック演歌から正統派演歌までおすすめ曲紹介

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まずはこの曲から聴くべきおすすめ10曲

記事の後半では、冠二郎氏を聴く上でおすすめの楽曲を紹介していきたいと思う。

まずは代表曲と言える、おすすめの10曲を紹介したい。キャリアの中で重要と思われる楽曲や、特徴的な楽曲をできるだけ時代も満遍なく紹介する。

楽曲の並び順は古い順である。

※Spotifyで今回紹介した楽曲のプレイリストを作成した。

旅の終りに

  • 作詞:立原岬、作曲・編曲:菊池俊輔
  • オリジナル作品(発売年):シングル『旅の終りに』(1977)

冠二郎氏にとって初のヒット曲とも言える楽曲。ドラマ『海峡物語』の挿入歌として作られ、作詞は原作者である五木寛之氏が担当している。

演歌らしい”旅”をテーマにした楽曲ながら、実はいわゆる”ド演歌”調のメロディではなく、どこか哀愁を誘うもの。作曲したのは映画音楽やアニメ・特撮音楽を多く手掛けた菊池俊輔氏であった。

様々なカバーも存在するが、冠氏の歌は男の哀愁を歌う渋い歌唱が魅力だ。若き日の冠氏の歌唱は、どこかさりげなさも感じられ、力の入り過ぎない歌唱がまた良い。

作詞の五木寛之氏が「旅の終りに」について語っている動画もぜひご覧いただきたい。

みれん酒

  • 作詞:三浦康照、作曲:市川昭介、編曲:佐伯亮
  • オリジナル作品(発売年):シングル『みれん酒』(1983)

「旅の終りに」以降も、なかなかヒット曲には恵まれなかった冠氏。だが1989年の「しのび酒」とあわせて、”酒”のつく楽曲ではヒットが出ていたそうである。

市川昭介氏による、味わい深い演歌の楽曲になっている。カラオケでも歌いたくなるような、ストレートな演歌だ。

70年代後半は歌謡曲調の楽曲が多めであったが、80年代に入ると演歌色の強い楽曲が立て続けにリリースされている。

後にはロック演歌や伝記物など、様々な演歌を歌うことになるが、やはりこうした王道の演歌が演歌ファンに愛されているところはあるのだろう。

酒場

  • 作詞:三浦康照、作曲:叶弦大、編曲:佐伯亮
  • オリジナル作品(発売年):シングル『酒場』(1991)

冠二郎氏が初めて紅白歌合戦出場を決めた楽曲である。

前半で述べた通り、紅白出場を祈願しての断酒を誓い、まさかの「酒場」と言う楽曲での紅白出場であった。様々なタイプの演歌を歌ってきた冠氏だが、これぞ王道の演歌である。

決して派手な楽曲ではないが、サビの「女の背中の」の部分ではグッと引き込まれるような力強さがある。そして「泣いて泣いてた…」と、ふっと力を抜く歌唱もまた味わい深い。

実は「旅の終りに」とメロディの緩急は似ているように思える。冠氏の歌唱の緩急の上手さが際立つ名曲である。

なお作曲は叶弦大氏であり、その後も「人情酒場」「居酒屋 かもめ 流れ酒」「小雪の酒場」など、冠氏の”酒場シリーズ”を作り続けている。

  • 作詞:三浦康照、作曲:和田香苗、編曲:前田俊明
  • オリジナル作品(発売年):シングル『炎』(1992)

冠氏にとっての新機軸であったアッパーな演歌。そして演歌界全体においても衝撃的だった”ネオ演歌”の代表曲とも言える楽曲だ。

スリリングなイントロから、太鼓の音、そして「セイヤ!」と豪快な掛け声である。そしてリズミカルに展開していく楽曲は、単調なリズムの多い演歌においては画期的なことだった。

また冠氏自身が作ったと言う、曲に合わせた振り付けも話題に。そのため”アクション演歌”などとも言われ、歌だけでなく体も使った力強いパフォーマンスが冠氏の特徴ともなった。

ポイントは力強い歌唱から、力を抜いた「アイアイアイライク演歌」のフレーズだろう。力で押すだけではなく、「男は愛嬌」と語る冠氏らしい、遊び心のある歌詞も見逃せない。

あらゆる面から演歌界に新鮮な風を吹き込ませた画期的な楽曲である。冠氏の歴史だけでなく、”ロック演歌”と言うジャンルを形作った、極めて重要な楽曲だ。

ムサシ

  • 作詞:三浦康照、作曲:和田香苗、編曲:前田俊明
  • オリジナル作品(発売年):シングル『ムサシ』(1993)

好評だった「炎」から、立て続けにリリースされた”ロック演歌”シリーズの第2弾。孤独に生きる剣士(?)を題材にした楽曲である。

「炎」に比べると、どことなくアニソン風でキャッチーな印象である。Aメロがヨナ抜き音階に対し、サビが西洋音階であり、勇壮なアレンジがアニソンを思わせるのだろう。

前作「炎」に続き、派手なアクションとしてマイクを2本持つ”二刀流”スタイルで歌う時期があったそうだ。ただ現在は二刀流で歌うところは見られない。

パワフルさに加え、哀愁漂うメロディラインもあり、「炎」とはまた違ったロック演歌の魅力を展開させた楽曲だ。

まごころ

  • 作詞:三浦康照、作曲:叶弦大、編曲:前田俊明
  • オリジナル作品(発売年):シングル『まごころ』(1995)

武骨な男の演歌が多い冠氏ではあるが、ほっこりするような楽曲ももちろん存在している。その代表曲の1つが、1995年リリースの「まごころ」である。

いわゆる”夫婦演歌”に入るようなテーマであり、男女がともに生きていくために「まごころ」があればいい、と温かくも力強く歌う、冠氏の歌唱が魅力である。

「まごころだけが」と女性コーラスとともに歌う箇所は、冠氏の優しさがにじみ出ているような可愛らしい歌唱である。

「酒場」「炎」に続き、3度目の紅白歌合戦出場を決めた楽曲でもある。硬派な楽曲の多かった冠氏にとって、新境地を開いた楽曲とも言えよう。

バイキング

  • 作詞:三浦康照、作曲:和田香苗、編曲:前田俊明
  • オリジナル作品(発売年):シングル『バイキング』(1998)

「ムサシ」以降はしばらくロック演歌路線の楽曲はなかったが、5年ぶりに作曲に和田香苗氏を迎えて制作された第3弾「バイキング」。

演歌には珍しい、外国の海賊を題材にした楽曲である。曲調は「ムサシ」を引き継ぎつつ、「GO GO GO GO」など英語が登場する辺りは「炎」を意識したものである。

「バルトの海峡 北極も」など大きすぎるスケール感、「世の中そんなに甘くない」など唐突に出てくる人生訓など、どこかトンチンカンな魅力の溢れたロック演歌である。

「ムサシ」などに比べると勢い重視の楽曲であり、前2作に比べるとややキャラクターが先行し過ぎている感もある。

「炎」「ムサシ」「バイキング」が冠二郎のロック演歌3部作と言われ、いずれもゲーム『トラック狂走曲』の挿入歌に起用された。

都忘れの花のように

  • 作詞:三浦康照、作曲:遠藤実、編曲:前田俊明
  • オリジナル作品(発売年):シングル『都忘れの花のように』(2002)

2000年代に入ると、ロック演歌のイメージだけにとらわれず、王道の楽曲も数多く歌っている。「都忘れの花のように」は、しっとりと情感たっぷりに聞かせる演歌である。

別れた女性への思いを募らせる切ないテーマの楽曲である。どこか昔懐かしい戦中・戦後歌謡曲のような雰囲気も感じさせるメロディだ。

90年代までに様々なタイプの楽曲を歌ってきた冠氏の表現力も磨きがかかっている。ドスを効かせるのとは異なる、情感を込めて歌う表現力が存分に発揮されている。

またカラオケなどでも歌いやすい楽曲になっている。

満天の星

  • 作詞:三浦康照、作曲:遠藤実、編曲:佐伯亮
  • オリジナル作品(発売年):シングル『満天の星』(2003)

ロック演歌は影を潜めたが、その代わりに増えたのが伝記物や海外を舞台にした楽曲群である。その中でも、異色のサウンドとメロディが「満天の星」である。

舞台はモンゴルであり、連なる白い峰や氷河などの大自然の中で広がる満天の星空を描いている。メロディは演歌というよりポップスだが、演歌のコブシ回しが味付けとなっている。

スケール感の大きなこうした曲を、”スペクタクル演歌”などと呼んだりしていた。また冠氏の歌唱の新たな一面が垣間見えた楽曲である。

ほろよい酔虎伝

  • 作詞:三浦康照、作曲:水森英夫、編曲:南郷達也
  • オリジナル作品(発売年):シングル『ほろよい酔虎伝』(2005)

居酒屋チェーン店とコラボした「酔虎伝シリーズ」の楽曲がリリースされ、その第1弾となったのが「ほろよい酔虎伝」である。

ロック演歌シリーズが終わった後に、冠氏の豪快な歌唱が聴けるのがこのシリーズである。水森英夫氏による、温かみのあって元気いっぱいのメロディが、冠氏の歌とマッチしたのだった。

後に「ブラボー酔虎伝」「浪花酔虎伝」と続くシリーズとなった。最も歌いやすい楽曲が「ほろよい酔虎伝」ではなかろうかと思う。

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70~80年代の隠れた名曲5曲

冠二郎氏の代表曲をここまで紹介してきたが、まだまだ紹介したい曲がたくさんある。

中でも筆者がおすすめしたいのが、70~80年代に作られた隠れた名曲群である。いまだに人気があり、全曲集に収録される曲や、近年新録された楽曲などを中心に5曲選んだ。

さすらいの旅

  • 作詞:三浦康照、作曲:菊池俊輔、編曲:竹村次郎
  • オリジナル作品(発売年):シングル『亜樹子』(1978)

1977年のヒット曲『旅の終りに』の次にリリースされた『亜樹子』のカップリング曲である。作曲は「旅の終りに」を作った菊池俊輔氏であり、同じ路線の哀愁漂う楽曲である。

メロディとしては演歌と言うより、歌謡曲である。「旅の終りに」以上に演歌要素は薄く、たとえば「津軽海峡冬景色」「雪國」などが好きな人には刺さるタイプの曲だ。

ド演歌ではなく、歌謡曲路線の冠氏が好きな人にはぜひ聴いてほしい楽曲である。なお2010年にリリースの『小雪の酒場』のカップリング曲として収録されている。

あなたの恋灯り

  • 作詞:三浦康照、作曲:岸本健介、編曲:斉藤恒夫
  • オリジナル作品(発売年):シングル『あなたの恋灯り』(1981)

歌謡曲路線の楽曲が続いていた時代には珍しい、メジャーキーによる演歌である。そしてややビート感のあるリズムが演歌らしからぬ曲調を作り出している。

思わず口ずさみたくなる、軽快なメロディが魅力的である。冠氏の歌唱もまた軽やかで、あまりないタイプの楽曲となっている。

比較的近年の全曲集にも取り上げられることがあり、入手の機会はありそうだ。カップリング曲である「流れのままに」もまた名曲であるので要注目だ。

あなたは男でしょう

  • 作詞:野崎秀孝、作曲:稲沢祐介、編曲:斉藤恒夫
  • オリジナル作品(発売年):シングル『あなたは男でしょう』(1982)

1982年にリリースされたシングル曲であるが、2020年にジロー&ミナ名義にて、夫婦のデュエット曲としてリリースされている。

そして作曲したのは何と冠氏の妻味菜子さんの父・稲沢祐介氏によるものである。不思議な家族の縁で作られた楽曲なのだ。

曲調はリズミカルな演歌であるが、冒頭を味菜子氏が歌い、冠氏が全体を引っ張っていく様子が何とも微笑ましい。ぜひレコーディング風景の映像とともに聴きたい楽曲である。

望郷の駅はまだ遠い

  • 作詞:三浦康照、作曲:市川昭介、編曲:佐伯亮
  • オリジナル作品(発売年):?

1987年にアルバム収録曲としてリリースされた楽曲であり、2021年に歌手生活55周年記念曲として再録された。

冠氏の真骨頂の1つでもある放浪歌であり、歌謡曲路線の哀愁漂うメロディが美しい。サビに向かう盛り上がりが快感であり、全体を貫く寂しげな編曲もまた素晴らしい。

なおオリジナルバージョンは、2010年の『人生夢太鼓』のカップリングで聴ける。若々しい当時の歌唱と、年齢を重ねた現在の歌唱を聴き比べてみるのも良いだろう。

演歌人生

  • 作詞:鳥井実、作曲:花笠薫、編曲:池多孝春
  • オリジナル作品(発売年):シングル『演歌人生』(1986)

1986年にリリースされたシングル曲であり、「演歌人生」という冠氏自身のテーマソングかのような楽曲である。

非常に渋い演歌になっており、昭和演歌の良い所が詰まっているような楽曲だ。そして人気の高い楽曲だったことから、2018年に「演歌人生(平成版)」として再録された。

昭和から平成、そして令和に至るまで派手な明かりではなくとも、確実に輝き続ける冠氏そのものを示しているような楽曲である。

まとめ

今回は演歌歌手である冠二郎氏の半生と魅力、おすすめの楽曲について紹介してきた。これを読めば、かなり冠二郎に詳しくなれる記事になったのではないか、と思う。

筆者自身も記事を書きながら、冠氏の人生の中には様々な浮き沈みがあったことが改めて分かった。苦難の時期があり、またロック演歌で脚光を浴びた時代があった。

そんな冠氏の人生そのものが演歌として結実しており、時代ごとに楽曲として歴史を刻んできたのである。だからこそどの時代の楽曲を聴いても、味わい深い歌唱を聴くことができる。

また冠氏は決して大ヒットには恵まれなかったが、着実に良い歌を届けてきた演歌歌手である。変わらず良い歌を伝え続けた姿勢にも筆者は大いに感動するところである。

何度も大病を経験しながら、それでも歌手として活動を続けている。少しでも長く冠氏の歌が聴けることを願いたいところだ。

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